相談にみる「邪」の形    3
 この40代前半の婦人は結婚をしていますが、子供は有りません。主人は少し年下で長男です。

 主人の実家は、○○教を信仰しています。

 この婦人の実家も、お兄さんが自殺をしたり、お母さんは、五回程連れ合いを変えています。

 この方は、主人の実家の宗教を拒否し、主人のお父さんの葬式も、無理やり周囲の者が式場まで引っ張って行ったくらいです。

 この婦人は、岡山県の整体の先生に紹介された、県内の有名な寺の、マスコミにも良く出ている(私は全く知りません)お坊さんに傾倒しています。

 家には、このお坊さんがお正念を入れた○○○○の仏像を、大事にお祀りしています。

 何か心配事が有ると、直に岡山県の寺や、整体の先生の所に相談に行きます。片道2時間はかかります。

 この方は、仏像を一心にお祀りしているが、心身が優れないと言われます。

 普通の人が見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたりするようになったとも言われます。

 この方は、本人の体の不調と精神の不安定な事、主人の実家との付き合い方の事で来店されました。

 
 この方が来られる前から、私の体のある部分に痛みが出ています。痛みというよりは、違和感程度です。大した事は有りません。

 この方は私の前で、自分が信頼する整体師、お坊さんの素晴らしい旨を、自慢げに話します。

 毎日でも岡山県の方に行きたいと言われます。

 私はこの方に、宗旨については、何を信仰しようと自由ですが、やはり御主人の実家の宗旨を、一生懸命にお祀りされたらどうでしょうか、と言いましたが、耳に入らない様子です。

 それよりも、今この方の家にお祀りしている仏像の方が、自分自身に合っているし、私を助けてくれる、とも言われます。

 私はこの方に、今までの話を聞いていると、貴女が岡山へ行けば行くほど、心身の調子が悪くなって行く様に思えるのと、貴女が自慢の素晴らしい仏像が本物なら、もっと貴女を助けてくれるはずという旨を伝えました。

 私はこの方に、目を閉じてください、今から貴女の家で祀られている仏像の本性を見せてあげますと言いました。

 この方は私の言う様に目を閉じましたので、「〜さんの所に祀られている○○○○様、この場に姿をお見せください、と言いました。

 目を閉じているこの方は、「○○○○様が出て来た」、と言われます。

 私はこの仏像に、「お前、いい加減にしとけよ、わしの前でそんな姿を取っても何の意味も無い」、「こらお前、わしは釜を焚く者やが、お前、釜の怖さを知っとるやろ、お前なんか、消す事も、落とす事も簡単な事や、釜が鳴ったら、お前、どうなるか分っとるやろな」、と念じました。

 私はこの方に、今からその仏像の顔を見といてよ、と告げました。

 私はこの仏像に対し、「こら、お前、泣いてみ、早、泣いてみ」、と念じました。

 そうするとこの方は、「仏像の顔が、グチャグチャになった」、と言います。

 私は再度、この仏像に、「こら、今度は笑ってみ」、と念じました。

 この方は、「今度は仏像が笑った」、と言います。




 私はこの方に、貴女が陶酔している仏像の本性はこれですよ、と言いましたが、まだこの方は分からないみたいです。

 そしてこの方が家に帰って、直に私の所に電話が有り、「座っている仏像が、立っているんです」、「私は変なんでしょうか」、と言われます。

 正常でないのは確かですが、はっきりと言うと、この方がおかしくなりそうでしたので、「疲れているから、気にしない事です」、と誤魔化しておきました。

 この仏像にお正念を入れたお坊さんの考えの、安易な部分が入ったのでしょう。
  
鳴釜神事の実際と考察