【仮名手本忠臣蔵 初段目】
北斎1806(文化3)年製作 葛飾北斎の円熟期の作です。
『仮名手本忠臣蔵』の名場面を各段ごとに描いています。『仮名手本忠臣蔵』は、吉良邸で起きた赤穂浪士討ち
入り事件をもとにして作られた物語で、江戸時代に人形浄瑠瑞として初演された後、歌舞伎の演目として上演さ
れ、庶民にも親しまれました。
北斎は、両国界隈で暮らしていたことがあるだけではなく、曽祖父が、討ち入りの際に吉良上野介を守って討死し
た小林平八郎だと自身で語っていたという話が伝わっています。
物語のあらすじは、初段では高師直が、塩冶判官の妻かほよを口説いていますが、このトラブルが発端となり、判
官が師直に斬りかかるという事件がおき、判官は領地を没収の上、切腹を言い渡されます。その後、遺された家
臣達が本懐を遂げるまでの物語が展開し、最後の十―段目では雪の降りしきる中、義士達が師直邸に討ち入ら
んとする瞬間を捉えています。
それぞれの作品は、風景表現を取り入れながらも芝居のワンシーンを切り取ったような描写をしており、見応え
ある作品となっています。
初段目:高師直が、塩冶判官の妻かほよを口説いていますが、このトラブルが発端となり、判官が師直に斬りか
かるという事件がおき、判官は領地を没収の上、切腹を言い渡されます。後ろの川は隅田川です。
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