Free Fall in Las Vegas (05/23〜25/98)

ラスベガスへ行ってきた。

ラスベガスといえば日本のテレビで見たネオンとカジノの映像がまず思い浮かぶ。昔、日本テレビの日曜夜にアメリカドラマの枠があって、「バイオニック・ジェミー」とか「チャーリーズ・エンジェル」とかやってたけど、「ベガス」ってのもあったっけ。

土曜の朝、自宅を出て友人を拾って空港へ。チェックインをして飛行機に乗って約一時間、そこはもうラスベガス。ほとんどバスにでも乗って遊びに行く感覚。飛行機でのサービスもバス並みだけどね。

到着したラスベガスの印象は、やっぱり基本的に田舎って感じ。だいたいカリフォルニアやアリゾナから車に乗って遊びに来てる人が大半なんだから、当然といえば当然。夜にショウを見にいったんだけど、半ズボンで見に来ちゃう人もいる。いちおう「半ズボン禁止」とかのドレスコードも書いてあったんだけど、別にお咎め無しみたい。

キンキラキンで豪華絢爛というイメージのラスベガスだけど、それはカジノやカジノに客を誘うための誘蛾灯のハナシで、ホテルの部屋はきわめて質素。宿泊した「フラミンゴヒルトン」も、外装のネオンは豪華なもんだけど、中身はふつーである。部屋にはミニバーも冷蔵庫もない。エジプトのピラミッドをかたどった「ルクソール」なんて、シャワーだけでバスタブが無いってくらいである。「部屋で落ち着いていないで、外へ出て、お金を落としてね」ってことなのだ。だから客寄せのための設備は、どのホテルも力が入っているし、それぞれ特色がある。
 

フラミンゴ・ヒルトンルクソール

その中のひとつ、「ストラトスフィア(成層圏)」は、高さ350mのタワーを持っている。東京タワー (333m) は電波塔という立派な仕事を持っているけど、ストラトスフィア・タワーはただの客寄せである。おそるべし。

もちろん高いだけでは目印にされるだけなので、最上部には展望台や展望レストランがある。そしてなんと、2種類の絶叫マシンがあるのだ。そのうちの一つ、Big Shot は時速70kmで49m打ち上げられて、そこからフリーフォールというとんでもないスリルライドである。
 

ストラトスフィア・タワー展望台からの眺め

さて、ぼくは高いのとか速いのとかはオッケーだけど、落ちるのは全然ダメ。でも、「限定」とか「特別」とかいう売り文句には弱い。「世界一」高いところにあるフリーフォールと言われると乗らないわけにいかない。もう一生来ることはないかもしれないと思えばなおさらである。

チケットを買って乗り場へのエレベータに乗る。オペレータが「How are you doing?」と聞くと一瞬の沈黙。誰かが「…good」と弱々しく答える。みんな笑う。

順番がまわってきて座席に座る。ジェットコースターも最初に登っていくところが一番いやだけど、このマシンも待っている時間がたまらない。秒読みでもしてくれればココロの準備ができるってもんだけど、ただ「いまかいまか」と待たなくちゃいけない。顔が引きつってくるのが自分でもわかる。

と思っていると下から強い衝撃で突き上げられる。眼前に広がる地上300mの光景。すっごいスピードで空に放り出される感覚。高いのは大丈夫だと思っていたけどこれは怖い〜とんでもないものに乗ってしまった〜どうしよう〜

だんだんスピードが落ちて、今度はフリーフォール……言葉にならない、何も考えられない…

この上下が3回くりかえされる。でも2度目からは1度目ほどのスピードや衝撃はない。景色を楽しむ余裕も出てくる。

そんなわけで、実はなかなか楽しかった。今回のラスベガス旅行の目玉かも。もう一度行くことがあったら、きっとまた乗ると思う。今度は夜がいいな。