写真機小話 その2
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コンタックスN1試用記

(1) 02年は、コンタックスN1を意識的に使ってみました。RTS系のマニュアルをメインの機材としながら、比較てみたかったのです。コンタックスでは、初めての本格オートフォーカスカメラです(AXについては、触れません)。Bodyは、中身を金属仕上げで精度を保持しながら、外部はプラスチックです。デザインは、RTS系と同じ操作性を保とうという設計意図を感じました。

実際に使用している時の操作性は従来通りで、オートフォーカスカメラという印象がありません。RTS系の人が、違和感なく移行できるでしょう。露出補正は、ずっと進化しています。1/2ステップと1/3ステップを、自由に迷うことなく素早く切り替えられるのです。 以前から、こんなカメラが欲しかった。よく練られたカメラ、 と評価したいです。

しかし、全体にむっくりした体で、どことなくRTSの品格がなくなりました。持ったときは、実際には重たいにもかかわらず、あまり重量感・存在感を感じないのです。また、カメラの厚みが増して、体積が増えました。これは、持ち歩く時に重大な問題となります。バッグの大半をカメラが占領してしまい、ちょっとした小物やノートを入れられなくなってしまいました。

もう一つ、ファインダーが一眼レフカメラとしては、少々がっかりしました。視野率95%はともかく、倍率0.73というのは、う〜ん?!ですね。元々コンタックスのファインダーに不満がありましたが、改善されなかった。年を取って目が弱くなればなるほど、倍率は高い方がよろしい、と思うのです。年配のユーザーが多いのでハイアイポイントを採用し続けているコンタックスですが、設計の方が逆効果になっているのではないのかな〜???  ただ一点、、明るくなったファイダーには、大拍手です。


(2) レンズの感想を。バリオゾナー24-85mmF3.5-4.5は、広角側が24mmというのが素晴らしいです。28mmよりも、表現の幅は間違いなく広がります。 非球面レンズや低分散ガラスを使った効果でしょうか、シャープネスはすごいです。かりっとして、色抜けの良さにもびっくりしました。問題のボケ味です。やや硬いですね。写すものにもよりますが、背景のボケがガサガサした、線が太くなる感じなのが気になりました。

動作は、タムロンの28-200mmの如く二段繰り出しでズーミングをします。最長焦点の85mmにしたとき、前に繰り出したレンズの先端がカタカタ動くのです。これは・・、レンズの機械的な精度に問題は無いのだろうか・・????  この疑問は、いまも解決していません。絞り開放で使うのが良いかもしれません。

バリオゾナー70-300mmF4.0-5.6は、大きいですね。折りたたんだ時の長さは、マニュアルの100-300mmよりも短い。が、ググーと300mm側に繰り出すと、相当なものです。なんと言っても、太さがすごい。ボディーと同じように体積の増幅を感じてしまいます。重さは、プラを多用しているので、数十グラム増えただけなのですが。

写りは、100-300mmによく似ているように思います。ボケは、素直で好ましいです。絞り開放から使っても大丈夫。むしろ開放のボケを楽しんだ方が良いかもしれません。どの焦点距離でも、画質の印象は変わりません。コンタックスらしい、エレガントなイメージですから、従来のユーザーが安心して使えるレンズに仕上がっています。二段繰り出しのズーミングでも、鏡筒がカタカタすることなく、カッチリしています。フォーカジングの感触も柔らかく、使い易いです。

マクロゾナー100mmF2.8は、マクロです。大きさ・重さともに70-300mmとほぼ同じです。第一印象は、!?!?!? ですね。普通のマクロレンズとは、格の違う大きさです。良くも悪くもビックリします。存在感は、十分ですね。手に持ったときのドッシリした重さと大きさ、設計者の気合いに圧倒されそうです。従来のマクロプラナー100mmを流用するのではなく、設計を一新したと聞きました。前玉がドーッとせり出す方式ではなく、全長が変化しないインナーフォーカスです。これは、実に使い易いです。

3枚の異常分散ガラスを使うという贅沢設計で、描写性は満点です。マクロプラナーに比べて、シャープネスと色抜けの良さはずっと上回っているように思います。マクロの命とも言うボケ味は、文句の付けようがありません。柔らかくて素直、ほぼ理想的な描写です。花の撮影に使いましたが、汚く写ったことは一度もありません。

総じて言えること。カメラの操作性やレンズの描写は、従来のコンタックスらしさを引き継ぎながらより性能を向上させたことです。とくに、マクロゾナーは傑作レンズだと思います。オートフォーカスとしたために、カメラもレンズも体積がものすごく増えたこと。持ち歩くには大きなカバンが必要です。体力自慢でない人にとっては、辛いカメラシステムです。マクロゾナー100mmのマニュアル版を作ってくれないものでしょうか。もう少し、コンパクトにして。(2003年4月27日)