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112.手にした卒業証書

東京そして中大に来てよかった

そんな僕が卒業する。
上京したのは4年前
流行や外部の空気さえも閉ざされたPLの寮生活から抜け出し、情報過多のど真ん中へ飛び込んだ。
街は人で溢れ、「日本が動く瞬間」を目の当たりに体験した。
とてつもないスピードで移りゆく季節、そして街並み。時の流れに追いつくことは到底できなかった。
   
「東京は人も多いし、ごちゃごちゃしててホンマむさ苦しいわ」
   
こういう言葉をよく耳にする。だが僕はそうは思わない。
出逢いの数だけ幸せになり、人にもまれて強くなれると信じているからだ。
何が言いたいか……。
それは東京に来てによかったということ、中央大学を選んで本当によかったということだ。

PL時代の恩師の金言

PL学園の恩師・中村監督からいただいた色紙には、次のような金言が書かれている。
   
球道即人道
人生の財は友なり
   
これを眺めながら、ふと思うことがある。
一見野球とは関係ないゼミの友達や、文学部にいたクラスメイト
そういった仲間も、僕は野球によってもたらされた縁だと思っている。
野球をしてなければ中大には来ていなかっただろうし、仮に来たとしても誰も僕に声をかけてくれなかっただろう。
   
これからは自分でお金を稼いで生活していかなければならない。
今まで過ごしてきた野球という教育過程の経験をいかし、立派な社会人へと歩んでいくつもりだ。 そして、より多くの友をつくり、人生を豊かにしていきたいと思う。

母と祖母に見送れらた卒業式

そして忘れてはいけないのが両親の存在
僕に夢をあたえ、そして応援してくれた。僕が望む進学をさせてくれた。本当に感謝している。
まだまだ脛をかじるかもしれないけど、親の責任は十分すぎるほど果たしてもらった。
今日はお母さんと2年前に見つかったおばあちゃんが、僕の旅立ちの日を祝いに駆けつけてくれた。
3人で会うのはこれが初めて。幸せな時間だった。
卒業証書を手に2人の方へ歩み寄り、目にいっぱいの涙を浮かべ、僕はこう言った。
   
素晴らしい人生をありがとう。
そして、僕を産んでくれてありがとう
   
あたたかい春の木漏れ日に、葉桜の枝がゆらゆらと心地よく揺れ、 まるで地球までもが僕たちを祝福してくれているようだった。

エピローグにつづく

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