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マドンナは誰?

番外編 scene5 〜鳳凰堂 雲中供養菩薩〜

 

 

のカデンツ

 

宇治平等院鳳凰堂には

 仏師定朝による 本尊 国宝 阿弥陀如来坐像 を囲むかたちで

 11世紀 仏像群としては唯一の 雲中供養菩薩52体(すべて国宝) が置かれています。

それぞれ雲に乗り 祈ったり 舞ったり 楽器を奏でたり していらっしゃいます。

その雲中供養菩薩の中から コレクションしている奏楽菩薩カードを ご紹介します。

 

 

3057   6138  

3057  平等院/国宝  雲中供養菩薩 北4号  2004・1・29入手  

6138 平等院/国宝  雲中供養菩薩 南8号  2009・10・20入手 横笛  簫(ショウ)

 

 

6140   6142

6140  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南4号  2009・10・20入手 均子(きんす)と撥(ばち) 柄つきの鈴(リン)とばち

6142  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南6号  2009・10・20入手 シンバル 鐃(ニョウ)はち (皿のような金板の両面を合わせて打ち鳴らす)

 

 

6143    6141

6143  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南1号  2009・10・20入手 拍板(はくばん) 

6141  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南23号  2009・10・20入手 拍板(はくばん) 

拍版 は中国の伝統的な打楽器。2〜10数枚の板を重ねて紐で結び、両手で打ち鳴らす。

拍子をとるために打ち鳴らす板

 

6144

6144  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南22号  2009・10・20入手 楽太鼓

 

 

6146   61467

6146  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南26号  2009・10・20入手 シンバル 鐃(ニョウ)はち (皿のような金板の両面を合わせて打ち鳴らす)

6147   平等院/旧番外  (南26号)  復元模刻   2009・10・20入手 シンバル 鐃(ニョウ)はち (皿のような金板の両面を合わせて打ち鳴らす)

 

 

 

↓ こちらの折りたたみのカードには 雲中供養菩薩全員が集合されています。

 鳳凰堂内のご本尊を囲むように  長押上の小壁に このような配置で並んでいます。

南側 (ご本尊に向かって左)に 南1号〜26号    北側 (ご本尊に向かって右)に 北1号〜26号と 

通し番号が振られていますので とても解りやすく 助かります。 

ただ 写真が小さくて 楽器をお持ちなのか、お持ちでないのか、 判別できかねる方もあり

さて コレクションすべき 奏楽・雲中供養菩薩さまは 総勢何体なのかは 謎のまま。

 

6137(七枚綴り)  雲中供養菩薩 平等院ミュージアム 鳳翔館  平等院2001 2009・10・20入手 奏楽天使

 

 


 

 

<追記>

 

20213年 サントリー美術館で 『天上の舞 飛天の美』 という展覧会がありました。

京都・平等院鳳凰堂の修理落慶に先立ち、堂内の国宝 《雲中供養菩薩像》を特別に公開 。

さらに、国宝 《阿弥陀如来坐像光背飛天》を寺外初公開し

平安時代の飛天舞う浄土空間を立体的に展示いたします

という内容です。

 

↓ こちらが この展示室のテーマ 私たちのマドンナは誰? における

雲中供養菩薩たちのご本尊  阿弥陀如来坐像 。

7383

7383    平等院/国宝  本尊 阿弥陀如来  2013・12・16入手 奏楽天使

 

 

 

この阿弥陀如来の背後に 金色に輝く 光背 がありますが

よ〜〜く見ると そこに 何体かの飛天が 確認できます。

上方の 大日如来 を中心に

光背の左右に分かれて それぞれ6体ずつ 飛天が いらっしゃるのです。

 

 

 

 そのうちの  ↓こちらは  大日如来の右下にみえる   阿弥陀如来坐像光背飛天 北1号 

  7384

7384  平等院/国宝 阿弥陀如来坐像光背飛天 北1号  撮影 神居文彰 
2013・12・16入手 シンバル

 

 

↓ この展覧会では  雲中供養菩薩のニューカードも ゲット。

 楽器かどうか よく わからなかったのですが・・・

検索したところ  どうやら 楽器のようです。

 7387

7387 平等院/国宝  雲中供養菩薩 南5号  2013・12・16入手 鉦鼓 (ショウコ たたき鉦(カネ)

鉦鼓(しょうこ)は 単に鉦(かね・しょう)とも称され、金属(青銅)製のものをいう。
通常は「架」(か)と呼ばれる台にかけて一本の槌(撞木)でたたいて音を出す。

7386

7386  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南25号  2013・12・16入手 弦トウ(ふりつづみ)

 

この楽器では? と思われるものを発見。

中国 奏の時代 一種のドラムであるトウという楽器があり 

この楽器に弦を加えたものが弦トウ。

棹はまっすぐ 共鳴箱は円形 両面に皮が張ってある。

どうでしょうか?

 

 

↓ こちらは 復元された 鳳凰堂母屋の 太い円柱に描かれている絵の一部

 

7392

7392   BYODOIN MUSEUM  鳳凰堂母屋柱絵 (復元) 2013・12・16入手 奏楽天使

 

 


  

<追・追記>

 

お知り合いの方が 大切にされていた雲中供養菩薩のカードを このたび 譲り受けました。

すでにコレクションしていたカードと並べて 展示してみます。

角度や照明によって お顔の表情や雰囲気が こんなに違うんですね!  

びっくりです。  これは やみつきになりそう。

 

6139     8141

 

6139  平等院/国宝  雲中供養菩薩 北2号  2009・10・20入手 琵琶

 8141 国宝  雲中供養菩薩 (北2号) 平安時代 天喜元年(1053) 平等院蔵  2015・5・26入手 琵琶

 

 

 

 

 

笙を吹くこの菩薩は 像の背後に 金剛光 と墨で書かれているそうです。 

そういえば ちょっと頭の飾りが豪華かも。

3058    8144

3058  平等院/国宝  雲中供養菩薩 南21号  2004・1・29入手  

 8144 国宝  雲中供養菩薩 (南21号) 平安時代 天喜元年(1053) 平等院蔵  2015・5・26入手 

 

 

 

 

6145 8145

6145 平等院/国宝  雲中供養菩薩 南14号  2009・10・20入手 摺鼓(すりつづみ)

 8145 国宝  雲中供養菩薩 (南14号) 平安時代 天喜元年(1053) 平等院蔵  2015・5・26入手 摺鼓(すりつづみ)

 

 

 

↓ こちらは 楽器は同じですが 北1号と 南16号  と 別ものです。

北20号 も この楽器を奏でていらっしゃるようなので 三体揃い踏みできる日を 楽しみに。

 

7385    8142

7385  平等院/国宝  雲中供養菩薩 北1号  2013・12・16入手 

 8142 国宝  雲中供養菩薩 (南16号) 平安時代 天喜元年(1053) 平等院蔵  2015・5・26入手 

 

 

 

↓ こちらは 初登場!

8143

 8143 国宝  雲中供養菩薩 (南11号) 平安時代 天喜元年(1053) 平等院蔵  2015・5・26入手 たて笛 簫(ショウ)

 


 

 

 

<追・追・追記>

図書館で こんな本を見つけました。

神居文彰 監修 『よみがえりゆく平等院』 学研ビジュアル新書  です。

神居文彰 という方は 1993年 平等院の住職に就任 とあります。

ん? このお名前は・・・

 ↑ 阿弥陀如来 光背の 北一号 を撮影された方ですよね。

この本のコラムで 神居文彰氏が しろうとにも 分かりやすく説明して下さっているので

さっそく 抜粋引用させていただきたいと思います。

 

鳳凰堂内側の扉や側壁には 九品来迎図 が描かれている。

来迎図とは 

浄土三部経と呼ばれる 『阿弥陀経』 『無量寿経』 『観無量寿経』 の三経典で説かれる。

これは 穢れた現世では成仏するのが難しいため 

浄土 すなわち 清らかな仏の国に生まれ変わって悟りを得ようとする教えである。 

浄土は十方世界にあったが 次第に 阿弥陀如来の極楽浄土が 代表格になる。

浄土三部経とは 阿弥陀如来の本願 (仏や菩薩が 生ある一切のもの=衆生 を救う誓い) や

極楽浄土の様子 そして 極楽往生するための方法 を詳しく説いた経典である。

浄土三部経では 阿弥陀如来は 衆生の臨終が近くなると 

極楽浄土に生まれ変わらせるために 菩薩をひきつれて迎えに来る。 

今でも死ぬことを 俗に お迎えが来る と表現するが これは浄土信仰に由来した表現。

そのシーンをヴィジュアル化したものが 来迎図 なのである。 

・・・・・・

 『観無量寿経』 では 人を普段の行いや どの程度仏教を理解しているかによって

上品上生 上品中生 上品下生 

中品上生 中品中生 中品下生

下品上生 下品中生 下品下生

の九種類にわけ それぞれ ふさわしい形で極楽浄土に迎え入れられる とした。

上品上生の場合は 極楽往生してすぐに仏となり 最高の悟りを得ることができるが

段階が下になるにつれ 成仏するまでに時間がかかるようになる。

上品中生 でも 成仏するまでには 一小劫 

つまり 人間の寿命が八万歳から百年ごとに一歳減じて十歳になるまでに等しい時間が必要とされ

最低ランクの 下品下生では 十二大劫

つまり世界の成立から破壊を十二回繰り返すほどの長い時間を  

極楽の池に浮かぶ蓮花のつぼみの中で過ごし

ようやく花が開いたら 観音菩薩と勢至菩薩から教えを聞いて 

初めて正しい悟りを求める心が起こる とされる。

ただし この下品下生であっても 地獄に落ちるわけではなく 身は極楽にあるので

苦しみを受けたり 輪廻の輪に 再びはまり込んで三悪童に落ちる危険を冒さずにすむ。

 

 は ↑ この 時の長さ の例えに 

まるでお伽話を読んでいるみたいで おもわず吹き出しそうになりました。(すみません)

いつもの散歩コースに 九品仏 が祭られたお寺があるのですが

お堂が 同じように三つ並んでいて その中に 阿弥陀如来像が 同じように三体ずつ 並んでいます。

あの 上品 中品 下品 って そういうことだったのね と 深く納得。

 そして 昔からコレクションしていた ↓ このカードにも やっと光が当てられました!

長い間ファイルしたまま 何も調べようとせず ごめんなさい。

これが その鳳凰堂扉絵  九品来迎図 のうちの 下品上生図! なのでした。

こんな素敵な阿弥陀如来さまが 天上の奏楽とともに お迎えにいらしてくださるなら

 下品でも 大満足ですよね!

 

1148

 1148 国宝 鳳凰堂扉絵  扉絵は我国絵画史上重要な観経の九品来迎図倭絵の表現様式が出来上がる過程の絵としても
最古のもので当代貴族の夢の表現でもあります。 Amida-raigozu  (Aspect of Amitabha's epiphany portion)  11th  Century
National Treasure  2001・3・15入手   奏楽天使

 

 

そして この 1148 の絵の 復元模写が こちら↓ 

前述のサントリー美術館の展覧会でゲットしたカードです。

こんなあでやかな色彩で よみがえったのですね。

神居文彰 監修 『よみがえりゆく平等院』 学研ビジュアル新書  を 手に取らなかったら

 ↑ 1148 と ↓ 7393 が 同じ絵(カード)だなんて

 まったく気が付かないまま だったと思います。

まったく・・・

蓮の花のつぼみの中で どんだけ 時を過ごせばいいことやら・・・

7393      

7393 平等院 鳳凰堂扉絵    下品上生図   2013・12・16入手 奏楽天使

 

 

上述の本の この絵の解説から

建物内で 僧侶に付き添われて横たわる臨終者に向けて

阿弥陀如来の額から金色の縷が発せられている。

ここに 阿弥陀との結縁がなされ

極楽浄土への往生が 約束されたのである。

 

 


 

 

そうすると 鳳凰堂内は

ご本尊の阿弥陀如来像が 52体の雲中供養菩薩を伴っての 阿弥陀来迎図の形をとっていて

しかも 鳳凰堂の扉や板壁にも 九品来迎図 (上中下 9パターンの絵) が取り囲んでいるのですから

まさに 極楽浄土来迎づくし!

 その 雲中供養菩薩による 天上の奏楽って 一体 どんな音楽なのでしょう?

前述の本では 聴くだけで 仏智を得ることができる そうです。

雲中供養菩薩は 創建当初から その数が52体だったかは わかっていないそうですし

配列も 現在 北何号 南何号とふられた番号どおりかは わからないそうです。

52体だとしても  そのなかで奏楽していらっしゃるのは 何体なのか?

 楽器をお持ちでない菩薩 には

舞う天女(6体) 僧形(5体) 合掌する飛天(2体) 天蓋や幡をもつ露払い役の菩薩(3体)

 そのほか 弓矢をもつ愛という墨書のある菩薩なども・・・

 

 


 

 

雲中供養菩薩全体図カードを入手して以来 

52体の雲中供養菩薩が 何をなさっているのか 奏楽しているのかいないのか 

正確なところを 是非とも 知りたいと思っていたのですが 

ついに 1987年に発行されていた  

毎日新聞社 『惑の仏像 17 雲中供養菩薩』   という本に巡り合えました。

鑑賞ガイドというところに 五十二体の供養菩薩の詳細情報が 載せられています!

五人の著者の文章のうち  西村公朝氏の 『仏界の大妙音』 では

 なんと 奏でる楽器のすべてが 記してあります。

ありがとうございます!

 

筝(ソウ 琴)を弾くものが 三体

琵琶をもつもの  二体

鼓(コ つづみ・たいこ)をたたくもの 五体

排簫(ハイショウ 笛を並べたもの・ハーモニカのようなもの)を吹くもの 一体

鐃(ドウ どら)を 桴(フウ ばち)で打つもの 一体

簫(ショウ ふえ)をふくもの 三体

柄つきの鈴(リン)をばちでたたくもの 一体

鉦鼓(ショウコ たたき鉦(カネ) ) をばちでたたくもの 一体

鐃(ニョウ)はち (皿のような金板の両面を合わせて打ち鳴らす) をもつもの 二体

編鐘(ヘンショウ 小磬(コケイ)を鐘(ツリガネ)のように吊り並べたもの) をたたくもの 一体

箜篌(クゴ 胴が長く 二十三弦あり 抱えて両手でかき鳴らす 竪琴 ハープ) をもつもの 一体

笙(ショウ 十七本の竹管を組み合わせた笛) を吹くもの 一体

拍版(ハクバン 拍子をとるために打ち鳴らす板) をもつもの 二体

トウ(ふりつづみ) をもつもの 一体

楽太鼓をばちで打つもの 二体

ばちを片手にもって 何かを打ち鳴らしながら舞っているもの 一体

以上 全部で 28体です。

あとは 

天衣の一部を握って舞うもの 五体

幡(バン 旗・のぼり) をもつもの 二体

柄つきの天蓋(テンガイ 仏像・僧・棺などにさしかけてつるす笠) をもつもの 一体

つぼみの蓮華をもつもの 一体

華籠(ケゴ 花を盛る器) をもつもの 一体

蓮台をもつもの 一体

華鬘(ケマン 仏堂の欄間などにかける荘厳具)をもつもの 一体

持物を欠失するもの 四体

合掌するもの 五体 (うち 僧形 三体)

僧形で宝珠をもつもの 一体

僧形で持物欠失 一体

です。

この本のおかげで やっと コレクションすべきカードが 明確になりました。

奏楽している28体のうち 16体は コレクション済み。

残る12体の ウォンテッドカード リスト は以下のとおり。

 

北8号 排簫(ハイショウ) 

北10号(舞と桴 ばち) 

北11号(鼓)

 北12号 鐃(どら) と 桴(ばち) 

北15号 簫(ショウ ふえ)

北16号 (琵琶

北18号(鼓)

北20号(筝)

北24号(鼓)

北26号(楽太鼓)

 

南7号(編鐘)

南19号箜篌(クゴ)

 


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