プロとアマ (1)
音楽の現場へ足を踏み入れて感じたのは、プロとアマには圧倒的な差があると言う
ことです。勿論プロといってもアマチュアに毛の生えたような方もいれば、アマチュアで
もプロ顔負けの素晴しい演奏をする方も大勢いるわけで、一概に決め付るのはどうか
とも思いますが、私の感じたことを少し。
演奏といってもソロからオーケストラまで色々な形態があるわけですが、皆さんに参
考になりそうなオーケストラを中心としたプロとアマの違いを。
まず第1点は表現力の差です。まあこればかりは個人個人の音楽性の違いと言って
しまえばそれまでなのですが、とにかくプロは譜面から読み取る情報がアマより何倍
も多いような気がします。よく「楽器は弾くな(吹くな)、楽器で歌え」という言葉を耳に
しますが、このフレーズはどう歌うかを楽譜から読み取り、表現する能力には感動す
ら覚えます。特に大勢のアンサンブルで一糸乱れぬ演奏をされると、もうこれは涙も
のですネ。
もう20年以上も前でしょうか、サイトウ・キネン・オーケストラが誕生した時のコンサ
ートで、モーツァルトの「ディベルティメント ニ長調 K136」が演奏されました。
その様子を生ではなく、自宅の小さなTVで観た時の事です。
当然モノの小さなスピーカーから流れ出る音にもかかわらず、私は全身に電流が流
れるのを感じました。何という見事なアンサンブル、気が付けば私の目からは涙がこ
ぼれ落ちていました。それ以来私はこのオーケストラの弦の響きは世界一と、勝手
に決め付けているのです。
この感動をどこかで表現したい。その思いを叶えてくれたのが、35周年の演奏会
でした。半ば強引に合同ステージで「ディベルティメント」を演奏させてもらいました。
中々「感動の涙」の演奏にはなりませんでしたが、感動の冷や汗を流させてもらい
ました。
違いの2点目は「指揮について」の項でも述べましたが、先ほどの表現力にも通じ
る事で、圧倒的にフレーズや1音1音のリズムが揃っている事です。
よくアマチュアの演奏はダーダー弾きとかダーダー吹きと評されるように、見切り発
車で音を出す事が多いようですが、上手いプロ集団はどれだけ大人数になっても見
事に粒の揃った音を出すものなのです。(スコアの)縦の線をきちっと揃えての演奏
は一人一人の意識に関る事なので、皆さんにもその気にさえなればきっと素晴しい
アンサンブルができる筈です。
第3点目は音程の問題です。
これに関しては、色々ありますので次回に。
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