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46.2回戦試合前の椿事

新聞の一面に掲載された写真

翌日、新聞を見た僕の目が点になった。
なんとそこには、僕と福留がハイタッチしている場面が、デカデカと一面に写っているではないか。
たくさんの方々がこの新聞を高覧しているかと思うと、天にも昇る心地になってくる。本当に嬉しい出来事だった。
この新聞が、僕の宝物となったのは言うまでもない。
しかし、優勝までの道のりは、まだまだ遠い。1回戦から登場した場合は、6回も勝ち抜かないといけないからだ。
勝ち上がっていくと日程も詰まってきて、非常にタフな戦いになる。
体力勝負はお手のものだが、照りつけるような日射しと、目に見えないプレッシャーが、容赦なく僕ら高校球児の気力と体力を奪っていく。
だから、あまり有頂天になってばかりもいられない。
新聞を眺めながら、PL学園の真価が問われるのはこれからなんだと気を入れ直した。

気になる3回戦の対戦相手

甲子園は2回戦に突入していた。
2回戦の相手は熊本の城北高校。1回戦では名門・群馬の桐生一高校を延長の末、破っていた。
しかし、僕らの視線は、どうしてもその先を向いてしまう。
直前の試合では、日大藤沢と観音寺中央が対戦する予定が組まれており、順当に行けばこの勝者と3回戦で激突することになる。
観音寺中央といえば、センバツを制した強豪。新チーム結成時の練習試合では、こてんぱんにやられた経験があるので、彼らの強さは嫌というほど熟知していた。
先の星勘定はよくないとわかっていたが、優勝を視野に入れると、どうしても3回戦で対戦する相手のことを気にせずにはいられなかった。

センバツ優勝校が負けた!

8月16日、2回戦の日がやってきた。
第1試合では銚子商業が快勝、甲子園に着くころには、すでに第2試合が行われていた。
いつものようにウォーミングアップをしてリラックスしていた僕らに、信じられないニュースが飛び込んできた。
なんと観音寺中央が負けてしまった。神奈川の日大藤沢にサヨナラ負けを喫したのだ。
「喜んでいいのか悪いのか……」
甲子園に棲む魔物の気まぐれな差配にビクビクしながらも、自分たちの試合がもう目の前まで迫っていることで、すぐに我に返った。
「これが甲子園か。気を引き締めんと、うちらもやられるで」
何が起こるかわからないのが高校野球。もはや3回戦のことは頭から吹っ飛んだ。
もう一度自分たちがやるべきことを腹に落とし込み、甲子園の土を力強く踏みしめた。

47章につづく

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