事業の繁栄、商売繁盛について

 私の所には事業を展開している経営者、商売人の人が相談に来られます。例外を除いて、殆んどの方が、今まで順調に進んでいた事業や商売が、社会的な事情を考慮しても落ち込み、又使用人、取引先との人間関係の面においても、しっくり行かずに悩んでいる、何か原因が有るのなら教えてほしい、という方が来られます。

 自分の代に起業された方、二代目の方、三代目の方、それぞれのタイプがあります。共通して言えるのは、皆さん一時期は、人も羨むほどの隆盛を経験した人です。

 一部を除いて、殆んどの経営者の方に、事業繁栄、商売繁盛の為の神様をお祀りしているのが見られます。その殆んどが、稲荷神です。初めて稲荷様をお迎えした代は、それこそ一生懸命にお祀りします。その熱心さに、神の方も答えてくれます。商売も繁盛し、お金も入って来ます。
そのお金の一部を、感謝の気持ちとして神様の方にお返します。

 
一部の人を除いて、お金が入って来ると、大概の人は慢心になります。自分一人の実力で成功したと、勘違いをします。その慢心の所に「邪」が入って来ます。「邪」が入り込むと、神様は引きます。

 立派な御社は「邪」の住処に変わります。

 何も知らずに「邪」の為に、一生懸命にお祀りします。

 
神様は「邪」を祓いません。自らは、決して祓いません。

 「邪」はお金が好きです。卑怯な方法でお金を得ます。

 しかし、
これは決して長続きはしません。決まり事です。

 神様は辛抱強く、人間の間違いを見ています。早く気づいてくれるのを、何年でも見ています。決して「罰」は与えません。

 その内に、この「邪」は失敗をします。

 これを神様は待っていたのです。

 「何故なのか」と考えさせます。

 神様は先の先まで考えています。この人間にとって一番良い選択は何なのかを。

 試練を与えなければいけない時は与えますし、とことん試します。


 「せっかく一生懸命に祀っているのに、神様は何にも助けてくれない」「こんな神様を祀っていても無駄だ」、という考えを起こさないか、試しています。

 祀る方(人間)に、本当にその気が有るのかを試します。

 祀る方が間違いに気づき、考えを改め、侘びを入れれば(これは、そのお役の有る人の仕事です)、神様は助けてくれます。

●商売が思わしくない事業所に呼ばれますと、確かに稲荷様はおられます。しかし稲荷様を呼んでみると、先ず最初に「邪」が姿を見せます。茶色い狐です。野狐です。いろんな表情をしています。いろんな表情に変わります。よく白狐様の姿をして出て来ます。しかしよく見ると、野狐が化けているのが分かります。確かに、この事業所には白狐様はいます。しかし、神様は「邪」を祓いません。

●商売が思わしくない事業所には、沢山の神様が祀られているのが多々見られます。一時期は隆盛をみますが、やがて落ちて行きます。祀る対象は、少ない方が良いです。 

●事業が順調に行っている所には、先ず最初に、白狐様が姿を見せます。 個人経営の場合は、御先祖様も姿を見せます。清清しく、落ち着いた上に、力強さも伝わって来ます。

●事業、商売が順調に行っている所には、稲荷神様と一緒に、その地の神様がいます。氏神様ではありません。その家屋敷の神様です。地神様です。巳神です。この神様は、家族の事、商売の事、両方の守り神です。この両者の神様をお祀りすれば、鬼に金棒です。

 
 稲荷神を一生懸命にお祀りしているが、今まで順調に行っていた事業が、徐々に悪くなり困っている、という事業所に行く事があります。白い強そうな白狐様が姿を見せますが、他に白い蛇も姿を見せます。この土地の神様です。巳神です。相当力が有りそうな巳神です。

 稲荷は巳神につながりますし、巳神は稲荷につながります。

 稲荷様を一生懸命にお祀りした事により、巳神と縁が出来たと思われます。

 その後、巳神をその場所にお祀りしました。

 事業は創業以来、初めてという程の利益を上げています。

 稲荷様と巳神が力を合わせれば、事業だけではなく、家族の事、健康の事等、良い方向に行く事が多いです。 


◎事業の繁栄や商売繁盛だけではなく、その経営者の家族の守護に力を発揮されるのが、その土地の神様、即ち巳神です。今までの私の経験から言いますと、地神様(巳神)だけを一生懸命にお祀りしている経営者の方が、社会的な地位、経済的な事、家族間の関係が、長期に渡り安定している様に思えます。御稲荷様をお祀りし、一時期の繁栄は、巳神をお祀りするよりは絶大なものが有るかも知れませんが、一部の経営者を除き、大多数の方が凋落して行くのが見られます。

 勿論、地神様(巳神)を絶対にお祀りしなければならないという事ではないし、元々その土地に巳神がいないのに、無理に降りて来てもらう必要(此方から頼んで、降りて来てもらう事も、多々有ります)も有りません。

 巳神をお祀りしているつもりでも、出して見ると、案外黒い色の蛇が姿を見せる事が有ります。野の蛇です。こんな物を祀っていると、全く良い事が有りません。病気にもなりますし、商売も凋落して行きます。

 この蛇を降して来た、この蛇を、野の蛇と見破れなかった、又こんな物としか縁を持てない、この領域の人の責任です。

 巳神をお祀りする事も、気をつける必要が有ります。

 兎に角、稲荷様、又、巳神を疑いなく、一生懸命にお祀りし、「邪」が入らない様にすれば、代々の繁栄は続いて行く様に思えます。
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