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奇岩の黒いマリア

 

 

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3933          Estampa de la Mare de Deu de Montserrat i escolans musics
Gravat ai buri acolont, 52 x 40cm  Signat: "Joseph Flaugier la Dibuixo ano 1791 " a l'angie inferior esquerre,
i "Agustin Sellent la Gravo enn Barcelona" a l'angie inferior dret
inscripcio : Nuestra Senora MOntserrate   Biblioteca de Montserrat Gabinet de Gravats, 13.683 bis.
 2005・11・29入手   
アンサンブル     

3934    J. A Ricci (1600-1681)  Mare de Deu de Montserrat, c. 1640  Oli sobre tela, 189 x 144cm 
2005・11・29入手   
アンサンブル 

 

 

のカデンツ

 

どうです? この奇岩 今夜の夢にでてきそうでしょう。

この二枚のカードは、友人 YT のスペイン旅行のおみやげ。

バロセロナからバスで行く モンセラットという町に この奇岩はあります。

そこに修道院が建ち並び、黒いマリアが祭られている ということでした。

 修道院脇にあるお店の手作りのお菓子のおみやげも

素朴な味でおいしかったです、ごちそうさま。

現在 この黒いマリア(聖母子像)は、円筒形のガラスケースに入っているそうですが

聖母マリアが右手に持つ玉だけが ケースに穴があけられ 外に出ていて

それを触ると 願いが叶えられるのだとか。

めずらしい奇岩に祭られた黒い聖母子像

これも なかなかインパクトのあるカードです。

馬杉宗夫著 『黒い聖母と悪魔の謎』 講談社現代新書より抜粋しますと

黒い聖母と呼ばれている像は、特にフランス中央高地を中心に多く存在しており

フランスだけでも200体以上にも及んでいるのが確認されている。

それはフランス国内だけではなく 諸外国にまで伝播していき

その数の多さには圧倒される。

多くは12世紀、いわゆるロマネスク時代に製作された。

12世紀を中心に 同時多発的に出現している黒い聖母は

偶発的な要因で黒くなったのではなく、何らかの理由で

当初からにしろ、後の時代にしろ、意図的に黒く塗られたことは確かなのである。

その異教的な黒の謎に迫るには

崇拝されていた場所を調べることが重要である。

キリスト教がゴール(現在のフランス)の地に浸透するまで

ゴールの地はケルトの国々を支配していたドリュイド教でおおわれていた。

この宗教は、ある種のアニミスム(霊魂崇拝)であり

聖なるものは自然の中に宿るとされていた。

彼らが崇拝していたのは聖樹・聖水・聖石 などである。

そして注目すべき点は、黒い聖母像があり、その崇拝のあった地は

トリュイド教時代に それらの崇拝が行われていた場所と一致していることである。

(中略)

巨石(聖石)崇拝と結びついた他の地には

ロカマドールやル・ピュイ それからスペイン・カタルーニャ地方のモンセラト など。

(中略)

こうしてみると、聖母が黒く塗られた理由は

もともとその土地で信仰されていた

ケルトの豊饒なる大地の女神の伝統と 

また奇跡の黒い石などの信仰と 結びついたもののように思える。

黒い聖母の存在する場所は、必ずといってよいほど

キリスト教以前のドリュイド教の伝統が 強く残っているところだからである。

アルルの公会議(452年)、ナントの公会議(658年)、トレドの公会議(681年)では

繰り返し 樹木、石、泉などを崇拝することを禁じている。

この事実は、ゴールの地がキリスト教化された以降も、

根強く ドリュイド教の信仰が残っていたことを物語っている。

これら土着の民間信仰との衝突をさけるため、これらの地の聖母マリアは

土着の地母神との一致が求められ、あえて黒く塗られたのではないだろうか。

キリスト教以前の地母神崇拝と、キリスト教のマリア崇拝の同化

そこに黒い聖母の謎がひそんでいるのである。

 


 

 

<追記>

 2008年 バルセロナを訪れたのですが

残念ながら モンセラットには 時間がなくて 行くことができませんでした。

でも偶然 バルセロナのカテドラルで 右手に玉を持つ モンセラットの聖母 を見つけました。

あ、あのカードの・・・と 思わず 声をあげました。 

聖母の背景には 見覚えのある奇岩の絵が 描かれていました。 

でも そこに 楽器をもった修道士が描かれていたかどうかは 

暗くてよく確認できませんでした。

フラッシュをたいたら 思いのほか 後ろの絵も はっきり写っていたので

脇に回って 絵の全体を 撮ればよかったと 後で反省。

 

 2008・12・8撮影

 


 

 

<追・追記>

2011年6月 アメージングヴォイス 驚異の歌声』  というNHKの番組で 

このモンセラット修道院付属の少年合唱団のことを 取り上げてくれました。

幼さの残る若い修道士たち ではなく 少年合唱団だったんです。

本当に 霧の中から突然姿をあらわす奇岩に囲まれた天空の修道院だったので 

 びっくりしましたが

今は 観光バスで行けるだけあって 広い道路も整備されています。

 

TV画面

 

800年の歴史を持つという ヨーロッパ最古の モンセラット少年合唱団は 

9歳から14歳までの53人で構成されているそうです。

カタルーニャ全土から集められた精鋭のなかから選抜されるそうですが

原則は カタルーニャ語を話せること だそうです。

全寮制で 許可なしの外出は一切禁止 テレビゲームも携帯電話も禁止だそうです。

でも歌うことが何より幸せ と少年たちは インタビューに答えてくれました。

毎日午後一時のミサには 大聖堂に集まった大勢の人たちの前で歌を披露し

それは カタルーニャ全土に生中継されるそうです。

少年たちの着ている 特徴のある白黒衣装は 冒頭のカードと まったく同じデザイン! 

800年の伝統が 脈々と受け継がれていることが よく分かりました。

しかも 手を使わないときは 

エプロンの中に入れていたのが 面白い!!

 

TV画面

 

 


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