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77.2年生という倦怠感

2年目のキャンパスライフが始動

梅雨が近づくこの時季、世間では神戸市連続児童殺傷事件で持ちきりだった。
酒鬼薔薇聖斗」を名乗る犯人が誰なのか、さまざまな憶測が飛び交っていた。
そんな喧騒の中、春のリーグ戦を終えた僕は、本格的な2年目の学校生活を遅ればせながらスタートさせた。
1年生のときは35の単位を取ることができ、卒業に向けて上々のスタートが切れた。
勉強をしたというよりは、ただ出席していたら単位がもらえたといった方が正しいのもしれない。
それでも、第2外国語のフランス語は全く馴染めなかったし、練習がある日まであえて体育の授業で体を動かしたくないなど、気乗りしない授業もあった。
いくつかの障害はあったが、なんとか順調に単位を確保できた。
7月には20歳の誕生日を迎え、社会に出ることの自覚が見え隠れしていた。
野球に対する情熱とは対照的に、将来に対するぼんやりとした不安ばかりが気になっていた。

ゲームが唯一の楽しみ

2年生のこの時期は、とにかく早く上級生になりたかった。
高校生のときは1年半ガマンすれば、最上級生になれたのに、大学ではそうはいかない。
1年半経ったこの時点でも、下級生のままに甘んじていることが、僕の気を遠くさせた。
人生で一番楽しい時間といわれる大学生活が、こんなにもダルく感じるなんて思いもよらなかったのである。
「いつまでこんなこと、しとるんやろ。」
この年は、母校PLも夏の甲子園出場を逃し、気分がますます沈んでいった。
ただ、あてどなく漠然と過ごしながら時間を浪費していく毎日。
この頃の僕は、部屋の先輩とテレビゲームの「ぷよぷよ」にハマっていた。毎晩飽きるまで夢中になったこのゲームが、唯一の楽しみだったかもしれない。
先輩たちはケータイ電話を持ち始め、羨ましくそれを眺めていた。

練習に費やされた夏休み

6月下旬には、イチロー216打席無三振記録を達成し、神戸の連続児童殺傷事件の犯人が逮捕された。
7月1日からは、香港が中国に返還されることを記念したセレモニーがブラウン管に映し出されていた。
前期試験が終わり、クラスメートたちは長い夏休みに入った。
連日報じられるレジャーに出掛けるファミリーや、若いカップルのデートの様子などに羨望のまなざしを向けながら、僕らは秋のリーグ戦での1部昇格を目指して、汗を流していた。
夏の甲子園では智辯和歌山が6対3で京都の平安高校を破り、初優勝を決めた。
8月末には、ダイアナ元イギリス皇太子妃がパリで事故死し、「パパラッチ」という言葉が流行していた。
オープン戦を消化すると、秋のリーグ戦はもうすぐだ。
そのころには、春の雪辱を晴らすべく、着々とチームが仕上げの段階に入っていった。

78章につづく

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