なぜ端のあるストリングとループ状のストリングがあるのか?


Last Update: 11/14/2012

  ひも理論では2種類のストリング、「端のあるストリング」と「ループ状のストリング」があります。

 

 

なぜ1種類だけではなく、2種類あるのでしょう? あるいは、統一理論と言いながら、ひも理論には2種類のストリングがいるので統一されていないではないか、と思われるかもしれません。しかし、実際にはこれらはある意味同じ物体です。これを理解するには、ストリングがどう作用しあうかを理解する必要があります。

 端のあるストリングの場合、もっとも簡単な相互作用は、ストリングの端同士がくっつくことです:

 

 

逆に、ストリングがちぎれて2つの(端のある)ストリングになることもあるでしょう。しかし、ストリングの端同士がくっつくのならば、別々のストリングの端がくっつくだけではなく、1つのストリングの端同士もくっつくでしょう。1つのストリングの端がくっつけば、ループ状のストリングになります:

 

 

つまり、端のあるストリングがあると、否応なしにループ状のストリングもなければいけません。ストリング2種類あるのはこのせいです。

 もっとも、端のあるストリングがまったくない理論を考えることもできます。すると、この理論はループ状のストリングだけの理論になります。いずれにせよ、超ひも理論は必ずループ状のストリングを含むことになります。

 ひも理論では、ループ状のストリングは重力をあらわします。ということは、超ひも理論には必ず重力が含まれることになります。違う言葉で言えば、重力を含まない超ひも理論は意味をなしません。

 これは超ひも理論の大きな特徴の一つです。これまでの理論では、純粋に理論的な観点では重力がある理由がありませんでした。つまり、理論的には重力がなくても理論は意味をなしました。もちろん、現実の宇宙には重力があります。このため、重力も一緒に考えることにはなりますが、重力を考えないと理論が意味をなさないというのとは話は別です。

 その意味で、これまでの素粒子理論には明らかに欠けていた点がありました。これまでの理論では、なぜ重力があるのか説明できなかったからです。超ひも理論はこれを説明します。つまり、重力が自然界に存在しないと、理論は意味をなさないのです。重力は理論的にはあってもなくてもどうでもいいという存在ではなくて、不可欠な存在なのです。 

 


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