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エピローグ

野球が僕に教えてくれたもの

野球が僕に教えてくれたもの――それは「生き方」であり「流儀」だ。
   
野球を通じてたくさんの人と、めぐりあうことができた。
もちろんそれは現在進行形で、今でも続いている。
野球をしてきたおかげで、どんどん関係が広がっていくのだ。
幸い日本人は野球が好きな人種だ。
各時代のスーパースター、スポーツ記事の一面、幼い頃に書いた将来の夢……野球は我われの生活の一部として少なからずかかわり、生活に潤いをもたらしている。
   
僕は今年で33歳になった。現役を退いてすでに丸10年が経っている。
この歳になって、野球という素晴らしいスポーツに、僕も尽力したいと思い始めた。
方法なんてなんでもよかった。書くこともそうだろう、実際に教えることもそうだろう。
間違いなくいえることは、
   
野球は楽しい
   
と、いうことである。
   
今までどれだけ結果が出なくて悩んだり、負けて悔しい想いをしたり、つらい練習にくじけそうになったりしたことか。
それでもここまで続けてこられたのは、紛れもなく野球が好きだからだ。
   
今練習に励んでいる少年、同じ夢を追いかけている親御さんに、これだけ伝えておきたい。
子どもの夢ほど尊いものはない。
夢に向かうその姿ほどかっこいいものはない。
成し遂げたときに流す涙ほど美しいものはない。
   
夢は叶えるためにある。
誰もが平等に夢を持てる。
夢に大きいも小さいもない。
夢は決して逃げたりしない。
夢を持つことの大切さをいつまでも忘れてはいけない。

   
月並みかもしれないが、この物語も、少年時代に抱いた「夢」から始まった。
どこにでもあるような野球人生をここまで愛読していただき感謝している。
   
これからも、僕の野球人生は続いていくだろう。
だから社会人になってからの物語を振り返るのは、もう少し先にしたい。
ここで、いったん筆をおこうと思う。
   
今まで支えてくれた球友、指導者、そして僕を産んでくれた両親、応援してくれた全ての人へ、この「イナリの野球流儀」を捧げたい。
   

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