伏見稲荷と不動明王
 先日、知り合いの女性経営者から電話が有り、不動明王をお祀りしたいと言われます。
 
 この方の会社の経営は、順調に伸びています。

 女手一つで会社を切り盛りしていると、周囲からの僻みや妬み、同業者からの嫌がらせ等も多く、精神的にも疲れます。


 この方の自宅には、伏見稲荷様と地神(巳神)様が祀られています。

 毎朝、一生懸命にお祀りしています。

 これだけ一生懸命に神仏を祀り続ける方ですので、その資格は有ると思い、此方の巳神に聞いて見ました。

 私、「地神様、〜さんが不動明王を祀りたいと言われていますが、祀る資格は有りますか」、と尋ねました。

 霊視している妻が、「呼んでもいないのに、〜さんの地神様が来たよ」、「今日は向かい合っているよ」、と言います。

 妻、「〜さんの地神様、今日はものすごく嬉しそうにしている、ちょんちょん(関西弁で、嬉しくて嬉しくて、はしゃいでいる)しているよ」、と言います。

 私は言葉に出さずに、「地神様、〜さんが祀る資格が有るなら、此処にお不動さんを出してください」、と念じました。

 直後に妻が、「〜さんの地神様の間に、もう一つ巳神が出て来たよ、ゆらゆらと動いているよ」、と言います。そして、「違うわ、炎やわ、赤い炎やわ」、と言います。


 私はこの時点でこの方に、不動明王を祀っても良さそうですよ、と伝えましたが、この方は経営者ですし、この方の家にお祀りされている伏見稲荷様は、この家の地神様よりも、前に祀られている神様ですので、この家の伏見稲荷様の了解も必要です。

 又私に取っても、此方の巳神の了解を得ても、物事によっては、伏見稲荷、白狐社の白狐様の了解を得なければなりません。

 先ず、伏見稲荷の白狐様をお呼びしました。
 
 白狐様は、祝詞を上げようとした途端に、御姿を見せました。

 大事な事が有る時は、この様に、直に御姿をお見せになります。

 しかし、今日の白狐様は、大変難しい顔をしています。

 私が白狐様に対し、何か失礼な事をしたのかと、勘違いした程です。

 この方の家の伏見稲荷様もお呼びしました。

 私は白狐様に、「白狐様も良くご存知の〜さんが、家の方で不動明王をお祀りしたいと言っていますが、稲荷様の他に、不動明王様をお祀りして宜しいですか」、と尋ねました。

 白狐様は何も言いません。何回聞いても、難しい顔をして、何も言われません。

 此方の巳神に同じ旨を聞きましたが、巳神も、何も言いません。

 この家に祀られている伏見稲荷様に聞くと、祀っても良い、と言います。

 この家の巳神は、楽しそうにしています。

 私はこの方に、この事について、もう少し時間をかけて、詳しく聞いてみますので、又後日連絡しますと電話を切りました。

 そして、伏見稲荷の白狐様に、伏見へ御帰り願いたく、稲荷大神秘文を上げましたが、白狐様は帰られません。

 偶にこういう事が有りますが、これは、私の判断が間違っているので、もっと頭を使って考えろ、とお叱りの場合が多いです。

 途端に分かりました。




 私、「白狐様、これは、不動明王を祀る必要は無い、と取ります。何故なら、伏見稲荷は不動明王に通じる、不動明王の救いが必要な場合、伏見様を呼べば、不動明王に届く、不動明王は田中大神の本地、そしてそれに使える眷属神として、稲荷、巳神が居ると取ります。これで宜しいですか」、と言うと、白狐様はやっと普通の顔に戻り、上がって行かれました。




 
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