(2018年3月14日) 圧力は必ず押し付ける方向の正圧であって負の圧力というものはない。真空が圧力ゼロだからである。しかし、世の中には広く負圧という言葉が使われているので疑問に持つ人もいるようである。負圧という言葉が使われる場合は変化した差圧を指している場合が多いように思われるがいずれにしても説明不足であることに変わりない。
上図はやや古い航空工学の教科書、高坂憲三著「航空力学教程」(産業図書出版)の16頁からの抜粋である。あたかも負圧が存在するかのように書かれている。 この説明を解釈しなおすと、例えば翼の下面が1.1気圧、翼の内部が0.9気圧、翼の上面が0.2気圧となっているので、揚力を構成する空気力は下面の差圧より上面での差圧の方が大きくなっている、ということであろう。 もし、発泡スチロールの模型飛行機のように翼の構造が密であれば空気力は下面からの正圧だけになる。 取っ手がないドアを開けるには押して開けるしかないことを想像すれば明らかである。力を加えるには(正の)圧力しかないのである。 (了) 戻る
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