オルフェウス
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6 コロー:COROT エウリディスの手をひくオルフェウス 1861年 ORPHEUS LEADING EURYDICE 油彩Cat.n'64
製作=東美デザイン バルビゾンの画家たち ミレー展 東京 京都 福岡 1970年 1999・9・9ファイル 竪琴
のカデンツ
オルフェウスは、トラキア地方の伝説の詩人。
父アポロンから竪琴を授けられ、母カリオペは抒情詩をつかさどるミューズ。
この DNA により
オルフェウスは歌と音楽の巨匠となり
彼の詩には鳥獣のみか山川草木さえ聴き惚れたと伝えられています。
↑ コローの 『エウリディスの手をひくオルフェウス』 は
幻想的な 音楽的な いい絵だなあ〜と
コレクション当初からお気に入りの一枚です。
さて これはどんなシーンでしょう?
それでは オルフェウスとエウリディスの物語 のはじまりはじまりー。
(視覚デザイン研究所 編 『ヴィーナスの片思い』
オルペウス(オルフェウス)は 毒蛇に噛まれて死んだ
最愛の妻 エウリュディケ(エウリディス) を返してもらうため
黄泉の国(地下の支配者ハデスの国)へとやってきた。
竪琴の名手だった彼は、妻を返してくれと 切々と竪琴を奏で
ついにハデスの心を動かした。
地上に戻るまで振り返ってはならない という条件つきで
ハデスは チャンスを一度くれたのだ。
オルペウスは 不安と戦いながら,暗闇の中を急いでいた。
後ろには妻がついてきているはずだが
その気配がしない。
聞こえてくるのは 暗闇に響く自分の足音だけだ。
本当に妻はついてきているのか もしかしたら騙されているのでは
不安は膨れ上がっていく。
でも振り返れない。
今は、はやる気持ちを抑えて急ぐしかないのだ。
不安を振り払うように頭を振ると、僅かな光が彼の顔を照らした。
喜びがあふれでてくる。
やっと・・・嬉しさのあまり思わず振り返ってしまうオルペウス。
しかしまだ早すぎた。
彼が見たものは,悲しげに地の底へ落ちていく妻の顔だった。
全てが終わった。
というギリシャ神話です。
↓ こちらの絵は 明りがさして 今まさに振り返る瞬間でしょうか。
話は少し脱線しますが、
先日 NHKの番組 『スーパーピアノレッスン』 で ピアニストのシフが
ベートーヴェンのピアノコンチェルト4番 2楽章を
オルフェウスとハデスの黄泉の国での会話 というイメージで
レッスンされていました。
これはリストの解釈です とおっしゃっていたような・・・
オルフェウスとハデスの黄泉の国での会話・・・
この場面を想像しながら もう一度 この曲を 聞いてみましょうか。
3327
3327 Anselm
Feuerbach (1829-1880) Orpheus and Eurydice, 1869
Osterreichische Galerrie Belvedere, Wien 2004・10・16入手 竪琴
そして 振り返ったあとに・・・
8671
8671 パドヴァニーノ(本名 アレキサンドロ・ヴァロターリ) オルフェウスとエウリュディケ
1620年頃 油彩・カンヴァス ヴェネチア アカデミア美術館蔵 2016・7・27入手 ヴィオラダガンバ
妻を永遠に失ってしまったオルフェウスは
悲嘆のあまり、禁欲主義のオルフィーク教 をつくったそうです。
ところが
そのバルカン半島東部のトラキア地方は,ぶどう酒を飲んで踊り唄う
快楽追求のディオニュソス信仰が誕生した地。
当然この地に住む女たちは、ディオニュソスを信仰していたわけで
禁欲主義のオルフィーク教とは真逆。
一説には、妻を失いある種の女嫌いになったオルフェウスを
バッコス神の巫女たちは 自分たちへの侮辱と感じたようです。
狂乱状態のディオニュソス神の荒々しい巫女(バッカント)たちは
詩人オルフェウスにおそいかかり 八つ裂きにし
その頭部を 竪琴と一緒に川に流した ということです。
前述の本 『ヴィーナスの片思い』 では
↓ このモローの有名な 『オルフェウスの首を運ぶトラキアの娘』 の絵に
自分達が殺したくせに なぜか悲しそうな表情でたたずむトラキアの娘
とキャプションがついていました(笑)
あるいは 憑き物が落ちたあと 我に返って自己反省するトラキアの娘 かしらん。
いえいえ この美しいモローの絵のファンも たくさんいらっしゃることでしょう。
流れるままに鳴る 竪琴の調らべに
死んだ詩人オルフェウスの舌が嘆きの唄を口ずさんだ と伝えられる
たいへん詩情あふれるシーンなんですよね。
1756
1756 Gustave Moreau(1826-1898)
Orphee(N 104) 1865
Huite sur Bois 154x99.5cm Acquis en 1866 Photo RMN
Musee d’Orsay 2007・11・4入手 竪琴
ちなみに この絵の背景には こんな楽器も登場しています。
この絵が TVでアップになっていたので思わず撮影
TV画像
さらに
その竪琴は天界へと昇り、星座(琴座) になったということです。
3585
3585 ジャン・デルヴィル 死せるオルフェウス 1893年 油彩キャンパス 個人蔵
ベルギー象徴派展 2005・4・22入手 竪琴
ここからは モザイクで描かれたオルフェウスを ご紹介しましょう。
鳥獣のみならず 山川草木さえ その音色に聴き惚れたという
竪琴の名手として登場。
5726
5726 Orpheus-Mosaik(Detail
des musezierenden Orpheus) Milet(Kleinasien) Ende2 Jahrhundert n.Chr.
Natursteine und Glas in verschiedenen Abstufungen Inv-Nr. Mos.72
Staatliche Museen zu Berlin-ANTIKENSAMMLUNG 2009・1・31入手 竪琴
883
883 Musee archeologique de Saint-Ramain-en-Gal
Orphee jouant de la lyre
Detail de la mosaique d'Orphee,fin du Ue siede apres J-C
depot de la ville de Vienne c:C.M.N., Paris 1999 Photo Paul
Veysseyre
Reunion de Musees nationaux-ic 30 0025 2000・8・28入手
竪琴
5207
5207 ROUEN -Musee
departemental des Antiquites 98 Medaillon central de la
mosaique retrouvee
en 1838 en foret de Brotonne (S-Mme) Orpenn ( Ue Siecle )
2008・8・9入手 竪琴
これは 近代のオルフェウス。
恐ろし気な動物も 竪琴の音色に 聞き惚れています。
5089
5089 Franz von Stuck
Orpeus,1892 Oil on wood with a gold leaf base Museum Villa
Stuck
purchased with special funds from the City of Munich, Department
of Culture
Museum Villa Stuck, Munchen 2005 2008・5・3入手 竪琴
↓ これは 黄泉の国のオルフェウス ちょっと漫画チックなお顔。
全体図ではないので判りませんが ハデス王に竪琴を聞かせているシーンでしょうか。
地獄(冥界)のオルフェウス。
5719
5719 Orpheus in der
Unterwelt 1820/21 (detail)
Staatliche Museen su Berlin Alte Nationalgalerie Die Gotter
Griechenlands
Haus der Kunst, Munchen 2009・1・31入手 竪琴
↓こちらは 詩情たっぷり。 お供はミューズ。
1913
1913 Orpeus and his
muse Edmond Aman Jean Arts Photographic Library, London
2002・4・27入手 竪琴
↓こちらは めずらしい デュフィの 挿し絵。
2598
2598 Kamakura Otani
Memorial Art Museum
ラウル・デュフィ アポリネール『動物詩集』オルフェウス鳥類
1911年 挿絵本 木版画 33.5 x 25.7 cm 竪琴
↓ オルフェウスの楽器が ヴァイオリンなのは とても 珍しいのですが
鳥獣のみならず 山川草木さえ その音色に聴き惚れたという
そのまんまの絵 。
5651
5651 Orpheus Roelandt
Savery 1576-1639 Oil on oak, 53 x 81.5 cm
Every purchase supports the National Gallery
2009・1・16入手 ヴァイオリン
↓ こちらも たくさんの動物たちが 聞惚れています。
オルフェウスは 一体どこ? と お思いでしょうが
9405
9405 ルーラント・サーフェリー 動物に音楽を奏でるオルフェウス 1625年 油彩・キャンバス
プラハ国立美術館 (チェコ共和国) The Empire of Imagination and Science of Rudolf U
2017・1・10入手 竪琴
ほら ここです。
白い建物の下 白馬とダチョウのあいだで 竪琴を弾いています。
は この絵(カード)のためだけに 展覧会を観に行ったのですが
他に とてもたくさん 楽器ものを発見。
残念ながらカードにはなっていませんでしたが 久しぶりに堪能しました。
↓ オルフェウスのヴァイオリンヴァージョン
もう一枚 ありました(汗)
友人 YT が 2002年 ローマのボルゲーゼ美術館から
この絵(モザイク画)がついた カード型の 薄型ペンライトを
おみやげに買ってきてくれました。
カードには なっていなかったけど こんなのもファイルできる? と。
せっかくのご好意なので エントリーナンバーをつけ ファイルしましたが
7年以上経って この絵が来日し カードになりましたので
ペンライトと差し替えました。
もう ライトは点かなくなりましたが 長い間ファイルしていたので愛着もあり
まだそのまま カードと一緒に ファイルしています。
2251
2251 マルチェッロ・ブロヴェンツァーレ <オルフェウスの姿の シピオーネ・ボルゲーゼ> 1618年
GALLERIA BORGHESE ボルゲーゼ美術館 2010・1・20ファイル差し替え ヴァイオリン
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