私のマドンナは誰?
scene 2 〜ローゼンクランツ〜
1942
1942 Albrecht Duerer
1471-1528 Das Rosenkranzbild-Detail Prag-Nationalgalerie
Reproduktionsrecht vorbehalten A63 2002・5・9入手 リュート
のカデンツ
デューラーの奏楽天使です。
いかにもドイツの画家らしく 生粋のイタリア生まれの天使とは違う雰囲気がします。
もっとも この絵は 火災などで たびたび破損を受け 大々的な修復がなされてきたため
この天使なども大幅に他人の手が入ったようです。
(1942と 8171 で 修復がなされたかは 分りませんが)
8171
8171 Albrecht
Durer (1471-1528) The Feast of the Rose Garlands, 1506(detail)
Oil on wood panel Narodni Galerie, Prague 2015・6・2入手 リュート
1941
1941 Albrecht Duerer
1471-1528 Das Rosenkranzbild Prag-Nationalgalerie
Reproduktionsrecht vorbehalten A62 2002・5・9入手
リュート
フランツ・ヴィンツィンガー著 『デューラー』グラフ社
前川誠郎著 『デューラー』 講談社
この2冊を 参考文献にして 考察を試みますと
この絵は、プラハ美術館にあるローゼンクランツ(薔薇冠)フェスト、祝祭図。
デューラーが二回目のヴェネツィア滞在のとき(1506年)
在ドイツ商人達の依頼を受け 製作したものだそうです。
のちに貪欲(?)なコレクターでもあった 神聖ローマ皇帝ルドルフ2世により買い取られ、
アルプスを越えて搬送されました。
ヴェネチアの明るい陽光に満ち溢れた 華やかな絵です。
10年前に木版画 『黙示録』 を制作したデューラーとは とても同一人物とは思えないほどで
デューラー自身も色が美しく描けたのが自慢だったようです。
絵の中の人物ですが
↓ 右は皇帝マクシミリアン1世
↓ 左は教皇ユリウス2世
絵の題名にもなっている 栄誉あるローゼンクランツ(バラ冠) を授かっています。
その後ろに騎士、商人、市民、職人など さまざまな階級の人たちが描かれ
聖ドミニクス(黒服)と小天使(ケルビム)も
ローゼンクランツを授けるお手伝いをしています。
これは15世紀末ドイツで盛行された
ドメニコ修道会のロザリオ崇拝の祭式 ということです。
この作品によって、デューラーはヴェネチアでも確固たる名声を得たそうです。
当時ヴェネチアは、ベルリーニをはじめ
ジョルジョーネ、ティッツィアーノら巨星が輝いていたころ。
そんなイタリアでの体験は デューラーに大きな影響をおよぼしました。
中央椅座の聖母を囲んで左に聖職者、右に世俗の人々が跪拝する構図は
サクラ・コンヴェルサツィオーネ(聖なる会話) の形式をふんだもので
聖母を頂点とする三角形のピラミッド構図は殊にイタリア的といえます。
さらにリュートを弾く腰をおろした天使、背景上空のケルビムが吊るす天蓋は
メッシーナやベルリーニ、ジョルジョーネら ヴェネチア画派の好む常套構図で
これもイタリア的。
一方、右上の山岳の見える風景、衣装の細密描写、人物画などにおいては
北方的な要素も多分にみられます。 右端奥に自画像を描き、その手に
「ドイツ人 A.デューラー1506年、5ヶ月間にてこれを作る」
と書かれた紙片をもっています。
<追記>
↓ こんな模作カードも入手しました。
作者不明 『 バラ冠の祝祭 アルブレヒト・デューラーに倣う 』
6119
6119 作者不明 『 バラ冠の祝祭 アルブレヒト・デューラーに倣う 』 1606−12年ごろ
ウィーン美術史美術館蔵 THE ハプスブルグ 展
2009・10・16入手 リュート
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