● 実験テーマ12
「EAGLEによるプリント基板設計・製作 第2段」の顛末記
■ 2012.01.02
<MP3 DECODER基板パターン化計画案>
・以前から、ユニバーサル基板で実験してきた、「MP3
DECODER部」と、「音楽ファイル名表示用
LCD部」を合体したプリント基板の設計と製作を、EAGLEで行ってみようと思います。
・またこの基板と、実験テーマ10でプリント基板化した「PIC24F
MAIN BOARD」を、2階建て構造
にして、「録音機能付きMP3・WAVプレーヤ」として使えるようにします。
・MAIN基板上の操作SW+LED部が、2階建て構造にした時、隠れないように、MP3
DECODER
基板のサイズをMAIN基板(100 X 80mm)より小さい、100 x 67mmとしました。
ラフスケッチ状態での2階建て構造計画案はこちらからどうぞ→ 2階建て構造計画案
・ユニバーサル基板時使用した、MP3
DECODER IC:VS1101Eは、LQFP48パッケージで、ピン
間0.5mmの峡間ピッチなので、自力でハンダ付けはとても自信なく、今回のパターン化に際して
は、SOIC28タイプ(1.27ピッチ)のものを使用することにしました。
これに伴い、オーディオ出力回路が1部変更になります。
それは、LQFP48パッケージのICには、GBUF(バイアス電圧供給)という端子があり、出力の
電解コンデンサを省略できましたが、今回使う、SOIC28パッケージのICにはピン数が減った分
その端子がなく、出力の電解コンデンサが必要になります。
■ 2012.01.04
・6パーツ分の、部品マクロの登録が終った。
■ 2012.01.05
・正式基板名を、「MP3 DECODER BOARD」に決める。
・ボードデータがあるディレクトリのフォルダ名を、製品名から個別ごとの基板名に変更する。
「MP3_PLAYER」→ 「PIC24F_MAIN_BOARD」
今回の作業フォルダは、「MP3_DECODER_BOARD」とする
・今日から、回路図入力に入った。
■ 2012.01.06
・回路図作成終了。EAGLE回路図はこちらからどうぞ→ MP3
DECODER BOARD.gif
※ 2012.01.30
今回もミス無しのパーフェクトを目指しましたが、前回同様、回路図ミスが発覚しました。(とほほ・・・)
下図の、朱書き部分が今回の修正箇所です。その他コメント欄も参考にしてください。
・今回新規作成したシンボル(VS1011E_SO, JACK_STEREO_AUODIO)の、ピン番チェック等を行った。
→ ここまで問題なし。
■ 2012.01.07
・NET_LISTによる結線チェックを行った。
→ +3.3VのNETが、DVDDにすりかわっている箇所があった。
→ +3.3VシンボルをコピーしてDVDDシンボルとした時の問題と思われる。
問題の+3.3Vシンボルを1度削除し、置き直したらOKとなる。
・セクションペーパ上で、部品配置等の検討を行った。
→ PICは、LCDの下に置かなければならないので、C1の100uは横実装パッケージに変更することにした。
■ 2012.01.08
・基板外形、取付穴、逃げ穴およびLCDコネクタのポジション(座標位置)をインチで算出し、EAGLEでのレイアウト
作業に備えた。
■ 2012.01.09
・EAGLEでのレイアウト作業を開始した。
外形→取付穴→逃げ穴→禁止帯設定→LCDコネクタ配置(固定位置)の順に配置を終えた。
・この作業の途中、CN2(LCD支え用のノンコネクト・コネクタ)のセンター位置が狂っていたのと、ピン番の4,5が逆
になっていたのに気付き修正した。
・ここで、回路図のERCチェックが未だなのに気が付き、順番が後になってしまったが、実施した。
(NET LISTでの結線チェックは済んでいるが・・)
→ ERRORが2ヶ所出たが、次の理由で承認できるエラーなので問題なし。
→ +3.3Vシンボルの、ValueをDVDDに変更して、流用した為オーバーライトエラーが出たが、DVDDのNETは全て
正しく接続されているので問題なし。
(このエラーを出さなくするには、DVDD専用にもう1つシンボルを作って置き直せば良いはずであるが、今回は
事足りているのでやらない。)
・その他のワーニング:21ヶ所も全て承認できるので問題なし。(以下にERC結果ダイアログを示しました。)
■ 2012.01.10
・部品配置終了(一点アースポイントは暫定)
■ 2012.01.11
・電源部・アナログ部・デジタル部と、一通りパターン・ルーティング終了
■ 2012.01.12
・AGNDベタと、DGNDベタを生成する。(一点アースポイントは暫定時と同じ。)
・ビア打ち: DGND_6ヶ所、AGND_4ヶ所を実施し、シルクを整理した。
■ 2012.01.13
・DGNDベタ設定が1部AGNDと重なっていることに気付く。(DRC実施で気付く)
・DGNDベタ領域の設定を修正
・DGNDベタ設定が1部AGNDと重なっている部分を修正後、再度ベタ生成を行う。
・DGNDベタ設定が1部AGNDと重なっている部分を修正後、再度DRCでエラーが6つに減る。
・残エラー検証1:DRC_Dimensionエラー_30mil未満
・DRC_Dimensionエラー_30mil未満を、約50milに修正してエラーを減らす。
・DRC_Clearanceエラー_最後に残った3ヶ所のエラー
→ ここは、オートルータの、5mil最小設定で引かせたところなので、何故エラーが出たのか不可解??
確かに、クリアランスをグリッドを細かくして確認すると、5mil未満で引かれていてエラーになっている。
・DRC_Clearanceエラー_最後に残った3ヶ所のエラー_5mil未満を約20milに修正してエラーを0にした。
・ガーバーに落す前の最終パターン図を下に示します。
■ 2012.01.14
・CAMプロセッサーにより、ガーバ・データの作成を行う。
・テキストベースの修正にて、シルク文字の太さを統一する。(7mil)
・ドリル・データを生成する。
・ガーバ・ビューアにて、発注前確認を行う。
CADLUS Viewerにて、「PIC24F_MAIN_BOARD.GIN」のレイヤパラメータ設定ファイルを作成し、目視確認した。
ざっと見よさそうである。
・マルツにP板製作の見積りを依頼した。
■ 2012.01.15
・メインとMP3基板の間に必要な補助ステーを自作した。(素材はジャンクの放熱板アルミ2tを使って自作)
■ 2012.01.16
・マルツから、見積り回答有り。
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案件番号:
案件 名:MP3 DECODER BOARD P板製作
見積金額:19,425円
納 期:1月27日お届け
備 考:
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・マルツにガーバーデータを送付した。
・部品手配を行う。
秋月分:PIC+VS+ICソケット+連結ソケットで1110+送料:500円=1610円なり
マルツ分:X1+CR+機構部品他で1180円+送料:470円−ポイント:24
= 1628円なり
・マルツより確認依頼メール届く。
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データを確認させていただきました。
パターン、レジスト、シルク、ドリルに問題ございません。
外形線ですが、外形線の枠だけのレイヤーを設けて下さい。
(部品面に外形がありますが、これは、シルクのレイヤーに入っています)
ご確認お願い致します。
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→ こちらで確認したところ
EAGLE上では、20Dimension(基板外形レイヤ)で外形線が引かれていてシルクレイヤになっていないことを確認した。
※ 基板外形データとして、*.outファイルが必要と思い念のため送付した。
※ マルツ担当の方の話では、前回の時も同じであったが、工場の担当者の方で外形データ作ってくれていたようだ。
■ 2012.01.25
・マルツよりP板3枚届く。(内1枚はベアボード)
■ 2012.01.26
・MAINボードの改造を始めた。
@ 電源ON表示5ΦLED→ 3ΦLEDに交換
A CN4(VS1011用 SPI I/F)ライトアング10pinコネクタを外して
10芯フラットケーブルを直接ハンダ付けし、その片側に10pinメス
コネクタをハンダ付けした。(最初の計画通り)
B DSUBコネクタを外す。
C IC5に、16pin連結ピンソケットを挿入
その、15pin(GND)、11pin(TX)、8pin(この空きピンを利用し+5Vラインをストラップ)
をそれぞれ、MP3ボードのCN4(3pinヘッダ)へ接続する中継3pinメスコネクタの
1pin、2pin、3pinに中継ワイヤで接続する。
・MP3ボード: 生基板上で電源ラインのショートチェックを行う→ OK
■ 2012.01.27
・実装開始
・1点問題あり
→ J1:ステレオ・ジャックの実装がキツイ
トラ技のM3555-3.pacを利用しようと思ったが、この部品の入手が困難なため、代替と判断(リード巾は同じで、
ピン間寸法と外形寸法が異なるだけだと判断)した、「MJ-352W-O」を使用したが、いざピン巾を実測して
みると1.3mmあり、1.2Φのドリル径設定では、当然キツクなる。
→ 今回は、部品のリードピンを僅かにヤスリで削って実装することにした。
・実装終了後のチェックを行う
@ 非通電での電源ラインショートチェック→ OK
A MAIN+MP3での負荷時電源電圧→ OK
B コントラスト調整半固定ポテンショ:VR1の動作
→ 基本OKだが、CWとCCWの回路図結線が逆のため、時計回しでコントラストが薄くなってしまった。
今回は、半固定なのでパターン修正はしないことにした。
C MP3ボードへの、HEXファイル・ロードもOK
・基本的には動いているが、再生時のノイズがやに大きい。
(アイドル時のCPUノイズ等の影響はなく、アイドル時のノイズは問題なし。)
→ 注意深く再生音を聞くと、WAVファイルよりMP3ファイルの方が突発的なノイズが多発して聞こえる。
また、WAVファイルの録音サンプルFの違いによって再生できないファイルがあることが判明
→ 以前ユニバーサル基板で実験した時も、同じ現象が起きており、この時の原因は、SPIインターフェースの
SDAとSCKのタイミングマージン不足が原因で、SCKラインに22pを挿入することによって問題解決している。
→ もしかしたら、MP3デコーダICの個体差(特に前回はLQFP48のVS1011Eを使っているのに対し、今回は
SOIC28のVS1011Eを使用)で、定数が不適当なのかも??
■ 2012.01.28
・もう1つ気になっているのが、ユニバーサル版のデコーダ基板は念のためVS1011EのDREQラインのプルアップ
を、PICの内部プルアップから取らず強めの外部プルアップ抵抗(2.2k)から取るようにした点で、考えてみたら
今回のソフトも前回のものをそのまま使っているため、当該ポートのPICの内部プルアップは使わない設定のまま
である。
一方、今回のボードは、余計なパーツは極力避けるため、この2.2kプルアップ抵抗は外してある。
つまり、DREQラインにプルアップが無い状態になっている。
→ ソフトを修正し、DREQポートの内部プルアップを有効にしたが症状は変わらなかった。
(プルアップが無くても動くようである。)
・SCKラインのコンデンサ容量を増やして、セットアップマージンを上げてみた。
→ 22p→ 100pに変更
再生ノイズが激減し、全てのファイルが再生できた。やはり、SPIタイミングの問題であったようだ。
・出力抵抗を51Ωから22Ωに変更した為、音量がユニバーサル版に比べて、大きくなり過ぎていたので、ソフトの
音量設定を変えることにした。
→ 変更前:volune = 0x08;→ 変更後:volune = 0x14;
(音量設定は、0=0[db]で、-0.5[db]ステップ→設定値が大きいほど音量小)
・手持ちのコンデンサで実験した都合、SCKラインのコンデンサ容量は現在暫定で大き目の100pになっているが、
この半分位の値で動くか確認のため、47pにしたいが、手持ちにないため、22pパラ接続で、44pにしてみた。
→ 問題なく動作した。
次の部品手配のタイミングで47pを手配し、実装しようと思う。
(回路図は、47pに修正しました。)
■ 2012.01.30
・オーディオ出力の左右チャンネルが合っているかの確認が未だだったので、ここで確認してみた。
<確認方法>
・オーディオ・テクニカの、ヘッドクリーニング用CDの中に収録されているテスト用音源(左右位相確認・モノラル確認等)
をSDカードに書込みこれをチェックに使うことにする。
→ 何とやってみたら、左右が逆になっていたことが判明。
回路図のJ1シンボルは合っていたが、VS1011EのLEFTピンとRIGHTピンへの回路図上の結線が逆になっていた。
→ とほほ気分で、早速リワク修正(カット・ストラップそれぞれ2ヶ所) し正常位相(接続)を確認した。
尚、以前実験で使用したユニバーサル基板MP3ボードの左右チャンネルは、問題無かった。(再確認)
・色々あったが、何とかこれで「MP3プレーヤ(録音機能付き)」が出来たので本件はこれでクローズすることにする。
<最終ソース>
・DREQポートの内部プルアップを有効にした点と、音量設定を変更した点が、ユニバーサル版と異なる
だけで他は変えていません。またファイル名は、一緒にしフォルダ分けして管理することにしました。
EAGLE基板化版のソースです。→ easy_mp3_player_add_rec_and_lcd_24f.c
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