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ロセッティの不思議な楽器

 

2262

2262 Dante Gabriel Rossetti A Christmas Carol 1857-58年
Nineteenth Century British and French Art from the Winthrop Collection of the Fogg Art Museum
President and Fellows of Harvard College (Harvard University Art Museums) 2002・9・18入手
クラヴィコード

 

 

のカデンツ

 

ロセッティはラファエル前派

独特の作風で ファンの方も多いのではと思います。

楽器を持った女性たちがたくさん登場しますので

もちろん も  注目しています。

↑ クリスマスキャロルという題のついたこの絵は

ウィンスロップ・コレクション展のカタログには 

たしかクラヴィコードと書かれていたと思いますが

ロセッティの想像上の楽器なのかもしれません。

風変わりな椅子、その椅子に鍵盤が組み込まれているようです。

楽器の前には、浅い箱のようなものが掛けられていて(あるいはついている)

よく見えないかもしれませんが、そこに受胎告知と降誕の絵が描かれているようです。

王冠が棚にあるので、王女様が侍女に髪の手入れをしてもらっているところらしく

その後ろには、クリスマス用のモミの木のリースが飾られています。

図書館で このクリスマスキャロルの絵が

カバー図版になった本をみつけたので、ぱらぱらと拾い読みしました。

山口恵里子著 『椅子と身体 ーヨーロッパにおける座の様式ー』 ミネルヴァ書房

ー19世紀における中世趣味・中世主義ー という章から。

 

ロセッティは1850年代、中世を舞台とした絵画や詩を製作しつづけ

チェスト構造を持つ椅子を好んで作品の中に描いた。

クリスマスキャロルで クラヴィコードを弾く女性が坐る椅子も

七つの搭の調べで 弦をつま弾く女性が坐る椅子も

 

参考資料

 

チェストから発達した角形の椅子である。

このような箱型の 『閉じた』 椅子を描き入れた

ロセッティの中世的絵画の空間は

閉鎖的になり、緊張感がただよう。

そこにはたくさんの物が置かれている。

物はひとつひとつ意味を持ち、その言葉が絵のなかに 

身体とともに書き込まれているといえる。

身体はそれだけでは、表現の手段とは ならなかったのである。

・・・・・・・・

本章では、坐具として使用された箱チェストが

その周囲に濃密で時には内密な場を形成したことをみてきた。

このチェストがつくる身体的な場は、究極的には神の国にも開かれていた。

チェストは神の国と地上の循環ないしは交流のなかに

身体をおきいれた座具であり その上に坐る人々は

二元的な世界の交流を身体としてあらわしていたのである。

 

ちょっと難しすぎます・・・ね。

ロセッティの 中世風楽器を登場させたカードは 

↓ The Blue Colset という作品もあります。

鍵盤が二列にくっついていて、二人の人が向き合って弾くようになっています。

また横に紐がついたベル(鐘)と、竪琴のような弦があり

その全部が一組のおおきな楽器。

一人は鍵盤とベルを もう一人は鍵盤と弦をつまびく

という摩訶不思議な楽器です。

 

2154

2154  ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ  The Blue Closet  青い小部屋 
ラファエル前派展  2014・2・5 ファイル差し替え 
クラヴィコード+弦鳴楽器+鐘

 

 

 

 

↓ この絵の 後ろの楽器は 鐘でしょうか?

5669

5669  DANRW GABRIEL ROSSETTI  The Wedding of St. George and Princess Sabra  1857
Gouache on paper on board 36.5 x 36.5 cm   Tate Gallery   2009・1・17入手 

 

 

 


 

 

松下由里著  『ロセッティとラファエル前派』 六耀社  

を読んで、少し勉強しました。

これまで ご介した作品は、ウィリアム・モリスやバーン・ジョーンズと出会ったころ、

1857年から58年にかけてのもので 

中世の騎士物語に題材をとった 一連の水彩画です。

1853年 ミレイがロイヤル・アカデミーの準会員に選出され

54年ハントが中東に旅立った後

解体の過程にあったラファエル前派に、この頃 新しい命が吹き込まれ

中世の彩飾写本の表現の影響を強く受けた

第二次ラファエル前派が誕生

↓ 1860年以降のロセッティの作品は、再び油彩画にもどり

花や装飾品に満ち溢れた女性半身像を描きます。

ルネサンス・ヴェネチア派の影響を受け 

感覚の重視と耽美主義を追求したのだそうです。

少し 抜粋します。

 

楽器をつまびく様子は、『あずまやのある牧場』 ↓268 のほかにも

『朝の音楽』  『ヴェロニカ・ヴェロネーゼ』 『ラ・ギルランダータ』 ↓270  『海の呪文』 ↓269

などにおいて、たびたび取り上げられている。

鑑賞者のさまざまな感覚を刺激して、女性の美しさの魅力を引き立てようとするロセッティは

ふさわしいモチーフを捜し求めた。

音楽を聴く趣味がなかったにもかかわらず、楽器のもつ不思議な形状に魅了されて

古楽器や東洋の楽器を蒐集し、画面に描き込んで その形状の面白さを

女性を描く構造上の支点として用いている。

さらに絵画を見ることを、音楽に身を委ねる状態になぞらえる意図も感じられる。

画面の女性たちの弦をつまびく指先に 鑑賞者の視線は集まり

音の響きへと連想は自然と導かれるであろう。

すると画面のなかで、楽器の音色に夢見がちに耳を傾ける彼女たち自身が、

まるで色や筆蝕という音を響かせている楽器のようにかんじられないだろうか。

 

『あずまやのある牧場』

 268

268 DANTE GABRIEL ROSSETTI   Concert in the Meadow 1872
Manchester City Art Galleries   Editions Hazan, Paris 1995   1999・10・29入手 
アンサンブル

 

 

『海の呪文』

269

269  DANTE GABRIEL ROSSETTI  Un chant Marin - 1877  A Marin Song
Fogg Art Museum, Cambridge  Editions  Hazan, Paris 1997  1999・10・29入手  
ハープ 

 

 

『ラ・ギルランダータ』

270

270   DANTE GABRIEL ROSSETTI   La Ghirlandata  1873
Guildhall Art Gallery, Londres  Editions Hazan, Paris  1997
1999・10・29入手      ハープ

 

 

『マリアーナ』

 

 836

836  ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ  マリアーナ  1870年 油彩・カンヴァス 109.8x90.5cm
英国アバディーン美術館所蔵 イギリス・フランス近代名画展   2000・7・29入手  
リュート系弦楽器

 

 

拡大すると ほら

 

 


 

 

↓ これは 中世騎士物語ですね。

7434

7434  ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ 薔薇物語  ラファエル前派展
2014・2・5 入手   プサルテリウム

 

 

 


 

 

 

↓  ベアトリーチェの一周忌に天使の絵を描くダンテ (油彩画)

6507

6507  Museo d'Arte della cetta di Ravenna   Dante Gabriel Rosetti
Dante disegna un angelo nel primo anniversario della morte di Beatrece,1837(particolare)
Ashmolean Museum, University of Odford   2011・6・1入手  弦鳴楽器

 

 

↑ これのどこに楽器が? とお思いでしょうが

ほら 机の下のごちゃごちゃの中に 見つけました

 

 

 

これが楽器? とお疑いの方

8年後

ラファエル前派の軌跡展(三菱一号館美術館)にて 

超久しぶりに ↓ ロセッティの不思議な楽器カード ゲット!

どうです?

この楽器 が はっきり描かれていました。

 

 

9844

9844  ダンテ・ガブリエル・ロセッティ  クリスマスキャロル  1867年  個人蔵
2019・3・22入手  弦鳴楽器

 

 


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