ブラックホールの大きさは?


Last Update: 11/14/2012

 まずブラックホールがどのくらいの大きさなのかから始めることにします。もっともブラックホールの大きさと言っても、ブラックホールの重さ次第です。そこで、ここでは太陽と同じ重さのブラックホールを考えることにして、太陽の大きさと比べることにします。

 またこの宇宙ではふつうの星やブラックホール以外にも、白色矮星や中性子星といった天体も存在しています。そこでこれらの天体の大きさも比べることにしましょう(白色矮星も中性子星も、太陽と同じ重さの場合を考えます)

 まずこの図では、太陽全体が見えるように描いたものです。太陽の右端に小さな点がポツンと見えますか?これが地球です。(地球は太陽にこれほど接近しているわけではありません。ここでは大きさを比較しているだけです)地球と比べると、太陽はずいぶん大きいことがわかります。

 太陽とブラックホールの大きさを比べたいのですが、ブラックホールは小さすぎてこの図ではとても見えません。そこでとりあえず図を10倍に拡大することにします(長さで10倍)

 地球がはっきりと見えるようになりました。地球とほぼ同じ大きさのマルがあります。これは白色矮星と呼ばれる星を表しています。太陽のような比較的軽い星は最後には、この白色矮星になります。

 ブラックホールはまだ見えません。そこでさらに10倍拡大しましょう。

 白色矮星全体が見えるようになりました。眼が良ければ、白色矮星の右端に小さな点が見えるかもしれません。これはなんでしょう?よく見るためにさらに10倍拡大しましょう。

 白色矮星のそばの点は、中性子星と呼ばれる星です(こんな色ではありません。区別しやすくするために色をつけただけです。)太陽よりある程度重い星は、超新星爆発を起こして最終的に中性子星が残ります。

 中性子星のそばに点が見えます。これがブラックホールの大きさです。しかしこれではよく見えないので、もう10倍だけ拡大しましょう。

 やっとブラックホールが見えました。ブラックホールの直径は約6 kmしかありません。このような小さな物体が、最初の太陽と同じ重さを持っています。

 太陽ほど重い物体が小さい領域に押し込められると、(星の表面で)重力がどんどん強くなります。白色矮星は太陽より重力が強く、中性子星は白色矮星より強い重力を持っています。そしてついにブラックホールまで小さくなると、重力があまりに強く、光さえもブラックホールからは逃れられなくなってしまいます。相対論によると、光より速い物体はないので、つまりブラックホールから逃れることができるモノは何もないことになります。

 ブラックホールのような変わった性質を持つ物体が、宇宙に本当に存在するかあやしむ人もいるかもしれません。たしかに、ブラックホールからは光さえも出てこないので、直接観測することは難しいです。

 しかし、白色矮星や中性子星は間違いなく存在します。つまり、太陽ほどの重さを持った星が何万倍も圧縮されるような状況は、この宇宙で確かにあります(中性子星の場合、5万分の1)。ブラックホールはこれらより小さいとは言え、中性子星のせいぜい数分の1の大きさです。太陽が数万分の1にまで小さくなることがあるのなら、それより少し小さくなってブラックホールができることも十分ありえるでしょう。


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