用語集


Last Update: 03/03/2009

 

 ハドロン

強い相互作用をする粒子。フェルミオンのバリオンと、ボゾンのメソンがある。どちらもクォークからなる。


 レプトン

強い相互作用をしない粒子。当時までに、ν(ニュートリノ), e(電子), μ(ミューオン)がみつかっていた。

 坂田モデル

坂田昌一は、ハドロンが P(陽子), N(中性子), Λ(ラムダ)3つの基本的なバリオンからなると唱えた。現代的には、それぞれ u, d, s クォークに相当する。

 名古屋モデル

坂田モデルを拡張し、レプトンまでを含めたもの。バリオンの (P, N, Λ) とレプトンの (ν, e, μ) 間に対応があるという BL 対応を説明する。レプトンにB物質が加わることで、対応するバリオンになる。BL 対応は、現代の言葉ではクォークとレプトンの世代構造のことであるが、いまだにその深い理由はわかっていない。

 新名古屋モデル(4元モデル)

ミューオン・ニュートリノの発見により、レプトンが4つに増えた。以降、BL対応を保つために対応する4つめのバリオンの存在が示唆された。クォーク・モデルの観点では、これはチャームに当たる。
 なお、新名古屋モデルは、ニュートリノ振動を予言した。バリオン N, Λ は P に崩壊するが、レプトンはそうではない。電子とミューオンは、それぞれ電子ニュートリノ、ミューオン・ニュートリノにしか崩壊しない。このため、P に対応するニュートリノは、必然的に電子ニュートリノとミューオン・ニュートリノが混合したものにならざるをえない。

 丹生イベント

1971年、東京大学原子核研究所の丹生潔らのグループは、宇宙線実験でチャームの崩壊とみられる軌跡を発見した。

 GIMメカニズム (Glashow-Iliopoulos-Maiani)

クォーク3種類の理論では、Kメソンはしばしばストレンジネスを変えつつ電荷は変えない崩壊を起こし (strangeness changing neutral current) 実験結果と矛盾する。GIM は、このようなプロセスが4つめのクォーク、チャームによってキャンセルしていると予言した。

 中性カレント

電荷を変えない弱い相互作用。1973-4年に発見された。

 11月革命

GIM メカニズムによって予言されたチャームは、1974年11月にJ/Ψとして発見された。これが標準模型確立に大きな役割を果たしたとされる。

 クォーク

記号 q ハドロン(バリオンまたは中間子)を構成する基本粒子. スピン 1/2, 重粒子数 1/3 のフェルミ粒子. 陽子や中性子を構成する u と d, 奇妙なクォーク s, チャームクォーク c, ボトムクォーク b, トップクォーク t がある. おのおのが色 (color) とよばれる内部自由度をもち, それを赤 (R), 緑 (G), 青 (B) の 3 通りで表わす. その相互作用を扱うのが量子色力学 (⇒quantum chromodynamics) である. そのカラー SU(3) 対称性のため, クォークは R, G, B の3 色をもつ 3 つのクォークの集合(バリオン)かクォークと反クォークの対(中間子)という全体として色のない形でしか存在できない (quark confinement). 歴史的には, 素粒子の分類の観点から 1964 年 Gell-Mann と Zweig によって導入され, 1975 年ごろには実在の粒子として認められた.[James Joyce の作品 Finnegans Wake (1939) 中の quark の語に由来]
[株式会社研究社 理化学英和辞典]

 強い相互作用

ハドロンの間にはたらく相互作用で, 素粒子反応においては電磁相互作用や, 弱い相互作用に比べてはるかに強い. クォークにはたらく相互作用 (⇒quantum chromodynamics) によるものと考えられる. 強い相互作用ではアイソスピンが保存され, また奇妙さ, パリティなどの量子数も保存される.
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 弱い相互作用

素粒子間の相互作用のうちの一群につけられた名称で, β崩壊などをひき起こす. 原子核, 低エネルギー素粒子反応では, 強い相互作用に比べて 10 桁ほど小さいのでこのようによばれる. 弱い流れの積にフェルミ結合定数をかけた形で近似されるが, 実際は W, Z 粒子の交換によって生じる. ⇒Weinberg-Salam theory.
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 電弱理論

電磁相互作用と弱い相互作用とを統一的に導出する理論. 現在では →Weinberg-Salam theory が標準理論とされている.
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 繰込み可能性

場の量子論における発散がすべて有限個の定数に繰り込めるかどうかをいう. 相互作用のすべての結合定数が自然単位で次元をもたないとき繰込み可能である. 結合定数が長さの正の冪(べき)の次元をもつときは繰込み不可能であり, 結合定数が長さの負の冪の次元をもつときは過度に繰込み可能である. ⇒renormalization.
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 深部非弾性散乱

(2) 高エネルギーの電子が核子全体ではなく, 核子を構成するクォークの一つによって散乱されること.
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 漸近的自由性

ある種の場の理論で, 結合定数が, 関与する粒子の運動量 Q が増すにしたがって小さくなり, 漸近的に 0 に近づくこと. 量子色力学はこのような理論の例で, 結合定数が 1/ln Q に比例して 0 となる.
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 量子色力学

略 QCD 3 色をもつクォークが 8 色のグルーオンと局所的にゲージ不変な相互作用をする系の量子力学. すなわちカラー SU(3) 対称性に基づくゲージ理論で, ハドロンの強い相互作用を説明するものとされる. 群 SU(3) の変換が非可換なため, ゲージ不変性の要請からラグランジアンにゲージボゾン(グルーオン)どうしが相互作用する項が生じ, 高次の項の影響まで含めた相互作用を表わす結合定数を繰込みによって計算すると, 運動量が大きな(近距離の)領域では 0 に近づき (asymptotic freedom), 小運動量領域では大きくなる (quark confinement).
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 カビボ理論

ハドロンの弱い相互作用において, u クォークと対をなすのは d クォークと s クォークの一次結合 d cosθ+s sinθであるとする理論. θ を Cabibbo angle という. [N. Cabibbo]
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 V−A 理論

弱い相互作用のカレントを, ベクトル型のものと軸性ベクトル型のものの差で表わす理論. パリティの破れを説明できる.
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 ニュートリノ振動

ニュートリノのフレーバーが周期的に変化する現象. ニュートリノに有限の質量があれば起こるとされている.
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