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70.リーグ戦後の骨休め

クラスメートの存在

リーグ戦は、通常火曜日と水曜日に開催される。
平日なのでもちろん授業があり、やむなく欠席しなければならない。
助かったのは、友達の存在だ。
代わりに出席カードを提出してくれたり、野球部なので大目に見てやってくださいと伝えてくれたり、ゼミの発表のときにも、僕の負担を軽減してくれたりと、涙ぐましい心配りをしてくれた。
クラス全体も仲がよく、教室にあまり顔を出さないようなこんな僕でも、たびたびクラス会に誘ってくれた。
最初のクラス会では、嬉しさのあまり、新宿の料理屋ではしゃいでしまった。
いい友達に恵まれることの喜びを、身を挺にして知った瞬間である。

入替戦を観戦して

春のリーグの入替戦は、1部6位東洋大学が、2勝1敗でかろうじて残留を果たした。
しかしながら、入替戦の雰囲気は、なんともいえない異様な空気だった。
僕らは、滅多に味わうことのできないこの雰囲気を勉強するために、観戦にしていたのである。 各大学の選手も、必ずこの入替戦は観にくるという。
1部から2部に落ちるというのは、現役のみならず、OBの方々にも多大なショックをあたえてしまうので、想像を絶するぐらいのプレッシャーがかかる。
観戦している僕らにもそれが伝わるのだから、プレーする当事者は気が気でないであろう。
あらめて野球の怖さを実感した、貴重な体験だった。

リーグ戦後の長期休暇「解散」

解散」――。
中央大学では、リーグ戦が終わってからあたえられる長期休暇のことを、こう呼ぶ。
1年生は2日がかりで、「解散掃除」と呼ばれる大掃除をしなければならない。 いつもの掃除と異なり、隅々までピカピカにするのだ。
時間内に終わらなければ、それだけ帰省する時間が遅れてしまうので、みんなが徹夜で掃除する。
解散中は廊下で大声を出そうが、部屋で下級生がたむろしようが関係ない。
普段は上級生にしか許されないことも、全部解禁になる。
あまりやりずぎると目をつけられるのではないかと思う向きもあるかもしれないが、答えはノーである。
本当に、どんなヤンチャをしてもいいのだ。
なんだか、この辺りの信じられないような自由さから、だんだんと本気で中央大学が好きになってきたような気がする。

OB戦のためPLを訪問

この休みを利用して、僕は先輩の黒田さんと一緒に母校・PL学園を訪れた。
前にも述べたように、この時期は「強化合宿」の真っ最中で、OB戦がある。
久しぶりに中村監督に直接指導をしていただき、心身ともにエネルギーを注入してもらった。
この年のセンバツに行けなかった後輩たちにも、激励の言葉を伝えることができ、なんだが心が洗われた気分だった。

71章につづく

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