妻と私の同病カルテ 第1章                     Back
■2012/1/15
この先、どうなるものやら、不安のままのスタートです。古道具屋の商品棚、闇鍋のようなごった煮状態になる可能性大でございます。

話の前提として、私たちがどんな病気になったかを、掻い摘んで書いてみます。

妻みちこの場合
2009年11月、慢性腎不全から、あれよあれよという間に人工血液透析患者になりました。
2010年1月、追い打ちをかけるように、肺癌が見つかりました。
右肺葉上部に、扁平上皮癌。約5cm×3cm、Stage4。医師の淡々とした説明を聞きながら、
事実とは思えない妙な気持ちになったものです。

治療は、抗癌剤(パラプラチンとタキソール)、私たちの要望で放射線リニアックを併行して行う。抗癌剤は、一回の点滴で三週間。これが1クール。同年二月から四月まで、3クール。放射線は、休みを入れながら35回、トータル70グレイを照射する。これが限度。これ以上は危険。

2010年5月1日、新緑が始まり、春の柔らかく暖かな空気のなか、晴れて退院する。体力の減退激しく、歩くのがやっと。と云うよりは、立っているのがやっとという状態。マンションの階段を上るのに、足が揚がらない。

以来、毎月定期受診をしながら、癌の状況を経過観察しています。癌の厳しい治療をしながら、併せて人工透析を一日置きに(週に3回)続けていましたし、今も続けています。透析に通うという生活が普通になっています。私たちの生活は、週3回の病院通いが基本のリズムになっています。

ひろしの場合
1985年、旭川で撮影を終え、夜に車で札幌に向かう途中で、体に異変を感じる。突然、心臓が激しく動悸し、まったくコントロールできない状態に。たまたま通りかかった看護婦さんが救急車を呼んでくれ、江別市立病院に担ぎこまれる。

朝方に状態は落ち着いたので、帰宅を促される。車を運転し始めると、再び心臓の鼓動が不安定になる。やむなく車を捨てて、タクシーを呼んで、何とかかんとか帰宅する。

精神神経科を受診する。パニック症候群という診断。車の運転は、まったく駄目。電車も息苦しい。心臓の心拍数が上がるような運動をすると、たちまち気分が悪くなり、体の置き所が無くなる。精神面も不安定になる。

あれから二十数年、今は車の運転を含めて日常生活は大きな支障なく、回復しています。しかし、疲労すると症状が出てきますし、何の前触れもなく自律神経が不安定になります。

こんな病気を抱えた夫婦が、これからどんな生活を続けていくのか、私たちにも想像し難いところが沢山あるのでありますが、何とかなるだろうと思いつつ、意外と気楽に落ち着いて日々を送っているのでございます。

■2012/1/18   抗癌剤を考えた
S総合病院・呼吸器内科、定期受診。先週行った気管支鏡検査の結果、再発の様子は無い。細胞診で、癌細胞は見つからず、腫瘍マーカー(CSS、シフラ)ともに安定した数値。

「治療方針は、抗癌剤の投与です。3クールから4クールを行います」
「癌に最適な薬剤を使いますが、効果は個人差があります」
「副作用は、白血球、赤血球の減少、吐き気、頭髪が抜けるなどがあります」
「五年生存率は10パーセントです。今は元気に歩いていらっしゃいますが・・・・」

治療にあたった主治医の説明です。医師のやや悲しそうな目の色と動きが、今でも印象に残っています。言葉の裏側というか、心の中では「完治させる可能性は極めて低いです。取りあえず抗癌剤を使ってみます。副作用が強いので、寝たきりになるかもしれません」と云っているように聞こえました。

みちこは看護師ですので、基本的な医療知識は持っています。放射線治療も併用できないか検討してくれるように要請しました。主治医は「胸水があるので、放射線の効果はありません」との見解でしたが、放射線科の医師に病巣の状況をみてもらい、治療が可能かどうか相談してくれました。

放射線科の医師は、「問題無くやれます」との判断をしてくれて、最終的には抗癌剤と放射線リニアックの併用という治療方針が決定したわけです。患者もそれなりの医療知識を持っていて、疑問を聞き、あるいは医師とは違う治療方針を提案する、ということが大切だと思いました。医師のいうままに何でも任せっきりというのは、考えものです。医師が常に正しい判断をしているとは限りません。

抗癌剤のために、第1クール、第2クールでは、白血球の減少が頻繁に起こりました。倦怠感、熱発も繰り返し続きました。全身に異常が現れます。最悪は第3クールの四月でしたね。吐き気が酷く、病院食はまったく口にできなくなりました。食べられそうなものは、サンドイッチとおにぎりくらい。私が毎日コンビニに立ち寄って、おにぎりの運び役をしました。セブンイレブン、ローソン、セイコーマートとか、あちこちのコンビニで、少しでも味に変化のありそうなものを探して、病室に運び入れました。

お陰で、コンビニ弁当の種類に詳しくなりました。このように食べ物も問題でしたが、抗癌剤の効果は、全身の体力を奪っていくということです。常に体調が優れないため、ベッドに寝たり寝たりの生活に陥ります。廃用症候群という状態に日々近づいていくのです。足腰はもちろん、全身の筋力が低下して、起き上がり、立ち、歩き、物を持つという基本的な動作が出来なくなっていくのです。

癌治療という大きな旗印はあるものの、正常な細胞を痛めつけ、動ける体を寝たきりにしてしまう、まことに恐ろしい薬。それが抗癌剤というものです。医師の間では「毒」という隠語で呼ばれていると聞きました。さもありなん、と思います。抗癌剤が癌を完璧に退治してくれるものなら、そのリスク、副作用も我慢できるかもしれません。しかし残念なことに、癌を完治させる抗癌剤は基本的に存在しないと思います。

白血病など一部の癌では、抗癌剤によって生還するという優れた効果もあるようですが、ほとんどの場合完治効果は無い、と思ってよいのではないでしょうか。延命効果はあります。そして、延命の代償として、全身に不快感が続き、歩くのも困難になり、生活の質(QOL)は最低の状態を強いられます。

抗癌剤に頼る癌治療には、私たちは大きな疑問を感じています。みちこは、放射線治療の効果が大きく、ふらふらになりながらも、自宅に帰り、日常生活に戻りました。でも、いまだに抗癌剤の副作用は消えてはいません。とくに味覚障害は改善のきざしなく、美味しい物が無い、食べたい物が無い、と苦しみは続いています。

抗癌剤を使いながら癌と闘っている患者さんはたくさんいると思います。また、抗癌剤しか治療の方法が無いため、副作用に耐えながら使用している方もいるでしょう。

しかし、抗癌剤は苦しいですね。もっと副作用の少ない、まったく別の癌治療が発見されるのを期待します。

■2012/1/23  除雪が辛い
21日の夜から、断続的に雪が降っています。一日の降雪量は、おそらく10cm以内ですらか、たいして驚くような量ではないのです。それでも除雪しなければ、車の出し入れなど、生活に支障がありますので、肉体労働をしています。私のようなパニック症候群の病人には辛いです。

私の病気の症状は、突然不安に襲われるとか、狭い空間が息苦しいというパニック障害の典型的な症状はおおむね克服しています。どうしても駄目なのが、激しい肉体運動です。全速力で走るとか重い物を持ち上げるなどといったことができません。心臓が激しく動悸し、心拍数が上がってくると、それをコントロールすることができなくなります。自律神経がてんでばらばらの状態で、心臓が暴走を始めます。

今朝の降雪量は5cmくらいでしょうか。若い健康な人なら、10分もあれば済んでしまう程度です。私は、準備体操から始めます。朝食が終わってから、ゆっくり下半身を中心にストレッチをして、体を柔らかくします。それから、上着を着て、外へ。車に積もっている雪を静かに静かに掻き落とします。続いて車を移動。我が家の駐車スペースの雪を、あまり力を入れずに、ゆっくりと車道まで除雪スコップで押し出します。
こんな調子ですから、あっという間に30分くらい経過します。これで、第一回目は終了。

午後に、作業を再開します。今日は、みちこを透析に送り、帰ってから二度目の作業です。路面に張り付いている氷割りをします。これがかなり厳しい労働です。氷割りの道具を用意して、カツンカツンと表面から削り取りますが、相当の力が必要です。知らず知らずに力が入り、いつの間にか呼吸が荒くなり心拍数が上がってきます。汗もしたたり落ちるようになります。この辺りで作業の手を休めないと、心臓が暴走を始めますので、要注意、要注意です。

猫の額みたいな面積の駐車場ですけれど、放置しておくと、降った雪が氷になり、駐車スペース表面がガタガタになってしまいます。まるで古墳状態になります。隣のスペースとの境目が分からなくなり、車が傾いてしまう、近隣に迷惑をかけることにもなるので、出来るだけアスファルト面が露出しているように管理しています。氷割りはどうしても必要な作業です。私のような病気持ちには、これが辛いです。

■2012/1/27 続・抗癌剤を考えた
日本列島の上空に強烈、最強の寒波が流れ込み、日本海方面はじめあちこちで大雪になっているようです。札幌は、寒いけれども仰天するほどの雪ではないです。25日から今日まで、夜の降雪は無く、除雪もしていません。

18日に、抗癌剤について感じていることを書きましたが、私が抗癌剤を全否定しているように受け止める方もいるかもしれないな、と思いました。今日は、前回の補足を書き足しておくことにしました。

まず癌治療の基本的な手段について。(1)外科手術で患部を切除する。(2)放射線照射で癌を死滅させる。(3)抗癌剤を投与する。現時点での医療的な対処は、以上の三つです。(1)と(2)は、局部に発生しそこに留まっている病巣、腫瘍を直接取り除いたり、焼き切ってしまう方法です。(3)は、癌が全身に転移している、あるいはその可能性がある場合、もしくは外科的手術も不可、放射線も使えないという場合の手段です。

実際の医療現場では、患者さんの状態と腫瘍の性格などを総合的に判断して、(1)と(2)と(3)を適宜組み合わしているのではないでしょうか。みちこが治療を行った病院でも、他の患者さんを見ていると、そのように感じました。

抗癌剤は、開発の歴史が長く、色々なタイプのものがあるようです。以前は、癌細胞も叩くけれど、全身の正常細胞にも手酷いダメージを与えるものしかありませんでした。私も含め、多くの人はそう思っているはずです。最近は、癌細胞にだけ働きかけて縮小させる薬剤も開発されているようです。ただ、そうした類のものは一部の癌だけで、まだまだ種類が少ないのが現実らしいです。この手のものは、当然副作用も少ないものと思います。

抗癌剤特有の副作用を抑える薬も開発され、患者はひたすら苦痛を耐え抜くしかない、という状態はなくなりました。たとえば、白血球を増やす薬、吐き気を抑える薬、食欲を増進する薬などは、みちこも使いました。そういう意味では抗癌剤を上手に使う方法は、当初に比べれば大きく改善されています。ただ、これらの薬も野放図には使えません。

抗癌剤に頼らなければならなのは、癌が全身に広がっている場合でしょうね。目に見えない、まだCTやMRIにも写らないような小さな癌がありそうなケースでは、積極的に抗癌剤を投与する方法に切り替えるしかないと思います。同時に副作用を抑制する薬剤を使ったり、抗癌剤の投与方法をコントロールしながら、苦痛がないようにする。

癌になったら、治る場合もあります。治らない場合もあります。治らない状態であるならば、癌と末永くお付き合いするしかないでしょうね。「癌という慢性疾患になっている」と、心の底から納得して生きていくしかありません。もしも、抗癌剤を使うことで癌が大人しくしているようであれば、幸いというものです。できるだけ副作用を抑えながら、抗癌剤を使うことを、私は否定しません。それによって生活の質(QOL)も安定するのであれば最善です。

ただし、現実には副作用の無い抗癌剤は無いと思いますし、抗癌剤によってQOLが著しく低下することの方が多いと思います。また抗癌剤だけで癌が完治するのは、ほぼ期待できないでしょう。

■2012/2/3  あれから二年に
新年を迎えたと思っていたら、もう二月。しかも節分。明日は、立春です。時間は流れる、休むことはなく。

昨日は、口腔外科受診。唾液が異常に排出されて、しかも酸っぱい、塩辛い、甘いと、その味が交互に変化するという奇妙な症状が続いています。唾液が出ないドライマウスよりは良い、という歯科医師の評価ですが、口の中がおかしな味で満たされるのは、たまったものではないようです。原因は不明。私は、抗癌剤の後遺症ではないか、との疑いを持っているのですが・・。断定はできません。

二年前(2010年)の二月二日、みちこは癌治療のため、第1クール目の抗癌剤を点滴投与しました。あれから二年、こうして生きて日常生活を送っているとは、当時は想像できませんでした。80パーセントくらい、死を覚悟していましたから。人の生命力というのは理屈で推し量ることできないものですね。みちこも覚悟を決めて、死ぬ準備を少しずつ始めていたのです。

三ヶ月に及ぶ治療の結果、大きな腫瘍が概ね消えて、脳などへの転移もみられなかったのは、本当に奇跡的なことです。治療後の新しい主治医は、「厳しい治療を耐えて、しかも転移や再発が見られないとは、素晴らしいことですよ」と我が事のように喜んでくれました。ただし、これからの経過を慎重に診ていかなければならないこと。油断はできないこと。もしもの場合には次の治療も考えなければならないこと、などを丁寧に説明してくれました。

今後どうなるかは、神のみぞ知る。不安な患者の気持ちに寄り添うような言葉をかけてくれた主治医に感謝しています。

二年前は、節分、豆まき、恵方巻きなど考える余裕はまったくありませんでしたが、今年は「変わった恵方巻きがあるね」などと世間並みの会話を交わせるようになっていることに、病を抱える夫婦は幸せを感じています。

昨日の夜から降雪があり、朝には20cm超の積雪がありました。第一回目の除雪を朝食後に。そのまま晴れるかと思いきや昼間もウジウジと断続的に降り続き、昼過ぎまでにまたも20cm近くの積雪に。昼食後に第二回目の除雪。久しぶりのまとまった雪と除雪作業で、体のあちこちが筋肉痛になりました。やはり歳を感じます。

■2012/2/4  腸の調子が
昨日(3日)の透析後から、腸の調子が悪くなってきました。軟便になり、若干血も混じる。腹部に痛みも。昨年も一度あった症状です。急遽、透析科を受診に病院へ。医師から抗生剤(クラビット)を処方される。服用して二時間後には効果が現れる。薬の威力に感心しました。

これは、透析患者にまま見られる症状です。腸内の常在菌、人間なら誰でも腸内に同居をしている、居候のようなものでございます。健康な人なから、特別異常な症状を呈することはありません。それほど強い毒を持っている生き物ではありませんので、何の心配もないのです。

ですが、透析患者になると、全身の免疫力が低下してきますので、まれに今回のようなことになる場合があります。腸内常在菌のみならず、あらゆる感染症に気をつけながらの生活です。食べ物の管理、とくにカリウムとリンの摂取量は厳格にやる必要がありますし、感染には注意をはらわなければならないし、透析患者は楽ではありません。

というようなことも含めて、この病気を受け入れないと憂鬱になって、生きているのが苦しくなります。

■2012/2/6  カメラを買いました
今日から、札幌の雪祭りです。たくさんの観光客がいらっしゃる大イベントです。大通公園周辺は、交通規制がされて、都心部に入ると車の渋滞が著しいはずです。どこに行っても人人人ですから、私たちは病気の身でもあり、自宅でしばらくじっとしています。大寒波から抜け出して、今日はとても穏やか。気温もプラスになっているようです。絶好の祭りスタート日です。

久しぶりにカメラを買いました。カメラに関心のない方は、読み捨てていただいてけっこうです。ここからの話は趣味に属します。オリンパスのE-P3というやつです。昨年発売になり、買おうかどうか長きにわたり検討を重ねてきたものです。

一眼レフというカメラはよく知られていますね。レンズから入って来る光を、カメラボディ内の鏡で反射させ、ペンタプリズムというものに導き、そこに写される画像をファインダーから覗いて見る方式になっています。ところが、デジタルカメラが優性になってきて、ボディ内の鏡(ミラー)を無くしてしまおうというカメラが現れました。所謂ミラーレス一眼カメラと云うものです。

このミラーレス、優れた点が多いのです。画質は従来の一眼レフと基本的に変わりません。ミラーを無くしたことで、カメラ本体がとてつもなく小さく軽くなったのです。私は、とある一眼レフを愛用してきました。システムは、カメラ一台、広角から望遠までをカバーするレンズ一本、近接撮影のためのマクロレンズ一本。大雑把に、これだけの機材を持ち歩きます。とてもコンパクトな組み合わせではありますが、重量は2200グラムくらいになります。

ミラーレスのE-P3の場合、カメラ一台、14-150mmのズームレンズ一本、45mmマクロレンズを組み合わせて、約950グラム。写真を撮るという機能性では、まったく変わらないシステムなのに、その重さは半分以下。もちろん大きさも格段に小さくなっています。自分が抱いてきた常識が完全に覆されて、半分はショック、半分は感激と嬉しさですね。肉体的な負担がとんでもなく軽減されるわけで、私のような爺の仲間に入りつつある人間には最適です。腰痛も緩和されるに違いない。

このカメラ、欠点が無い訳ではありません。レンズから入って来る生の光を見ることができません。すべて液晶のモニターかビューファインダーで画像を見ます。ペンタプリズムが作る美しい光の画像に比べると、だいぶ感覚が違うし、被写体の細かいディティールを観察するには、一眼レフに比べて見劣りします。その点は妥協するしかないですね。

手にしたE-P3が気に入ったので、これから雪が解けて、新緑を迎えるのが楽しみです。軽くて、小さくて、体に優しいカメラを持って、みちこと一緒に北国の花見をするのが待ち遠しいです。のんびりと森の中を歩くのは気持ちが良いですよ。

■2012/2/12 調子が悪い
天気予報外れ。朝から晴れ間が広がり、まずまずの天気。早いもので、さっぽろ雪祭りも今日が最終日だそうです。

先週から腸の調子が悪い。良くなったり、悪くなったりのアップダウンが激しく、気分も憂鬱になっているようです。最初は抗生剤クラビットが効いていたのですが、再び菌さんたちが暴れはじめます。抗生剤は、副作用があります。そのため、透析患者は服用量を幼児並みの量に減らして使うのです。ですが、どうしても効果も減ってしまいます。思い切って抗生剤を必要な量だけ使えないという事情があります。で、なかなかすっきりと治ってくれません。

10日、血痰が多いので呼吸器科を受診する。外来の担当医から血痰が出る理由を説明してもらいました。先月に気管支鏡の検査をしてから、ずっと血痰が出続けていたので、やや不安があったからです。医師の説明は理解できましたので、いずれ収まってくるものと思います。効くか効かないか分からないが、止血剤を処方されました。癌の再発の他に、放射線治療の火傷の跡は元のような状態には回復しないので、ちょっとした刺激で咳が出て、出血がある、とのこと。慢性的に咳や血痰とはつきあっていかなければならないようです。放射線治療の跡を写真で見ました。腫瘍があった部分が真っ黒に焼けただれています。ケロイド状になっているように見えます。

その他この担当医と、最初の発症時、癌の診断、治療、医師の患者に対する対応の仕方など、けっこう広範囲に及ぶ会話をしました。多くの点で、患者側からは納得できない話が出てきまして、未だに気持ちはぐずぐずして霧の中に居るような気分です。診断、治療について、二年前には当時の主治医からは伝えられていない話もしくは見解を聞かされて、まったく釈然としません。

一番気になったのは、医師が治療にあたって患者に対する気持ちや対応の方法です。これらの点は、まだ私たちも自分の気持ちをどのように整理して良いか、考えがまとまっていませんので、文章にできるようになりましたら、この欄に書きたいと思っています。

■2012/2/14 ついに入院
今日はバレンタインデー。私もみちこから、大人っぽいほろ苦い味のするチョコをプレゼントされました。ただし、一遍に食べちゃだめ、と三本ほど太い釘を刺されました。夫婦でも、ちょっとした愛情表現と感謝を示すのは必要なことですね。

みちこは、昨日ついに入院と相成りました。先週金、土、日と抗生剤の効きが芳しくなく、軟便に血液が混じるし、痛みも収まらない。月曜の朝、主治医に連絡を入れました。ただちに来院することと、入院を促されました。入院の準備をして主治医と消化器内科の医師の診察を受け、状態が悪いのと、体力が減退しているので二週間程度を目処に入院治療することになりました。

抗生剤の効果があまりないということもあり、細菌性の症状ではないかもしれない。大腸癌、虚血性の出血などの可能性もある、との説明です。大腸のカメラ検査をすることになりました。沢山の(通常2リットル)下剤を飲まなければならないし、大腸のくびれた部分をカメラが通る時に痛みがあるし、みちこ本人はあまり好きな検査ではありません。が、病気の原因を見つけるために我慢するそうです。

昨日の夕食から、コップ一杯(200ccくらい)の流動食を食べ(飲んで)いるのですが、便意が激しく、かえって調子が悪くなったそうです。今夜からは止めにするとのこと。その代わり、点滴でカロリーと水分を補給することにしました。体力を回復するには、不十分ですけれども仕方ありません。点滴のカロリー概ね500Kcalくらいしかありません。

■2012/2/19 幾分回復へ
大腸検査の結果、出血の跡が見られ、虚血性の炎症と出血があったようだとの、消化器科の医師の話でした。透析患者は、血液の流れが悪くなることが多いので、今後も注意して生活するようにとのことです。腸の機能が弱って、大腸内の常在菌が同時に暴れていた可能性もあります。

その後は出血が無いので、16日夕食から七分粥が出るようになり、少しずつ口に物を入れるようになりました。最初は吐き気があったのですが、昨日からじょじょに回復傾向になり、食事を全量摂取できるようになりました。でも、まだ七分粥ですから、本格的に口から栄養を摂取出来るようになるには、もう少しかかりそうです。依然として、点滴は継続中です。

我が家には、ごろう君とごくうちゃんという猫が住んでいます。この二人、ご主人様が入院しているというのに、まったく心配している様子がない。ゴロゴロとかニァーニァーとか、私の目を見つめて鳴くときは、「ご飯ちょうだい」ということに決まっている。あとは、甘えて膝に乗るくらいが関の山。家の中に居て、特別にするべき事がないらしく、寝んだくれている。日がな一日、おそらく三分の二は意識朦朧である。

妻寝込む 猫も寝る 亭主寝て花ならず

■2012/2/29 退院になりました
今日は、二月二十九日。四年に一回の閏年。ということは、明日から三月なんですね。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

鴨長明が書き綴った「方丈記」の、有名な冒頭文です。月日の流れを考えると、無性に胸に響いてくる言葉です。仏教の諸行無常という言葉とも否応なく繋がってきます。諸行無常を「人生ははかない」と理解している人も多いかと思いますが、本来はそういう感情的なものではなく、全ての事物、物質世界は固定していることはない、常に動いている、という冷徹な意味でありましょう。

今日は、閏年ということで、一つだけ好いことがありました。近くの魚屋さんに行ったら、半額市をやってました。「本来無い日だから、やっちゃえということで、本日半額」とのことでした。美味しそうな黒ガレイを、何と三百二十四円で手に入れました。

みちこは、先週25日、やっと無罪放免となり、我が家に帰りました。出血していた腸が回復し、炎症があった胃も力を取り戻し、入院後半は食事のほぼ全量を摂取できるようになり、点滴も必要なくなりました。体重は2Kg程度減少したみたいです。そのため、透析のドライウェイトも下げて、除水量も調節しました。透析科のドクターのお陰で、おおむね安定した状態です。これからは、体重を元の状態に戻すことが目標です。

寝たり起きたりの病院生活で、手足の筋肉が衰えるのでは、と心配していました。自宅に戻ってみると、意外と普通に動けるのでほっとしました。普段からエアロバイクで足の筋肉と肺機能を高める運動を、無理のない程度に毎日続けてきたので、その成果があったようです。二週間足らずの入院では、大きく筋力が落ちることもなく、本当に安心しました。自宅に戻った翌日から、またエアロバイクを始めています。

私は、しばらく除雪に追われていたことや、確定申告や、やや面倒な契約などで時間を取られていたので、ちょっと運動不足です。みちこと一緒にステッパーを使ったトレーニングを毎日していたのに、上記のような理由で、さぼり気味。みちこに負けないように、春からの山歩きに支障がないように、再び運動を始める決意をしています。

■2012/3/8 画像処理ソフトを購入
みちこは、かなり回復してきました。ニシンの焼き魚、黒カレイの煮魚を美味しいといって食べましたし、珍しくラーメンを食べたいと云ってお店に行きました。食欲が発現してきたので、少しずつ体重が元に戻るのを期待しています。現在は、血圧がいくぶん高めです。ドライウェイト(DW)を調整する方法もありますが、当分様子見をすることになりました。

私は、写真の制作のために使っている画像処理ソフトを最新のバージョンに買い換えました。古いものだと、Windowsの64bit版に対応していないとか、機能上の不足があります。イメージする画像を作るのに少しでも有利なものの方が善いわけです。かなりの高額、大枚をはたいて思い切りよく実行に移しました。不満を抱きながらの作業は、ストレスの元ですから。

3月4日の朝に降雪がありましたが、それ以来気温が上昇して、ほとんど雪も降りません。ずっとプラスの気温です。雪解けが急に進み始めました。駐車場のあちこちにこんもりと造作されていた氷の山が、ぐんと小さくなり、除雪(除氷)した場所は、すっかりアスファルトが露出しています。雪の無い風景が、ごく一部ですが、出現しています。

これからは、気温が零下になることは滅多にないので、降雪があっても融雪の方が勢いが強くなります。札幌にもやっと春の足音が遠くから聞こえてくるようになりました。気持ちが明るくなります。四月になると、日当たりの良い場所ではフクジュソウなどが咲き始めます。もう間もなく北国が新緑に萌える季節。待ち遠しくて、買ったカメラを磨きながら楽しみに、楽しみにしています。

■2012/3/16 地球温暖化?
今年の冬は、北極圏から次々と強烈寒波が流れ込み、西日本までもが降雪と積雪に見舞われました。とくに新潟県は、いつにもまして雪が降り続き、大きな被害が出ているようです。北海道も空知地方から道北地方にかけて、また道東も異常な降雪量になりました。空知の岩見沢市では、バス路線が全面運休になるような状態がしばらく続きました。

地球温暖化だとか地球環境が危ないとか南極の氷が解けるとか、異様なまでの危機感を煽るニュースが流れ始めたのはいつだったでしょうか。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第一次報告書が出たのが1990年ですから、この後からのことでしょう。IPCCの主張は、「人間のCO2を排出する活動が、地球の温暖化を招いている」というものです。有名なホッケースティックという気候変動とCO2が相関関係にあるとするグラフは、一躍有名になりました。

2009年は、これまた世界を驚かせたクライメートゲート事件が起こります。IPCC内の大量のメールがネット上に流出したのです。そこにはIPCCが地球温暖化とCO2を無理矢理関連づけるために、様々なデーターの改竄をしたり、温暖化に懐疑的な主張をする科学者の論文発表を妨害したりしたことが明瞭に書かれていたのです。例のホッケースティックも、IPCCの主張に都合の良いデーターだけを使い、都合の悪いものは排除して捏造されたものでした。

先日「北海道新聞」で、地球温暖化の主因はCO2だという立場に立つ学者が、この十年くらいは地球の気温は安定している、と述べていました。まず地球は温暖化しているのか、という問題です。二十世紀になってからだけでも、上がったり、下がったり、上がったりを繰り返しています。CO2の排出量とは、まったくと云っていいくらい相関関係は無いようです。

CO2に関しては、第二次世界大戦が終わってからは、間違いなく右肩上がりで、急速に排出量が増加しています。断言できるのは地球の気温とCO2は相関関係は無い、ということです。では、因果関係はあるのか。極々僅かですが、理論的にはあります。しかし、地球の気温を押し上げている主因であるとは言い難い、というのが現在の科学的な結論になりつつあります。

地球の気温を決定するメカニズムが少しずつ分かりかけているようで、最も注目されているのは太陽活動の強弱です。太陽の活動が活発になると、気候は上昇気味になり、低下すると低温下するという相関関係があるそうです。その他、まだ分かっていない地球内部のマグマの変動、海流の流れなど、まだまだ研究は途上にあると云ったところでしょう。

私には、なぜCO2がこんなに悪者扱いされるのかが、よく理解できません。少なくとも、地球の気温に決定的な影響を与えている物質ではありません。大気中に僅か0.04から0.05パーセント程度しかないものです。地球の過去(歴史)を考えると、もっともっとCO2の多い時代もあったのです。海中に溶け込んだり、石灰石になったり、植物に吸収されたりしながら、現在は地球史上最低の量です。

我々動物の生活を支えてくれているのは植物です。その植物が太陽光と水とCO2を使って光合成をし、私たちに食料を提供してくれています。植物の立場になれば、これ以上CO2が少なくなるのは困ったものだ、ということにはなりはしないのでしょうか。もちろん植物の活動と成長に支障が出て来れば、私たち動物はまったくのお手上げ状態となります。絶滅も覚悟しなければなりません。

依然として地球温暖化を防ごう、CO2を減らそう、低炭素社会の実現を、などと叫んでいるNPOや環境活動家がいることを承知しています。私は、もう少し冷静になって科学的に思考を巡らせてみてはどうかと思います。なかには「環境」自体を活動の目的にしたり資金集めの理由にしたりする怪しい人たちも一部存在するとのこと。

今冬は、連日寒い日が続きましたし、実際に被害も多発しています。温暖化を心配するのも悪くはないけれど、もしも寒冷化したときの状況を考えているのでしょうか。こちらのほうが、実はとても深刻だと思います。食料を作る場所、農地が大きく減少するに違いありません。今でさえ、食料の配分が不公正で、アフリカなどの経済的に弱い国、内戦が続いている国などでは慢性的な食糧不足になっています。多くの小さな子どもたちが餓死するという痛ましい現実があります。

このうえに寒冷化などという自然の力が加わってくると、多大な犠牲者が出るであろうことは想像に難くありません。もちろん人間だけでなく、生物にとっては極めて厳しい状況に追い込まれます。温暖化の場合は、食糧増産の可能性がありますが、寒冷化の場合は間違いなく減産でしょう。北海道では米が作れなくなるでしょう。日本人が米を食べられなくなるかもしれません。

少し堅い話になりました。私は、宣言どおりに体力強化のトレーニングを始めました。雪が解けたら、大好きな花に会いにいかなければなりません。花のためにも、これ以上CO2を減らさなくても好いと思いますが。

■2012/3/24 寒いです
三月下旬に入ってからずっと、気温の低い日が連続しています。零下にはならないけれど、曇り、時々雪という日が多いですね。太陽が清々しく春を呼び込むように輝いてくれないのです。ちょっとでも風が吹くと、解けきらぬ雪の冷たさを一緒に運んできます。真冬なら諦めもつくけれど、本来なら大半の雪が解けている時期なので、憂鬱さがつのってきます。

みちこは、体調は特別悪くはないのですが、一所懸命に食べているの思うように体重に反映されません。少し焦り気味です。透析のドライウェイトDWをなかなか上げることができません。血圧が若干高めに推移しているのが気になります。

水曜日に呼吸器内科の受診をしました。特変無し。二年前に治療した病院の主治医から、現在の病院の担当医に宛てた「手紙」のコピーをもらいました。当時の診断内容が書かれていました。細胞診の結果、classVと判定、異常細胞を認める。胸水があり、癌性の胸膜炎の可能性がある。したがって、stageYの扁平上皮癌として治療を開始した。という内容です。

現在の担当医の話では、classVは癌陽性を疑うが、確定的なレベルではない。当時の判断として、主治医は最悪の場合を考え、癌との診断をしたのであろう。それを確定的なものとして、治療方針を決めて治療を開始したと思う。緊急性を要する判断なので、当然の対処であったと思う。今だからこそ、医学的に癌でなかった可能性もある、と云えるのです。このように説明を受けました。

細胞診とか組織診とか、その判定方法などは、極めて専門的で、判定する人の技量も問われる難しいことです。今だから云えることですが、当時の主治医からは上記のような詳しい説明があってしかるべきと思います。細胞診の判定については、微妙な問題がありますし、専門家でも迷うことがあるとは思います。それでも、classVという判定の結果と現実の病状から、どうしてもstageWの癌と判断するしかない、そして最善の治療をするのがベストだ、と分かり易く説明してほしかった、とつくづく感じています。

当時は、検査の内容を正確に知らせてもらえず、結論と治療方針だけを聞いた。そしてそれを納得するしかなかった、ということです。みちこは看護師でもあるし、説明を受ければ十分理解する能力とどう対処するべきかを判断できる人です。当時を思い起こして、あまりに素っ気ない医師とのやりとりに少しがっかりしています。われわれ患者と家族は信用されていなかったのか・・・。

私は、ステッパーを使った足腰のトレーニング、ストレッチなどを続けています。怠けていた分、腹筋と背筋の力が少し低下しています。絶対に元に戻して、やや膨らんできた下腹の脂肪の塊を解消します。ストレスにならないように頑張ります。

■2012/4/2 相変わらず寒いです
昨日、今日と降雪がありました。この季節ですので、降雪は珍しくないのですが、気温が上がりません。本日も、1度か2度くらいです。寒いから、雪解けが進まない、風が吹くと冷蔵庫の中にいるみたいな感覚です。自然のなせる技、仕方ないですね。

春が待ち遠しい。真っ先に見られる花は、フクジュソウでしょうか。続いてイチゲの類です。いずれもキンポーゲ科に属する花。雪が解けるのを待ってましたとばかりに、頭を持ち上げるフクジュソウ。黄色い花が、春の陽光の中で輝いています。こうした花々を楽しめるのは、我が家の近くでは「野幌森林公園」です。車で10分以内で行ける、近距離です。面積は、約2000ヘクタール。札幌、江別、北広島、三市にまたがって隣接する、日本でも珍しい都市隣接の平地林です。1968年に、北海道立自然公園に指定されました。

私が自然の美しさに惹かれるようになるきっかけを作ってくれたのは、この森なのです。私の好きな春の妖精、カタクリが自生していないのだけが、ちょっと残念です。それ以外は、大半の植物、花が見られます。北海道開拓時代の原始的風景を残した森で、カツラの巨木の前に立つと、その存在の大きさに圧倒されます。人間は、頭は優れているが、彼らほど長い年月を生きることはできません。

人間は、コンクリートで固められた所に住んでいても、とくに不快になったり、気が狂ったり、不都合を感じることがないようです。東京や大阪のような人工物で成り立った環境でも、それなりに生きているし、むしろ「便利だ」と感じているようです。人間は、何が何でも自然が無ければ生きていけない、という存在ではないのかもしれませんね・・・・。私は、ダメなのですけれど。

ヨーロッパの人々は、歴史的には森や自然は敵であり、一掃する存在でした。赤ずきんちゃんという童話では、怖いオオカミは森に住んでいます。魔物がいる場所であり、人が繁栄するためには、木は切り倒すものでした。切り倒した結果、人間が生きていく上でとんでもない不都合が生じたので、彼らは森を再度、人間の手で作りあげました。それが、現在のヨーロッパの風景です。したがって、自然林というのは皆無で、人工林ですね。町並みと森と川とのハーモニーは、実に美しいものとして楽しめます。

日本は、自然環境の特殊性と古代から自然を敬う感情があり、自然を敵とは考えませんでした。だから、今でも多くはないでが、自然林、原生林と呼ぶにふさわしい森が全国に存在します。自然林といいながらも、日本人は適度に森を管理し、あるがままに放置してきたのではありません。伐採の範囲、間隔などを考慮しながら、自然の力が失われないように、仲良く共に生きてきたと云えましょう。日本人の自然観では、「自然は、自分の上にあるもの」という感覚がとても強いと思います。

私は、生活の周りに自然が存在しないと体調が悪くなるタイプです。カメラを向ける対象も、自然や花が多くなりました。時々東京などの大都市に行くことがありますが、街を歩いていると頭が痛くなるし、自律神経がザワザワと波だってくるし、とっても具合が変になります。寒い、寒いと文句を云いながらも、北海道・札幌から離れられないのは、自然の多寡が大きな理由です。

私のような人間もいるわけだから、やっぱり人間は自然が必要なのてしょうか・・・。よく分からなくなってきました。

■2012/4/10 血管が細くなり
昨日今日と、とても暖かい日になりました。しつこく居座っていた雪も、グググーッと見る間に解けています。随分遅れましたが、札幌にも春がやってきしまた。空気が暖かいと、体もゆったり、心も晴れ晴れ、眉間に寄っていた皺が小さくなったように感じます。嬉しい。

みちこは、先日来透析科の看護師さんとドクターから「シャントの上の方の音が弱い」と云われていました。ドクターは、シャントの一部が狭窄している可能性があるので心配だから、循環器科を受診するように勧めてくれていました。受診の予約がとれて、昨日診察を受けました。ステートでシャント周りの血管の音を聞いて、「ここから上が音が小さくなっているので、やはり狭くなっています」との診断です。

シャントというのは、血液透析患者が、腕の動脈と静脈を手術で繋いで、血管を太くしたものをいいます。透析の際に、血液を出す針と戻す針を刺すのですが、その二本の針を穿刺(せんし)するために作るものです。このシャントの血流が悪くなると、機械に正確な血液流量がとれず、透析機能がうまく働かなくなります。シャントの管理は、とても気を遣うものなのです。

循環器内科のドクターは、「連休明けに入院して、狭くなった所を広げる手術をしましょう。三泊四日くらいかな。血管に風船のようなものを入れて、狭い部分を広げます。」とのことでした。みちこは、「えーっ、また入院ですか。日帰りでできませんか」とごねていました。二月に入院して間もないので、入院はしたくないという気持ちが強いのです。そうは云っても、簡単とはいえ手術だし、透析もあるので、入院やむなしと、諦めたようです。必要な入院だということは、冷静になれば理解できますからね。

ちょうど桜や梅が満開になる頃で、シャントを直して退院し、花見に行くのを楽しみにしょうと、話し合いました。入院前には、フクジュソウ、ニリンソウ、エンゴサク、ミズバショウ、リュウキンカ、ナニワズ、フッキソウなど春の妖精たちが咲いているでしょうから、こちらも見に行くのを楽しみにしています。北海道は、春の花と云えば、桜だけではなく、梅、新緑前のスプリングエフェメラルが素晴らしいですよ。

みちこは、味覚障害がずっと続いていたのですが、最近はオレンジジュースが飲みたいとかラーメンを食べに行こうとか、ふと食べたいなと感じるものが増えてきました。抗癌剤の副作用が、少しずつ消えてきているのかな、と思っています。でも、まだまだ食べられる食事のメニューは多くはないです。ゆっくり、ゆっくりでいいから、回復すれば好いと思います。

わたしは、そろそろ健康診断に行かなければならないのです。何となく決断がつかず、うじうじとしています。もう歳なんだから、定期検査は絶対必要だと思う。さっさと検診センターに予約すれば済むことなんだけど・・。優柔不断な自分が情けない。

■2012/4/18 新任のドクター
みちこ、呼吸器内科の定期受診でした。四月から着任したドクターと初顔合わせ。まだ三十代とおぼしき若いお医者です。診察室に入ると、「今度来ましたYです。よろしくお願いします。体調は、如何ですか」と丁寧な挨拶から始まりました。どんなドクターなのか、会うまではや不安がありましたが、「普通の人の感覚」を持った医師と思われ、第一印象での不快感はなく、安心しました。偉ぶった雰囲気を漂わせていないのは、患者側としてはとても気持ちが良いものです。お互い、人間ですから。

前任のドクターは、三ヶ月に一回の気管支内視鏡検査をしていたのです。癌の再発を心配して、慎重を期してのことと思います。Yドクターは、「それは辛かったでしょうね。診断ははっきりしているので、具体的に腫瘍が大きくなるとか、何らかの変化がみられるようなら、その検査が必要です。当面は、CTやレントゲン撮影で様子を観察することにしませんか。PETもやれば良いというものではなく、その必要性があれば行いましょう」とのことです。

同じ病気に対しても、医師により対応の仕方、治療の考え方に違いがあるものだと、つくづく感じました。前任のドクターは、徹底追究タイプ。新任のYドクターは、必要性の無い検査・治療はなるべく避けて、患者の負担を少なくしたい、検査・治療のタイミングを計るタイプ。どちらが良いか悪いかは、即断できないと思います。患者としては、専門知識を身につけたドクターにある程度は一任するしかないので、お互いが人として信頼関係を持って、共に病気と向き合うしかないと思いますね。

Yドクターは、極希に出る血痰が気になるようで、いずれ様子を見ながら検査ということになるかもしれません。気管支は、放射線治療で真っ黒に焼けただれているので、その傷の治りは遅いし、完全には元に戻らないから、血痰が出るのはやむを得ないかもしれません。

近くの公園の雪がやっと解けて、園内を一望できるようになりました。西側の日当たりの良い場所にフクジュソウらしきものが、頭を出しているのを見つけました。まだまだ冷たい風が吹く毎日なのですが、ついに花の季節が目の当たりであることを感じられ、嬉しいです。先日野幌森林公園に行ってみました。まだ積雪が20cm位ありました。この数日温度が上がり、雨も降ったので、雪は間もなく消えるはずです。こちらの方も楽しみです。フクジュソウの群落が散策路の両側を埋めて、眩しいほどに黄色の花が咲き乱れます。

■2012/4/21 フクジュソウが開花
朝から青空。カーテンを引いたとたんに、明るい光が飛び込んできました。気温もぐんぐん上がっています。外の様子が気になり、気持ちがソワソワしてなりません。さっそく野幌森林公園へと、車を走りらせました。林内は、ほとんど雪が解けています。遊歩道上だけが、まだ残雪が居座っています。日当たりがよくて、雪の無いところでは、早くもフクジュソウが開花して、眩しい黄色が点々と見えます。

ほんの少しですが、ミズバショウも小さな花を咲かせていました。こちらは、群落が真っ白になるには、まだ少し早いようです。みちこの体調もまずまずのようですし、来週には花見に行こうと計画しています。チャンスを外すと、また一年待たねばなりませんから。

■2012/4/25 雪解けの野幌森林公園
昨日、午後から野幌森林公園に、みちこと二人で花見に行きました。林床は、もう雪はありません。でも、しつこく散策路上に残雪ありです。目的のフクジュソウ、予想通りに咲いていました。満開とは云えませんが、小さな蕾から、背丈10cmくらいのものまで、可愛らしい黄色の花が点々と、あるいは群落になっていました。ミズバショウが、予想以上に成長して、もうほぼ満開状態です。今が見頃なので、興味のある人は、見に行ってください。真っ白な花で、清潔感があります。みちこは、あまり好きではないそうです。形に違和感があるそうで・・。

ザゼンソウ、ミズバショウと同じサトイモ科の花、これが地面から顔を出しています。間もなく咲き始めるでしょう。みちこは、ミズバショウ以上に好まないようです。あの独特の色調が、形も含めて違和感があるそうです。私も、ちょっときつい色だと思います。その他、フッキソウが小さな蕾を付けているし、エンゴサクがこれまた5Cmほどに体を成長させています。これらは、連休になってからの開花でしょう。

林内には雪解け水が水溜まりを作っていたりして、歩きづらい場所もあります。散策を楽しむ人は、出来れば長靴かトレッキングシューズを履いた方がよいでしょうね。今年最初の老夫婦の花見でした。躓くこともなく、無事に歩けました。冬でも、怠ることなくトレーニングを続けていたお陰で、山歩きは大丈夫です。購入したミラーレス一眼カメラE-P3の調子も最高。綺麗な色彩を再現してくれました。

みちこは、シャントの音が弱いのと、通常血圧が140前後にまで上がっています。以前は120位だったから、少し高めで推移しています。血管が動脈硬化気味で、血圧上昇になったのかな、とあれこれ可能性を考えてはいます。ドクターも知っていることですので、もう少し様子見というところです。でも、やはり心配なことが増えました。腎臓が機能不全だと、体全体に悪い影響が出てくるのです。

■2012/5/3 滝野すずらん公園
大型連休後半の初日というのに、全国的に天気は良くないようです。午後から雨が降るという予報なので、我ら老夫婦は、10時前に自宅を出発して「国営滝野すずらん公園」に行くことにしました。4月28日には野幌森林公園で、フクジュソウ、エンゴサクが満開になっているのをたっぷり楽しんで来ましたし、そろそろすずらん公園も花が見頃ではないかと予想してのことです。

中央口から入り、森になっている所に春の花が咲くのを知っていたので、二人で斜面を登って行くのですが、花は無い。エンレイソウがちょこちょこ顔を出しているだけ。拍子抜けというか肩すかしを食ったというか、期待通りではなかったのです。仕方なく、東口まで行ってみると、園芸用のスミレの花が鉢に植えられ、ずらっと並べられています。せっかく来たのだから花は花、これを見ていこうと思い、一鉢一鉢じっくり眺めておりました。「こんにちは、ボランティアでガイドをしています。ご説明いたしましょうか」と声をかけてくる男性。私どもよりもやや老人のようであります。昨年からボランティアをしているとのことで、花に関してはまだ初心者だと謙遜しておりました。

スミレは、全国のブリーダーという人たちが育成した変わり種のもので、入場者に見てもらい気に入ったものを投票してもらうのだそうです。スミレのコンテストです。大きい花、小さい花、上の花びらと下の花びらの色が違うもの、八重咲き(花びらが五枚ではなく八枚)、フリルになったもの、花びらの一部に色が入ったもの、まるでクロユリみたいに真っ黒い花のもの、ウサギのような表情に見えるもの、じっくり見ているとこれほど様々な形と色に仕上げる努力に感心してしまいました。

ボランティアさんは、今日は天気が悪く暇ですし、まだ咲いている花があるのでご案内します、とのこと。それじゃせっかくの好意ですから、お願いすることにしました。東口からさらに山側に向かって斜面を登ると、ありました、ありました。カタクリとエンゴサクです。大規模な群落ではありませんが、鑑賞するには十分な花が咲いています。春になったら、これを見ないと気持ちがすっきりしません。リュウキンカも小川沿いに咲いていて、曇りのどんより空気をきらきらさせていました。真っ白なキタコブシの花も眩しいくらいです。

シラネアオイが地表から頭を出して、成長を始めています。今月末から来月あたりには満開になるか・・。これが咲いたら見事だと思いました。一通り散策路を巡って下に降りて来たら、すでに12時を過ぎています。ボランティアさんにお礼を申し上げて、私達はレストランで食事をすることにしました。気温が12度か13度で、風が吹いていたので、寒いくらいでした。みちこは滝野ラーメン、わたしはビーフシチュー。

天気は悪いし花も見られないかと、消沈しかけていたのに、お目当てのものに巡り会えて良かったと、二人で喜んでいます。冬の間から室内で、こつこつと体力維持に努めた甲斐があって、山歩き里歩きにはまったく苦痛を感じません。みちこの体力は、外遊びに耐えられる状態を保っているので安心しました。血圧がやや高目なのが、気になります。来週入院したら、ドクターに子細に検討してもらいます。

■2012/5/11 シャントの改善手術
大型連休の後半は、初日から悪天候で、結局最後までグズグズした空模様でした。5日の午前中は曇り日でしたが、野幌森林公園に花見に行きました。ヒトリシズカ、エンレイソウが満開でしたね。シロバナノエンレイソウとオオバナノエンレイソウが咲き始めていました。弱い光の中でも、これらの花は、生き生きと真っ白に輝いていました。今日あたりは、ツクバネソウが咲いているはずです。

連休が明けた月曜日、みちこは予定通り、シャントの改善手術のために入院しました。当日は、血管のエコー、心電図、足の血流などの検査と午後からは透析。翌日火曜日、午後から「経皮的シャント拡張術」を行う。肘の付け根あたりからカテーテルを入れて、細くなった血管部分を探し、そこにバルーンを入れて膨らませる、という内容です。ただ、口で言うほど簡単ではないのを知りました。血管造影剤を入れて、血管の状態を把握し、狙いを定めてカテーテルを挿入していくのですが、血管が細くなっている部分に合致するバルーンサイズを決めたり、内側からかける気圧の強さなどを慎重に決めなければならないのです。

ドクターが何度もバルーンを入れて、位置を固定するまで随分時間がかかりました。二時間半から三時間という長丁場になりました。手術には、ドクター、看護師、ME、放射線技師さんなど、総勢7、8人も詰めかけていたそうです。みちこも私も一時間程度で終わるはずと、高をくくっていたのは大間違いでした。病院スタッフのみなさんのお陰で、手術は無事に成功しました。感謝いたします。

術後のドクターの話。私としては、100パーセント上手くいったとは思えません。不満です。まだ、シャントの上の部分に細い場所があります。本当はそこをもっと広げたかったのです。術前に比べると改善しているので、しばらくこの状態で透析を続けてみましょう。新しいシャントを作るのは出来るだけ避けたいのです。今あるシャントを出来るだけ修復しながら長持ちさせるのが良いと思います。

とても誠実、丁寧な対応をしてくれて、安心しました。これからも血管に関しては、このドクターを信頼してお任せしようと思っています。翌日の透析、今日の透析で、看護師さんがシャント音を確認して、「とても良い音になったね」と云ってくれたそうです。もちろん血液流量も十分に確保できています。一安心、二安心。このところ、除除に尿量が減ってきています。以前は、一日に500ccから800cc出ていました。最近は300cc程度に減っています。飲む水の量のコントロールが厳しくなりつつあります

リンやカリウムなど、血液データーもあまり良くないので、食事には一層気を配る必要があります。透析患者、腎不全の患者はいつも緊張を強いられます。動脈硬化も進みやすいし、この病気になってみないと、第三者にはなかなか理解できないと感じています。

辛いことも多いけれど、大好きな野の花や自然の風景を見に行くことだけは、積極的に実行したいと思っています。生きている限りは、気持ちを充実させて安穏な時間を過ごすのが、人の生き方のはずです。さあ、新緑だ。

■2012/5/21 大沼公園の新緑
今日は、平安時代以来となる金環日食が見られたのですね。札幌は部分日食だったようです。というのも、丁度その時間帯、朝の7時半から50分にかけて、私達が住んでいる地域は雲が厚く垂れ込み、空を見上げても太陽がどこにあるのかさっぱり分からなかったのです。我ら老夫婦は、朝食をぱくつきながら空を眺めていたのですが、世紀の天体ショーは見られませんでした。2030年には、北海道だけが金環日食を見られるのだそうです。皆さん、それまで楽しみにしていてください。

19日土曜日から20日、私達は車で「大沼国定公園」の新緑を見に行ってきました。不安定だった天気も回復し、森を散策するには最適の条件でした。全体として少し新緑の進み方が遅れているように感じました。でもでも、ブナは早々としっかりと若葉を出しています。開いたばかりなので、淡く爽やかな正に新緑色の葉が、サワサワと吹く風に頼りなく右に左に上下に揺れています。毎年のように見ていますが、この美しさに飽きるということはありません。みちこも「やっぱりブナは綺麗」と、歩きながら呟いていました。

花も見られました。予想通りチゴユリが、小さく白い花を咲かせています。やや下向きに咲くので、彼女たちは恥ずかしがり屋なのかもしれません。カタクリと同じで、撮影するには一工夫も二工夫も必要です。背丈は10cm以下ですから。マイヅルソウは、ものすごい群落を作って、間もなく前開でしょう。スミレが上品な紫色の花で誘っています。ヤマザクラが、まだ咲いてしました。これにはビックリです。スズランが姿を見せていますが、まだ蕾も見えない。この花を見られないのは本当に心残りです。皆さんが知っているドイツスズランではなく、日本に自生するスズランです。最近ではとても珍しい存在になりました。

土曜日の夜は、クロフォードイン大沼というホテルに泊まりました。何度か利用している馴染みの場所です。夕食が楽しみなのです。フランス料理ですね。地元で採れる食材を使って、シェフが腕を振るっています。今の時期ですと、アスパラが美味しいです。サラダに入っていましたが、甘くて柔らかく幾らでも食べられそうです。2010年の五月にも、つまりみちこが辛い抗癌剤治療を終えたばかりの時、来たのです。その時は、臭覚と味覚に異常があり、ほとんどの料理を食べられないで終わってしまいました。辛くかつ残念そうでした。

あれから二年、今年はどの料理も美味しく感じられたようで、見ていて私も嬉しくなりました。ただし、生野菜、肉などの食材が多いので、食べる量を自分の意志でコントロールしなければなりません。野菜にはカリウム、肉類と乳製品にはリンが多量に入っているので、美味しいから好きなだけ食べることは出来ないのです。これも辛いものです。肉は三分の一残して、そっと私の皿に移すようにしての夕食でした。

みちこが密かに排除した料理を、私は意地汚く口に放り込んでしまいましたので、日頃自宅で食する量をはるかに超えていました。お腹満腹、心も満腹で何が不満か、と云われそうですね。このように少しでも食べ過ぎると、たちまちお腹の下がムクムクと膨らんでくるのです。冬の間に、運動不足のために、すでに1kgほど太くなっている。さらに太くなりそうな気配です。先日、みちこに「あっー、下腹が出てる」と強い指摘を受けたばかりです。これからの季節は、もっともっと外を歩いて、エネルギーを消費しないと・・・。危険だ。

翌日も午前中に、大沼、小沼の周辺をゆっくり花や新緑を鑑賞しながらの散策をしました。湖面に映るブナの新緑色は、何物にも換えがたい美しさです。近くこの国定公園は、ラムサール条約に登録されるそうです。まだご覧になっていない人には、是非訪れてもらいたいと思うお勧めの場所です。ヘラブナ釣りのお客さんが沢山いました。湖面の近くでは、大きな鯉がバッシャンと跳ねて、巨体をくねらせています。サギや猛禽類の大型の鳥から、シジュウカラ、コガラ、スズメなどの小型まで、多くの鳥も多い場所です。

帰りは、黒松内町まで国道5号を走り、そこから道央高速道に乗りました。室蘭あたりまで片道一車線なのが、私には少し辛かったのです。パニック症候群の私は、制限時速内でゆっくり走行したいのですが、後続車は100Km/hという感じなので、詰まりそうになると路肩に車を寄せて、譲り譲りのドライブとなりました。室蘭から札幌までは二車線。マイペースで走っても、誰にも迷惑はかけないので、緊張感がかなり和らぎました。緊張を和らげる薬を囓りながらのドライブでしたが、新緑はどこも綺麗だし、充実した二日間でした。

■2012/5/26 定期受診
昨日みちこは、呼吸器内科の定期受診でした。月曜日に胸部腹部のCT検査をして、その結果を聞きました。前回(約半年前)のCT画像と比べて、患部の影がほんの僅か大きくなっているように見えます。Drの所見は、「断言は出来ませんが、動きがあるかもしれません。ただ、腫瘍マーカーは横這いなので、今回の画像だけでは何とも云えません。様子を観察し続けるようにしましょう」とのことでした。画像の影は、放射線治療の副作用かもしれないそうです。放射線により肺炎を起こす危険があり、死亡することもあるのです。

三ヶ月後にまたCT検査をして、結果を見ることにしました。気管支鏡検査は必要と判断される時でよい、とのこと。この検査は、細胞の採取や患部の正確な状態を見るためのもので、無闇に行う必要はないというのが、Drの見解です。それで良いとも思います。頻繁に見たからといって、何か決め手になる治療ができるわけではありませんので。決して楽な検査ではありませんから。

軽い不安を感じさせられる検査結果でした。現段階では、はっきり再発などの顕著な症状があるわけではないので、今までどおり淡々と病気を観察しているしかないのです。先のことをあれこれ必要以上に考えても、何も利益はないということです。

■2012/6/4 再び地球温暖化について
6月1日付けの「産経新聞」に以下のような記事が載っていました。同趣旨の記事は、「北海道新聞」にもありました。

「太陽の活動が過去20年間で次第に低下していることが分かったと国立天文台と米航空宇宙局(NASA)の研究チームが31日、発表した。今後10〜20年は低下傾向が続くとみられる。地球の寒冷化や温暖化抑制への影響は不明としている。

太陽は黒点が増えて活動が活発化する極大期と、黒点が減り静穏になる極小期を約11年周期で繰り返す。

研究チームは国立天文台の電波望遠鏡(長野県)で観測した平成4〜24年のデータを解析。12年4月の極大期の前後について北極・南極周辺の活動を比較した結果、最近の約10年間はそれ以前と比べて活動の強さが約3割低下したことを突き止めた。

太陽活動が低下すると、地球を包む太陽の磁場が弱まり、地球に届く宇宙線が増加。大気中の水蒸気と反応して雲ができやすくなり、日射量の減少などで地球が寒冷化するとの説がある。現在の太陽は17〜18世紀の寒冷期と同じ磁場の異変が起きているとの研究も4月に発表された。

今回の解析結果について同天文台の柴崎清登(きよと)教授は『気温との因果関係はまだ不明。地球の気象は複雑で、寒冷化の根拠になるとはいえない』としている。」

6月3日の「北海道新聞」には、大要次のような記事がありました。

「蔵王連峰の樹氷を研究している山形大の柳沢文孝教授が、年代ごとに樹氷が観測された範囲を地図にまとめた。年を経るごとに標高が上昇し観測範囲が狭くなっており、『地球温暖化の影響は明白だ』と話している。地図は、観測データや過去の研究論文などを基に作製。樹氷の観測結果が残る1914年から2011年までの観測範囲を12枚にまとめた。

樹氷シーズンの12〜3月の山形市内の平均気温は、1900年代はおおむねマイナス0.5〜0度だったが、1900年代後半は0.5〜1.5度に上昇、2000年代は1.5〜2度にまで上がった。柳沢教授は『今のペースで温暖化が進めば、蔵王の樹氷は40年以内に姿を消す可能性がある』と警鐘を鳴らしている。」

私は、この二つの記事を読んで、本質的に違う内容のものであると判断しました。太陽黒点の活動が低下している、という産経の記事は、「地球全体の気候」に関する話です。一方、蔵王の樹氷の話は「極めて狭い地域の気候」について述べているものです。この記事を読む限りは、柳沢教授が一地域の気候変化を地球全体の気候問題にすり替えてコメントしているように感じます。

気象は、短い期間の気象観測やその予測などを行うことで、天気予報をしているのが「気候庁」ではなく「気象庁」となっていることでも理解できると思います。気候は、長期に渡っての気象観測を積み上げて、気象変化がどのようになっているかを研究したものです。一般的には数十年を区切りとしていますが、地球の歴史を遡り、数十億年という単位で研究している気候学者がたくさんいます。

蔵王の樹氷を観測してきた柳沢教授は、山形市内の気温の上昇を指摘しています。しかし、山形市は地方都市として急速に都市化しているのですから、東京ほど極端でなくても「ヒートアイランド現象」が起きていると考えるのが普通ではないでしょうか。札幌でも、都市化にともない気温が上がっていると感じます。その点に触れないで、いきなり地球温暖化に結びつけるのはフェアな姿勢とは云えません。

国立天文台の柴崎教授は、地球寒冷化の可能性もあることを示唆しながら、「気温との因果関係は不明。地球の気象は複雑で、」と慎重な姿勢を貫いています。私は、この発言は科学者としては当然のありかただと受け止めています。安易な断定はしていません。

太陽の活動が地球の気温や気象に及ぼす影響が大きいことは、以前から指摘されていることで、過去の地球寒冷化の時期には黒点が減少しているという事実は間違いないようなのです。ただし、誰も否定てきない明々白々な因果関係があることが証明されていないのです。

地球温暖化よりも寒冷化の方が、すべての生物にとって驚異になることは、以前から私は指摘しています。温暖化の犯人が二酸化炭素であるというのは、十中八九でっち上げでしょう。ましてや、温暖化防止のために原発が必要だ、などという主張はコメントのしようがありません。最近、ヨーロッパやアメリカで温暖化問題がほとんど取り上げられなくなっています。政治問題化することはありますが・・。

日本近海の海水温が極めて僅かですが、上昇しているようです。これを単純に地球温暖化と結びつけるのは、早とちりというものです。海の問題は、地球全体を流れる海流の問題です。これがどのように変化しているのか、そしてそのメカニズムはどうなっているのか、などということを解明しなければなりません。大雑把には分かっているのですが、地域ごとの詳細を人間はまだまだ全面的に把握していないのです。

■2012/6/12 一緒に風邪を引きました
老夫婦は、二人揃って風邪を引きました。先週の土曜日から、何となく喉がイガイガするぞ、声が変だな、などと思い始めました。みちこは、頻繁に咳き込んで苦しそうにするようになりました。昨日11日には、はっきりと風邪の典型的な症状になりました。喉の痛み、鼻水、くしゃみ。二人揃っての大合唱、狭い家の中が五月蠅いの五月蠅くないの、五月蠅いに決まってますよ。

昨日昼にはついに、みちこが37.8度の熱発。昨夜には、38度台後半に突入。今日も38度台のまま推移。滅多に寝込んだりしないみちこが、食事を終えたら、すぐにベッドに直行しています。今日は一日、寝たり寝たり、ときどき起きたりという生活です。

私は、幸いに熱発しないので、喉が痛くて痰が出るのを我慢して、予定していた写真講師の仕事をしてきました。ずっと喋り続けなければならないので、やはり辛かった。嫌いな仕事でないのが、救いですね。たぶん、娘か孫の風邪を受け取ってしまったのではないかな。

■2012/6/20 入院しました
風邪にふりまわされています。13日、みちこは40度近い高熱にうなされていました。14日は、37度台まで下がる。循環器内科の受診日なので、病院へ行きました。昼食は、近くのレストランで食べる。少し、食欲が減退気味でした。15日以降は、37度を境にして上がったり下がったりで、高熱は出なくなりましたが、体の倦怠感と「重さ」を感じるようになりました。ベッドに入っている時間がほとんど、食欲はみるみる落ちていきました。パン一個を食べるのが、やっとという状態に陥りました。

月曜日の透析時の血液検査で、CRP値が先週よりも上昇していること、食事が摂れていないので体力が消耗しているのをみて、ドクターはただちに入院の指示を出しました。で、昨日急遽の入院をしました。せっかく状態が安定してきていたのに、風邪がきっかけで急激に悪くなってしまい、残念無念です。

透析患者になると、免疫力の低下が起こります。風邪ウィルス、インフルエンザウィルスはもちろん、あらゆる細菌やウィルス類には常に注意を払っていなければなりません。健康な人には想像できないと思いますけど。私は、何とか風邪ウィルスに抵抗して、喉や鼻の炎症痛みを乗り越えました。これも、正常な免疫抵抗力があってのたまもの。有り難いと思います。

昨日、CT検査、痰検査などをしました。まだはっきりした結果が分からないので、不安があります。熱が下がり気味なのに、体の調子が悪化する、食欲がなくなる。これは、風邪に端を発して、風邪以外の異常が起こっているのかもしれません。

■2012/6/27 やっと退院しました
昨日、やっと自宅に戻りました。食事が摂れるようになり、体を動かす気力が出てきたので、帰ってよろしいとの許可が出ました。八日ぶりの我が家、それほど長期ではないけれど、やっぱり自宅が一番らしいです。欠伸もできる、くしゃみも遠慮なくできる。

入院した直後は、病院食も食べられず、倦怠感とだるさに一日の大半をベッドで過ごしていました。CRP値が8を超えていましたから、本人はかなり辛かったようです。新聞や本を読む気力もありませんでした。診断は「感染による全身状態の不良」というものです。

CT検査の結果は、肺に膿瘍のようなものが見られること、放射線治療の跡が感染で炎症を起こしているようだ、との説明でした。痰検査の結果は、異常はない、ということで一安心しました。治療は、抗生剤の投与を続けながら、食事を十分に摂れるようになるまで療養するというものでした。改善に向かい始めたのは、三日目辺りからです。全粥ながら、ほぼ全量摂取できるようになってきました。サスペンス小説を読む気力体力が戻り始めて、ベッドに横たわっていることはなくなりました。

22日は、呼吸器内科の定期受診。Yドクターとの話し合いで、癌の状態がどうなっているのかを調べることにしました。来月には、気管支鏡の検査をして、一月の検査から変化があるかないか、確認してみましょうというになりました。正確に分かるものではありませんが、とりあえず出来る検査はこれしかありません。完治治療から三年目ですから、そろそろ節目です。

みちこ本人は、再発の不安を常に抱えているので、もしも再発・増殖ということがあるのなら、できるだけ早く分かった方が好いと考えています。癌の方が大人しくしてくれないのなら、体が動くうちに「やるべき事をやっておく」という決意があるのです。ドクターとの話では、再発・増殖がはっきりした場合、抗癌剤治療はしない、という意志表示をしました。ドクターも、それに同意してくれました。

週末土曜日、日曜日は、体調が八割方戻ってきて、そろそろ退院という気持ちになったようです。月曜日は透析があるので、翌日の26日に大きな荷物を抱えて帰宅しました。夕食は、餡掛け焼きそばを食べたいというので、二人でラーメン屋さんまで出かけました。飢えたように食べている姿が、退院の嬉しさを表しているようでした。私も嬉しい。

■2012/7/9 七夕も過ぎたけれど
時間が流れるのは、人間の意思とは無関係。情け容赦なく、粛々とすぎていきます。みちこが退院して、いくぶんほっとしいたのですが、体調は順調に改善しません。風邪の症状は完全に治まり、高熱も出なくなりました。喉の痛みもなくなりました。それなのに、体調が悪いままで推移しています。倦怠感あり、ちょっとした家事をしただけで疲労がたまる。運動をする意欲も出てこない。

食欲は前にも増して、減退しています。無理をしながら、美味しさを感じないのに、無理矢理口に食物をねじこんでいる感じです。体重も減ったようです。透析のDW(ドライウェイト)は先週の水曜日から300g減らしました。体重が増加すれば、それにともないDWも上げられるのですが、事態は反対の方角に向かっているので、本人もかなりショックを受けているように見えます。

二人で話して意見が一致したのは、風邪以外の原因でこのように体調が悪いのであろう、ということです。その原因は何であるか、私たちも医師もまだ分かってはいません。今週は、呼吸器内科の受診があるので、詳しい検査をしてもらうようにします。

私は、どうしても考え事が増えてしまうので、東野圭吾さんの小説をまとめて読んでいるところです。最新刊も含めて、かれの作品の大半を読み切りました。若者から老年の人まで、誰が手にとっても読者を引き込む内容と展開の手法に感服しています。小説に限らず、芸術作品の評価は個人の印象によって意見が分かれます。が、東野さんの作品には、謎解きの面白さだけでなく、犯人やその周辺で関わる登場人物の人生が描かれていて、時代と心の襞をしっかり見つめていることでしょうか。

暑い日が一週間ほど続きました。しかし、雲の多い日が先週から戻ってきました。湿気もあり、昨夜は雨が降りました。今日は、肌寒いくらいです。外気は、20度を下回っています。

■2012/7/16 少し食欲が戻ってきました
先週金曜日は、みちこの呼吸器内科の定期受診日。胸部CT検査をしました。Yドクターの見立てでは、先月の画像と比べてほとんど変化は見られない、とのことです。癌細胞が急激に増殖している様子は、今のところ無いようです。慌てて気管支鏡検査をする必要はないので、引き続き様子を観察しましょう、ということでお互いに了承しました。

この頃から、だんだん食事の量が増えてきました。その日の体調にもよりますが、近くの居酒屋さんで大きなおにぎりをパクついたりしています。透析食なので、調理の際にカリウムやリンを除去してしまうので、栄養バランスが悪くなりがちです。ほとんどの透析患者さん共通の悩みだと思います。対策を考えて、栄養補助食品を使うことにしました。ビタミンとミネラル不足を補うようなものを購入しました。

カロリー不足にもなりがちなので、出来るだけ甘い物(餡入り餅、饅頭など)を食べる、副食にマヨネーズを付ける、油で揚げるなどの工夫をしています。透析患者さんの特徴として、食欲が湧いてこず食べるのに苦労する人と食べたくてついつい食べ過ぎ飲み過ぎになる人、この両方に分かれることが多いみたいです。丁度好くバランスをとれる人が少ないとのことです。ドクターの話です。

私は、引き続き東野圭吾さんの作品を読み続けています。昨日は、「浪花少年探偵団」とその続編になる「しのぶセンセにサヨナラ」を読みました。作家として初期のものなのだそうですね。今月からテレビドラマになって放映されています。しのぶセンセ役は、多部未華子さん。読んでみると、作者の苦労が分かる気がします。しのぶセンセという大阪人、しかも典型的な大阪人、このキャラクターを物語りの中心に置くには、作者の勇気と苦労が並大抵ではないですよ。それを見事にやってしまった東野さんに拍手を送ります。

■2012/7/20 PCのドライブをハイブリッドに
画像編集用のPCを改良しました。大袈裟なことではありません。Intel Core i7 2600 CPU、8GBメインメモリー、500GBのHDD(ハードディスク・ドライブ)という基本構成でした。これでも大きな不満はないのですが、PCの立ち上がりや動作をもう少し軽快にしたいと、以前から考えていました。OSとアプリケーションソフトを入れるドライブは、SSD(ソリッド・ステイト・ドライブ)にしようと昨年から計画していたのです。

値段を調べてみたら、ちょっと前のHDDとあまり変わらない正札で手に入ることが分かり、実行に移すことにしました。九十九に行って、120GBと180GBのSSDを購入してきました。Intel製なので、不安はないところです。120GBは、先のデスクトップ型画像編集PC用。180GBの方は、ノートパソコン用です。ノートの方もついでにドライブ交換することにしました。

やり方は、いたって簡単です。デスクトップの箱を開けて、空いているシャドーベイ(ドライブを格納するスペース)に買ってきたSSDを取り付けて、マザーボードから電源とSATAのケーブルを結ぶだけです。ドライバー一本あれば出来る、簡単な作業です。慣れてしまえば、誰ではも出来ます。ただし、PCの基本構造を知っていないと、難しいかもしれませんね。

ここまでは簡単なのですが、Windows7 64bit版をクリーンインストールしてから、日常使っているアプリケーションソフトを再度インストールし直さなければなりません。こちらの方がよほど大変。なんだかんだ云って、丸一日かかりますね。アプリも、シリアルナンバーを入れたり、ものによってはメーカーにアクチベーション(認証・有効化)させなければならないものがあり、非常に疲れます。

ノートは、今までもSSD搭載で快適に使っていましたが、やや容量が足りないので、デスクトップの作業が終わってから180GBに交換しました。こちらもWindowsのリカバリーインストールとアプリの再インストールで丸一日。両機併せて、足かけ三日かかりました。目がチカチカして、昨日は目やにが出てきました。目が痛くなってきます。少し休ませないと、頭まで痛くなりそう。

デスクトップは、期待したとおりに起動が格段に高速化され、作業中のストレスはまったくないです。やって良かったです。今までは一個のHDDにOS、アプリケーション、データーが入っていたのですが、OSなどのプログラム類はSSDに、データーはHDDにと、完全に棲み分けができました。PCの中がすっきりしたし、動作がスカスカと小気味よい動きになったのは予測通りで、気持ちもすっきりしました。

■2012/7/28 花火大会に大満足
みちこの食欲不振は続いているものの、時々ふっと食べたいものがイメージできるようです。木曜日は、眼科を受診しました。二三日前から右目が炎症を起こして、赤くなっていたからです。ドクターは、細菌性の症状であろうと判断して、クラビット点眼薬を処方してくれました。付け始めると、間もなく炎症が治まり、ああやっぱりそうだったかと思いました。免疫力が足りないために、起きる症状です。

さて、眼科受診を終えてから昼食にしようということになりました。いつもなら、病院のレストランで食べるのですが、みちこが「ハンバーグを食べたい」と云ったのです。びっくりしましたね。もともと好物なのですが、ここしばらくは肉類を敬遠していました。突然の意欲発現。さっそくハンバーグレストランに入り、注文。ほぼ全量を摂取しました。食べたいものを美味しく食す、こんなに幸せなことはありません。

金曜日、「花火を見たい、自分一人でも行く。来年は生きているかどうか分からないから、行くなら体が動く今しかない」とみちこ。昨日は、北海道新聞とテレビ局UHBの主催する道内最大の花火大会が、豊平川を会場にして開かれたのです。夜の人混みをかき分けて行かなければならないので、行こうか行くまいか、ちょっと迷っていたのです。しかし、みちこの「見たい」という気持ちが強かったですね。

JRと地下鉄を乗り継いで、会場に向かいました。札幌から地下鉄構内は、人だらけ。切符を買うにも、延々と行列を作らなければなりません。節電で、ろくに冷房が効いていないし、汗がだらだらと流れ落ちる。圧倒的に若者が多いです。今夏最高の暑さになっていたこともあり、若い女性の浴衣姿が多かったです。ただ、よく見ていると、浴衣の着方、身につける装飾品、仕草など、何か違和感があるのですね。品位とか女性らしい色気というのをあまり感じない。一緒にいるボーイフレンドの着ている浴衣にいたっては、てんでだらしないし、格好良さの欠片もない。私のような年寄り、古い人間には、よく分からないことばかりであります。

花火は素晴らしかった。約4000発ということでした。豊平川の川面を明るく照らしながら、夜空に駆け上る火柱は、竜のようでもあり、ロケットのようでもあり、迫力満点です。パン、ヒューン、ヒュルヒュルヒュル、ボーン、ヒュー、バリバリバリ、ドカーン、ドカーン、バババババ、シュー、ヒューヒュー、ズドーンズドーン、パンパンパン、ドッカーン、と擬態音に頼って表現するしかないですね。

とりわけドッカーン音の時には、体の表面どころか内蔵全部が鷲掴みにされてゆっさゆっさと揺さぶられるような感覚です。「心臓の悪い人は厳しいね」と隣でみちこが呟く。みちこ曰く、この体が揺さぶられる感じが何とも云えない快感なのだそうです。「やっぱり花火は、打ち上げのすぐ近くで見なければ、少しも面白くないね」と曰う。私以上に満足して楽しんでいました。良かった。良かった。

帰りは、会場の豊平川に架かる幌平橋から大通公園まで、暑い風につつまれながらゆっくり歩きました。帰宅したのは、11時くらいか。ちょっとだけ疲労感はあるものの、満足感と充実感で、私たちは心地良い興奮状態でした。体力もまだ大丈夫であります。

■2012/8/3 入院しました
この間まずまずの状態が続いていたみちこです。先月30日には、DWを300グラム上げるくらいに回復途上でした。1日になって、軟血便が出ました。同時に腸の痛みも伴っています。透析科でクラビットを処方してもらいましたが、改善せず。今日、急遽入院することになりました。明日、明後日と病院が休みになりますし、来週まで待つのは不安が大きかったからです。

前回と同じように、腸内細菌がちょっとだけ暴れているのだと思います。今夜からは絶食で、点滴で逃げ切るしかないようです。透析患者になると、著しく免疫力が低下するのを痛いほど実感しています。腎臓が無いに等しいので、体全体に与える影響は、計り知れないものがあります。味覚異常も、癌の治療だけではなく、腎臓が悪いことも原因らしいです。

またしばらく、ごろう君、ごくう姫との三人暮らしになります。ロンドンオリンピックを少しは見たいと思いますが、深夜とか未明とかの試合が多く、ライブで見るのは辛いです。明日未明には、サッカー女子の対ブラジル戦があります。見たら、明日は死んだようになるに違いないので、今夜は大人しく睡眠を優先するつもりです。みなさん、お休みなさいませ。

■2012/8/4 なでしこを勝手に素人解説
みちこは、血液検査の結果、CRP値が上昇していないことが分かり、細菌性のものではなく、虚血性大腸炎らしいとの診断となりました。状態が回復するまで、絶食が続くことになりました。点滴で必要最低限の栄養とカロリーを摂っています。おかしい、と感じてすぐに対応してもらったので、回復は早いものと思っています。食事をしていないので、体に力が入らず、集中力もないと云っております。

今朝未明に行われたサッカー女子(なでしこ)の対ブラジル戦を、午前中に録画で見ました。結果は2-0でなでしこの勝ち。サッカーをあまり知らない人が見ていたら、終始一方的に攻められていたように思ったに違いありません。紛れじゃないの、なんて云われそうですね。確かに、なでしこにしてみたら最善のゲームではなかったでしょう。しかし、計算通りに戦ったと評価できる内容でした。

ブラジルは、プライドもあり、なでしこを力ずくで圧倒しようという試合運びでした。個人個人の技術、パワー、体力は日本人を上回っています。早い正確なパスワークは、世界トップクラスでしょう。ボールを中央から左右に振りながら、サイドからゴール前にボールを放り込んでくる。時折、パワーを生かしたミドルシュート、ロングシュートを打ってくる。前回銀メダルの実力は確かなものです。

常に前がかりになっていましたね。ブラジルの攻める姿勢には拍手を送りたいのですが、問題はゴール前で何をするかです。なでしこの守備陣形を完全に崩して、所謂キラーパスを出す人がいなかった。力任せにヘディングでねじ込もうとするものの、ことごとくなでしこのDFに自由にさせてもらえなかった。危ない、と思ったのは二度くらいしかなかったのではないか。

片やなでしこは、激しく攻められるのを予測していたのでしょう。DF最終ラインが可能な限り高い位置取りをして、簡単に裏にボールを出させないようにしていました。FWとMFが前線から早いプレス、一人ではなく次々と二人目、三人目がボールを取りにいく。特に澤選手の体を張ったディフェンスは素晴らしい。ブラジルはボール保持率で圧倒しているのですが、なでしこにとって致命的になるボールを自由に配球出来なかったのです。なでしこは、攻めさせるけれどゴールは許さないという戦術を、チーム全体でやりきったと思います。

なでしこの一点目は、澤選手からの相手の虚を突く素早いフリーキックに、後ろから走り込んだ大儀見選手が反応して左サイドで完全なフリーに。そのままドリブリで切り込み、キーパーの動きを冷静に見て、ゴール右隅にきれいに流し込みました。ブラジルDFの裏を完璧に突いて、イメージ通りの先制点でした。問題なのは、ブラジルのDFです。一瞬の事とは云え、裏を取られるような甘い状態にあったのです。これがブラジルの欠点でしたね。二点目も同じ。左でボールを持った大儀見選手から、右にいた大野選手にこれしか無いという相手DFの裏を取るキラーパス。大野選手も落ち着いてDFを切り返し、ゴール上隅に決定的な追加点を蹴り込みました。

ディフェンスでも、相手の裏を取ってゴールを奪うことでも、冷静に見れば、なでしこの方が勝っていたのです。2-0は、その結果です。もしも、優勢勝ちなどというルールがあれば、ブラジルに旗をあげたくなります。ブラジルは、決定力とディフェンスに弱点がありました。

今夜は、男子の代表がエジプトと戦います。厳しい試合になると思います。なでしこと同じで、ディフェンス力が結果を左右するでしょう。テレビを見たら、心臓がどきどきして頭が痛くなってきそうです。

■2012/8/13 まだ入院継続中
ロンドンオリンピックが終わったら、お盆ですね。時の流れに、身を任せ〜、というけれど、時は容赦なく現在も未来も、たちまちの内に過去に変えてしまうものです。日々の我が身を振り返ると、いったい何をしているのか分からなくなることがあります。

みちこは、依然として大腸の炎症が治まりません。絶食が続いて、栄養不足、カロリー不足になってしまい、ベッドでゴロゴロしている時間が長くなりがちです。普通の点滴だけでは、おおむね500Kcalくらいしか摂れないので、体力は落ちる、脳に栄養が十分回らずにボンヤリした状態になる。悪循環に陥っていくようです。このままでは、廃用症候群になってしまいます。

9日から、ついにIVH(中心静脈に針を固定する)にて、高カロリー輸液を入れることになりました。それでも1200Kcal程度なので、基礎代謝にも不足すると思います。当初は、重湯とか三分粥とかを食べて、不足分を補う予定でしたが、食物を入れるとたちまち腸に痛みが出て、粘血便になるという状態です。そろそろカロリー量を上げてもらう相談を始めているところです。

本人も、「今回は長くかかりそうな気がする。まだまだ帰れないかな・・」と、ちょっと弱気になっています。症状の軽い内に対処をしたので今回は早く回復するだろう、との目論見はすっかり外れてしまいました。こうなっては焦ってもどうにもならないので、時間をかけてゆっくり回復するのを待つしかないようです。みちこは、覚悟を決めています。

今日は、大腸のCT検査と胸部レントゲンの検査がありましたので、ドクターたちが対策を検討してくれるでしょう。腎不全の患者には、このような症状が見られるそうですが、はっきりした原因、因が分からないとのこと。医学が進歩したとはいえ、分からないことの方が、分かっていることよりも遙かに多いのですね。生命のシステムは、真に不思議で神秘的です。たぶん、いつまで経っても全てが解明できるようなものではないのでしょう。人間には、細胞一つを作ることさえ出来ないのですから。

オリンピックのサッカー解説を書こうと思っていたのに、みちこの病院に通っているうちに、機会を失ってしまいました。女子なでしこは、アメリカとの決勝戦で素晴らしい内容の試合をしました。双方ともに自分達の持ち味を出し切ったし、見ていて気持ちが良かったです。なでしこにもアメリカにも、「おめでとう」と「ありがとう」を云いたいと思います。両者に金メダルを上げたいですね。

男子は、三位決定戦の後味の悪さは何なのでしょうか。内容については、純粋にサッカーの問題として語ることが出来ますが、それ以外の問題が「問題」になっている。私は、敢えて語ることはしません。語れば、私の口が腐りそうになるからです。一言だけ。若い日本チームのメンバーは、相手がどんな戦い方をしてきても、それをはね除けるだけの技術と体力と精神力を磨いてほしいです。そうしなければ、世界を相手に、ワールドカップやオリンピックでメダルを取ることは難しいです。これからA代表に入って、もっともっと強くなって欲しいです。

■2012/8/24 退院したのですが・・
みちこはやっと、18日の昼食から、重湯とゼリーが出るようになりました。20日から三分粥が開始に。21日、全粥に。22日は、ついに普通食に格上げされました。この間、大腸は落ち着いており、出血や粘液便はありませんでした。これなら大丈夫と、ドクターも本人も確信して、昨日23日に退院の日を迎えました。うきうきした表情で、我が家に戻ったみちこでした。猫たちとも、望まない再会をしました。

我が家には、ごろう君という白っぽいのと、ごくう姉さんという真っ黒な猫がおります。それぞれ、特殊な事情があって、我が家に住み着くようになりました。みちこは、どちらかと云うと猫嫌い。猫の爪と飛び散る毛が、疎ましいらしいのです。柱やテーブルに傷跡を付ける、襖に穴が空く、空中を毛が舞っている、植物や花を囓る、寝ている間に布団に潜り手や足を引っ掻く、野菜を食べる、冷蔵庫を開ける、毛玉を所かまわず吐き捨てる、布団カバーも穴だらけ。数え上げれば、その悪さの所行に限りがない。

そんな猫たちですが、とくにごくう姉さんはみちこに懐いています。昨日は、さっそくみちこの周りをウロウロと歩き回り、膝に乗るチャンスを伺っておりました。嫌だ嫌だと逃げ回るみちこ。追いかけるごくう姉さん。はっきり云ってストーカー猫ですね。でも、なかなか麗しく、温かい、情に溢れた様子でした。これで、穏やかな日常が戻って来たと思ったのですが・・。

みちこは、食事もいつものように食べ始めました。何と、アイスクリームを美味しく食べました。今朝は、少々のヨーグルトとパンと野菜。昼食は、私が作ったミートソースパスタ。体調も調子が良く、食事を楽しんでいたのです。さて、そろそろ透析に出かける時間。トイレに行ったみちこが、大声で私を呼ぶ声が。何事かと行ってみると、浮かぬ顔のみちこが立っています。何と、粘血便が出たのです。

そのショックは、かなり大きかったのです。二人して、「やり直しだね。入院した方が好いよね・・」と頷きあったのでした。兎に角透析に行くのが先決。みちこが透析室のドクターに症状を訴えたら、即断即決で「入院」となりました。たった一晩の退院でした。午後7時、大きな荷物を持って、また病院の玄関を潜ったのでした。病棟の師長さんが、励ますような目で温かく迎えてくれました。

■2012/8/27 OM-Dを買ってみました
みちこは、依然として絶食状態が続いています。まだ、粘血便が少量出るのです。点滴に繋がって、横たわっている時間が多いです。若干ブドウ糖の量を増やしましたが、これだけでは栄養とカロリー不足は否めない。体に力が入らず、辛そうです。もう少しの辛抱です。

私は、オリンパスのOM-Dというカメラを買ってみました。春に発売になった、オリンパス製ミラーレス一眼の最上級機です。すでにE-P3という機種を買って使っていたのですが、「最上級機」も欲しかったのです。フィルムカメラの名器と云われていたOM-4を、かつて愛用していました。それがデジタル版で復活したのが、OM-D。

夢のような話なのですね。カメラに興味のない人には、何じゃそれ、という感じでしょうけれども。兎に角、フィルム時代のボディが、再度この世に登場するというのは、放置できない事実なのです。

シルバーボディを選択しました。OM-4はチタン仕上げの実に美しい工芸品でしたが、OM-Dはアルミ合金でしょうか。若干手触りの違いはあります。しかし、しかし、金属仕上げのボディですから、手に握ったときのカッシリした感触は流石です。プラスチックのフニャフニャした物とは一線を画す存在感があります。今時のカメラとしては、これ以上ない品の良さに感激しました。

フィルムカメラのクラシカルな雰囲気を、デジタルカメラでも楽しめるということ。私の世代の人間は、キャノン、ニコン、オリンパス、ペンタックス、ライカなど、職人による手作り同然のカメラで写真を撮ってきたので、体に染みついた金属質な感触と美しいデザインを忘れ去ってしまうことはできません。フィルムが主力の時代は過ぎ去りましたけれど、昔のカメラが、新装開店でもっと出て来て欲しいです。

画質は、まったく文句の付けようが無いです。デジタルの製品は、新機種になるほど改良が加えられます。初期のデジカメと比べると、発色と階調再現、解像度は見違えるようです。弱点と云われていたノイズもほとんど無い。高感度撮影にも有利。画像処理・レタッチに苦労することが、だんだん減っています。作品を作る立場からは、まことに喜ばしいばかりです。

このカメラは、長く付き合えそうな気がします。「愛機」になりそうな予感。防水、防塵加工してあるので、雨が降っても安心です。かつての愛機OM-4は、雨に弱かったです。

■2012/9/3 明日退院の予定
みちこは、8月29日から重湯とゼリーというメニューの食事が始まりました。30日には、五分粥と副食に。31日は、七分粥と副食。9月1日には、全粥と副食。2日には、ついに米飯が出るようになりました。点滴も外れていますし、口から食事を摂るようになって、体調が良くなったようです。

今日の回診で、ドクターが「明日退院しても好いでしょう」と判断してくれました。

ただ前回のこともあるので、明日の昼食までしっかり様子を見て、異常がなければ退院できるでしょう。まだ油断は禁物です。本人は、体力が低下した、廃用症候群になる、と云っています。ゆっくり元に戻そう。

■2012/9/5 退院、そして入院
みちこは、昨日午後に「やっと家で眠れる」と嬉しそうに退院しました。私は、そんなみちこを見ながら、内心一抹の不安を抱いていたのです。米飯食が始まって、まだ間が無く、腸が本当に安定した状態にあるのかどうか分からないと判断していたからです。

みちこは、久しぶりにネコたちに出迎えられて、やや迷惑そう。とくにごくう姉さんは膝の上に乗ろうと近寄ってきます。でも、いつもの家庭の空気を味わえて嬉しかったことでしょう。夕食に「クリームパンを食べたい」というので、近くのパン屋さんで買ってきました。美味しい美味しいと云って、二個も食べてしまいました。病院でも出ないものだし、リン値が高くなるので普段はまったく口にしないものです。

入院中は、リン値が下がっていたので、一回くらい食べても大丈夫という判断でした。ところが、就寝前にトイレに行くと、粘液便に極少量の血液が混じっていました。すぐに、再入院の覚悟をしました。持ち帰った入院荷物一式が、そのままにしてあったので、みちこは無言で下着の入れ替えなどを済ませ、いつでも病室に戻れる準備をしてベッドに入りました。

この夜は、U-20女子サッカーワールドカップの準決勝があり、ドイツと若きなでしこの試合を二人で見ました。前半開始早々に三点もたたき込まれて、勝敗の行方はもう決まり。みちこは、残念そうな様子でした。私は、ドイツの攻撃力よりもディフェンス力の素晴らしさに感動していました。なでしこのミスも多かったが、ドイツがこれほど守備を鍛えたチームとは思いませんでした。

今朝からみちこは絶食。病院に電話して、症状を話して、ドクターの診察を受けることになりました。入院必需品を車に積み込み、午前中に病院へ。腎臓内科と消化器内科のドクターが相談して、正式に入院が決定。造影剤腹部CT検査をして、病室に舞い戻りました。

また今日から、絶食、点滴、重湯、三分粥、七分粥、全粥、米飯、という行程をやり直しになるでしょう。今度こそ、急ぎすぎないで、かつ最後の段階ではとくに慎重に様子を確認してほしいと思っています。

私の一人暮らし、いやネコとの三人暮らしは、そろそろ疲れを感じますね。2010年の癌治療で、約4ヶ月間一人でしたが、この時よりも精神的には重いものを感じます。癌治療は、期間が決まっていて、終われば帰宅と分かっていましたから。

■2012/9/12 もう少しかな
みちこは、6日大腸の内視鏡検査。炎症部の細胞を採取し、生検に出す。直腸の上部に軽い炎症があるとのこと。7日、七分粥から始める。8日、米飯に移る。全量摂取、大腸に異変なし。今回は、食事が摂れるようになっても、すぐに退院しないで、外出や外泊を何度かして、安定しているのを確認してから、無罪放免にするというドクターの方針です。

9日、午前から午後まで約4時間の外出で、自宅に戻る。ほっとした様子で、我が家の椅子に座り、のびのびした。当初は近くの公園を散歩する予定だったが、生憎の雨で外歩きは諦める。病院に戻ると、外出の疲れが出て、一時間ばかりベッドで睡眠をとったそうです。10日も米飯の食事を摂る。11日、外泊の許可が出て、夕方自宅に帰る。二人でラーメンを食べる。朝から米飯ばかりなので、軽い食事をしたいという希望でした。カロリー補充のため、餡餅も食べる。両方とも、美味しく感じられたと喜んでいました。

サッカーワールドカップ・アジア最終予選、対イラク戦を二人で観戦する。病院にいるときよりも、長い時間起きていて、これが普通の生活という実感を強くもったようです。実力通り、日本代表が、イラクを1-0で振り切った。

今朝は、八時近くまでベッドの中。病院なら、早朝から周りががさごそと五月蠅くなるので、とっくに起床しています。八時は、朝食の時間ですね。今朝は、栄養補助食品とトマトと水という簡単な朝食を食べる。胃に負担がないし、少量でバランス好く栄養を摂れるので、これで問題はないと思います。絶食で貧血になっていたのも、徐々に回復に向かっています。もう少しかな。

■2012/9/20 ついに退院
一昨日18日、みちこは長い入院生活から、自宅に戻りました。外出と二回の外泊をして、大腸が安定しているのを確認し、やっとドクターからの退院許可が出ました。当日、昨日、今日と、異変は無く安定しているようです。このまましばらくは何事も無いことを祈るばかりです。病院に長く居ると、体の筋肉や活動能力が低下して、病気を治すはずなのに、逆に体力が失われるという面もあります。

普通の日常生活で、食べること、歩くこと、家事をすること、寝ることなどが当たり前に出来るようになってほしいと願っています。ずっと続けていたストレッチや軽いエアロバイクの運動を再開できるようになれば、弱った筋力が元に戻ります。そうなれば、軽い低山歩きや旅行にも耐えられるし、生活に様々な変化と楽しみが生まれてくるでしょう。

腎臓内科の医師も、消化器内科の医師も、よく原因が分からないと首を傾げる不思議な大腸炎。しばらく、当分の間は大人しく静かにしていてください。紅葉の季節が目の前。美しい風景を楽しむ機会を、私たちに与えてもらいたいものです。祈る。

■2012/9/20 「温暖化置き去り」?
今日の「北海道新聞」朝刊に「原発ゼロ社会 3」という連載記事が載っています。内容を抜粋して書き出してみます。政府が示した革新的エネルギー・環境戦略についての評価記事です。

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原発ゼロ議論の陰で温暖化対策は置き去りにされた形となった。2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%減らすという、これまでの国際公約を事実上放棄する内容に、環境保護団体は「エネルギー分野の記述ばかりで、この先、一層深刻化する温暖化の問題に応える内容に全くなっていない」と憤る。

干ばつや豪雨など温暖化に関連するとみられる被害が増している発展途上国の反発は必至だ。
20年に始まる温暖化対策の新しい枠組みづくり交渉で日本の発言力も低下することになる。
世界自然保護基金(WWF)ジャパンの山岸尚之さんは「日本が目標を大きく引き下げれば、他国も消極的な目標になりかねない」と懸念する。

また、二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電の30年の割合が高すぎるとの批判もある。企業の排出量に上限を設け、下回った分を他に売却して全体で削減を進める排出量取引制度が温暖化対策に有効だが、反対する一部産業界に配慮したのか戦略に盛り込まなかった。

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この記事は、原発ゼロ対策と「地球温暖化」と「二酸化炭素」問題が意図的にリンクされて書かれています。
環境団体の意見が一方的に優先的に紹介されています。私が疑問に感じるのは、次の点です。

(1)基本的に、原発ゼロと「地球温暖化」はまったく次元の違う問題である。この記事では、関連があるとの大前提になっている。
(2)環境団体が「地球温暖化」が一層深刻になっている、と述べているが、具体的にどのように深刻なのかが不明である。

(3)そもそも「地球が温暖化している」という前提で議論を展開しているが、地球が温暖化していて且つそれが人間を含む生命に深刻かどうかということをまったく証明していない。IPCCの報告書を金科玉条、錦の御旗にしているのだろう。が、その嘘がばれて、世界の多くの人々はIPCCをもはや信頼に値する組織とは思っていない。

(4)干ばつや豪雨は、発展途上国だけでなく、ヨーロッパやアメリカなど先進国でも起こっている。発展途上国だけが反発するというのは、理解しがたい。干ばつ、豪雨などの原因が「地球温暖化」が原因だと決めつけているらしいが、これも確たる証拠を提示すべきであろう。むしろ、地球上で起こる普通の自然現象であり、歴史を少し長いスパンで見れば、過去にも同じような現象は起きている。

(5)WWFの山岸氏は、日本が二酸化炭素排出量規制目標を引き下げれば「他国も消極的な目標になりかねない」と云っているようだが、そもそも二酸化炭素排出規制に熱心で積極的な国が、日本以外に存在するのだろうか。アメリカ、中国、ロシア、ヨーロッパ、どこも消極的というよりは、最近はほとんど議題にも上らなくなっているのではないか。

二酸化炭素削減目標の基点が1990年というのは、ドイツが強力に主張したものであったと思う。「東側」が崩壊して、二酸化炭素の排出量が莫大に増えた時点である。京都議定書の頃には、排出量がかなり抑えられていたので、1990年を基点にすれば、皮肉にも排出量は増やしても好いという状況にあった。とくにロシアなどは、減らすどころかどんどん増やしても構わないことになってしまった。

はっきり云って、京都議定書で一番滑稽なピエロになったのは日本のみである。アメリカは、もちろん批准しなかった。カナダも脱けた。日本も事実上脱退したに等しい状態にある。

(6)多くの環境団体は、原発ゼロを強く主張している。であれば、当面は石油や石炭や天然ガスを使う火力発電に頼るのはやむを得ないのではないか。原発ゼロと云いながら、火力発電は否定する。これは自己矛盾も甚だしいのではないか。それとも、環境団体というのは、電気はいらない、自動車もいらない、新幹線もいらない、パソコンもいらない、テレビも、エアコンも、電気を使う物は半分以下にしろ、そのように云いたいのであろうか。時代を60年、後戻りさせたいのだろうか。

でも、環境団体の人たちは、都会のオフィスで、パソコンを使い、エアコンも点け、テレビも見る、自動車にも乗る、飛行機も、新幹線も使って快適に活動しているのではないか。己の主張と自己矛盾する行動を、何の疑問も無く続けておられるのではないでしょうか。

(7)二酸化炭素排出量取引が温暖化対策に有効だと、記事は書いている。本当にそうだろうか。排出量取引は、いくら二酸化炭素を出しても、金さえ払えば済むことだ、余計な排出対策や技術開発はしなくても好いだろう、そのように考える企業や国が出てくるであろう。そうなれば、二酸化炭素は単なる経済問題に矮小化されるだけ。環境問題とは何の関係もなくなってしまうに違いありません。

(8)「地球温暖化」自体が不確かなことであるし、ましてその原因が二酸化炭素にあるとの主張は、もはや根底から信頼をなくして、崩壊してしまった話でありましょう。今日の「道新」記事は支離滅裂。原発問題にあやかって、なし崩しに「地球温暖化」と二酸化炭素を持ち出してきたに過ぎないものです。

原発に依存しない社会作りは、日本のように地震災害の多い国では当然のことで、私も賛成です。一刻も早く、全ての原発の姿が消えることを願っています。これまで積み上げた放射性廃棄物(核のゴミ)の処分・管理という重たい課題がありますが、知恵を絞って何とかするしかありません。孫子どころか、何万年も先に生きる人たちへの負の遺産です。

原発を無くした分は、他の安定した電源を確保しなければなりません。当面は、石油、石炭、天然ガスなどの生物由来のエネルギー源に頼るしかありません。最近は、メタンハイドレードが日本の海にあることが確認されています。技術問題が解決すれば有望なエネルギーになります。これらの資産を大切に効率よく使えば、百年や二百年は大丈夫でしょう。

自然エネルギーは、積極的な研究と技術開発が必要です。しかし、エネルギー変換効率が悪いのと、気候、地形、季節などの影響が大きく、安定したエネルギー源として使えるのかどうか、まだまだ未知数です。今後に期待したいものです。将来は、多様なエネルギー源を使えるように、様々な角度から研究を進めなければなりません。それまでは、今あるエネルギー源を大切に使いましょう。

くどいようですが、二酸化炭素と「地球温暖化」に、因果関係はほぼありません。地球の気候変動は、その基本メカニズムの探求を急いで進めるべきです。併せて温暖化と寒冷化の両方の可能性を想定しながら、双方の生命と人への影響と対策を研究しなければなりません。温暖化だけが「問題だ」などというのは極めて非科学的で罪深い議論です。

二酸化炭素を少なくするのに躍起になるよりも、昨年3.11東北大震災の復興のために、一刻も早く大きな財政投入をするべきです。真っ当な政府なら、そう決断するでしょう。

ここからは、私の個人的な印象です。「環境活動家」という人たちは、文化系が多いのではないでしょうか。主張や行動を見ていると、総じて情緒的、感情的なのです。さらに、イデオロギー的でもあります。一度こうと決めたら、決して自説を曲げようとしない、いや他人の意見を聞こうとはしないのです。理科系の人は、事実を尊重します。発表した論文は、常に人目にさらされ、検証されますから、間違いがあったら「間違っていました」と認めるしかないのです。理科系の人は、イデオロギーよりも事実と論理を尊重する傾向が強いと思います。

■ 2012/9/30 旭川に行って来ました
みちこの体調が落ち着きを取り戻してきたので、旭川まで一泊の小旅行をしてきました。朝は曇っていましたが、国道12号線を北上するにしたがって天気は回復、気持ちの良いドライブとなりました。道傍を眺めると、ノコンギクの青や赤っぽい色が目を引きます。黄色い花のハンゴンソウも、まだ咲いている。この季節のお馴染みの花、キクイモがひときわ背を伸ばして満開です。

深川市の道の駅に立ち寄り、一服。ここは、地元で採れる特産の米、ソバ、その他の農産物を使った深川オリジナル商品を沢山展示しています。二階のレストランも、地元産メニューが並び、観光客には人気があります。みちこは、このところ血液データーが良好なので、ソフトクリーを食べたいと、真っすくに売り場に向かっていきます。病気になる前は、旅行に出たら必ず二人で食べていたものです。

山盛りにとぐろを巻いたソフトクリームを手にして嬉しそう。何年ぶりでしょうか。透析になってからは、ほとんど食べていないからね・・。それとおにぎりを二つ頼みました。その場で握ってくれるので、観察していると、新生児の頭くらいはありそうなほどに大きい。ご飯の中に、イクラをドサッと大きなスプーンで放り込んで、エッサエッサと力強く握ってくれます。仰天してしまいました。

施設の前にある木製の椅子に二人で腰掛けて、モグモグタイム。みちこは、とても大切そうにソフトクリームをゆっくりゆっくり口にいれています。「美味しいかい」と聞くと、「美味しい」と答えてくれました。食べ物が美味しいというのは、とても幸せなことです。次に超超特大のイクラおにぎりを食べました。これには、さすがに少々もてあまし気味。控えめに見ても、コンビニおにぎりの三個分はありますから。

そんなこんなののんびりゆっくりの珍ドライブ旅行。やっと旭川の景勝地・神居古潭(かむいこたん)に入りました。例年ならとうに紅葉が始まり、秋の風情をあちこちに感じるのですが、今年は緑色に覆われていて、紅葉がかなり遅れていることを実感しました。

私の知り合いで、不動産業を営んでいるタフさんを訪問。不動産に関するいくつかの話を聞かせて貰い、雑学が増えました。滅多に会えないので、無沙汰を詫びて事務所を失礼しました。後はまったくの自由時間なので、私たちの高校生時代からの友人であるババヒッピさん宅に向かいました。みちこの病状を心配して、何度も札幌に来てくれている大切な人です。元々は、みちこの親友です。

台湾旅行の話を写真を見ながら聞かせて貰ったり、職場での色々な苦労話を聞いたり、市内に在住の中学、高校時代の友人と会った話など、あっという間に時間は過ぎていきます。久しぶりに会うので、話題が双方とも尽きないわけですね。みちこも、八月から一ヶ月半に及ぶ長い入院生活と最近の病状など、あちこちに話題は飛んだり跳ねたりしながら、止まることはありません。

私たちの年代は、退職はしたけれど嘱託のような形で職場に残る人が多く、まだ現役の続きをしているケースが多いのです。そのうえ、子供たちは独立したが、孫たちが心配だとか、親が年老いて身の回りの面倒を診ている、などという友人知人が沢山います。ババヒッピさんも私たちも似たような境遇にあり、お互いの苦労を思いっきり吐き出して、ストレス解消のひとときを楽しみました。

後ろ髪を引かれる思いで別れを告げ、ホテルにチェックインしたのは、5時半頃。一休みして、ぶらぶらと平和通り買い物公園に出てみました。ほとんどの建物、商店は、建て替えられたり別の店になっていますが、何十年も前からずっと商売を続けている懐かしい店も見かけました。知る店もないので、居酒屋「白木屋」に入ることに決める。中華風鶏肉入りサラダ、揚げ出し豆腐、串焼き鳥、野菜サラダ、おにぎりなどを注文する。みちこは、串焼き鳥を食べました。これも長らく口にしなかった物。食事を楽しむことができました。

翌朝は、ホテルのレストランで簡単なバイキング料理を食べる。ヨーグルト、ジャーマンポテト、卵焼き、お粥などの胃に負担にならないものを選びました。私も似たようなもの。二人とも、朝からいっぱい食べるのは苦手なのです。

九時前にチェックアウト。かつて通った懐かしい高校の前を通り、友人たちの住んでいた町並みを眺め、旭川新道に出ました。ここからは一直線に国道12号線に繋がります。途中、北倶楽部というお菓子屋さんで、十二夜うさぎ饅頭を買いました。今日は、十二夜の満月は曇っていて見えません。残念です。月よりお菓子。夕食のデザートに美味しくいただきました。

話は少し戻ります。昨日驚かされた深川のおにぎりを、みちこは買いたいと云うのです。懲りていないらしく、食べたいという気持ちと意欲があるのは素晴らしいことです。深川の道の駅・ライスランドに寄り、大きなおにぎりを三個買いました。ソフトクリームは、リンが高くなると心配なので、今日はパス。遠慮して、黒米の餡餅を買いました。これなら、カロリー不足を補えます。

帰りの旅も、道の駅に寄り寄りしながらののんびり旅。自宅のある厚別に戻り着いたのは、午後の一時過ぎ。予想より早かった。家に入るとネコたちがお待ちかね。放ったらかしにして怒ってるねん、という顔で出迎えてくれました。餌入れがすっかり空になっていました。何よりもみちこが疲れたと云わなかったことが好かった。「少し体力に自信が出て来た」と明るい顔をしています。

■2012/10/8 スマートフォン・デビュー
その後のみちこは、透析後の体調の悪さは続いているものの、大腸は安定しています。食事も、それなりに摂取できているし、絶食で減った体重は追々戻ってくるでしょう。透析のDWは、41.7kg。八月以前より2kgくらい減っています。

9月の上旬、みちこが「スマートフォンを使ってみたい」と云いだしました。それまでは従来の携帯で十分という顔をしていたのですが、私がスマホを使っているのを見て、興味を持ったようです。私は、スマホの初期の機種から使っているので、進化と改良が完成に近づきつつある最近のスマホに感動しています。私は、文字入力に「手書きソフト」を使っています。とってもお利口ですよ。

それを見ていたみちこは、「手書きで文字を入れられるのはいいね。最近は、文字を直接書くことがなくなって、漢字を忘れ始めている。その手書きの出来るスマホを使ってみたい」と曰います。むろん私に異論はなく、手元にあった京セラのDIGNOを練習用に使うことにしました。最初は、電子メールの送受信と電話を使えることが最低のクリアー課題です。携帯と違い、スマホは小さなパソコンですから、かなり操作に違和感があったようです。それでも、パソコンは知っているので、徐徐に機械に慣れてきました。

いよいよ自分用のスマホを買いました。9月21日、京セラのURBANO PROGRESSOをauショップで購入です。これは私が現在使っているものと同じ機種。色もシルバーで、私と同じ。カバーは赤。私は黒なので、違うのこの点だけ。文字入力ソフトは、7notes with mazecです。ときどきおかしな変換をしますけれど、概ね良好です。慣れの問題で、人間がソフトの癖を読み取るしかありません。

ときどき友人や娘に電子メールを送っているようです。手書きソフトにも慣れて、肩や指の力が抜け、普通の感覚になってきたよう。広辞苑などの辞書ソフトも入っているので、分からない文字があればすぐに調べられるのが便利です。インターネットも、椅子やソファに座ったまま、気楽に見ています。以前は、パソコンを持ち出し、電源を繋いで、スイッチを入れ起動、という作業をしなければならないので、だんだん使うのが面倒になっていたのです。その点、スマホやタブレットはいつでもどこでも使えて、身近な物ですね。

URBANO PROGRESSOは、auブランドなので、auだけ。京セラが作る日本製です。CPUは1.4Ghzのシングルコアという、今時にしては平凡な仕様です。しかし、動作が安定していて、変なバクが見受けられない。私が使っていて、トラブルは一度も起きていません。Android4.0がOSで、まだまだ長く使える端末です。動画を見たりゲームをしない人であれば、積極的にお薦めしたい機種です。

私は、昨日BOSE製のPC用スピーカーを購入しました。普通のアクティブスピーカーは、5000円から10000円以下なのに、とんでもない値段が付いています。私が買ったのは、幸いなるかな中古品。だから買った、という訳です。BOSEのM2と呼ばれている品です。ものすごく小さいのに、ちょっと信じられないような音が出ます。低音から高音までバランスが整えられ、すっきりした抜けの良い音です。

この文章は、そのM2から出る薬師丸ひろ子さんの探偵物語を聞きながら書いています。

■2012/10/17 健康診断が終わる
延ばしに伸ばしていた健康診断に行ってきました。いつもグズグスして、前回から早二年になります。一昨日15日、朝食抜きで朝九時十五分からの受付に間に合うように、緊張して出かけました。私は、朝が弱いのです。体のテンションが下がったままで、動きが鈍いのは昔から。毎日実行しているストレッチと軽い筋肉運動だけは、出かける前にこなしました。

検診に来る人は、結構多いですね。会社の指定(義務)で来ているような人、健康保険を利用している人、女性では乳癌と子宮癌の検診、などなど。ほとんどの人は、午前中の早い内に終わるコースのようです。私は、35000円のパックにオプションを付けて、少し詳しく調べて貰いました。動脈硬化、骨定塩量、脳MRI、前立腺癌、この四項目を追加しました。

その他、胃カメラ検査などの時間がかかる検査もありましたので、私が検診室に戻ってみると、もう誰も居ませんでした。私が最後の検診者だったみたいです。胃カメラは、やや不安がありました。今年の夏頃から、ずっと胃の調子が悪かったのです。大好きなヨーロッピアン珈琲、深入りの苦い味ですね、を飲むと、胃が痛み重くなり食事ができなくなったのです。もしや癌、などの思いが過ぎり・・。

で、大いに期待して胃カメラ室に入り、しっかり覗いてもらった結果、特に異常は無し、とのことでした。ドクターに、これこれですが、どうしてでしょうね、と訪ねると、小首を傾げて「どうしてでしょうね」という顔をされていました。結局、原因ははっきり分からないらしい。私が自己流の診断をくだすと、「そろそろ歳のせいで、胃も疲れているのでしょう」なんてところでしょう。

ずっと大大好きな苦み走った珈琲が飲めないのは、悔しい。喫茶店では、紅茶とかココアなんかを飲んで我慢しています。ココアは胃に優しいけれど、カロリーは高そうです。うーむ。

二週間後には、詳しい検査結果が出揃います。楽しみにしています。癌や脳梗塞などがあるかもしれませんので、まだ安心はできません。この歳ですから、あちこち異常が出たり、病気になっても不思議ではありません。受けて立つ、心の準備は出来ています。

■2012/10/20 PET/CT検査終了
みちこは、PET/CT検査に行って来ました。中央区の狸小路近くにある某病院です。特殊な装置なので、どの病院にでもあるものではありません。朝食は食べずに(検査のため)、私たちにしてはとても朝早く車で出発しました。約1時間かかりました。

9時40分受付、検査開始が10時半。それから約二時間かかります。PETとは、Positron Emission Tomography (陽電子放出断層撮影)のことです。癌細胞は分裂活動が旺盛で、通常細胞の3から8倍も糖分を吸収するそうです。その性質に着目して、極小さな癌細胞の存在をも発見しようというのが、PETです。フッ素18という放射性同位元素を作り、ブドウ糖に混ぜ合わせて、FDGという薬剤を作ります。

FDGを静脈注射し、薬剤が体に行き渡るまで、約1時間ほど待ちます。癌細胞があるなら、そこには多くのFDGが集中することになります。結果、癌細胞もしくは癌と思われる場所からは、ガンマ線が放出されます。そのガンマ線を測定して癌を発見するのが、PETという装置および検査方式です。初期の機械は、ガンマ線の測定しかしなかったのですが、最近は同時にCTで断層写真を撮影します。

PET検査とCTを組み合わせることで、病変部の正確な状態を把握し、転移があればその場所も高い精度で分かるようになりました。素人にはよく分かりませんが、とても精密でナイーブな機械なのだそうです。何事にも完全は無いように、この機械でも100パーセント癌を発見出来る訳ではないし、まれに誤認識することもあるそうです。難しいものですね。

終了まで二時間ほどかかります。私は、久しぶりに狸小路に足を運んでみました。大通り近辺に来ることも滅多にないので、ましてや狸小路は、10年以上来ていないように思います。アーケードの下に入って行くと、三十年前の時代がそのまま残っているように感じます。西に向かって歩いて行くと、新倉屋の看板が見える。おお、懐かしい。この店は小樽に本店がある有名な団子屋さんです。

仕事で都心に出ることが多かった時には、待ち時間潰しにこの店にしばしばお邪魔したものです。お店に入ってみました。以前とほとんど変わらない店内です。正面のガラスケースには、できたての団子類がいっぱい並べられています。お菓子もたくさん置いてあります。二階が喫茶室になっています。ついつい階段を登って行きました。昔のままです。テーブルと椅子がゆったりと置かれています。

壁には、薔薇の花型と古いガス灯型の白熱ライトがほんわかと灯っています。階段の上がり口には、古い公衆電話ボックスもそのままありました。懐かしい気分に浸って、気がつけばテーブルに腰を下ろしていました。当然ウェイトレスさんが注文を聞きにきます。メニューもちょっと変わっているんですね、この店は。モーニングセットの内容。珈琲とお団子二本です。甘い物の嫌いな人は、びっくりします。

団子五本のセットもあります、と云われたけれど、二本もあれば十分すぎます。また下腹が少し出てきているので、気になっているところ。「モーニングセット、お願いします」と頼みました。お団子は、醤油味と胡麻味。昔食べた味のままでした。甘すぎず、さっぱりしているので、胃にもたれるような感覚はありません。やや薄めの珈琲をゆっくり飲みながら、スマホで読書をしてみました。

ずっと珈琲が飲めない状態が続いていたのに、新倉屋さんの珈琲は大丈夫。胃に染みたり、痛みを感じることもありませんでした。その他、居酒屋さんやロシア料理のコーシカなどがそのままお店の看板を掲げているので、古い物に接すると人の心は落ち着くものなんだな、とあらためて思いました。古き良き狸小路、これからも懐かしさと伝統の中で市民から愛され続けてほしいです。

みちこの検査は、予定通り二時間で終了。彼女が検査室から元気に出て来るの見て、トラブルが無くほっと安心しました。検査の結果は、いつも通院している病院のドクターから聞くことになっています。あれこれ気をもんでもどうにもならないので、二人で帰路につきました。

■2012/10/29 検診の結果に仰天
15日に受けた健康診断の結果が、A4の封筒に入れられて届きました。血圧、糖代謝、肝機能、膵臓機能、尿・腎機能、前立腺マーカー、心電図、動脈硬化、肺機能、骨密度などは(A)判定。現時点では、問題なし。脂質代謝が(C)判定。中性脂肪が二年前の倍の値になっています。基準値(149mg/dl)を10ポイント以上超えている。ずっと70前後で推移していたのに、ど、ど、ど、どうしたんだろう。

みちこ看護師さんは、冷ややかな表情で検診報告書を眺めている。「カロリーの摂り過ぎだね。たった今から、甘い物を食べるのは禁止する」、そう言い放ったのです。さらに付け加え、「黙って見ていると、食後に饅頭やドーナツを食べている。私は危険だと思っていたんだけど。油断大敵とはこのことだね」とだめ押しの打撃を加えるのです。ええ、ごもっとも、反論の余地はありません。

若干の云い訳をさせていただきます。みちこが大腸の調子を悪くして入院する前には、食事管理と運動の成果が出て、下腹の脂肪がすっきり取れていました。もちろん体重も大学時代と同じになっていました。みちこが長の入院から戻ってから、緊張が緩んだのです。それに、みちこはカロリーを健康人よりも多めに摂るため、餡パン、饅頭、餡ドーナツなどを意識的に口にしています。

それを目の前で見ていると、ついつい一緒に「一日に一個くらい大丈夫、大丈夫」と侮って口に放り込んでいました。目の前に美味しそうな物があるのに、その誘惑をはね除けるのは至難の技ですよ。気がついたら、下腹がムクムクと突出して、体重が2kg近くも増えていた。元来が甘党の私です。誘惑に負けた、欲望に負けた、執着心に負けた。みちこさん、反省しています。

昨日から、甘いお菓子の類をいっさい口にしておりません。運動量も、無理のない程度に増やし始めました。二週間頑張れば、効果は見えてくるはずです。お菓子というのは、人間精神の楽しみでもあります。絶対食べないなどと云うと、ストレスになりますから、時々は美味しさを味わうのが宜しいと思っています。健康を害するほどに暴食するのが悪いのでありますね。

腹部超音波で、胆嚢ポリープが一個見つかりました。これは、様子見という程度です。小さな胆石も一個。今のところ悪さはしないでしょう。年齢を重ねると、体のあちこちにポリープやら癌などが出来るものです。大事に至る前に見つけて、対処するしかないと思います。肺活量は、約4リットル。前回よりも増えています。運動を続けている成果でしょう。どちらかと云うと、多い方でしょうか。

脳MRIのコメントが面白い。くも膜嚢胞(左中頭蓋か・後頭蓋か)、わずかな異常で、日常生活に支障ありません。日常生活に支障はないけれど、高度な精神作業には難があります、と書いてあるような気がします。私の勘ぐり、もしくは僻みでしょうか。私は、人間は歳を摂る程度に、適当に呆け気味になってきた方が好いと思っています。体の衰えに、頭も適当に合わせていた方がバランスがとれます。

人間は、体はどんどん衰えるのに、頭(大脳新皮質)は「いつまでも自分は変わらない」と思いたがる悪い性癖があります。それこそが、人間の苦しみの根源ではないのか。死ぬ直前までまったく呆けなかった母の苦しむ姿を思い出し、辛そうだったなと思っています。

■2012/11/3 PET/CTの結果
今日は、文化の日です。何か文化的な事をしなければいけないのかな。人間が、日々誠実に一所懸命生きることが文化だと思います。

みちこのPET/CTの結果が分かりました。Drの説明は、以下のような内容でした。

肺癌の原発巣部分に、放射性物質の取り込みが見られます。今まで無くなったように見えていた癌細胞が、増殖を始めた可能性が大きいです。気管支近くのリンパにも疑わしい部分がありますが、これは転移かどうか断定はできません。その他には、転移が認められません。2010年の抗癌剤と放射線治療は、手術と違い、完治できるものではありません。いずれ、再増殖の可能性があったものです。

今後の対処です。(1)抗癌剤治療、(2)放射線治療、(3)緩和ケアの三つが選択肢として考えられます。抗癌剤は、強力な副作用があり別の病気を引き起こすこと、投与中は入院しなければならないので、普通の日常生活は送れません。放射線は、前回治療で限度いっぱいに照射しているので、さらに行うと放射線肺炎を起こして死亡する危険があります。いずれも非常に高いリスクがあります。

抗癌剤や放射線を再度行うのも選択肢ですが、それによって完治はしません。延命治療と云うことです。それでも望む患者さんや家族もいらっしゃいますので、私たち医師としては治療を受ける側の気持ちを尊重して当たりたいと思います。緩和治療は、症状が進行した時に苦痛が無いように様々な対処をすることで、その方法も進歩していることを理解してください。

今すぐに、癌が急増殖するとも思えませんので、これからも病状の変化を経過観察したいと思います。今後どのような治療、生活の仕方を選択するか、ゆっくり考えてください。

みちこも私も、今回の検査結果については、漠然と不安感があったのです。それが、現実となりました。みちこは、抗癌剤治療はしないと決めているようです。私も、賛成できない。副作用が強く、最後には立ち上がるのも困難になります。それが人間らしい生き方とは思えないのです。昨夜から今日、何も無いような顔をしているみちこです。しかし、心の中は・・。私は、今まで通りの暮らしをしたいと願っています。

■2012/11/14 落ち着いて生きてます
みちこのPET/CTの結果は、覚悟はしていたものの、やや意気消沈しました。私は二三日の間、夜の眠りが浅く、胃の調子が悪くなりました。みちこは、傍から見た目には変わらず生活しています。「死ぬ前の準備をしなければ」などとは云いますが、淡々と日常を過ごしています。毎日軽いストレッチとエアロバイクは欠かさずに続けています。何もしないでいると歩けなくなりますから。

味覚異常は日毎に悪くなっているようです。2010年の抗癌剤投与以後から始まった症状です。何を食べても美味しさを感じないので、空腹感があるにもかかわらず「何も食べたくない」と云います。唾液が酸っぱく感じたり、塩辛く感じたり、状態が一定ではありません。みこちは「そのうち、味覚が無くなるのではないか」と思っているみたいです。そうかもしれません。

今は、体力維持と生きていくために、口に入れられる物を優先に食べています。栄養バランスがどうのこうのと云っていられません。餡パン、餡饅頭、ラーメン、ゆで卵などカロリーを摂れる物を選んでいます。合わせてビタミン、ミネラルを補給する補助食品を摂取しています。

私は、先月の健康診断で問題になった体重の増加と中性脂肪の低下の為に、この間日々努力をしています。その甲斐あって、体重は1.4kg減少しました。食事の量を減らし、甘い物は口にせず、運動量を三割増やしました。下腹の膨らみが後退し、体がほんの少し軽くなりました。もう少しですね。あと500g、体重を減らすまで頑張ります。栄養とカロリーの出入り計算をしっかりすることです。

■2012/11/25 味覚異常改善せず
20日から、みちこは軽い喉風邪を引きました。21日には、軽い尿道炎の症状になりました。ドクターに訴えたら、クラビット抗生剤を処方されて服用。お陰で症状は快方に向かい、今はほとんど回復しました。風邪は、喉から鼻に移動。まだ鼻水が出ていますが、悪化しない様子なので、安堵しています。免疫力が落ちていますから、健康な人に比べるとあらゆる感染症に罹り易いのです。

味覚異常は、ますます悪化しているようです。「何も食べたくない」状態が続いています。本人が困っているのはもちろんですが、私もどうして好いか分かりませんし、手の打ちようがないのがもどかしいです。ドクターも困って頭をかかえている訳で・・・・。

今日は、糸が解れていたカーテンの修復作業に針を持ったり、「死んだら着せて」と云って自作した洋服にアイロンをかけたりしています。癌特有の症状は今のところ全くないので、切羽詰まった気持ちはないようですけれど、少しずつ準備をしているようです。みちこは、洋裁学校に通っていたこともあります。プロの洋服仕立てを出来る実力があります。子供たちの洋服を何着も作りました。

私は、いよいよ冬本番になってきたので、駐車場の除雪体制を整えました。冬用の上着をクローゼットから出し、長靴を靴箱から出し、手袋も用意、トランクルームから除雪スコップを取り出してきました。金曜日には気温が真冬並みに下がり、降雪があり、積雪となりました。さっそく駐車場の初除雪。まだ湿って重い雪なので、ほんの少しの量なのに、汗をかくぐらいでした。冬の除雪だけは辛いと思います。

衆議院が解散になりました。遅すぎるくらいだけれど、年内に新しい政府が決まるのは好いことだと思います。国民に信頼されない政府がだらだらといつまでも続くのは、国民が一番迷惑します。野田ドジョウ内閣の最大の功績は解散したことでしょう。小泉郵政解散や三年前の根拠希薄な改革期待感という「雰囲気、風」に飲まれて投票するのはこりごりです。政策の確かさをしっかり確認したいものです。

■2012/12/10 猫も走る・・師走
この走り書きを更新せずに、二週間以上経ってしまいました。師走です。年内の後始末と来年の準備をしなければならない月なので、気分のみならず実際に忙しく気ぜわしいですね。我が家の猫たちでさえ、あちこち走り回っている・・。なんて事は大嘘です。寒くなればなるほど、ストーブの温風の前で丸まっております。真に羨ましい限りです。ごろうとごくうには、悩み事があるのかしらん。

みちこの様子は、相変わらずです。味覚異常と臭覚異常の両方があるようです。食物の味を感じられないだけでなく、特に香辛料の類に敏感に反応します。悪い方の感覚反応です。例えば、カレー風味、シソ、酢、燻製(ベーコンのような物)。こうしたもので味付けしてある料理はまったく食べられません。普通は、香辛料は食欲をそそるものなのですが、みちこはまったく反対の反応をします。

生きているのなら、食欲があるのが当たり前なのに、「何も食べたくない」のですから、精神的には辛いです。生きるためだけに「食べる」。苦痛だと思います。でも、みちこは頑張ってますね。空腹感だけはあるのだそうです。毎食事時に、思いついた物を口に放り込んでいるのが実態です。カロリー不足を補うために、何とか大きな苦痛無く食しているのが「谷田の日本一きびだんご」です。

札幌市近くの栗山町にある「谷田製菓」の製品です。大正12年に作り出された歴史あるお菓子です。契機は、関東大震災の復興と北海道開拓を願ってとのこと。当初は「起備団合」と呼んでいたようです。私たちの子供時代からお馴染みのお菓子ですから、懐かしさも半分あって食べ始めました。これだけは、癖のある味も臭いもしないので、長く食べ続けられるようです。みちこの命綱になっています。感謝。

札幌の落日は、夕方四時頃です。雪の降る日などは、三時半には真っ暗になってしまいます。みちこは、この季節が大嫌いなのです。今日は、「食べたくないのと、日が暮れるのが早くて、どうしても気力が湧いてこない」と嘆いています。その気分は、私も同じです。夏なら午後七時までは明るいのですから、一日三時間ほども損をしている気持ちになりますね。冬至を過ぎれば、少しずつ少しずつ日照時間が長くなります。年が明けて、一月、二月はとても寒いけれど、春が近づいて来るという明るい気持ちになれるのですね。

ぐちゃぐちゃ云ってないで、そろそろ年賀状も作らなければならないし、私は来年の所得申告の準備もしなければならないし、やることをさっさとやりなさいとお尻を叩かれそうそうです。そうそう選挙の投票日が目前です。今よりはまともな政府を望みます。

■2012/12/14 ただちに原発ゼロ? 話せば分かる?
ついに衆議院選挙の投票日まで、あと二日。争点はたくさんありますが、二点ばかり私見を書いてみます。「ただちに原発ゼロにします」と訴えている政党があります。私には、どうしても納得できないのですね・・。ただちにゼロにする、なんてことが本当に出来るのだろうか。原子炉内の圧力容器、格納容器から燃料棒を取り出さなければなりません。使用済みの燃料棒もプールに浸されています。さらに、建屋外には高レベルと低レベル放射性廃棄物が、とりあえず保管されています。

これらの危険な物質を原子炉内から撤去し、低・高レベル廃棄物も含めて、どこかに中間的な廃棄場所を建設しなければなりません。候補地に上がった自治体では反対運動も予想されます。一朝一夕には出来ない、悩ましい問題です。議論をしながら、これらの諸問題を解決できたなら、「原発ゼロ」という状態にやっと漕ぎ着けたと云えるでしょう。科学的な思考からは、「ただちに原発ゼロ」は不可能だと思います。この言葉は、政治家特有の「文学的表現」と理解した方がよさそうです。「卒原発」の方が、マシな表現です。

正しくは「ただちに原発の運転を停止し、原則再稼働はしない」と云うべきでしょうね。ドジョウさんは、「再生エネルギー(自然エネルギー)分野に投資をして、仕事と雇用を増やす」と演説しています。でもねえ・・、自然エネルギーだけでは原発の代替えは無理だと思います。開発途上の技術だし、はたしてどれだけの供給力があるのか、まだまだ未知数。現実的には、石油、石炭、天然ガスなどが、当面の主力になるでしょう。メタンハイドレードなどが実用エネルギーになると展望が明るいのですが・・・。


そう言えば、「フェードアウトする」と
仰る人もいます。自然消滅する、というようなニュアンスなのでしょうか。あまりにも文学的すぎて、私には理解不能です。純文学の作家さんが云っていることなので、深い意味があるのかもしれません。原発が自然消滅するのなら、これは理想的なエネルギーです。東京と大阪に作ってみてはどうですか。

尖閣諸島に対する中国の不埒な行動は、日本人ならず諸外国からも批判の目で見られています。ある政党が、「中国、韓国と領土問題が存在することを認め、交渉すべき」と公約に掲げているのを見て、震天動地、驚天動地、西から太陽が昇るのでは、と腰を抜かしそうになりました。尖閣諸島については、その歴史的経過から間違いなく日本の領土です。議論の余地はありません。だからこそ、現政権でさえ「中国との間に領土問題は存在しない」と云っているのです。これは正しい。

「領土問題が存在する」と認めたとたんに、尖閣は半ば中国に乗っ取られたと同じ事になります。中国が如何なる本質を持った国であるのか、この政党はまったく理解していないか、あるいは極めて友好的(シンパ的)な立場なのか、どちらかでしょう。中国は、南沙や西沙でベトナム、フィリピンに対し、不当な領土侵略行為を延々と続けています。相手が弱いと思えば、遠慮無く軍事力を行使します。国内でも、中国建国後にウィグル族、チベット族、モンゴル族、満州族などをウムを云わせず侵略し、漢族の領土にしました。

中華帝国は、歴史的に覇権が大好きであり、他民族を夷狄・蛮族と蔑み続けてきました。中華思想です。さらに中国共産党のマルクス・レーニン主義思想が加わり、独善と自己中心的な態度に磨きがかかっています。国内では、共産党の一党独裁、国民に自由な発言はいっさいさせないのです。何千年という歴史を持ちながら、未だに成熟した政党が存在せず、国民の完全な自由意志による普通選挙も行われたことがないのです。こんな国とは、まともな話し合い、交渉なぞ不可能です。話の分かる相手ではない。

彼らに対しては、これ以上無理難題を押しつけるのは不可能だと諦めるまで、断固として屈服しないという明快な意志表示をし続けるしかありません。彼らも武力衝突なぞはしたくないのが本音でしょう。軍事力で日本を上回っている自信は、まだ無いのです。尖閣の実効支配を確実にし、かつ世界に訴えるのが最善策だと考えます。

■2012/12/21 呼吸器科、メンタルクリニック受診
今日は、冬至です。明日から少しずつ日照時間が長くなります。冬は、これからが本格的ですが・・。近年希に見る、記憶に残るであろう衆議院総選挙が終わりました。小選挙区制という制度もあり、結果は劇的な変化をしました。良いと思うか危機的と思うか、人それぞれです。相対的に自民党の支持が多かったのは間違いないでしょう。安倍さんが「デフレ脱却、円高是正、強い経済再生、雇用拡大」を公約の先頭に掲げたので、多くの期待を集めたと思います。期待通りにやってくれれば、誰も不満は言いません。

みちこは、呼吸器内科の定期受診でした。診察の前に、胸部と腹部のCT撮影。それからドクターの診察。ドクターが、写真をモニターで見ながらの解説です。CTで見る限り、10月の画像と比べてほとんど変化は無い。腫瘍マーカーの値も、ほぼ横這いで推移している。腹部臓器への転移も見受けられない。ただ、7月の画像と比較すると、原発部腫瘍が1.2倍程度に大きくなっています。内視鏡で細胞を採取しても、正確に採れるかどうか分かりません。判断も難しいです。当面は、このまま様子を見ましょう。

ということで、今すぐに何らかの対処をする状況ではなく、来年二月にまたCTを撮って、腫瘍の動きを判断することになりました。2010年1月に癌が見つかって以来、転移が無いのを奇跡のように感じています。有り難いことです。腫瘍様におかれましては、出来るだけ長く温和しくしていて下さい。

私も、パニック障害発生以来診て貰っているクリニックに行ってきました。血圧と脈拍の経時変化を表したグラフを採ると、綺麗な山形(富士山の片方をぐーっと引き延ばしたような)になっていました。ドクターに云わせると、「もうほとんど治ってますね。もうちょっとという処なんですけどね」とニコニコされています。でも、時々気分が悪くなるので、やはり完治はしていない。いつもの薬を処方してもらい、帰って来ました。症状が出ないように、自己コントロールするしかないかと、納得しています。


歯に突然のアクシデントがありました。左下奥歯に詰め物をしていたのですが、歯を磨いている時にポロリと外れてしまいました。みちこの受診が終わってから、我が家の隣にある歯医者さんに駆けつけ、緊急の対処をしてもらいました。ドクター曰く、少し虫歯が進行している、治療して詰め物の型取りをしなければならないので、年明けから本格的な作業に入りましょう、とのこと。年々病院通いの回数が増えていきますね。歯とか目とか耳とか、これだけ使っていれば、経年劣化は当然でしょう。

■2012/12/24 マスコミの云うことに・・
北海道新聞(12月24日付)に領土問題に関した記事が載っているので、その姿勢について考えてみました。

「固有の領土」論でいいのか、との見出しで、以下のょうな記事が二面に掲載されています。(安藤健 執筆)
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「政治的に領土問題の存在ははっきりしている。なのに『存在しない』と言い続けるのは矛盾している」
先月中旬、東京・永田町のホールで語気を強めたのは、外務省条約局長として多くの外交交渉にかかわってきた東郷和彦・京都産業大世界問題研究所長だ。

(この後、北方領土、竹島、尖閣諸島について、作家の保阪正康氏の発言が続く。基本的に日本の主張が歴史的経過から正しいとしている)

政府が9月に尖閣諸島を国有化して以降、、尖閣周辺領海や接続水域には連日のように中国の監視船が侵入している。国防軍創設や集団的自衛権行使を掲げる安倍氏の首相就任に中国の警戒感が強まる中、日本が「固有の領土」論で突っぱね続ければ、日中間で「不測の事態」(玄葉光一郎外相)が起こる可能性もある。ならば、何をなすべきか。(中略、保坂氏の発言) 日本の主張をしっかり掲げて国際社会を味方に付け、対話を重ねること。それこそ、まもなく発足する安倍政権に課された外交テーマではないだろうか。
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この記事は、日本の領土に関する主張の正しさを認めながらも、中国との関係では「対話を重ねること」が解決の道だ、と説いているようです。まず、北方領土、竹島、尖閣は対する相手が違うだけでなく、問題の中身も違うのです。この点を記事を書いたご本人がよく分かっていないようです。北方領土と竹島に関しては、強引に相手国によって「領土問題」にされてしまったものです。しかし、尖閣諸島に関しては、そもそも中国は1970年頃までまるで関心が無かったし、「我が領土」などとは主張したことがありません。

石油資源があるかもしれないという話が出てから、やにわに「我が国固有の領土だ」と吠え始めたのです。ご都合主義、歴史など平気で改ざん、自分のやりたい事は相手がどう思おうが押しつける、自分の物は自分の物・他人の物も自分の物、弱いと思えば軍事力を躊躇無く行使する。それが共産党の独裁国家・中国の本質なのです。マスコミや良心的な学者、評論家、一部の左翼系政党などの平和を願う気持ちは理解できますが、相手は普通の民主的な国ではない、という事実をよく考えて欲しいのです。

はっきり申し上げて、中国とは「対話を重ねて解決」などと悠長な事は無理というもの。中国は、今年中古の航空母艦を就役させ、さらに数年後には国産のものを建造して海軍力を増強していくでしょう。自衛隊と戦闘しても勝てる、と判断したときには軍隊を一気に尖閣に上陸占拠する腹づもりであることは間違いありません。尖閣の解決方法は、ただ一つしかないでしょう。日本の実効支配を、如何なる手段をとっても堅固なものにし、中国が軍事力を行使できない環境を早急に作り上げることです。

同紙5面には、「憎悪あおる空気に抗う」(論説委員室から 加藤利器)という記事があります。

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フランスを代表するルモンド紙上で11月上旬、日本と中国の駐仏大使が尖閣諸島の領有権について、投稿論文による、見苦しいまでの非難合戦を繰り広げた。とりわけ、中国大使は第2次大戦後、ドイツが戦争責任を認めて謝罪し、欧州の平和と繁栄の礎を築いたのに対し、「日本はドイツと対極の行動を取り続けた」と述べ、その姿勢を痛烈に批判した。(中略)ナショナリズムという火群(ほむら)をあおると、政治が泡立つ。お互いの強硬姿勢が、やがて「偶発」を生みかねない危うさ―。その連鎖はどこへ向かうのだろうか。
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この記事のアンフェアな点は、中国大使の主張は紹介するけれども、日本の大使がどんなことを述べたのかにはまったく触れていないことです。しかも、「戦争責任」について、日本がドイツとは対局の行動を取ったと、加藤論説委員は中国大使に同調しています。これは事実を歪曲した主張です。日本は、戦争の当事者になったことを世界に対して何度も何度も謝罪し続けてきました。今でさえ行っています。いったい何時まで、天皇に「先の大戦での不幸な出来事云々」と言わせ続ければ気が済むのでしょうか。

中国や韓国に対しても、すでに賠償を含めて戦後処理は終了しています。さらに、ヒトラーのドイツが行った戦争と日本が中国、満州、太平洋で行った戦争は、その動機や方法に違いがあり、ドイツと日本を単純に同一視するのはおかしな話です。中国、韓国、北朝鮮が言うところの「歴史問題」とは、かれらの一方的かつ独善的な視点からのものであり、しかも事実を歪曲したり捏造してもいます。当時の歴史背景と日本が置かれていた立場について、日本の言い分というものも在ります。

日本のマスコミや良心的文化人・学者は、「日本がすべて悪かった。お許し下さい。もう絶対に戦争はいたしません。」と云うのが平和を守る事だと、勘違いしてはいませんか。平和を願い、戦争なんぞやりたくないという気持ちは、私も人一倍強いつもりです。ですが、中国のように普通の国でない相手がすぐ隣に居て、常に恫喝を加えてく来るという事実に対してどうすればよいのですか・・。話の分からない相手ですよ。話し合いが出来るのなら、どうして一方的に他国の領土・領空を侵犯するのですか。軍事的恫喝をするのですか。

日本は、先の戦争経験から、戦争をしないと決意したのですが、現実の世界情勢は私たちの平和を願う気持ちを裏切るものとなっています。まだまだ弱肉強食の時代が、形を変えて続いています。本当に平和を確保したいと思うのなら、獲物を狙う悪辣な国が絶対に手出しできないように、万全の手段を整えるしか方法はありません。これをナショナリズムと云うのなら、もう日本は国家、民族であることをやめて、世界中に「自由にしてください」と国土を開放するしかないのではありませんか。日本人と文化は消滅しますが・・。

今夜はクリスマスイブですね。どうか今夜だけでも、銃弾で倒れるような子供たちがいませんように。世界が穏やかでありますように、心から祈ります

■2012/12/31 一年間お疲れさま
今日で、今年は終わりです。早いと感じるのは歳のせい、だろうか。一年間忙しかったな、という記憶しかなく、何か世の為人の為になることをしたわけでもなし。光陰矢の如しと云いますが、時間は前に進んでいるのか、後ろに進んでいるのか、上に進んでいるのか、下に進んでいるのか、実に不思議です。一応気持ちのけじめは付けようと思います。今夜は一年が無事に終わることに感謝し、至らなかった自分に反省し、身の回りを整理整頓して、気持ちよく過ごします。

みちこは、年内最後の透析に出かけました。こういう病になると(病は全部かな)、盆も正月もまったく関係無いですね。きっちり週三回の病院通いは、「お休み」というわけにはいきません。みちこは、現役時代には勤務が一般のお休みとは完全にズレていました。患者さん相手ですから、日曜・祝日などと云っていられない。とくに年末年始の勤務が多かったです。でも、そこを乗り越えると、まとまった休みが取れて、子供たちとものんびりと過ごしていました。今は、二人きりの正月です。

病院で、みちこの透析をしてくれる医師、看護師、臨床技師、その他のスタッフのみなさんに、心からお礼申します。有り難いことです。入院したり、具合が悪いときには、あれこれと気を遣ってくれるのが分かります。良い病院、良いスタッフに囲まれて、私たちは好かったなと思いますし、今後とも宜しくお願いいたします。

みちこは、このところ病状に大きな変化は無く、まずまず落ち着いて生活しています。癌の進行状態が心配だったのですが、三年前に比べればとても良好と思えます。歳が明ければ、癌発症から四年目に入ります。よくぞここまで回復して、日常生活に復帰できたものです。本人にとっては、病気であることが酷いストレスのはずですが、感心するほど忍耐強く生きています。辛いことが多いでしょう。味覚臭覚障害で、食事が楽しみではなく「苦しみ」になっているのですから。

私は、食事管理と運動を続けている効果で、体重を2kg落とすことに成功しました。体が軽い、動きにキレが出てきますね。運動量を増やしても息が上がらなくなってきたし、昨年に比べると除雪が辛くないです。体力も少し若返ったように感じます。みちこの為にも、悪い病気にならないようにと、心に念じています。今年は政権交代がありましたし、安倍総理が約束したとおりにデフレ脱却と景気回復が進めば好いですね。皆様、一年間お疲れさまでした。食べ過ぎにご注意を。

●2013年からは、第2章から書き始めます。どうぞ、宜しく。