各種記録


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☆東日本大震災の写真集(2011.8.17)

  調査のために仙台市を経由して八戸市に出かけた。JR八戸線の鮫駅付近にある第一魚市場周辺は震災以前とほとんど変わりがないように見受けられた。製氷機能も回復している。このように震災の被害地域も場所によっては復興の速度が速く、外部の人間が驚くほどである。

 ところで、八戸市内の書店に入ると、売り上げのランキング上位は震災の写真集が占めていた。そこでそれらの売り場に行き、数冊購入した。地震とその後の津波被害についてはインターネットの動画などでも深刻さがわかるが、写真集によっても実態がよく伝わってくる。以下、求めた写真集のいくつかにつき、特色を紹介し、購読や閲覧を薦めることにしたい。まず、全国レベルの新聞社による写真集は写真の収録期間の長いものや、歴史的な観点を強調したものがあり、読み応えがある。毎日新聞社『東日本大震災―3.11から100日―』同、や毎日新聞社『明治・大正・昭和 巨大津波の記録』同はそれらである。次に地方新聞社の企画には出版物として異色の編集をおこなったものがある。デーリー東北新聞社『東日本大震災 2011.3.11 1カ月の全記録』同は、東奥日報新聞社『東日本大震災 2011.3.11 1カ月の全記録』同と、表紙の文字の配列は全く同じなのだが、写真が違う。これは、全国新聞出版協議会の合同出版企画によるものだからである。

 この企画は共同通信加盟の新聞社、共同通信社の出版部門合計45社の共同の企画であり、解説記事、年表風の記録等は同じになっている。但し、掲載している写真は同じものや、各社独自のものがあるということである。しかし共同の企画ではあるものの、価格が異なっており、デーリー東北新聞社版は税込み1000円であるのに対し、東奥日報社版は税込み1260円となっており、DVDがついている。地方新聞社でも独自の写真集を出しているところもあり、河北新報社『巨大津波が襲った 3.11大震災』同はその例である。なお河北新報社は1カ月分の特別縮刷版も出版している(竹書房刊)。

 カメラマン個人が出版したものもある。宮嶋茂樹『再起』KKベストセラーズはその例である。これは宮嶋氏が週刊文春に寄稿した写真を含め、撮影した写真とそれに付した文章を刊行したものである。宮嶋氏はカメラマンの横田徹氏とともに震災発生後直ちに被災地に入り、以後横田氏が帰京したあとも一人で被災地を回り、一時帰京するも再度被災地入りし、6月13日に帰京するまで写真を撮っていたということである。文章も読み応えがあり、力作である。今、被災地に行くと、片付けがだいたい終わり、流された建物の土台がむき出しに残されている光景が目につくが、写真と重ねると、被害のひどさがよくわかる。

 以上は私が手にした写真集を恣意的に取り上げたものに過ぎず、すぐれた写真集を見落としているかもしれない。それらについては書店、図書館等で閲覧を願う。なお、私が訪問した図書館では、こうした新刊書はガラスケースに入れて展示されている状態で、手に取ることはできなかったが、そのうち、書棚に並ぶものと思われる。