モーツアルト親子もおやおや
488
488 Leopold Mozart in
family music circle with Wolfgang and Nannerl
Watercolour by Louis Carrogis de Carmontelle, 1763 Chantilly Musee
Conde.
WOFLGANG AMADEUS MOZART Benedikt Taschen Verlag
2000・2・14入手 アンサンブル
4077
4077 Carrogis de Carmontelle 15.5.1717
Paris- 26.12 1806 Paris
Wolfgang Amadeus Mozart Playing in concert with his father and
his sister
Aquarell. Water colours, 1762
Edition Geisselbrecht 23558 Lubeck Printed in Germany 2006・8・2入手 アンサンブル
のカデンツ
モーツアルト一家の とても有名な絵です。
ピアノを弾く 幼いモーツァルトと ヴァイオリンを手にした父 レオポルト
そして歌っているのが 姉のナンネル です。
この二枚のカード情報では
制作年は 1763年と 1762年 と違いがあり
488 は フランスはシャンティの コンデ美術館所蔵のもの。
4077 には所蔵が記されていません。
4077は 円柱など 少しカットされたアップ画面ですが
色具合などは しっかり出ています。
どちらかが 鏡面印刷カードだとすると
正しいのは 488 と断言できます。
有名な絵で いろいろな文献で 目にしていますから。
決定打は ヴァイオリンの持ち手が さかさま だということ。
父・レオポルト がサウスポーという話は聞いたことありませんし(笑)
モーツアルト親子も おやおや ということで。
さて その後 もう一枚 ↓ こちらのカードも 入手しました。
6755
6755 Louis
Garrogis dit Carmontelle (1717-1806)
Wolfgang-Amadeus Mozart enfant entoure de son pere et de
sa soeur(detail)
1764 Aquarelle H. 32.6
L. 20.1 Paris, Musee Carnavalet - Histoire de Paris
2012・6・5入手 アンサンブル
これは 488 のカードと向きは同じで ただ印刷が ちょっと薄く不鮮明
というものではありません。
そう 『同じようで同じでない』 の展示室でも OKな
まったく別の絵 なのでした。
488 は シャンティのコンデ美術館所蔵ですが
この 6755 は パリのカルナヴァレ館所蔵 のもの。
カルナヴァレ館を検索したところ
ちゃんと この絵が 紹介されていました。
(カルナヴァレ館 オフィシャルサイトから 転載させていただきました)
制作年は カードには 1764年とありますが
オフィシャルサイトでは 1777年となっていて
10年以上の開きがあります。
カードは 水彩画とありますが
オフィシャルサイトでは 薄い水彩画にクレヨン!!
これも新発見です。
それで コンデ美術館の水彩画と比べて
ちょっと塗りの雰囲気が違って見えたのでしょうか。
カードに記された情報って 結構 いい加減なことも多いのかなぁ・・・
それとも コンデ美術館の情報を 記載してしまったのでしょうか。
では この三枚のカードを
詳しく 検証してみることにしましょう。
まず コンデ美術館のものと カルナヴァレ美術館のものを
細かく見比べてみると 楽譜の右ページ 五線譜の段数が 違います(笑)
コンデ美術館のものは カードの画像 ですが
カルナヴァレ美術館の画像は
オフィシャルサイトのものを使用させていただきましたので とても鮮明です。
コンデM カルナヴァレM
では ↓ 鏡面印刷カードは どちらの絵なのでしょう?
反転してみました。
あ、これは コンデ美術館と同じ段数の楽譜ですね。
鏡面カード → 反転
↓ こんどは 木の枝ぶりに 注目してみました。
ナンネルの頭の斜め上の枝ぶりの微妙な違い お気づきでしょうか?
コンデM カルナヴァレM
というか ナンネルの顔が まったく違いますよね。
鏡面印刷のものは どうでしょう?
反転してみると
ナンネルの顔も 枝ぶりも コンデ美術館のものと 一致します。
鏡面カード → 反転
これで 三枚のカードそれぞれの出自が はっきりしました。
つまり コレクションしているのは
コンデ美術館所蔵の正しいカードと 鏡面カード
それと ヴァージョン違いのカルナヴァレ美術館のカード の3枚です。
他に ヴァージョン違いの絵も あるのでしょうか?
その時はまた おやおや ですけど。
<追記>
その後 ↑ この絵の作者 Carrogis de Carmontelle のカードを
さらに 2枚 シャンティ城にあるコンデ美術館で ゲットしました。
8854
8854 Carogis Louis(1717−1806) dit
Carmontelle
Mr de la Live, introducteur des ambassadeurs
Domaine de Chantilly 2016・10・4入手 ハープ
8858
8858 Carogis Louis(1717−1806) dit
Carmontelle
Messieurs Duport, Vachon, Rodolphe, Provers et Vernier
Domaine de Chantilly 2016・10・4入手 アンサンブル
モーツァルト親子の絵しか 知らなかったけど
この画家は 楽器演奏図をたくさん描いている人なんだなぁ と 興味がわき
カルモンテル Carmontelle で 画像検索してみました。
期待どおり たくさんの演奏図がヒットしたのですが
経歴を読んで さらにびっくりしました。
カルモンテルは 画家というだけではなく
劇作家であり 脚本家であり 舞台空間のデザイナーであり 作家であり
そして 造園家 でもあったそうで
パリを訪れたら 必ず出かける公園のひとつ
モンソー公園も 彼がデザインしたと 知ったからです。
古い地球の歩き方(07〜08) によると
カルモンテルが 自由奔放なオルレアン公ルイ・フィリップ二世の依頼を受け
(ベルサイユの薔薇に登場する オルレアン公です)
古代エジプト ローマ 中世 そしてあらゆる時代への讃美を込めて
異国情緒も加えた モンソー庭園を生み出した とあります。
その多くは失われてしまったそうですが
今も 小さなピラミッドと
2018年7月8日撮影
楕円の池(そこに陰を落とすコリント式柱廊のいくつか) が残っていると。
↓こちらが 楕円の池の古代ローマのコリント式柱廊。
2014年6月7日撮影
緑豊かに手入れされた お気に入りのモンソー公園が
モーツアルト親子の画家 カルモンテルがデザインしたものだったなんて
本当に 驚きです。
岸恵子さんは お子さんが小さかった頃 この公園によく遊びにいらしていたそうで
あそこにはショパンの碑があるのよ と 以前テレビでお話されていました。
ん? そんなのあったかな と気になって
モンソー公園に 探しに行ったところ
子供の遊び場の奥にあって
なかなか人の目には 触れにくい場所でしたが
無事 発見。
2014年6月7日撮影
シャンティ城コンデ美術館で あらたに
カルモンテルの ↑ 2枚のカードを入手した翌々日も
モンソー公園を訪れていたのですが
その時は カルモンテルとの結びつきは まったく闇の中。
多方面で 多彩な才能を発揮した カルモンテル!
舞台上の演奏や演劇などの 水彩画は
その場で ささっと 2時間ほどで仕上げてしまったそうです。
冒頭のモーツアルト親子の絵だって
ニ枚や三枚(あるのかな?) 描いてしまうのは
お手のものだったのでしょうね。
展示室神童モーツァルト では 集中的にモーツアルトのカードをアップしています。
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