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3.八尾フレンドの誇りと挫折

日刊選抜大会でも優勝

続いて日刊選抜大会が始まった。
その年に他の大会で活躍したチームや、歴代の優勝チームが招待され、全国から実力チームが集まる。そのほとんどをコールドで勝ち進み、この大会でも優勝した。
自分たちが強いのか、相手が弱いのか、ボーイズリーグのレベル自体が低いのか、考え出したらキリがない。しかし、今思うといくつかの理由が浮かび上がる。

八尾フレンドが強かった理由

野球というスポーツは、点取りゲームである。
試合が終わったとき、相手より1点でも多く点を取っていれば勝ちだ。逆に、1点も取られなければ負けはないのである。
いくらいい打線があっても、それ以上に点を取られれば負け。いくらいいピッチャーがいても、野手がいなければ意味がない。
それぞれのポジションに役割があり、全てが揃ってチーム力になる。
エースで4番のワンマンチームでは、そこそこ勝つかもしれないが、勝ち続けるのは難しい。コンディションもあるだろうし、バッティングに関しては相手ピッチャーとの相性もある。
一流のプロのバッターでも、3打席のうち2打席は失敗するし、スランプでどうしようも打てない時期ある。バッティングは水物だ。
このようなことから、八尾フレンドはバッティング練習よりも守備練習や走塁練習の方に重点を置いていた。
「ミスは付き物だが、いかにしてそれを少なくするか。相手のミスにいかに付け込むか」
普段の練習でこういうことを常に意識付けされていたから、試合の流れや山場を理解することができる。
他のチームと違っていたのは、まずこの点であろう。
次に考えられるのは、選手、父兄、指導者、そしてフロントとの連携が、抜群によかったことだ。
選手は自分が八尾フレンドの部員であることに誇りを持ち、父兄は子供の望みを叶えるために協力を惜しまない。
試合になると、大勢の父兄が駆けつけ、心のこもった声援を送る。選手も父兄も熱心だから、指導者もそれに応える。
フロントは強いチームを持続するためにグラウンドの確保や、道具の支給などを行う。
この辺りにも強さの要因が垣間見える。

初めての挫折

夏休みが終わり、体が一回り大きくなり始めた。
僕らは3つ目のタイトルを取るため、秋の関西大会に挑んだ。ここで初めての挫折を味わうことになる。
なんと一回戦で敗れてしまったのだ。この瞬間、「4冠」の夢が断たれた
志が高かったゆえにショックも大きい。しかも相手は同じ大阪の「河内長野」というチーム。
実は、この河内長野に負けたのは、この年だけで3回目だった。力は決して劣ってないが、苦手意識があった。
「フレンドには負けない!」
河内長野からしてみれば、そういう余裕があったのだろう。僕らの気迫は力みに変わり、相手はそれを自信に変えた。
「もう、こんな想いはしたくない」
立ち直れないぐらい悔しかったが、最後の「1冠」を必ず取ると誓い、冬を迎えた。

4章につづく

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