井戸撥遣(埋め)について
 水は生命の根元です。その根元を如何なる理由が有れ、埋めるという事に対しては、それ相応の感謝の意を示さなければなりません。

 水の有る所には水神が宿ります。水神は巳の形を取ります。白い蛇が姿を見せます。全てが白い蛇とは限りません。黒い蛇も姿を見せる事が有ります。

 白い蛇にも、強弱の程度と、はっきりとした形をとるものと、ぼやけた姿しか見せないものも有ります。

 井戸撥遣に際し、巳神の取る態度もいろいろです。黒い蛇の取る態度は執着です。井戸埋めの理由を告げても、絶対動かないという態度を取ります。

 神様の巳神については、殆んどが、驚き、戸惑いの表情を見せます。偶に、怒りの表情を見せる場合も有ります。(神様にしてみれば、一生懸命に守ってやっているのに、という気持ちも有るのでしょう)。

 変にこの領域に凝っている方は、そんな事は無い、神様は全てを見通している、という人がいますが、神様に対しては、丁重に表白、願文を上げて、初めて神の方も此方の情報を知り、殆んど納得される事が多いですが、稀に拒否をされる場合も有ります。勿論、この領域に通達した者が、事前に神の方へ情報を上げていれば別の話ですが。

 上記の様な理由で、井戸撥遣だけではなく、神様に此方(人間)の意思を示すには、、正式な儀式(祈祷)が必要となります。

 
 井戸撥遣の祈祷に際し、水神様に対し、今日までの感謝の意を述べ、そして井戸埋めの理由を述べます。

 祝詞を上げます。

 塩、洗い米、清酒、清砂を井戸に入れます。

 鳴釜の神事をもって、水神様の了解を得ます(もう既に、大部分はこの時点までに、此方の神様が水神様の了解を得ています)。

 よく青竹、ビニールパイプ等を井戸に入れ、空気抜きの形を取り、その上に建物を建てているのを見かけますが、私の場合は殆んどその様な形は取りません。

 
私の中の巳神が、井戸の水神を納得させ、大元の産土神の所へお返しします(空気抜きのパイプが必要な場合も、稀に有ります)。

 余談になりまが、以前の私は、この領域の事は全く信用せず、馬鹿にしていました。目に見える物だけを信用し、頭で考えて納得出来るものだけを信じていました。今でも多分にその傾向が有りますので、最近では殆んどと言って良いほど、見える部分は妻の方にまわっています。

 私がこれから書く事は、信じられないかも知れませんが、井戸埋めだけはなく、私の祈祷には度々出て来る場面です。

 
 つい先日、京都の料理屋さんで行った井戸撥遣の場面です。

 この料理屋さん今住んでいる家屋を壊し、4階建てのマンションを建て、1階はお店にして、上の階は学生マンションにする予定です。裏の納屋には昔から井戸が有り、この家の家族の根本を支えて来ました。それを今回埋める事になりました。


 「〜家の井戸の神さん、ちょっと姿を見せてください」と言うと、白い、小さな、巳神が姿を見せます。

 こうこう云々で、井戸を埋めさせていただきます、と告げます。

 もうその時点で、私の中の巳神が、この家の巳神(水神)を、説き伏せています。

 此方の巳神と、この家の巳神が向かい合って話をしています。(今はもう慣れましたが、最初、この場面を目にした時は、信じられませんでした)

 この家の巳神は、素直に此方の言う事を聞いてくれましたが(この家の巳神は、それ程、力を持った巳神ではありませんでした)、中には、強烈な力を持った巳神(水神)もいますので、その時は此方の巳神も、時間をかけて説得します。

 此方の巳神が、「上まで付いて行ってやるから、上に上がり」、と言っている、と霊視している妻が言います。

 「釜を焚いて送るから、大元の所に帰りよ」

 釜に火を入れます。

 湯が沸騰します。

 洗い米を入れます。

 大きな音で、釜が鳴ります。

 「ここの巳さん、上に上がってあったわ」と妻が言います。

 「こっちの地神(巳神)も、一緒に上がってしまったて、姿が見えへんわ」と妻が言います。

 付いて行っているのでしょう。

 10分程して、「今帰って来てあった」と妻が言います。

 
 この家の水神様は素直な、どちらかと言えば弱い神様でしたので、此方の巳神も、そんなに苦労はしなかった様です。

 良い機会ですので、ここの料理屋さんのご主人が、マンションが出来上がり、商売再開後は、どの様になるのか聞いてもらえませんか、と言われるので、私の中の巳神に聞いてみました。

 そうすると、「若い男の人が大勢見える、学生見たいや」と妻が言います。

 
 新しく再開した後は、学生さんで賑わう活気の有るお店になるのでしょう。

 これで、商売は大丈夫です。


 ●電話とメールで相談を受けた例です。

 ある地方の未婚の女性から電話を頂ました。この女性は、将来婿養子さんを向かえて、この家を継いで行く立場の人です。

 大きな屋敷です。その土地には、以前3箇所に井戸が有りましたが、正式な儀式をしないで、井戸を埋めてしまったそうです。今回、その井戸の上に、新しく家を建てる計画をされているそうです。

 この女性は、正式に井戸埋めの祈祷なしに、その上に家を建てる事を心配して、私の所に連絡して来ました。

 この方の両親も、この領域には無関心ではなく、今までに近くの霊能者の方に相談をし、その方の指示で、自分達で井戸を埋めたそうです。

 電話で話をしている時点で、私の体には入って来るものが有りますが、正式にお伺いを立て、後で連絡する事にしました。

 妻に目を閉じさせ、その旨を私の方の巳神に聞きました。

 「沢山の白蛇が団子になっている」と言います。

 「〜家の地神様、その中の主になる神様、姿を見せてください」と言うと、「大きな白い蛇が、頭を持ち上げ、赤い顔をして、此方を睨んでいる」「相当怒っているわ」と妻が言います。

 白い蛇(神様の蛇、地神様)が、団子になって姿を見せるのは、余り有りません。

 巳神が赤い顔をして怒って出て来るのは、良く有る事ですが。

 その女性と連絡を取り、上記の事を話しました。

 大分後で、この女性から連絡が有り、この方は気になってしょうがないが、お母さんが全く話を聞いてくれないので悩んでしまう、と言う事を話されました。

 お母さんにしても、以前に霊能者の方から、気にしなくても良い旨を言われたので、気にしながら迷っていると思われます。

 この家の様なケースは、やはり正式な方法での、井戸撥遣の儀式が必要になります。

 霊能者の方も、その方に入っている神(?)によって、それぞれの答えが出て来ると思いますが、この家の場合は、分からないのなら、他の方に相談をされる様に、進言して欲しかったと思います。
鳴釜神事の実際と考察