オカピー’s 落語いろは長屋

國學院大學落語研究会のHPに連載の「落語いろは長屋」の下書きのようなもの。
徐々に移していきますが、こちらにお立ち寄りのあなたのために、一足早く公開!なんて…

 

 1 雑俳(2001.2/4國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 2 饅頭こわい(2001.2/24國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 3 道具屋(2001.3/3國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 4 火焔太鼓(2001.3/10國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 5 たぬき(2001.3/31國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 6 やかん(2001.5/13國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 7 紙入れ(2001.5/13國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 8 猫の皿(2001.5/13國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 9 元犬(2001.6/2國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

10 桃太郎(2001.6/2國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

11 たがや(2001.6/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

12 替り目(2001.7/7國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

13 崇徳院(2001.8/2國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

14 不精床(2001.8/2國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

15 豆屋(2001.9/3國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

16 長短(2001.9/3國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

17 松竹梅(2001.9/13國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

18 六尺棒(2001.9/24國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

19 天災(2001.9/24國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

20 つる(2001.10/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

21 野ざらし(2001.10/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

22 権助魚(2001.10/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

23 妾馬(2001.10/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

24 孝行糖(2002.1/28國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

25 粗忽長屋(2002.1/28國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

26 禁酒番屋(2002.4/27國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

27 親子酒(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

28 猫と金魚(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

29 花見の仇討(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

30 寄合酒/ん廻し(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

31 出来心(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

32 反対車(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

33 金明竹(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

34 鮑のし(2002.6/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

35 千両みかん(2002.8/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

36 化け物使い(2002.8/17國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

37 たらちね(2002.9/6國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

38 道灌(2002.9/6國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

39 のめる(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

40 粗忽の釘(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

41 短命(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

42 天狗裁き(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

43 牛ほめ(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

44 悋気の独楽(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

45 お化け長屋(2002.11/23國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

46 十徳(2005.8/21國落ネタ帳落語いろは長屋UP)

 

初天神

転失気

「・・・いえ医者(せんせい)、盃(これ)もあまり飲(や)り過ぎると、周囲(まわり)から文句(ぶーぶー)が出ます」それにしても“ブーブー(文句)が出ます”は酷い。むしろ、音として、言葉としては長すぎるが、“テンは呑む、シは酒、キは器。寺では盃を呑酒器といいます”の方が落語の落げとして筋が通る。三一書房『立川談志独り会』第四巻より〜という弁もあるので、独自にサゲをいろいろ工夫してみてもいいのかも。たとえば、和尚が小僧に騙されたと気づいて、すごい悔しそうな表情を演出して、「・・・寺では呑酒器といいます」と最後まで負け惜しみの強い姿で落とす。小僧に「・・・呑酒器という、よく覚えておけ」と言ったときに小僧が「はーい、よく分かりました。プップップッ」と屁のように吹き出して馬鹿にした表情をみせ、「転失気という馬鹿馬鹿しいお笑いです」と言って落とす。それともうんと漫画化して小僧が和尚に呼ばれてブーブーブーとブーイングしている姿を屁のブーと兼ねて面白くみせるのもひとつの演出なのかな? わかりずらかったら連絡ください。

 

大工調べ

大工の棟梁が大きな仕事が入ったと与太郎を呼びに来た。ところが与太郎は道具箱がないと言う。聞くと、店賃の滞りの抵当に大家に持っていかれたのだと。そんなことがあるだろうと用意はして来たと棟梁から額を六枚受け取った与太郎は足りないと言う。そこで棟梁は「八百持ってって言い訳するんじゃねえんだ、一両二分持ってくんだい、八百ぐれえおんの字だよ、あたぼうだてんだ。言分(いいずく)なら、ただだって取れるんだよ。だが相手が悪(わり)いやい。町役(ちょうやく)なんぞやってるんだから、まァ、長(なげ)えもんにゃァ巻かれろ、あとで『犬の糞(くそ)で仇(かたき)』でもつまらねえから、下手(したで)に出て、よく訳(わけ)ェ話して貰ってこい」と話したんですが、与太郎、この楽屋話を全部大家の前で話しちまった。

旋毛(つむじ)を曲げた大家は、あらためて与太郎を連れて詫びごとに来た棟梁の「まァあとのところァたかが八百でござんすから、ついででもありましたら、お宅へ届けさせるようにいたしますんで、まァ大家さんしとつお願い申します」という言葉に難癖をつける。話はこじれていくばかり・・・

とうとう棟梁、丸めて握った手拭で一つ鼻をこすり上げると、とん、と膝を叩き、袖をかいこむと袢纏(はんてん)の尻をまくって、「なにィぬかしゃがんでえ…この丸太ん棒めェ」と一気呵成にまくし立てて啖呵を切り、大家に噛みついていくところが昔から判官贔屓(ほうがんひいき)と因業(いんごう)大家に対する反感から理屈ぬきに歓迎(うけ)たところ。ですが、演出も難しいようで、棟梁は、大家に対して下手下手に出る年若の職人である反面、棟梁としての貫禄(かんろく)が必要。大家も初めは因業な性格を極力抑えて、半ば皮肉めいた薄笑いを浮かべるくらいにするのがよいとか。海千山千の狸爺は棟梁の差し金だと直感し、追い返す糸口を虎視眈々(こしたんたん)と窺いながら応対する。啖呵もあまり早口では聞き取りにくいし、といってゆっくりでは江戸弁の歯切れの良さがなくなる。しかし力んであまり写実的にやると聞く客自身が怒鳴られているような錯覚を起こす恐れがあるので、こうした点は演者の腕の見せ所といったところなんでしょうか。

普通は、棟梁に続いて与太郎が間抜けな啖呵をきる前半のところまでで止めていますが、後半はお白州の場面となり、いわゆる「大岡裁き」でサゲは「細工は流々仕上げをごろうじろ」をもじったもので、ちょっとなあという感じですが。

市販のものでは、NHK落語名人選53五代目古今亭志ん生(他に、しめ込みを収録)POCN-1093などでお楽しみください。

(注釈)

滞り

抵当

判官贔屓

因業

海千山千

虎視眈々

お白州

大岡裁き

職人が細工をしている傍で、「造り方が違う」とか「こういうふうにしろ」なとと指図された時に「造り方は流儀流儀でいろいろある、ともかく仕上げを見てくれ」の意

額 江戸時代後期には一分〔四分ノ一両〕のこと。矩形の銀貨幣、周囲に桜花の額縁ようの縁がある。八百文は一両の五分の一。 (ちなみに入船亭扇辰と後援会の掲示板2003年3月18日の篠崎氏の書き込みによると
 

当時の貨幣価値 投稿者:篠崎  投稿日: 3月18日(火)14時03分25秒

 

古典落語の舞台は、江戸後期からが多いようです。
「大工調べ」に出てくる「ガクが6枚」は「1分銀(縦の長方形)が6枚」で1両2分。

その頃のお金はというのは、
1両が4分、1分が4朱、1分が1000文(もん)。
1文を、現在の20円見当にすると計算しやすい。
1両が、現在の8万(大きくみて10万円、三百石=年収300両、1俵が1両)、
100両が、800万(1000万円)。

庶民の流通貨幣は文。
専門職の大工:一日140文、年収が10両
日雇い:一日64文、年収で5両1分
住み込み:年収3両(まかない付)

豆腐:5文
いわし10尾:120文
担ぎ蕎麦屋、汁粉売、:16文
屋台握寿司:4〜5文(「4文屋」という何でも4文の食い物屋台あり)
冷水売:4文

旅人用旅籠(江戸):248文 内湯なし
(地方だと、昼握り飯付で130から180文)

夜鷹:24文
太夫:2両2分(「幾夜餅」の15両は、遊び代祝儀まで含む)
岡場所:夜400文、昼600文(2時間くらい)
下等な局見世:100文から50文

んー、一度行ってみたい!
(えっ、もちろん、江戸後期にですよ!!)

 

ちりとてちん

旦那のところへやって来た男。この男が、旦那がすすめる食べ物を何でも「これは初めてだ、おいしい、おいしい」と喜んで食べるので旦那も上機嫌。ところが、裏に住んでいる男 は正反対で、どんな珍しいものをを食べさせても知ったかぶりをして、「知らない」とは言わないし、おまけに「おいしい」と言ったことがないと。なんとか一泡ふかせてやりたいと旦那 は、腐った豆腐があったのをいいことに、「長崎名産ちりとてちん」と名づけて、裏の男に食わせようという ことに。案の定「知ってるよ、ちりとてちん。よく食ったもんだ」と…。
さあ、どんな顔して、この男が腐った豆腐を食べるのかが見せ所。

「酢豆腐」と似た構成もありますが、こちらのほうが、しつこく演じて笑いもとれて、うける面白い噺でもあるようです。
市販のものでは、東芝EMIから「桂南光ライブ4」(他に骨つりを収録)TOCZ-5170があります。お楽しみください。

(注釈)

一泡ふかす

 

黄金の大黒

 

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