買手がつかない土地の売却と商売繁盛の祈祷の例です
 二進も三進も行かなくなってしまったという電話が有りました。

 1ヵ月ももたないんです、と言われます。

 御主人の代で商売を始め、順調に行っていたが、生活様式の変化と最近の不景気の影響でお金が回らなくなり、もう駄目です、と言われます。

 しかしせめてもの救いは、御主人の親が残してくれた土地が有ると言われます。

 しかし、場所も悪く、最初は乗り気だった方もその場所に案内すると、話がまとまりません。

 この繰り返しです。

 この土地が売れれば、何ヶ月間はもちます、と言われます。

 それにしても切羽詰った話です。

 確かにこの様な相談事は頻繁に受けます。

 それにしても1ヵ月ももたないと言われると、此方も責任が有りますので、気安く受けるわけには行きません。

 知り合いの方の紹介ですので、余計に責任を感じます。

 祈祷を行って、直に良い結果が出る事は往々にして有ります。

 しかしこの領域のスパンは、案外長くかかる事も有るのは事実です。

 電話を切って、此方の巳神に事情を話し、聞いてみました。

 私、「地神様、この家の障りを教えてください」。

 妻、「釜が出て来たわ」。

 私、「そんな事ないやろ、釜が障りか、それはないやろ」。




 妻、「赤いものが見えてきたわ、真中に黒いものが在るわ」、「赤いものは熱そうやわ」。

 私、「こんなものは直に分かるわ」、「あんた、お不動さんやな、お不動さんなら立ってみ、火炎の真中に立ってみ」。

 妻、「立ったわ、炎が立って、黒いものも真中に立ったわ」。

 私、「そやろ」。

 妻、「何なん?」

 私、「お不動さんやけど、何でこんなものがこの家に居るんや?」。

 妻、「斜めの二本線が出て来た・・・・・、八の数字も出て来たし・・・・、あ、首やわ、顔も出て来た」。

 私、「観音さんや、何でこんなもんが・・・・居るんや?」。

 妻、「何か、三日月に棒が突き刺さった様なのも出て来たよ」。




 私、「分かった」、「もうええわ、もう止めよ、こんな程度の低いもん、なんぼ出してみても限が無いわ、それより〜さんに聞いてみた方が早いわ」。

 電話で聞いてみると、この家には不動明王の仏像が4〜5体、大きな観音様の掛軸が3つ、千手観音の仏像が?体(忘れました)、他にも?体(これも忘れました)、兎に角沢山お祀りしています。

 そして毎日手を合わせていますと言われます。

 G県の拝み屋さんが、次から次に送ってきたと言われます。

 良く有る事ですので驚きは無いですが、こんな物を送って来る方に腹が立ちます。

 こんなものは現地に行けば何ら問題は無いのですが、親からもらった土地を一日でも早く売りたいという事ですので、此方の巳神に土地の事を聞いてみました。

 私、「地神様、この土地は何故売れないのですか」、と聞いてみました。

 妻、「地面がV字形にへこんで、何か、下の方に落ちて行ってるみたい」、「綺麗な色じゃないわ、汚い、濁ってる色やわ」、と言います。

 私、「それ、水や」。

 私、「地神様、この土地は誰が見に来ても売却までは行きません、この土地が直に売れないと、〜さんが困ってしまいます。この土地、釜を焚いたら買手が見つかりますか」、と聞いてみました。

 私、「地神様、釜を焚いてこの土地を清めれば、直に売れますか、売れるのなら、地神様、舌を出してください」、と尋ねました。

 妻、「舌は出さないけど、地神さんの体が白く光っている」、と言います。

 売れると取ります。

 しかし直に売れるかどうかは分かりません。

 悩みます。

 売れる事になる自信は有るのですが・・・・・。

 そしてこの家は商売をしていますので、伏見稲荷大社、白狐社の白狐様に、商売のこの先を聞いてみる事にします。

 「稲荷大神秘文」を上げてお呼びしますが、全く姿が見えてきません。

 この頃はこの様な展開が多いです。

 以前なら、待ってましたとばかりにお姿が出て来ましたが、この頃は違います。

 そして何故以前と違うのかというのは、私には分かっています。

 お姿は見えませんが、十分通じています。

 私は白狐様に言いました。

 「白狐様、此方から観るとこの家は、白狐様が来られるには邪神が多すぎます。先に私達が行き、釜を焚いて綺麗(清浄)にします。清浄にしますので、その後お呼びすれば来てもらえますか」。

 これだけで通じています。

 きっと来てくださいます。

 行く事に決めましたが、新幹線、高速バスの待ち時間等を合わすと、片道約7時間の長旅です。

 姫路を朝6時の「のぞみ」に乗り、東京に9時に着き、高速バスで一時間30分で現地に着き、3〜5時間かけ祈祷し、昼食も取らずに(食べる時間が無いからです)、とんぼ返りで夜中に帰って来て、あくる日は本業のパーマ屋の仕事をするというパターンは良く有りましたが、ある時期から、この様な事は相手に対して失礼にあたるのではないかと思うようになりました。

 何故なら、先ず体力的に疲れています。お経の声も小さくなります。そして一番重要な「気」の出方がどうしても弱くなります。

 気は抜きませんが、気の出が弱くなります。

 ということで、この頃は遠方の場合、ビジネスホテルを利用する場合が多いです。

 車で出かける時、、遠方の場合は朝早く起きれば良い話で、片道5時間位の移動は何ともありません。

 、勝手なものです。

 
 祈祷の当日、この家に寄る前に、売りに出している土地に案内していただき、現地に立ってみました。

 私、「地神様、この土地の障りを出してください」、と言いました。

 妻、「地神さん、頭は何時もの様に出てるけど、尻尾をくるっと巻いてるわ」。

 私、「此処に居るんか?。居らへんはずやで・・・・・」。

 妻、「何が?」。

 妻、「前と同じやわ、Vの形で、汚い水が下に落ちて行ってるわ」。

 先ずこの土地全体と四隅に塩を置き、土地の中心に塩を盛り、日本酒を土地全体に撒きました。

 妻、「上に上がってるわ」。

 私、「何がやねん」。

 妻、「水」。




 私はこの家の方に言いました。「大丈夫です、まあ、見といてください」。

 妻、「背中が黒っぽい茶色で、腹が白い巳さんが出てるよ」。

 私、「それ、家のんや」、「仏像の中に入っている奴や」。

 
 尚、此方の巳神が見せてくれたV字形にへこんでいる地面は、この売りに出している土地だけではなく、この方の家が建っている土地も含め、この地域一帯が埋立地と取ります。

 
 この後、直にこの方の家に行き、先ずG県の拝み屋さんが送って来た沢山の仏像や掛軸に入っている邪神を出してみる事にしました。

 家に着きますと、床の間に聖観音の大きな掛軸が3つかけてあります。

 その前に不動明王、十一面観音、他にも沢山ありましたので、忘れました。

 又鬼門、裏鬼門の不動明王、それと・・・・・・、忘れました。

 これを見て腹が立ってきました。

 祀る方も悪いのですが、送りつけて来る方はなお悪い。

 まあ、この様な家にはよく祈祷に行きますが・・・・・。

 私はこの目の前に並ぶ掛軸、仏像に対し、「ちょっと出てきてみ、姿が見たいので、出てきてみ」、と言いました。

 妻、「さっき出て来た蛇が居るわ」、と言います。

 私、「もっと居るやろ、はい、出てきてみ」、と言いました。

 妻、「他にも何か、もやもやとしたものが見えるけど、はっきりしたのは、この蛇だけやわ」、と言います。

 この様なものに時間をかけていてはしょうがないので、「お前、待っとけよ、逃げるなよ」、と言って、祈祷の準備に取り掛かりました。

 この家の御先祖様を呼んでみますが、そんなに強く入って来るものは有りません。

 主人の実家の方で、良くお祀りされているのでしょう。

 念の為、線香の護摩の段階で呼んでみますと、性別ははっきりしませんが、人の格好のものが出て来ました。

 その横に理解出来ないものが出ています。(多分、地面と思われますが、分かりません)

 いろんな事を聞いてのですが、通じないのか、口をぱくっと開けたりします。




 その場面の横に、ライオンの様な顔と、もう一つ顔の様なものが出て来ました。

 これは、仏像に入っている「邪神」です。

 こんなものは後で対処したら良い事です。

 人の格好の様なものに対し、「お経を上げたるから、成仏しいよ」、と言い観音経を上げると、妻が、「ゴトゴトした所を上に上がって行くよ」、と言います。

 そして、お経を止めると、「スト〜ンと落ちてくる」、と言います。

 まあ、出方から観ると、大した障りでもありませんので、先に進みました。

 この家の御先祖様に関する障りは、何も有りませんので、此処までは短時間で進んで来ました。

 この家の主人が、商売の障りが有れば教えて欲しいと言われます。

 私、「地神様、此処の主人が、商売の障りを教えて欲しいと言われます。商売だけではなく、この人の障りが有れば見せてください。分かり易く、はっきりと教えてください。アホですので丁寧に教えてください」、と言いました。

 妻、「こんな手が出て来てる」、と言って、手で格好を示します。

 妻、「鳥の足やわ」、「鳥の足から紐みたいなのが出て、その先に鳥が飛んでる」、と言います。




 私、「それはないやろ」。

 妻、「鳥やわ」。

 私、「ほんまか」、「何でやろ」。

 私、「小さい神さん、ちょっと出ておいで」。

 妻、「出たよ」。

 私、「小さい神さん、あんたな、あそこに鳥の足が見えるやろ、その足から紐が出てるやろ、其処へ行って、紐を切っておいで、刀をやるから」、と言って、刀を渡しました。

 妻、「行ってるわ、素直や」。

 私、「早く切り」。

 妻、「切ったよ」、「紐を切ったら、先に付いていた鳥が消えてしまった」、と言います。

 私、「どういう意味や」、「分からんけど・・・・、大した事は無いやろ」。

  この家の主人が、この土地の障りが有れば教えて欲しいとも言われます。

 妻、「人の手やと思うけど、両手が出て来て、重い、ブロックの様なものを持ってる」、と言います。

 私、「?」。

 私、「地神様、この土地の障りですよ」。




 妻、「白い紙の角が出て来て、その上で亀が逆さになって、足をばたばたしてるわ」。

 私、「分からんけど、元に戻したるわ」、と言って、手で元に戻す格好をしました。

 妻、「元に戻って、歩いて行ってしまった」。

 私、「この辺一帯が埋立地やから、そんなのが出てきたんやろ、どっちにしても、大した事は無い、という事や」。

 妻、「タイヤが出て来たよ」。

 妻、「「赤い旗も出て来た」。




 私、「地神様、交通事故と取りますが、そうなら、どの様にしたら事故から逃れられますか」、と尋ねました。

 妻、「地神さん、銀色の金属のわっかを、鼻の所で回しているわ」、と言います。

 私、「分からん事ばかりやな」、「地神様、意味が分かりませんが、釜で事故の縁は無くなりますか」、と尋ねました。

 妻、「よし、よしと下を向いたよ」。

 線香の護摩の間も、この家の掛軸や仏像に入っている、G県の拝み屋さんの所から来たものの顔がずっと出ています。

 この顔のものの正体は、背中が黒っぽく腹が白い蛇です。

 私は直前までこのものに対し、有無を言わさずに、釜で消してしまう予定でした。

 この蛇は、元は神様です。

 今でもG県の拝み屋さんに取っては、神様です。

 私は此方の巳神に尋ねました、「地神様、この蛇、元は神様です。何故今の様に背中が汚れてしまったかは推測出来ます。しかしまだ神様の部分は残っています。この蛇は釜で消すより、大元に送り返して、再度修行をし直させた方が良い様に思います。地神様、釜で大元の所に上げてください」、と言いました。

 妻、「うん、うんと合図したよ」、と言います。

 鳴釜神事の準備に取り掛かります。

 祝詞を上げ、表白、願文を読み上げます。

 この家の仏像に入っている念、即ち背中の黒い蛇に話かけます。

 急遽決めた事ですので、正式な文章が浮かんで来ません。

 この様な時は、普通の話言葉で十分です。

 私、「G県の拝み屋さんに憑いている巳神様、観たところ、貴方は以前は位の高い、穢れの無い神様であったと観ます。しかし今の貴方の姿を見ると、そしてそれは、貴方自身が一番良く御存知のはずですが、何時、何処でどの様な事が有って、今の様なお姿になられたのかは知りませんが、これを機会に、もう一度修行をし直して、人を助ける神様に戻られたらどうでしょうか。私達で良かったらお手伝いさせて頂きますし、この鳴釜で大元の所にお送りさせて頂きます。巳神様、どうでしょうか」、と言いました。

 妻、「考えてるわ」。

 私、「巳神様、もう一度人を助ける方に回ってください。巳神様が一番良く知ってるはずです」。

 妻、「下向いたわ」。

 私、「巳神様、お送りします」。

 そして私達がこの家に来た第一の仕事、土地の売却の事です。

 願文に、土地売却祈願を入れます。

 妻、「同じのが出てるよ」、「V字形になって、茶色いものが下に落ちて行ってるわ」。

 私は妻に、「今目の前に出ているのは、ライオンの顔みたいなのと、V字形になった地面と、タイヤと赤い旗だけか」、と聞きました。

 妻、「ライオンの顔見たいなのは、黒い蛇になってる」、と言います。

 妻、「人が此方を向いて、お礼をしていて、手を合わせている」、と言います。

 私、「先祖が喜んでいるんや」。

 コンロに火をつけ、湯が沸騰して来たところで、洗い米を入れます。

 当然釜は大きな音を立てて鳴り出します。

 別に、音は小さな音でも支障はありません。

 釜で祓うものが多いとか、祓うものの程度が強い(悪い)場合、やはり大きな音の方が勢いが付きます。

 私、「上がってるか?」。

 妻、「タイヤと旗は、もう見えないわ」、「人も消えて行ってる」、「土地はV字形になった所から下に落ちてた水が、上に向かって上がって行って、消えて行ってるわ」、「黒い蛇は、形が変わって行ってるわ。形が変わって、少しずつヒューと上に上がって行ってるわ。何回にも分かれて上に上がっているわ」、と言います。




 私、「おかしいな、邪が沢山集まっていたんか?」、「・・・・・・・、」。

 妻、「蛇が上がって行った所に、丸く光る玉が出て来た」、と言います。

 私、「集まっていたんか?、まあ、行く所に行ったら、相当な修行が待ってるやろ」。

 私、「もう何も出てないか」。

 妻、「もう何も見えないし、耳も鳴らない」、と言います。

 これで全ての障りは消えたと思われます。

 
 これで初めて、伏見稲荷、白狐様を呼ぶ事が出来ます。

 此方の巳神に頼み、伏見稲荷様を呼んでもらいます。

「稲荷大神秘文」を上げます。

 妻、「来てあったわ」、「赤い大きな玉と同時に来てあったわ」、と言います。




 私、「白狐様、有難う御座います。お忙しい所、遠くまで来て頂いて有難う御座います」。

 私、「白狐様、前にも言いましたが、〜さんの商売は○○○屋さんです。生活様式が変わり、新築の家でも○○○の間を作る家は少なくなってしまいました。ここの息子さんも後を継いで頑張ると言っています。この家の商売のこの先を見せてください」、と頼みました。

 妻、「白狐さん、来てあった時に、口に袋をくわえて来てあったよ」、と言います。

 私、「それを早よ言うて欲しかったな・・・、細かい所まで言うてよ」。
 
 私、「白狐様、その袋は何ですか」、と聞きました。

 妻、「白狐さん、袋を前に置いたよ」、「赤と白色の縞模様で、口は紐で結んであるわ」。

 私、「白狐様、この〜さんの商売、お金のこの先を見せてください」。




 妻、「白狐さん、口で袋の紐を解いたよ」、「中から金色に光るものが出て来たよ」、「金色に光るものが、白狐さんの左の目の下に付いて、キラキラ光っているわ」、と言います。

 私、「有難う御座います。〜さんのこの先は大丈夫と取ります」

 私、「白狐様、この〜さんが伏見稲荷様をお祀りしたいと言っていますが、お祀りさせて頂いた方が宜しいでしょうか」。

 妻、「祀らなくて良い」、と言ってるよ。

 私、「有難う御座います」、「白狐様、今日はお忙しい所を有難う御座いました、お帰りください、お送りします」、と言い、「稲荷大神秘文」を上げました。


 この祈祷が終わって3日後に電話が有り、まだ土地が売れないんですと言われます。

 私はこの方に言いました。

 「祈祷が終わってからは何もしないで、只買手が見つかるのを待っているだけではないのですか」、と言うと、「何もしないで家出待っています」、と言われます。

 この様な方は沢山居られますが、これでは駄目です。

 ましてやこの家には個人的にお祀りする神様は居ません。(今までは「邪神」が居ましたが)

 「祈祷の後は、今まで以上に動いてください」と伝えました。

 明後日から積極的に動きます、と言われます。

 祈祷から丁度一週間後に電話が有り、昨日土地が売れました、と言われます。

 一応これで一安心です。

 白狐様が示してくれた様に、この先も良い結果が生れて行く思います。

 
 6月18日 追記

 書き忘れていましたが、祈祷が終わって雑談をしていますと、この家の主人が、狩猟の趣味があるのですが、殺生にもつながりますので、止めた方が良いでしょうかと聞かれます。

 別室には沢山の鳥の剥製が置いてありました。

 それで、上記した沢山の鳥が出て来たのかも知れませんが、趣味も大事ですし、又この家には祀られているものが何も有りませんので、、続けても良いと思いますと答えておきました。


 
鳴釜神事の実際と考察