北海道のカウンセリング事情

札幌|のっぽろカウンセリング研究室
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北海道のカウンセリング



 北海道のカウンセリング事情について、少しだけ説明しましょう。

 私がカウンセリングの世界にカウンセラーとして足を踏み入れた頃は、北海道にはまだあまりカウンセラーが存在していませんでした。それでも、100人近くはいたかもしれません。もう20年以上も前のことです。しかし、2012年となり、北海道のカウンセラー数は増加の一途をたどっているようです。カウンセリング・ブームはすでに去ったと考えられますが、ブームに終わらない何かが、カウンセラー志望の人たちを惹きつけてやまないのですね。

 カウンセラーの養成機関は様々です。大学あるいは大学院では「臨床心理士」認定資格の受験資格を得るために、充実したカリキュラムを整えています。カウンセラーの資格を手にするには、大学以外にもさまざまな養成機関があります。民間の会社組織や、個人や、準公的な機関が、カウンセラー養成講座を開いて、資格を与えています。

 要約すると、こういうことになるでしょうか。カウンセリングの世界にはいまだ国家資格がないせいか、北海道にはさまざまなカウンセラーの(受験)資格を認定する機関があるということです。まさに百花繚乱の様相を呈していて、養成講座の内容も、種類も、グレードも、多様化しています。そのような様々な経路を通じて毎年カウンセラーたちは「量産」され、クライエントたちの援助に当たっているのです。いろいろなカウンセラーたちがいるわけです。相談するクライエントにとっては、どのカウンセラーを選べばよいものか悩みの種になるはずです。

 しかし、北海道のカウンセリング事情としていまも昔も変わらないのは、カウンセラーの札幌への一極集中かもしれません。カウンセリングにたずさわるカウンセラーが札幌という大きな都市に集中していて、北海道内の地方は相変わらずカウンセラー過疎地にとどまっているのです。カウンセリングを求めている人たちは、札幌や北海道の地方都市だけでなく、人里離れた過疎地域にもいます。私の相談室にも問い合わせが来ることがあるのですが、札幌まで往復すると一日を費やすことになるか、あるいは一晩泊まりがけで宿を取るかしなければならないような、極めて遠方の方々もいるのです。

 札幌の一極集中にはさまざまな理由があるでしょう。やはり大きな要因は、札幌であるからカウンセラーとしての生活を営むことが可能だということなのでしょう。カウンセラーにも生活があるのです。カウンセリングによって生計を立てられない場所に移り住むことは、どんなカウンセラーにもできないはずです。収入なくして生活は成り立たないという、簡単な経済原則がそこにはあります。

 道外・内地と比較して、北海道は広大であるという特殊事情を抱えています。一極集中という深刻な問題は、おそらくこれからも改善されることはないのかもしれません。そんななかで私がいま考えているのは、カウンセリングの専門家ではなく、カウンセリングの素人がボランティアで傾聴していく活動が地方で活発にならないかということです。話の聴き方を少し訓練する必要はあるでしょう。しかし、悩める人たちの力になれるのは専門家ではなく、ごく普通の身近にいる人たちだと思うのです。私にできることがあるとすれば、それは地方に足を運んで実際にカウンセリング活動をすることではないと思います。むしろ、傾聴することのできるボランティアの皆さんに対してお話をすることで、素人カウンセラーたち(よい意味での)を育てることではないかと思っています。




北海道の対人援助