稲荷勧請
 この方は、従業員20人程の会社の経営者です。会社の経営の事で、度々相談に来られます。相談に来られる時は、何時も奥さんと一緒です。私は会社の内容は分かりませんが、聞かれた事に対し、此方の巳神、伏見稲荷白狐様に御伺いを立てて、見せて頂いたものを答えさせて頂いております。


 この方は既に、伏見稲荷様を御祀りしています。私の所に相談に来られた時に、この方がお祀りしている稲荷様を御呼びし、御伺いを立てるのですが、この方がお祀りしているのは、伏見稲荷大社のお札についておられる稲荷様です。正式に勧請された神様ではありません。


 稲荷様に精通されている方なら、良くお分かりになると思いますが、普通のお札に付いておられる稲荷様と、正式に勧請された稲荷様とは、全く御力も違いますし、御姿も違ってきます。

 
 伏見稲荷大社に行き、社務所でお札を貰いますが、そのお札についておられる稲荷様は、いろんなタイプが有ります。少し頼りない様な神様も居れば、柄の悪そうな神様もいます。まだ駆け出しの神様も居ます。体の大きさもいろいろです。一体の場合も有りますし、二体(夫婦)でおられる場合も有ります。


 正式に勧請(御霊分け)された神様は、眼光鋭く、見るからに相当な迫力が有る神様が多いです。一応修行を済まされた神様と見受けられます。大体、二体(夫婦)で御姿を見せます。


 私が、伏見稲荷様をお祀りする件に際し、相談者の方から、伏見稲荷様をお祀りしたい旨を聞いた場合、事前に白狐社の白狐様に、この相談者の方に合う稲荷様と縁を付けてくれる様に頼む事に有るのかも知れませんが、お祀りする方のタイプに似た稲荷様、又、相談者の祈願の種類(商売繁盛等)、目的に合った稲荷様が来るように思います。


 この経営者の方も、稲荷様を一生懸命にお祀りされていますが、この方の祈願に対し、少し力不足の所が有るのは否めません。


 ある日この経営者夫婦が相談に来られ、工場の移転の事で相談を受けました。早速この家の稲荷様を御呼びし、御伺いを立てましたが、この家の稲荷様は、何も言いません。


 仕方が無いので、伏見稲荷の白狐様を御呼びし、この旨を聞いてみました。白狐様は、右の前足を上げたままの姿勢で動きません。


 私は、「それでは、白狐様、工場は今の場所で頑張るべきですか」、と聞きますと、白狐様は、上げたままの前足を下に下ろし、ドンと地面を叩きました。そしてこの様な形の物を見せてくれました。


 宝珠と取ります。

 そしてある部分が、青白く光っています。


 私の中に入っている巳神にも、同じ事を聞きました。


 巳神は口に、赤と白の紐をくわえています。紐の真中には、鈴の様な物が有ります。



 この経営者夫婦は、一生懸命に今の伏見稲荷様をお祀りさせていただいていて、良く御守りしてくださっているのは分かりますが、出来たら、もう少し力の有る稲荷様をお祀りしたい、と言われます。

 丁度白狐様が此処においでですので聞いてみました。


「白狐様、この方は伏見稲荷様を一生懸命に祀られています、それは白狐様もよくご存知と思いますが、この度、正式に稲荷勧請を受けて、不足は無いでしょうか」、と尋ねました。


 白狐様は右前足で、ドンと地面を叩きました。


 私は白狐様に、稲荷勧請を受けるにあたり、白狐様から観て、事業繁栄、商売繁盛に相応しい稲荷様と縁を付けて欲しい旨を頼みました。


 この夫婦は、直に伏見稲荷大社に行きたいと言われますので、この場で日時を決め、白狐様に伝えました。


 後日、この経営者夫婦は伏見稲荷大社で稲荷勧請を受け、その晩、私の所に電話をかけて来ました。


 直に妻の方に、白狐様がこの夫婦に、どの様な稲荷様と縁を付けてくれたのかを出してみました。


 


 向かい合った稲荷様が姿を見せました。向かい合って出てくる事は、珍しいです。仲が良さそうです。

 この経営者夫婦は子供が有りません。何時も一緒に行動をされます。


 稲荷様の各々の首には、赤と白の紐が巻いてあります。鈴も付いています。


 やはり、赤い首輪は女で、白い方は男と観ます。


 今から、この夫婦の稲荷様が、この夫婦を守ります。


 数ヵ月後、この夫婦が相談に来られました。


 その相談事に対し、今度はこの稲荷様が的確にお答えをくださいます。


 相談も終り、この夫婦が、工場の事、又私達には子供も居ないので、この先どうなるでしょうね、と私に聞かれますので、私はこの家の稲荷様に、「この夫婦は、何時も一生懸命に稲荷様をお祀りしている、この先どの様な事が有っても、この夫婦を守ってやってくれるか」、と聞きますと、それまでお互いに向かい合っていた二体(夫婦)の稲荷様が私の方を向き、御辞儀をされました。



 

 有り難い事です。これは、この夫婦の気持ちが美しく、一生懸命に御祀りしている証拠です。


 工場の方も、厳しい時代であるが、来年も守ってやってくれるか、と聞きました。


 

 霊視している妻が、「何か分からないものの横に、数字の6が出て来た」、と言います。


 そして、「釜が出て来たよ」、とも言います。


 私は妻に、その釜を見ている様に言い、ある事を念じました。


 妻が、「釜から湯気が上がっている」、と言います。


 来年、6月に釜を焚け、と取ります。


 私は、以前一回、この経営者夫婦の家で鳴釜の神事を行っています。


 工場の経営だけではなく、従業員の事も順調に行っています。


 私は自分の方からは決して言いませんが、祈祷を行えば、確かに事象は良い方向に変わって行くが、この経営者だけではなく、商売や事業をされている所で、事業繁栄、商売繁盛の祈祷を、そのものの状態が悪くなってから行うのではなく、出来たら、何も悪い事の無い状態の時こそ、行うべきと思います。


 そしてそれは、定期的に行えれば、尚効果的と思えます。
鳴釜神事の実際と考察