/ポストカード音楽会 
/恋のメロディー
/ポストカード音楽会 /恋のメロディー
片思い
2496
2496 Villa
Farnesina-Roma Sebastiano del Piombo Polifemo Edizione
Accademia dei Lincei
２００３・１・１４入手 
パンの笛
のカデンツ
↑ このカードが 片想いだなんて
あまりにもミスマッチ と思われるかもしれませんが
このタフそうな大男は 紛れもなく 片思い中。
顔が いまひとつ はっきりしませんが それもそのはず
実はウラノスとガイアの子で 一つ目の巨人族 ・キュクロプスの
三人兄弟の一人 ポリュフェモスです。
このように顔をそむけたり ぼかして描かれることも 多いようです。
で その片思いのお相手はというと
イルカのひく鳥貝の凱旋車にのる、美貌のガラティア。
ポリュヘモスは 彼女への熱い思いをこめて
手に持っているシュリンクス(パンの笛）で 愛のメロディーを奏でるのです。
この絵は
巨体を物陰に隠し 思いを寄せているガラティアの姿を
そっと影から見つめているところ。
ひたむきな様子が伝わってくるでしょう？
楠見千鶴子著 『パン・フルートの森』 音楽の友社
を参考に
ポリュヘモスがもっている楽器 パンフルート(シュリンクス）が誕生したいきさつを
ご紹介しましょう。
アルカディアの森深くに住む山羊の角と足をもつ半獣神のパンは
シュリンクスというニンフを好きになります。
しかしシュリンクスは
独身を通すアルテミス(ディアナ)を尊敬していて、パンのことが重荷。
パンを振り払って川に逃げ、アルテミスに救いを求め
一本の葦（あし）に変身してしまいます。
失意のパンは、その川辺に茂っていた葦を長短に切って縄でつなぎ
ため息をついて吹いたところ とても良い音がしました。
それがパンフルートなのだとか。
5072
5072 Arnold Becklin (１８２７−１９０１）
Pan inSchilf 1859 Leinwand 199.7 x 152.6cm
Bayerische Staatsgemaldesammlungen, Munchen Neue Pinakothek
Wittelsbacher Ausgleichsfonds,Munchen 2008・5・3入手 パンの笛
もともと 片思いの楽器だったのです。
この一つ目の巨人・ポリュフェモスが思いを寄せるガラティアには
よくある話ですが アキスという美青年の恋人がいました。
幸せそうな二人を見て嫉妬にかられたポリュフェモスは
なんと大岩を投げつけて、アキスを殺してしまいます。
一説によると、その後ポリュフェモスはガラティアと結婚して
ケルトス(ケルト人の祖) ガラス(ガラティア人の祖) イリュリオス(イリュリア人の祖)
という 三人の子供をもうけた ともいわれているので
そうなると 強引に この片思いが実ったことになりますね。
また このポリュフェモスは
オデュッセウスの帰還物語にも登場して その名を知られています。
＜追記＞
ある美術番組で（番組名失念）
この絵がある ローマのファルネジーナ宮を取り上げてくれました。
こんな大きな壁画だったのですね！
このファルネジーナ宮は、ルネサンス建築の傑作といわれ
ゲーテの時代 ローマでも名高い社交場だったそうです。
ポリュフェモスが 本当に ここで こんな風に
ガラテアを見つめていたなんて・・・驚きでした。
テレビ画面を撮影
そして このポリュヘモスが見つめているガラティアは
同じピオンボ作のガラディアではなく
なんと かの有名な ↓ ラファエロの 「ガラティアの凱旋」 だったということを
この番組で はじめて知りました。
そりゃ、ポリュフェモスさんでなくても 誰だって見とれちゃいますよね。
こんな傍で いつも見つめていられる君は 幸せものですぞ！
5852
5852 Raffaello Santi detto
SANZIO: Trienfa di Galatea 1483-1570(detail)
２００９・４・１１入手 ほら貝
＜追・追記＞
もう一枚
ポリュフェモスの ガラティア命！ のカードを 入手しました。
おでこに くっきり大きな目がついていて びっくり (つまり三つ目なんです）
4285
4285 ギュスターブ・モロー 『ガラテア』 1880年 photo
RMN c:Rene-Gbriel Ojeda
Paradis d'artistes au XIXene Siecle Ｃｏｌｌｅｃｔｉｏｎｓ ｄｕ Ｍｕｓｅｅ ｄ’Ｏｒｓａｙ 2007・2・15入手 パンの笛
/ポストカード音楽会 /恋のメロディー 楽器ジャンル 
画家索引 
参考文献一覧