鳴釜神事の実際と考察  3

鳴釜神事の実際と考察
今回は鳴釜の神事をもって、その地の神様に納得していただき、御帰り願った例です

この家は昔から、敷地内に地神様をお祀りしています。娘が二人いますが、一人は結婚をし、他所に住んでいます。もう一人は独身で、この先結婚する予定も無いし、する気もないと言います。現在は母親がこの地神さまをお祀りしていますが、この先、母親が亡くなれば、娘は神様の祀り方も分からないし、そのまま放置してしまうだろう、と母親が言います。そこで、母親が生きている内に、この地神様を何とかして欲しい、という依頼が来ました。


 長年に渡り、お祀りしている神様に御帰り願う、というのは大変失礼な事でもあるし、神様にとっても、何故、今急にそんな事を言うのか、と腹立たしい思いと、戸惑いも有ろうと思います。丁重に訳を言い、謝り、納得してもらう以外に方法は有りません。祈祷する方によっては、高飛車な態度で事に臨む方が有りますが、もっての外です。


 祈祷の当日、この家は、御先祖祀りは普段から良くされていますので、線香による護摩等で御先祖様を呼び出しても、御先祖様の方からは、感謝の言葉は有っても、何も不足するものは有りません。良い状態で出て来ます。


 その後、この家の地神様に対し、祝詞を上げ、どうかお姿をお見せくださる様に頼みました。すると、白い色の立派な巳神が姿を現しました。目は金色です。ものすごく強い、勢いのある巳神です。普段から良くお祀りされていたのが分かります。男の神様です。御酒、海、山の物をお供えし、今までの御加護に対し、感謝の意を告げ、何故この様になったのかを話し、どうか此方の言う事を理解し、納得して下さる様に頼みました。


 そうするとこの巳神は、此方の言う意味が分からない様です。理解できない様です。無理も無い事です。今まで長年に渡り、この家や家族を守ってやってきた自負が有ります。戸惑っています。そこで、私の方の巳神を出します。そしてこの家の巳神を説得してくれるように頼みました。そして私の口からも、この先この家も、娘一人になると、どうしても以前の様には祀りきれない旨を伝えました。この家の巳神はまだ納得していません。鳴釜の神事でもってお送りさせてもらうので、何とか納得してくれる様に頼みますが、なかなか納得しません。

 そうする私の家内が、今此方の巳神が、この家の巳神の前に行って、龍神の大元の所に帰る様に説得をしている、と言います。面と向かって話をしている、と言います。有り難い事です。その間、私はお経をあげています。時間が経って行きます。30分位経った時に、霊視をしている家内が、やっと納得してくださった様だ、と言います。此方の巳神がこの家の巳神に、一緒に付いて行ってやるから、言う事を聞いてくれる様に言っている、と家内が言います。


 大祓詞、龍神祝詞を上げ、コンロに火を点けます。まだ巳神同士、話し合っています。そして釜の湯が沸騰し始めると(まだ、米を入れていません)、家内が、此方の巳神が、この家の巳神の後ろに付き、上り始めた、と言います。湯も沸騰してきたので、米を入れます。釜は大きな音を出し、鳴り始めました。二体の巳神は直ぐに見えなくなりました。



    (青みがかっているのが、此方の巳神です)
 
 全ての祈祷が終わり、家の人と今までお祀りしていた御神体の処分の仕方を少し話し、その家を後にしましたが、帰路、車中で我が家の巳神を呼んで見ましたが姿を見せません。途中で遅い昼食を取り、そこでも呼んで見ましたが、まだ姿を見せません。その30分位後に帰宅しましたら、我が家の御社にお帰りになっていました。私には、その大元の世界が何処に有るのか分かりませんが、振り返ってみて、今回の祈祷は気持ちの良い祈祷でした。


 今回の様に、祈祷の対象が神様の場合は、相当慎重に対処すべきです。高飛車な言葉、態度で事にあたり、事の進展具合が分からない内に、祈祷を終えれば、依頼者だけではなく、施術する方もそれ相応の返しが有ると認識すべきです。