マダム・ポンパドゥール
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5 フランソワ・プーシェ ポンパドゥール夫人 油彩 58×45cm パリ ルーブル美術館 製作 東京美術
18世紀フランス美術展 1969年 主催=国立西洋美術館・フランス美術館総局 1969年 1999.9.9ファイル ピアノ
のカデンツ
の調査メモによりますと
ロココの時代 この教養あふれるポンパドゥール夫人は、
ルイ15世の寵愛をうけて パリのサロンから宮廷に入り
その才能をいかんなく発揮しました。
演劇にも造詣が深く、音楽ではクラブサンの名手。
王室の百科全書の刊行にも、たいへん力を尽くし
また磁器を愛し、桃色のセーブル磁器は
ローズポンパドゥール と呼ばれています。
↑ のカードは クラブサンの前にたつ
音楽をこよなく愛したという若き日の肖像画。
コレクション開始以前から カードは持っていたし
ポンパドールという名のパン屋さんのお店にも飾ってあったし
昔からお馴染みの絵でした。
パリに暮らすことになって この絵との対面を楽しみにしていたのに
入れ違いに 日本を巡回する展覧会に出品されたらしく
ずっ〜〜〜とお留守。
いつ行っても会えなくて、がっかりでした。
帰国が迫ったある日 見納めにルーヴルを訪れたとき
やっとやっと この絵に会えたのですが
その日が お別れでもありました。
2009/6撮影
873 ↓ は 少しお年を召されたようでもありますが
873
873 Maurice Quentin Delatour La Marquise de Pompadour Pastel,
1.750×1.280m INV 27614
Photo R.M.N. Louvre Departement des Arts Graphiques 2000.8.28入手 リュート
にもかかわらず
品格のある美しさで 輝くようです。
一説ではこのデ・ラトゥールの絵が
彼女の肖像画のなかで一番 といわれているそうです。
ルーヴル美術館の フランス絵画の奥まったコーナーで
この絵とは 何度も何度も ご対面。
楽器は椅子の後ろのソファーに 弦楽器系がたてかけてあります。
どうぞお見逃しないように。
宮廷サロンの花だった ポンパドゥール夫人は
たくさんの肖像画を残していますが
楽器とともに描かれていない彼女の肖像画は ぜったい認めない! と
は勝手に考えています(笑)
たとえば ↓プーシェの 美しい肖像画が
それに該当します( プーシェさん、ごめんなさい )
ところがある日
高階秀爾著 『バロックの光と闇』 小学館 2001年発行 の
14章 新しいパトロンたち を読んで
すっかり こんがらがってしまいました。
絵は ↓ このプーシェの肖像画で 文面に
『背後の椅子に置かれた楽器は音楽家としての彼女を・・・』
と書かれていたからです。
は一瞬 ↓このプーシェの絵にも
背後に楽器があったの? とびっくりしました。
たしかに ↑ 873 のデ・ラトゥールの絵と同じように
豪華なドレスを着て ゆったりとソファーに座っています。
後ろには書架があり、足元にはデッサンを収めた紙ばさみ などもあります。
しかし どんなに目をさらにしても、やっぱり
↓このプーシェの絵には 楽器はありません。
?
?
?
よくよくみると、↓ この絵に ご覧のような説明文が・・・
『バロックの光と闇』 小学館 2001年発行
あらら! プーシェの絵に デ・ラトゥール作
と 誤って表記されているではありませんか。
というか 本文が デ・ラトゥール作のことを述べていますし
所蔵美術館も ルーヴルとなっていますので
これは明らかに 掲載する絵を 取り間違えたのですね。
ここには デ・ラトゥールの絵があるはずなのです。
ちなみに ブーシェ の ↓この絵は ミュンヘンのアルテ・ピナコテーク所蔵。
な〜んだ
やっぱりプーシェの絵には 楽器はなし で良いのですよね。
ほっ! としたところで
この本から 少し引用させていただきましょう。
ロココの時代
芸術活動の保護に見逃すことのできない役割を演じたのは
貴族や貴族趣味に憧れる裕福な市民たちの邸館で行われた
学者文人芸術家たちの、いわゆるサロンである。
サロンの中心は優れた趣味と教養の持ち主の女主人で、
そこでは文学や芸術のさまざまな問題が論じられ
洗練された会話や機知にとんだ応酬が喜ばれた。
最も代表的なのが、ポンパドール夫人である。
もともと平民の出身だったが、ルイ15世の寵愛をうけ
宮廷で大きな勢力を持つに至ったのは
その傑出した美貌に加えて
哲学者や文人たちと対等に議論を交わしたり
自らオペラに出演したりデッサンを試みたりの
優れた知性と芸術的感性を具えていたため。
ルーブル美術館にあるラ・トゥールのパステルによる肖像画は
数多く残されている肖像画の中でも
芸術の保護者であり愛好家でもあった夫人の魅力を
最もよく伝えるもののひとつ。
もともと 柔らかな色調と繊細な筆遣いのパステル画は
ロココの趣味によく適して この時代 流行したが
ド・ラトゥールは そのパステル画の一人者。
画面では華やかな衣装に包まれたポンパドゥール夫人が
ゆったりと椅子に腰をおろしている。
その手にした楽譜と背後の椅子に置かれた楽器は
音楽家としての彼女を、
足元のデッサンを収めた紙ばさみは
画家としての彼女を暗示しており
傍らのテーブルに並べられた書物の中の一冊には
百科全書という表題が読み取れる。
↓ こちらは 少々お年を召されたような・・・
でも手前右下に リュートが描かれているので
由緒正しいポンパドゥール夫人の肖像画。
5656
5656 Francios-Hunert Drouais
1727-1775 Madame de Pompadour at her Tambour Frame
Oil on cancas 217 x 156.8 cm Every purchase supports
the National Gallery
2009・1・16入手 リュート
↓ こちらは 2002年に ヴェルサイユ宮殿やミュンヘン ロンドンなどを巡回した
『芸術を擁護した ポンパドゥール夫人』 という企画展に出品された
サンフランシスコ美術館のもの。
ロココ時代に活躍していた画家で 題名は 『音楽』
思いっきり 若返ったポンパドゥール夫人なのかな と思いましたが
ネット検索してみたら この作品は
The Four Arts: "Painting" "Sculpture" "Architecture" "Music"
四芸術 絵画 彫刻 建築 音楽
のなかの "Music" ということなので
当時 芸術の保護者であり愛好家でもあったポンパドゥール夫人の
功績を讃えた一枚 ということかもしれません。
7248
7248 Madame
de Pompadour, protectrice des arts Carle Vanloo(1705-1765)
La Musique, 1752-1753 Huile sur toile 87.5 x 84 cm
Fine Arts Museums of San Francisco, Mildred Anna Williams
Collection 2013・7・8入手 アンサンブル
このカードは
カードコレクターの先輩 A の紹介で知り合った方が
ミュンヘンを訪れたとき
『芸術を擁護した ポンパドゥール夫人』 展 で購入。
もう これ一枚しか 残っていなかったそうです。
『楽器』 のカードか? 『読書の女』 のカードか?
やはり ここは 先輩に一歩譲って と思ったのですが
これはもちろん 楽器カードでしょ との その方の判定で
有難く ポストカード音楽会に エントリーさせて頂くことに。
すみません! 先輩!!