白狐様の力
 少し前の話です。

 ある経営者から、大手スーパーの○○ンと取引したいのだが、此方は何の実績も無い上に、審査も厳しく、下手をすれば○○ンの思い通りにされ、結局商談がまとまらないか、此方にとっては大変不利な条件で押し切られてしまうと言われます。

 日本一のスーパーですから、相当強気で出て来るのでしょう。

 私は門外漢で細かい所は分かりませんが、要するに出来るだけ此方の条件を○○ンに飲んでもらい、取引が成立したら良いだけの話です。

 私は、○○ンのその部門の取引部の住所、責任者の名前を聞きました。

 そして相談者の方から、○○ンの会社の目の前に、○岩稲荷○○神社が在ると聞かされました。

 私は此方の巳神に頼み、この○岩稲荷の稲荷様を呼んでみようと思いました。

 私、「地神様、〜さんが○○ンと取引したいと言っています。しかし、なかなか厳しい条件を出して来ますので難しいと言っておられます。まともに商談に臨んでは此方の不利になりかねません。地神様、この○○ンが在る一帯の商売をつかさどる神様、要するに、○岩稲荷様をお呼びください」、と言い、「稲荷祝詞」を上げました。

 妻、「何か、出て来たよ、何か、いい加減な犬みたいな狐やわ、柄が悪そうやわ」、と言います。

 程度の悪い奴が来たなと思いましたが、一応相手にしてみました。




 私、「あんた、○岩稲荷の神さんか」、と尋ねると、「そうだ」、と答えました。

 私、「あんた、神さんやったら何でも出来るか」、と尋ねました。

 妻、「何でも出来る」、と言ってるわと言います。

 私、「あんたに聞くが、目の前の○○ンの○○部の〜さんを知ってるか」、と聞きました。

 妻、「知ってる」、と言ってるわと言います。

 私、「それやったら、ここに○○ンと取引したいと人が居るが、あんたの力で、○○さんを動かせるか、動かして、此方の有利に持ち込める事が出来るか」、と聞きました。

 妻、「出来るけど、お金を出せ、酒をくれ」、と言っていると言います。

 何時までもこんな眷属と遊んでいられませんので、此方の巳神に頼み、○岩稲荷の祭神を呼んでもらいました。

 妻、「来てあったわ。大きいわ。何か柄が悪そうや」、と言います。

 私は、私自身の事を話し、○○ンとのこれまでの経緯を話し、どうか○岩稲荷様のお力で、この取引が成就する様に、お力をくださる様に頼みました。

 妻、「知らん顔してるわ。何処の馬の骨が、好きな事を言って、という様な顔してるわ」、と言います。

 何回も頼んでみましたが、一向に聞いてくれる様子が有りません。

 こうなれば奥の手を出すしかありません。

 此方の巳神に頼み、伏見稲荷大社、白狐社の白狐様をお呼びしました。

 「稲荷大神秘文」を上げます。

 右上、何時もの所に白狐様のお姿が出て来ました。

 私は白狐様に、今までの経緯を話し、この○岩稲荷様に来て頂いたのですが、一向に此方の願いを聞いてもらえない旨を話しました。

 ○岩稲荷の程度の悪い眷族が、白狐様にちょっかいをかけに行っています。

 知らないものの強みです。

 白狐様が眷属の頭を殴りました。

 それでもまだ相手になりに行っています。

 私、「白狐様、相談者の〜さんは白狐様も良く御存知で、家には伏見稲荷様と地神様をお祀りしています。時間が取れれば、東京から伏見稲荷大社の方にもお参りされています。どうか○○ンとの取引が成就する様に、白狐様から○岩稲荷様の方に頼んでいただけないでしょうか」、と頼みました。

 妻、「白狐さん、○岩稲荷さんの所に行ったわ」、「白狐さん、○岩稲荷さんの上からものを言ってるわ」、「偉そうに言ってるわ」、と言います。

 妻、「○岩稲荷さん、神妙な顔で聞いてるわ」、「白狐さん、言い聞かせているわ」、と言います。

 少し時間がかかっています。

 妻、「白狐さん、戻って来たわ」、「前に金色の打ち出の小槌が出て来たわ」、と言います。

 私、「白狐様、有難う御座います」。

 妻、「よし、と合図したわ」。

 私、「○岩稲荷様、有難う御座います。私の言う事を聞いていただき、有難うございます。早速〜という者に挨拶に行かせます。そして取引が成就した後は、それに見合うものを持たせ、挨拶に行かせますので、よろしくお願いします」、と礼を言いました。

 妻、「白狐さん、眷属を前足で押さえているわ」。

 正直な所、驚きました。

 私は、白狐様と○岩稲荷様が対等に話をされるのかと思っていました。

 まさか上から強圧的に出られるとは思いませんでした。

 それだけこの相談者の方が、日々真面目に伏見稲荷様をお祀りし、商売をされているという事です。

 白狐様、○岩稲荷様にお礼を言い、お帰り願いました。

 これで絶対大丈夫です。

 その後この方は、○○ンの本部の方に行き、○○さんと商談しましたが、不思議な位此方の条件が通ったと言われます。

 勿論、○岩稲荷様にもお礼に行かれています。

 後は○○ンからの最終的な返事を待つだけです。

 しかし、待っても待っても、○○ンからの返事が有りません。

 この方も同業者からの情報により、○○ンはそういうものだと分かっていても、やはり不安になります。

 1ヵ月以上経っても、何も返事が来ないものですから、不安になって私の所に電話が有りました。

 直に此方の巳神を通して、白狐様をお呼びしました。

 何時もの場所にお姿が見えて来ました。

 そして、此方の巳神を通して、○岩稲荷様をお呼びしました。

 直に○岩稲荷様が姿を見せました。

 今度は程度の悪い眷族の姿は見えません。

 私、「○岩稲荷様、この前は有難う御座いました。○○ンとの商談も順調に進み、後は最終的な判を貰う段階になっていますが、今だ○○ンからは何の呼び出しも有りません。本当に商談は成就するのでしょうか」、と尋ねました。

 そして白狐様からも、同じ事を聞いていただくように頼みました。

 妻、「○岩稲荷さん、鈴を口にくわえて、それを振って鳴らしてる」、と言います。




 私、「○岩稲荷様、有難う御座います。商談がうまく行くのは分かっていますが、〜さんが不安になって連絡をされて来ましたので、○岩稲荷様をお呼びした次第です」、と礼を言いました。

 その後、少し時間がかかりましたが、正式に商談がまとまりました。

 それにしても、白狐様の力を再確認しました。

 まさか上からものを言うとは思いませんでした。

 この数ヵ月後、○岩稲荷様を呼んでみましたが、全く姿は見えませんでした。

 此方の巳神も白狐様も、依頼者の程度に合わせて動いたのでしょう。

 余り無い事です。




 
 
鳴釜神事の実際と考察