血を分けた兄弟から発せられた呪詛の形
 「代々、男の人が早死する家なんです。主人のお父さんも、お兄さんも若くして亡くなっています。変に思い市役所で戸籍を調べたり家のお年寄りに聞いたりしたところ、ある時期に兄弟喧嘩をして疎遠になってしまった先祖があり、今は全くその消息が分りません。ひょっとしたらその様なものから此方の男性ばかりが早死にするのでしょうか?。主人は大丈夫でしょうか?」、という内容の相談を知人を通して頂きました。

 よくある事ですのでは、最初は私にしてもこの様な相談で地神様にお伺いを立てるのはどうかと躊躇して余り深くは聞いていませんでしたし、事実、地神様の方にしても余り興味を示しませんでした。

 数か月後、「主人が大変な病気になり動揺しています。やはり先祖が喧嘩別れした事と関係が有るのでしょうか?」、という内容の相談を知人を通して受け取りました。

 ご主人が大変な病気になられたという事ですが、最初この方から相談を頂く大分前からその兆候は始まっていたと思われます。

 ご主人の病気にこの領域が関係しているのかとは別に、この家の因縁を聞いてみました。

 私、「地神さん・・・、この家のご主人がえらい病気になっとってやが・・・、この家の因縁・・障り・・・、見せてください」。

 妻、「人が目を閉じてるんやろか?・・・、閉じたまぶただけが出てるわ・・・、一つだけ・・」、と言います。

 その後、

 妻、「○の中に・・・・。それと、線の様なものが二本?・・絡み合ってるわ?・・・」、と言います。

 この意味を地神様に聞いたのですが全く何も教えてはくれませんでしたし、見せてくれたものは後にも先にもこれだけでした。

 そして・・・、どちらかと言うと・・・。

 妻、「地神さん・・・、余り良い顏してないわ・・・」、と言います。

 地神様が余り乗り気になれない・・・それだけの理由のある家だと観ます。

 人が目を閉じたもの・・・人が悲しんでいる・・・・この家のご先祖様が悲しんでいると取ります。

 ○の中に・・・・、これが何を意味するものか・・・多分、何かの目だと思われますがはっきりとは解りません。

 線の様なものが絡み合ってる・・・、これは兄弟喧嘩の形・・・土地の因縁、障りと取ります。



 相談されて来られた方は、「祈祷に来てください」、と言われますが、地神様も余り良い顏をされないし、私にしても人の命がかかっていますので、また、祈祷をすれば、即、病気が治ると勘違いされているものを感じましたので、「病院に頼ってください」、とお伝えし、お断りさせて頂きました。

 後日、この後の展開は省きますが、「男が早死にするこの家の因縁をこの代で切りたい」、と言われますので、祈祷をお引き受けする事になりました。(某月、某日、(261)に登載)

 祈祷日が決まった途端、私や妻の体にはあるものが主張する独特な拒否の念が入って来ました。

 そして直ぐに、

 妻、「小・・さい・・・、黒・・い・・・、みみずみたいはものが下の方で何百匹とウジャウジャと動いてるわ・・・」、と言います。

 私、「ああ・・・、そうか・・・・」、と思いました。

 あくる日、

 妻、「黒いのが出てるわ・・・・、黒・・い、大きな蛇いやわ・・・」、と言います。

 私、「あんた・・、もう出たんか?。ウジャウジャ居るものの大元か?」、と聞いてみました。

 妻、「何も言わないわ」、と言います。

 この時点ではよく有る事で・・・この家が建つ土地からの障りかなと思っていました

 こんなものは今まで数え切れない程対峙して来ましたので軽く考えていましたが、どうも重い・・・体に重く堪えて来ます。

 相談された家の方も、「祈祷が決まってから主人の調子が悪いです」、と言われます。

 和歌山県ですので加古川から近く、ホテルに泊まる距離ではないのですが、前日はホテルに泊まりました。

 ふとスマホを見ると、画面が薄い色になってしまっています。

 それにしても・・・痛みは出さないが体が重くしんどい状態です。

 祈祷の当日、家に着いて鳴釜の準備をして、先ず、この家の仏壇の前で御先祖様の供養をしました。

 私、「地神さん、ややこしい家やが・・・、供養の必要な仏さん、居られたらお呼びしてください」、と伝えてお経を上げました。

 私、「誰か出とってか?」。

 妻、「「誰も出てないわ・・」、と言います。

 次に、線香護摩で御先祖様の供養をしました。

 私、「地神さん、供養の要る御先祖様が居られるなら、その方の姿を見せてください。それと、線香護摩の終りに、祓い消すものを出してください」、と伝えて線香護摩に入りました。

 私、「どや?」。

 妻、「誰も出てないわ・・・、目の前が綺麗わ・・・・」、と言います。

 今日は・・・、この祈祷は・・・、先祖供養をして落ち着く様なもんではない事が解ります。

 私、「地神さん・・・、この家の先祖供養は置いとくとして・・・・、祓い消すもの、出してください」、と言いました。

 私、「家で観た時出て来たもの・・・・、出てみ」。

 妻、「何も出ないわ・・・・」。

 私、「解っとるがな・・・。隠れたって見えとるがな・・・・。出てみ」。

 妻、「何も出ないわ・・・」、と言います。

 空間を斬って、腕を中に突っ込んでつかみ出す仕草をします。

 妻、「黒〜い、みみずみたいな蛇?が下の方でウジャウジャ動いてるわ・・・・」、と言います。

 私、「その大元・・、出てみ」。

 妻、「黒いのが出て来たわ・・・」、と言います。

 これから先が・・・・、私にしても初めての問答が続きました。

 そしてこの時点でも、今、目の前に出ているものはこの家が建つ土地に作用しているものと思っていました

 私、「黒いの・・・、こっちを向いてみ・・・。あんた・・・この家の男の人を若死にさせてるのはあんたか?・・・・」。

 妻、「うなづいたわ・・・・」。

 私、「そうか・・・。この家の主人のお兄さんを殺したのもあんたか?」。

 妻、「「違う」、と言ってるわ・・・」。

 私、「違う?・・・て、どういう事や?。ほな、誰が殺したんや?」。

 妻、「何も言わないわ・・・・」、と言います。

 この後の問答が・・・また、この蛇とのやり取りが歯車の噛みあわないものになって行きました。

 私、「お前・・・、黙っとったらあかんがな。あんた・・・目の前にある釜、見えとるやろ?。この釜焚いたら、あんた、どうなるか解るやろ?。この釜の怖さを知っとるやろ?。あんた・・・、わしの元が何か解るやろ?」。

 妻、「何にも反応が無いわ・・・・」。

 私、「あんた・・・何も知らんのか?。解らんのか?。お前・・・落とすぞ。この釜で巳の行く地獄へ落とすぞ」、と脅かしました。

 妻、「何も解らないみたいやわ・・・」、と言います。

 妻、「「下から上げて来た・・・。下から上に上げて来た・・・」、と言ってるわ・・・、小さい蛇がそう言ってるわ・・・」、と言います。

 私、「ウジャウジャ居る小さい蛇が言ってるんか?」。

 妻、「そう・・・」、と言います。

 これで余計に解らなくなってしまいました。

 地神様に聞いても何も教えてくれません。

 腹が立って来ましたので、黙って黒い蛇を縛り上げました



 私、「黒いの・・・、動かんやろ?」。

 妻、「固まってしまって動かないわ・・・、何かしたん?」。

 私、「ちょっと縛ったんや」。

 この時点で少しひらめいた事が有りましたので、

 私、「ウジャウジャ居る小さいの・・・、あんた、本来の形になってみ。騙したらあかんで・・分っとるからな、ハイ、なってみ」、と言って柏手を打ちました。

 妻、「真っ赤な舌になったわ・・・・、真っ赤」、と言います。

 私、「どんな舌や?。蛇の舌か?、人間の舌か?」、と聞いてみました。

 妻、「・・・・・・・・・・」。

 私、「長さは?」

 妻、「・・・・・・・・・・」。

 私、「あんた・・、あんたの舌・・・伸びるやろ?」。

 妻、「伸びるわ・・・」、と言います。

 私、「人間の舌と蛇の舌が混ざった様な形やろ?」、と妻に聞いてみました。

 妻、「・・・・・そう・・・そんな様な形」、と言います。

 これで解明しました。

 私、「あんた・・・赤い舌のあんた・・・、あんた・・・、この家の親戚か?。親戚の念か?。親戚の恨みの念か?。そうなら舌を巻いてみ?」。

 妻、「巻いたわ・・・」、と言います。

 これではっきりしました。

 私、「あんた・・・親戚の呪詛の念のあんた・・・、きったない事するな・・・、あんた・・・あんたらだけではこの家の恨みは晴らせんので、地獄に落ちとる奴を引き上げて来て、そいつの力を使ってこの家の男の人を皆殺すつもりやったんか?。汚い奴やの・・・」、と言い、「地神さん、こんなもん、躊躇せずに消します」、と伝えました。

 妻、「うなづいとってやわ」、と言います。

 何の表白も無しにコンロに火をつけました。

 湯が沸騰しています。

 洗い米を入れます。

 釜が鳴り出しましたが、ごく普通の音です。

 釜が鳴っている間、ある祝詞を唱えました。

 やがて釜の音が止んで行きます。

 私、「どやった?」。

 妻、「釜が鳴り出すと真っ赤な舌がクルッと黒い蛇を巻き込んで消えてしまったわ・・・・・」、と言います。



 私、「それだけか?」。

 妻、「それだけ」、と言います。

 私、「地神さん・・・、これで良いのですか?」。

 妻、「うなづいとってやわ・・・」、と言います。

 声に出さず、

 私、「地神さん・・・、兄弟から来ていた念、これで切れましたか?」。

 妻、「うなづいてるわ」、と言います。

 これでこの家に向けて放たれた兄弟の呪詛の念は切れましたが、呪詛の念を放った方はとっくに自分が放った呪詛の念の返しを受けて、それ相応な状態になっていると観ます。
 
 上を向いて唾を吐く様なものです。

 しかし、この様な形で出て来るとは想像していませんでした。

 良い人ですので、兎に角大事にならない事を祈って帰って来ました。

 家に帰って、お酒を供えて地神様をお呼びしましたがその姿は出ませんでした。

 何時もなら直ぐにお姿が出るのですが、やはり今回の祈祷は厳しいものだったと観ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
鳴釜神事の実際と考察