力の伝わる速さ  

(2012年4月24日)


 物体に力を加えるとその物体は動き出す。この状況を分子レベルまで拡大して、かつ時間も変化が観察できるぐらいゆっくり進ませて眺めてみる。もちろん頭の中で行うだけなので手間暇かからず試験装置も要らない。

   物体として金属の棒を想定しよう。この棒の一端に加わった力は物体を構成する分子を動かし、隣の分子に影響を与え、次々にその影響を及ぼしていくことが判る。つまり、力が伝わるということは分子の動きが伝わることで、縦波である音波の最初の波の伝わり方と同じということになる。

   力の伝わり方は音波の伝わり方と同じであるということは、伝達速度も音波と同じということになる。つまり、力の伝わる速度は音波の速度と同じであるということになる。音波の伝達速度は伝わる媒質によって異なるから、力の伝わる速度も物質によって異なることになる。

 音波は気体や液体でも伝わるが、力は容器で液体や気体を閉じ込めないと伝わらない。この違いがあることは力と音波の違いというべきものだろう。

  さて、重力はどのような速さで伝わるのであろうか。ニュートンは無限大の速さで伝わるものとした。しかし、アインシュタインの特殊相対性理論が「光速より速く伝達するものは存在しない」ことを示している。このため、ニュートン力学だけで満足する人たちも、重力が無限大の速さで伝わるとは考えていない。

 それでは重力はどのぐらいの速度で伝わるかというと、「重力は光速と同じ速さで空間を伝わる」というのがアインシュタインの一般相対性理論が教える帰結の一つである。このことはまだ実証されていないが、多くの理論物理学者は正しいと考えている。

  重力が光速で伝わるならば、「重力が力でない証拠」の一つに加わる。力は音波と同じように真空中は伝わらないし、物質中は音速と同じ速さでしか伝わらないからである。重力は電荷が空間に電磁場をつくるように、質量が空間につくる重力場であって、空間の性質の一つということである。

(了)


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