ハワイ真珠湾を訪れたギルモア博士と009達。「あれから30年もたったが、いまだに軍艦がひしめいとるわい。ご存知ですか例の真珠湾攻撃を。」とアメリカの旧友に問いかけるギルモア。「そういえば今日も同じ日曜日、ちょうどあの角度から日本機が突っ込んできて、ちょうどあのあたりに特殊潜航艇の潜望鏡が…」と指し示す方向を見ると
、飛行機の編隊に潜望鏡が…しかもそれは日の丸をつけた九七式艦上攻撃機・零戦などで、アメリカの軍艦・軍用機に攻撃をしかけて
きた。まさに真珠湾の悲劇の再来…
さらに009達が海に目をやると…、特殊潜航艇
のハッチから双眼鏡をのぞく、日の丸に必勝と書いたはちまきを巻いた軍人は骸骨姿であった!
そしてある夜
、アメリカのB52重爆撃機が旧日本軍の夜間戦闘機の月光に撃墜され、
また、一式陸攻の編隊から投下された人間爆弾桜花 ・はたまた海面 下からは同じく特攻兵器
であった人間魚雷回天にアメリカの軍艦が太平洋上で襲われ撃沈される事件が相次ぐ。日本海軍のシンボルであった大戦艦も海底から浮上
したとの知らせも。
一方、鹿屋基地上空では航空自衛隊のゲン一佐が特攻隊で死んだはずの旧友タイラの乗る零戦に遭遇、「なぜ武装している。貴様はまだ戦争で飯を食ってるんだな!?俺は明日の平和を信じて命を捨てた。その死を犬死にさせるつもりか。戦争でもうけ、戦争で食う日本人がひとりでもいるかぎり、死んだ我々に平和はない」との声を聞き、20mm機関砲
の攻撃を受け、かろうじてパラシュートで脱出する。
日本海軍の記念碑がことごとく蘇ったと困惑するギルモアに001は「まだその昔の連合艦隊の旗艦が残ってるよ」と告げる。「長門!あれが生き返ったら大変なことになる。
」と驚愕するギルモア。長門はビキニ環礁でのアメリカの原爆実験で沈んだ。 放射能でいっぱいだ!「敵と戦って沈まず、国敗れて敵国の残忍な武器の実験材料にされ沈められてしまった。もし長門に武人の心あらば、どんなにか悔しかったことだろう。そうだ!長門にこそ日本海軍の恨みがつまっているのだ。※↓」というギルモアの心配のとおり、放射能を充満させた長門はサンフランシスコ
を目指して進み始めたと002からの知らせ。迎撃するアメリカの軍艦を40サンチ砲ではらいのけ、高射砲でアメリカの戦闘機を打ち落としてすすむ化け物となった長門。すると006が「アメリカ軍、長門に原爆を落とすある!ピカドンこわい、はやく逃げるのことよ。」と一大事を伝えてきた。「お前の国が悪いんだぞ!持ってるからって気安く使うな」と002に詰めよる007。
爆撃の結果は、なんと無傷で、長門の放射能を倍増させただけだった。
そこへ001から調査報告、タイラという特攻隊員の父親が超心理学を専攻する、すごい科学者で九州のヨナ島に研究所があると。002に手を引いてもらい現地へ向かう009。「すまないねえ002」「水臭いこと言うなよ。原因は俺の国じゃないか。馬鹿な話だ。ほいほいと原爆なんか使いやがって。これでサンフランシスコはまる1日で放射能の嵐に巻き込まれるんだ」
009と002が島に近づくと
、先に島に向かっていた001と003が乗る飛行機を、海軍最後の戦闘機雷電が襲っていた。

これを振り切って島に上陸した009達だったが、こんどは島影から大戦艦があらわれ46サンチ砲を向けられる。
砲撃をかわし洞穴に逃げ込んだところ、001がおそろしい念力の波を感じる。執念のエネルギーに押しつぶされそうになる001。まさしくそこはタイラ博士の研究所で、
博士はイメージを形にする機械を発明していたのだ。「人間の脳は一生かかっても3分の1しか使われていない。私はその秘めたる力を最大限に利用する方法を発見し、連合艦隊を復活させた」と
語る博士に「あなたは気が狂っている」と諭す009。
しかし博士は「狂っているのは私ではない。人間だ。お前たちだ!かつて日本は誤れる戦いをし、多くの若い命を犠牲にしてしまった。その時、我々は彼らの魂に何と誓った!」と、こぶしをあげる博士。(そこに浮かぶのは広島の平和記念公園の『安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから』という碑文。
慰霊碑に向かって手を合わせる老婆と少女の姿)「そして我々は戦争放棄を憲法によって定め、二度と軍隊は持たぬと宣言した。世界中が戦争はもうこりごりだ、そう心から考えたはずだ。なぜなら、それだけが死者の霊を慰める、たった一つの方法だったからだ。」
(広島の原爆ドームの上を鳩が舞い、
長崎の平和祈念像 や沖縄ひめゆりの塔をバックに日本国憲法第九条
の条文がテロップで流れる。一、日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。二、前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。)
「だが、いまやその誓いはむなしかった!」(広島・長崎の上空を飛ぶジェット戦闘機をバックに)「世界の各国は軍備の拡張に、兵器の力を強めること競争にしのぎを削っている。」(
バックには、沖縄 ひめゆりの塔の上空を飛ぶ重爆撃機、倒れる供えられたユリの花…)「私の一人息子は戦争で死んだ。死者が生きて帰らぬ以上、生きているわしは何をなすべきか。これがわしの解答だ!」
〜博士の念力によって次々とアメリカ艦隊に襲いかかる日 本機の編隊
、特攻兵器の桜花が突っ込む。〜「はっはっはっはっ、天罰が原子力空母に下ったぞ!火柱に包まれておるぞ」と喜ぶ博士に向かって009は「やめろ!やめないか!」と飛びかかるが、超高圧の電磁バリアにはじき飛ばされてしまう。「無駄だと言うのに」と、さげすむ博士。「
やめるもんか!その悪魔の機械をぶっつぶすまで僕はやめないぞ」と何度でも体当たりする009。「悪魔の機械だと?」「そうだ、あなたは神になったつもりだろうが、それは違う!悪魔だ!戦いを憎むと言いながら次から次と戦いを生み、争いを撒き散らしているじゃないか!念力の力でサンフランシスコが見えるなら
、よぉく見るがいい。」パニックのサンフランシスコ市民の様子が見える。「一人の息子を失ったあなたは、その千倍も悲劇をつくろうとしている。」
「わしは…わしは間違っていない!死んだ息子を弔う道はこれしかないんだ!」と困惑する博士の前に「パパ」と飛行兵姿の息子が立つ。「ユウタロウ…どうしたことだ?お前がここに来るなんて」「いまパパが呼んだんだよ。心のどこかで僕に会いたい。会って僕の意見を聞きたいって、そう思ったんだよ。」「そんなことはない。お前の気持ちはわかっとる。ユウタロウ、お前がわしのやり方に反対するわけがない。」009達にその姿は見えない。「ほんとにそう思う?パパ」と装置を博士からはずす息子の霊
(?)動きを止め海中に戻っていく長門。「パパ、僕たちの魂をこれ以上いじらないでくれないか。お願いだ、昔の優しいパパに戻っておくれ。僕と一緒にトンボ採りをしてくれたパパのように。」「ユウタロウ、私はまだ、お前を抱いてやることができるだろうか?」うなずく息子を抱きとめ「ユウタロウ、ユウタロウ、ああ、かわいそうな、せがれ…。」
…再び廃墟と戻っていく日本海軍の兵器の数々。
タイラ博士がその後、様子が急変し倒れて亡くなったと009から報告を受けたギルモア博士の「おそらく彼は自分の間違いに気がついたのだ。何かの力がそうさせたんだ。そのため念力の力が急速に消耗してしまった。しかし、わしにはわからん。“狂った悪魔”は
、タイラ博士だったのか、それとも、平和の名を借りて戦争の準備を怠らぬ人間どものほうなのか…」という言葉で結ぶ。

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