土地の障り    4
 二件分の例です。

 一件目は地鎮祭の事です。

 地鎮祭自体は何も問題なく終了しましたが、その数日後に行った土地の障りの例を主に書きたいと思います。

 少し長くなりますが、読んでください。

 知り合いの方から地鎮祭の依頼が有りました。

 私達に頼むより神主さんに頼んだ方が、短時間で終りますので、その方を進めましたが、私達にしてくださいと言われますので引き受けました。

 兵庫県のA市の駅前で、直横には城のお堀が在ります。

 此方から観ると、何ら触りが有る様な土地では有りません。

 良い土地です。

 祈祷の前日、もう一度巳神に聞いてみましたが、何ら問題の有る様なものは見せてくれませんでした。

 
 地鎮祭に際し、他の方は知りませんが、先ず私は其処に、両家の御先祖様をお呼びします。

 以後この地で生活をするのですから、御先祖様の加護は絶対に必要です。

 めでたい事ですので、両家の御先祖様も楽しみにしています。

 中には楽しみとは程遠い状態の御先祖様もいますので、それが問題です。
 
 そうなると、
地鎮祭をしながら、其方の供養もしますので、事象は落ち着きますが、思わぬ時間がかかり、後ろの関係者の方に迷惑をかける事になります。

 そういう意味で、神主さんに頼んだ方が良い事が多いです。

 先ず線香の護摩をもって御先祖様をお呼びします。

 
詳細は書きませんが、この護摩は問題が有ります。

 問題というのは、この護摩を焚いていると、この領域の、この家に関係の有る殆んどのものが周りに出て来ます。

 障りも有れば、その反対のものも有ります。

 これを見極めて、全てに適切な対処をしなければいけません。

 漏れが有ってはいけません。

 全てが消えるまで、対処しなければいけません。

 中途半端に残して終了してはいけません。 

 施術する者は帰りますが、其処にすむ者はたまったものではありません。

 私はこの両家の御先祖様の状態や、この土地の事は分かっていますので、何ら問題は有りません。

 しかし祈祷の前日の午後から、私の体調が思わしく有りません。

 祈祷の当日の朝、何時もの様に目を覚ましたのですが、体がふらふらしています。
  
 血圧を測ると相当な数値に上がっています。

 何も障りの無い土地なのですが・・・・・・・。

 直前になって、行かれませんとも言えないし・・・・・・・。

 妻が、私の顔が真っ白になっている、と言います。

 手も震えています。

 私の頭の中に、現地の状況が浮かびます。

 テントが張られ、机、椅子が用意され、両家の家族や建築関係者が出席され・・・・・・。

 此方の巳神を出してみますが、何時もと同じ色、表情で出て来ます。

 何を聞いても、何の返事も有りません。

 つべこべ言わずに行け、甘えるな、という事です。

 
 現地に着くと、見えていたそのものの舞台が用意されています。

 現地で結界を張るために四隅を清めていると、ある場所で私の胸を叩くものがあります。

 私、「ちょっと目を瞑ってか」。

 妻、「巳さんが出てるよ」。

 私、「おかしいな、おらへんかったはずやで」。

 妻、「大きいわ」。

 私、「あんた、夫婦で居るのなら、もう一つ出てみ」。

 妻、「出て来たわ」。

 私、「おらへんかったはずやで」。

 直に何処の巳さんか、分かりました。

 私、「あんたら、そこのお堀の巳さんか」、と尋ねました。

 妻、「そうらしいわ」。

 私、「あんたら、釜焚きを見に来たんか」。

 妻、「何にも言わないわ」。

 私、「あんたら、釜で上げて欲しいんか」、と尋ねました。

 妻、「そうらしいわ」。

 私、「しょうがないな、来ているんやから、何とかせなあかんやろ」、「そしたら釜で上げるから、それまでそこで見とき」、と告げました。

 しかし、昨日から私の体に入って知らせを送っているのは、この巳さんではありません。この巳さんは、その様な体にこたえる様なものではありません。

 机の上、左側に線香護摩、右側に鳴釜の準備をします。

 線香の護摩を行うボールの後ろに、紙で作った両家の位牌を置きます。

 線香の護摩においては、先ず五大明王をお呼びします。

 両家の御先祖様をお呼びします。

 当初の鎮守明神、諸天善神を勧請します。

 線香護摩の詳細は省きます。

 この家の場合、何も問題が有りませんので、淡々と進めて行きます。

 私は淡々と進めて行っているつもりですが、横に居る妻から見ると、相当危ない状態だったみたいです。

 顔が真っ白で、手が震えていたと言います。

 次に鳴釜の神事で、この土地の障りを消し去りますが、この土地は良い土地です。

 何も障りの様なものは有りません。

 鳴釜で上げるものは、横のお城の堀の巳神だけです。

 私、「お堀の巳神さん、釜を焚くから、上に上がりよ」。

 釜に火を入れ、湯が沸騰して来ます。

 米を入れます。

 この土地のことですから、当然大きな音で釜は鳴ります。

 妻、「巳さん、上がって行くわ」、と言います。

 この土地の場合は、何の苦労も無い地鎮祭でした。

 しかし、時間にして、1時間40〜50分かかっています。

 神主さんや他の方に頼めば、30分位で終わります。

 後ろの工事関係者の方には、何時も迷惑をおかけしています。。

 工事関係者の、やれやれという表情が感じられます。

 一応地鎮祭は終わりましたが、私の体の調子は戻りません。

 早く帰って休もうと後片付けをしていますと、その場に居た工事関係者の方が私の所に来られました。

 その方は私達に、病気の事も観られますか、と尋ねられます。

 その方の息子さんが、生後直に難病になられ、車椅子の生活を余儀なくされていると言われます。

 この瞬間、全て理解出来ました。

 地鎮祭の依頼を聞いた時から私の中で、工事の人、というフレーズが頭の中に有り、妻にもその事を言っていました。

 早速妻に目を瞑らせ、この方の住所と名前を聞き、此方の巳神に聞いてみました。

 私、「地神様、この方の息子さんの病気の障りを見せてください」。

 妻、「何か、紐みたいなものが有るよ、白い色やわ」。

 私、「小さい神さん、あんた、あそこに見える紐みたいなものを、こっちに持っておいで」。

 妻、「行ってるわ」。

 私、「偉いな」。

 妻、「つぶれてるよ、端がつぶれてるわ」。

 私はこの方に、家が建っている土地は、以前どの様な土地だったのですか、と尋ねると、家が建っている辺り一帯は沼だった、と言われます。

 私、「あんたはこの家が建っている所に居た神さんか」、と尋ねました。

 妻、「そうらしいわ」。

私、「あんた、夫婦でいたんやったら、夫婦で出て来てみ」、と言いました。

 妻、「もう一体出て来たわ」、「こっちも端がつぶれてる」、と言います。

 私、「あんたらが住んでた所に家が建って、その下敷きになったんやな」。

 妻、「そうや」、と言ってるわ。

 私、「あんたらが下敷きになったのを知らせる為に、この家の息子さんを病気にしたんか」、と尋ねました。

 妻、「そうや、と言ってる」、と言います。

 私、「どうや、あんたらに詫びを入れたら、この家の息子さんを治してくれるか」、と聞きました。

 妻、「治したる」、と言ってるわ。

 私は、この神さんの上に建っている家を思い浮かべて妻に言いました。

 私、「今からこの家を上に上げるから、この巳さんを見といて」、と言い、家を持ち上げているイメージを浮かべました。

 妻、「二体の巳さんの頭が、普通の頭になったわ」、と言います。

 妻、「木が出て来たよ」。




 私、「木・・・・・?」。

 妻、「何か、何か、出てるけど、分からへん」、「真中が割れてる」、「形が変わる」、と言います。

 私、「・・・・・」。

 私はこの方に、家の下敷きになっている巳神が、詫びを入れたら許してやると言っている旨を伝えました。
 
 この方も半信半疑だったと思いますが、明くる日直に電話が有り、祈祷をすれば子供の病気が治りますかと聞かれます。

 私は、家の下敷きになっている巳神が治してやると言いましたが、正直なところ、全快する事は非常に難しいと思います、と答えました。

 この方は、分かりましたという事で、電話を切られましたが、又直に電話が有り、やはり祈祷をして欲しいと言われます。他にも息子さんがいますので、その事も有り、やはり祈祷をして欲しいと言われます。

 この方は、この業界の人にしては、真面目そうな方です。

 独特の、はったり(関西弁)をきかしたものは無いように思える人です。

 此方の巳神も、行け、と言います。

 直に祈祷の日にちを決めました。

 
 祈祷の当日になりましたが、あの時あんなにきつかったお知らせが、何も体に入って来ません。

 家に着き、祈祷の準備をする間も、殆んど何も入って来ません。

 御先祖様をお呼びしますが、何も感じません。

 感じなければ良し、です。

 線香の護摩に入りましたが、此処でも殆んどといって良い程、何も入って来ません。

 御先祖様の要求は無しと取ります。

 この家の御先祖様からの要求が無いので、途中でこの土地のものを呼んでみました。

 私、「地神様、この土地のもの、出してください」。

 妻、「水が出たわ」、「あれ、四つ出てる」、「巳さんが、四つ出てる」。

 私、「二つやったんと違うんか」。



 妻、「皆、頭はつぶれてないよ」。

 妻、「水の上に、ギザギザの線が出て来たわ」。

 私、「地神様、どうなってるんですか」。

 妻、「何か、この前出て来た様なものが出て来て、・・・・、真中が割れてる」、「目が出て来た」、「頭も出て来た」。

 私、「小さい神さん、あんた、あの真中の割れてる所が見えるやろ」、此処や、此処やでと指をさして教え、「あんたな、此処から中に入って、何が居るか見ておいで」、と言いました。

 妻、「行ってるわ」。

 私、「素直やな、中に悪いものが在るのと違うんやろ」。

 妻、「人の手が出て来て、周囲から割れ目を広げてる」、と言います。



 妻、「ちび、入って行ったわ」。

 私、「小さい神さん、危なかったら逃げておいでよ、危なかったら、この剣で助けたるからな」、と言って、手刀を見せました。

 小さい神さんは、少し時間がかかっています。中に入ったまま、なかなか姿を現しません。

 妻、「真中から何か出て来たわ」、「何やろ、巳さんかな」、「大きいわ」、「角みたいなのが出てるわ」、「太いわ」、「こんなん、初めて見るわ」、と言っています。

 妻、「あれ、小さい神さんをくわえているわ、この巳さん」、と言います。



 私、「小さい神さんがくわえられている・・・という事は・・・・」。

 私、「其処の巳神様に聞きます」。

 妻、「小さい神さん、こっちに来てるわ」。

 妻、「この巳さん、頭から何かが・・・、頭に何かが生えてるみたい」、「目の上に、点が二つ付いてる」。

 私、「巳神様、貴方はこの地域全体を治める巳神様ですか」、と聞きました。

 妻、「何も言わないよ」。

 私、「高橋の地神様、この目の前の巳さんがまがいものなら、そのものに巻き付いてください」、と」言いました。

 妻、「全く動かないよ」。

 私、「この地域を治める巳神様、後から来た人間が、何の断りも無しに池を埋め、一帯に家を建てた事は謝ります」、「何も知らずにした事です、どうか許してやってください」、「釜を焚いてお詫びしますので、どうか許してください」、と言いました。

 妻、「何も言わないよ」。

 私、「何も言わなかっても、上がってもらわんとしょうがないやろ」。



 妻、「下に見えてるものの形が変わって行くんやけど」、「次元が違うみたいとも取れるわ」。

 私、「お前しか見えていないんやから・・・・・、そうやろ・・・・・?」。

 私、「この地域を治める巳神様、直に釜を焚いて詫びを入れさせていただきますので、もう少しお待ちください」、と言いました。

 妻、「お坊さんが出て来て、此方を向いて手を合わせて、おじぎをしているよ」、と言います。




 私、「貴方は此処の御先祖様で、仏門に入られた方ですか」。

 妻、「違うと言ってる」。

 私、「誰か分からんけど、まあ、此方に向いて、感謝している事は確かやから、まあ良い(ええ)やろ」。

 妻、「小さい神さん、男の子の姿になってるわ」。

 私、「ほんま・・・」。

 妻、「家(うち)の地神さんの口から、白く光るものが出て、そっちに(私の方に)行ってるよ」、「小さい神さんが、手や膝の上(私の)をちょろちょろしてるよ」。

 私、「何やろ?」。

 直に鳴釜神事の準備に取り掛かります。

 この家の息子さんの病気の平癒、この方の生業成就、家族全員の心願成就、息災安穏の願文を述べ、急遽、この地域を治める巳神様を、大元の所へ送る旨の願いを、不動明王様、此方の巳神様に頼みます。

 湯が沸騰して来ます。

 洗い米を入れます。

 私、「今日此処で私がしてきた事、抜かりは無いか、納得するなら、この釜を大きな音で鳴らしてください」。

 大きな音で釜が鳴り出します。

 私、「この地域を治める巳神様、大元の所にお帰りください。お送りします」。

 妻、「喉を上に向けて上がって行ってるわ」。




 勿論、釜は大きな音で鳴るのが良いのです。(一般的には)

 大きな音の勢いが必要な時も有ります。

 妻、「大きな巳さん、もう上に上がって見えないよ」、と言います。

 この家の場合、最初の鳴り出しの音と比べれば、小さな音になりましたが、長時間鳴っています。

 私は、急に病気の息子さんの事を聞きたくなりました。

 私、「地神様、この息子さんを守るものがありましたら、此処にお呼びください」、「〜君の守り神様、おいでになるなら、お姿をお見せください」。

 妻、「白く光る女の人の様なものが、釜の後ろに出て来たよ」、と言います。

 私、「女の人?、何歳位や?」、「綺麗んか?」、「仏像と違うんか?」。

 妻、「仏像とは違う、女の人やわ」、「綺麗かどうか分からへんわ」。

 私、「貴女は〜君の守り神ですか、守り神様なら手を上げてください」。

 妻、「手を上げたよ」。

 私は言葉に出さず、この方に聞いてみました。

 私、「貴女が〜君の守り神様なら、〜君の中に入ってください」、と頼みました。

 妻、「女の人が〜君の所に行ってるわ」、「〜君を後ろから抱いてるよ」、と言います。

 私、「これからも、〜君を守ってくれますか」、と聞きました。

 妻、「女の人の周りが光っているよ」、と言います。

 この光っている女の人は、何なのかは分かりません。
 
  私は家の方に、この事を話しました。

 

 この付近一帯には、複数の池が在りました。今は沢山の池が埋め立てられ、住宅が建っていますが、まだ付近には沢山の池が残っています。

  偶々運悪くこの場所に家を建て事、その後この地で直に〜君が生れた事、運が悪かったとしか思えません。

 



 
鳴釜神事の実際と考察