ある稲荷物語
 長年この様な仕事をさせて頂いていますが、こんな事も有るんだな・・・、と思いました。

 こんな縁も有るんだな・・・、と思いました。

 今から約5年ほど前、東京在住のある男の方から電話を頂きました。

 厳密には、その一年程前からのお付き合いでしたが、その時の相談内容とは全くかけ離れた内容になっていました。

 この方の詳しい経歴は書かれませんが、今は会社を経営されています。(展開の始終等も、相当分省いています)

 「高橋さん、少し前に事故に巻き込まれて瀕死の重傷を負い、はらわたは出てしまい、医者はもう駄目だと言ったらしいのですが、どうにか生きています。意識不明が長く続いたらしいのですが、その時、私は綺麗な川の畔に立っていました。何処からともなく白い綺麗な狐が現れて、私を背中に乗せて川から離れた所に連れて行き、水を飲ませてくれたり、傷口をなめてくれたりしてくれました。二回目は・・・意識不明が長かったのでどれ位後かは分かりませんが、やはり綺麗な川の畔に立っていました。すると又以前出て来た白い狐が現れて私の横に来ました。その狐に対し、「あの川の向こう岸まで私を乗せて連れて行ってくれ」と言うと、私を乗せて反対の方向に走って行きました。そこで目が覚めました。これは只の夢でしょうか」、と言われます。

 私はその時、美容室の仕事中でしたので、「また観ときます」、と言って電話を切ったのですが、後日、まさか?、と思いながら此方の巳神様に頼み、この方を助けたと言われる狐(稲荷様)を呼んでみました。

 妻、「綺麗な女の稲荷さんが来てあったわ。大人しい・・、下を向いているわ。白く透き通るような体の稲荷さんやわ。今まで見た事ないわ。稲荷さんの横に白い透き通った玉があるわ」、と言います。



 そんな訳ないやろ・・・・、と思いましたが、一応、この目の前に現れた稲荷様に聞いてみる事にしました。

 私、「あんた、○○さんを助けたんか?」。

 妻、「恥ずかしそうに下を向いてしまうわ」。

 私、「あんた、○○さんを介抱したんか?」。
 
 妻、「あかんわ。下を向いてしますわ」。

 この時はこれだけです。

 何を聞いても、恥ずかしそうに下を向いてしまうだけでした

 この始終をこの方には話したのですが、この方にしても、何が何だか分からない様子でした。

 只、この方はこの事故の後、「感謝、感謝、感謝・・・・・・」、この言葉で頭の中が一杯だと言われます

 何を見ても、何を聞いても、何をしても、「感謝、感謝、感謝・・・・・」、の言葉で一杯だと言われます

 この事から半年ほど後、この方は、感謝の気持ちを何に対して手を合わせたら宜しいか?。家の前に○○不動尊があるが、それをお祀りしたら宜しいですかと聞かれます。

 私、「○○さん、そんな分からんものを祀るより、貴方を助けてくれた稲荷様をお祀りしたらどうですか」、と伝えました。

 それまでに、この稲荷様を何回かお呼びしているのですが、何を聞いても少し横向きに下を向いたまま、恥ずかしそうに顔を上げずに、何を聞いてもうなずかれるだけでした

 この方は稲荷様の祀り方を聞かれるので、私の知ってる範囲でお伝えしました。

 この方は大工さんに頼み、直ぐにお社を置く棚を作りました。

 そして大事なのは御霊が宿る依代になるのですが、この綺麗な稲荷様にも此方の巳神様にもこの稲荷様の属する所を聞いたのですが、何も教えてくれませんでした。

 この方は、もうお社も用意しましたと言われますので、霊視した稲荷様の絵を妻が書いて、それをお社の中に納める事にしました

 勿論、この判断の是非は、稲荷様にも巳神様にも聞いた結果の判断です

 そしてこの方は、一回此方に来てくださいと言われます。

 この方は会社を経営されていますので事業繁栄と、この家の稲荷様には、この方の命を助けて頂いた事への感謝の気持ちを鳴釜でお伝え出来ればと思い、行かせて頂く事にしました。

 日にちを決め、伏見稲荷大社、白狐社、命婦専女神様にも御同席いただく事にしました。

 祈祷の当日、お社の前には、直ぐにこの方を助けた綺麗な女の稲荷様のお姿が出ました。

 この方は複雑な育ち方をされましたし、亡くなったお父さんの御仏壇もない状態でしたが、その事に関してはというより、この祈祷では、何も気になる事が出ないまま、先祖供養に関しては終わりました。

 そしてこの家の稲荷様に対しての事業繁栄、感謝の祈祷でも、特別変わった事も無く釜焚きは終わりました。

 只、この家の稲荷様は斜め下を向いたまま、此方が何かを尋ねると、それに対して恥ずかしそうにうなずくだけで終わりました

 珍しく何もないまま、釜焚きは終わりました。

 命婦専女神様にしても、只同席いただいたというだけで、それだけで帰って頂きました。

 私達も祈祷が終わって直ぐに帰路についたのですが、その少し後から、この方の会社の業績が急に伸び始めたと連絡を頂きました。

 あれから約4年後、つい先日、2回目の祈祷に行かせて頂いました。

 勿論、先日の祈祷までの4年強、この方は何回も電話で連絡をされて来られて、稲荷様の考え、稲荷様が欲しておられる事などを聞いて来られますので、その都度、稲荷様をお呼びして意見をうかがっていたという経過が有ります。

 この方は、仕事がどうのとかの相談ではなく、「稲荷様は満足されていますか。何か足りないものはないですか」、という問いの内容が殆どでした

 この間も、事業は忙しく、設備を増やされたという話は伺っています。

 そしてこの稲荷様は私達がお呼びをすれば、先ずお姿が出ます。

 お姿が出るというよりも、私達がお呼びするのを待っておられる様です。

 直ぐにお姿は出るのですが、何時も恥ずかしそうにうつむいてしまいます。

 この稲荷様に、

 私、「あんた、○○さんが好きやねんな?」、と聞くと、

 妻、「恥ずかしそうに下を向いてしまったわ」。

 という始末です。

 この方が原因不明の痛みに襲われた時、その障りを私達の前で瞬時に消した時の事など、この稲荷様はこの方が好きな事は間違いありません。

 何回かの電話で、この方は、

 「男一人で生きて行くのはむなしいし、生活が荒んできます。稲荷様が良い縁をつけてくれないものですかね・・・。付き合っても直ぐに別れてしまう事の繰り返しばかりです」、と言われます。

 この時点までこの方には黙っていたのですが、稲荷様はこの方が好きなので、この方の命を助けたのです。そうでないとこの方はとっくに亡くなっています。この方は稲荷様に魅入られたのです。女の方と付き合っても、この稲荷様が別れさせてしまいます

 ある時、この方が電話をされて来て、稲荷様の欲しいものを聞いて欲しいと言われます。

 稲荷様をお呼びすると直ぐに御姿が出ました。

 妻、「稲荷さん、しろい布の上に座って、恥ずかしそうに白い布をなでてるわ」、と言います。

 私、「白い布の柄は?。それ白無垢(しろむく)と違うか?」。

 妻、「白無垢やわ。恥ずかしそうにしてるわ」、と言います。

 花嫁さんの羽織る白無垢です



 この稲荷様はこの方のお嫁さんになりたいのです

 その時、この内容は、この方へは伝えないでおきました。

 その後、この方とは何回も電話で話しをして、事業は忙しいというのは聞いています。

 時には、稲荷様が私達に対し、手招きの形を取って、「来て欲しい」、という態度を取る時もありました

 そして今回、何時もの様にこの方は、稲荷様が欲しいものを聞いて欲しいと電話が有りました。

 4〜5日後、「ほんまに、どうでも良いことですが・・・」、平成25年8月25日登載になります。

 私、「○○家の稲荷さん、どうかお越しください」。

 妻、「小走りに走って来たわ。待ってたみたい。左手に塩を握ってるわ。塩を前に(私の前)もって行ってるよ」。

 私、「有難う」、と言って、意味を理解せずに受け取りました。



 妻、「機嫌よく、嬉しそうにしてるけど・・・・」。

 私、「あんた、○○さんが好きやな?」。

 妻、「恥ずかしそうに横を向いてしまったわ」。

 稲荷様が機嫌良くされていましたので、「塩」、の意味も理解せず、稲荷様には礼を言い、帰って頂きました。

 後日、「塩」、の意味が気になりましたので、此方から電話をして聞いてみました。

 そうすると何を思われたのか・・・・、この方は真面目で人を信じ易い良い面は良いのですが・・・、お父さんの供養の為、その地域では有名と言われる寺(拝み屋さん。信者寺)に行かれたそうです。其処にはお不動さん、稲荷さん等、沢山のものが祀られていたので、其処の祈祷札をもらって帰り、今までお祀りしている稲荷様はその寺の稲荷と同じもの、稲荷は一つだと勘違いされ、お社に祀る稲荷様の絵を捨てて、其処に祈祷寺でもらったお札一式を入れたと言われます。

 それでこの家でお祀りする稲荷様が「塩」を持って私の所に来た訳が解りました

 「祓って欲しい」、という意思表示と取ります。

 この方には余り込み入った事は話さなかったのですが、稲荷様の窮地を話すと、一回来て欲しいと言われます。

 祈祷の日にちが決まり、その手前に予定していた祈祷を終えてやれやれと思っていたところ、9月2日(月)の夜中、妻の左足が突然全く動かなくなりました

 3時間ほどして動く様になりましたが、何か私達に来られたらまずいものからの念というのは十分考えられます。

 9月2日(月)の朝(祈祷予定の5日前)、此方の巳神様に、何が妻の足に作用したのかを聞いてみました。

 予測はついていましたが・・・・・。

 妻、男の人の前で、必死に守る稲荷さんが居るわ。その周りは・・・、何か・・・・、渦が巻いている様やわ」、「私の足が渦の中に入ってしまったみたい」、と言います。

 渦の真ん中で男の人を必死に守っているのは、この家に祀る稲荷様です

 この方の命を助けて、この方の事業を助けている稲荷様です



 私、「渦の元、ちょっと出て来てください」、と言いました。

 妻、「黒い大きな蛇の上半身が出てるわ。この蛇、目が丸い・・・?」、「此方の地神さんが今まで見た事の無いきつい顔で黒い蛇と向かい合ってるわ。今にも喧嘩しそうやわ」、と言います。

 「あ・・・・・・・、地神さんには悪い事を言ってしまった・・・・・・・、言わんでも良かったのに・・・・」、と反省しました。

 というのも、この日の朝、妻が起きて来る前に、私は地神様にきつい事を言ってしまっていました。

 私、「あんた、とてつもない力が有るのに、嫁さんの足が動かなくなる前に、何で祓ってくれんかったんや。チビが出て来てから、あんた・・・、あんまり動かへんやないか。以前はもっときつかったはずやで。あんたの言う様に動いてるのに、守る時は守ってもらわなかなん・・・・・・・・・」、という様な事を、言った事を覚えています。

 それで地神さんがこの様なきつい顔で出ているのか、はたまた、対する相手の力が強大なのか・・・。

 そうこうする内に、

 妻、「チビが仲に入ったわ。チビが手を広げて、どちらも制止してるわ」、と言います。

 「あっ、これは大丈夫」、と思いました。



 それにしても、小さい巳神様もよくやるものです。

 小さい巳神様が仲に入るという事は、相手は神霊です

 元神霊と言った方良いかも知れません。

 私、「貴方、黒い体の貴方、貴方は元は純粋な神霊と観る。お聞きします。神霊が何故そんな体の色をしているのか、教えてくれ。私達で出来る事があれば協力する。貴方の本心でその様な体になったとは思えない。聞かせてくれ。神霊の貴方が何故その様な体になったのか」、と尋ねてみました。

 妻、「汚いものを食べ過ぎた」、と言ってるわ。

 私、「そうか、汚いものを食べ過ぎたか・・・・・」。

 妻、「今にも喧嘩をしそうやわ。チビが仲に入って一生懸命に別けてるわ」。

 私、「人間の私が偉そうな事を言うが、貴方も神霊なら私の元の存在は解るはず」。

 妻、「解る」、と言ったわ。

 私、「そうなら、私の言う事も聞いてくれ。悪い様にはしない。貴方を元の綺麗な神霊にさせて頂く。貴方と向き合ってる巳神様の様に、真っ白な体に戻させて頂く。今までの経緯は知らんが、それはもう良い。過去の事はもう良い。貴方を神霊に戻させてください」、と伝えました。

 妻、「・・・・承知したみたい・・・」。

 私、「そうか。させて頂く。貴方を元の神霊にさせて頂く。もう直ぐ其方に行くが、釜を焚いて、貴方を元の綺麗な神霊にさせて頂きます。どうかお帰りください」、と言って、「龍神祝詞」、をもってお帰り願いました。

 私、「地神さん、これで良いな?」。

 妻、「良い顔になったわ」。

 「さすが神霊、此方の言う事を聞いてくれた」、と嬉しくなってきましたが・・・・。

 前回の祈祷では、この方の御先祖様から来るお知らせは気になる様なものではありませんでしたが、今回はちょっと違う様です。

 妻の方へは勿論、私の方にも訴えてくるものが有ります。

 それも祈祷が近づいて来れば来る程・・・、強く、ひどくなって来るのが分かります。

 妻は眠気が強く、動作も鈍くなっています。
 
 しかし御先祖様から来るお知らせは知れていますし、私達にしても、御先祖様の状態(苦しさ)を体で分からせてもらうというのは有り難いものです

 祈祷予定の2日前、午後11時頃(私は寝ていました)、妻はガスレンジの前に立っていた時、急に右足が動かなくなりました

 全く動かない状態でその場に寝たのですが、腕の力だけでかろうじて立ち上がって椅子に座ったと言います。

 2時間ほど寝た状態でもがいていたと言います。

 私はその事を夜中に聞きましたが、おおよその見当は付きました。

 明くる朝、

 私、「地神さん、明後日の祈祷でのあの巳さん、まだ決心がつかないのですか」、と聞いてみました。

 妻、「そうらしいわ、うなずいてあったわ」、と言います。

 例えそうとしても、私には説き伏せる自信が有りましたし、一つの神霊を助けさせて頂くという使命に似たものが有りましたので、嬉しい気持ちでおりました

 祈祷の一日前、朝、家を出る前、日に日に増してくる御先祖様の訴えの念に関して聞いてみました。

 私、「地神さん、この家は臨済宗ですが、正信偈を上げさせて頂きます。線香護摩はしません・・・・」、と言おうとしたら。

 妻、「石で出来た四角い形が出てるわ」、と言います。

 この方のお父さんが入る、共同墓地です



 そして嫌に喉が渇きます。

 成仏させて頂こうという気持ちで一杯になりました。

 祈祷の当日の朝、ホテルで、
 
 妻、「地神さんの首の周りに丸い球の様なものが有るけど・・・」、と言います。

 お数珠です

 しっかり御先祖様に対して来いという事です。



 家に着き、御先祖様が来られる舞台を作ります。

 今年がこの方のお父さんの13回忌が周っています。

 紙の位牌(○○家先祖代々之霊位、○○○○之霊位、亡 三界一切萬霊位)を置きます。

 お茶、水、仏花、お供え物を置きます。

 線香に火をつけます。

 表白を述べます。

 本月、本日、此処、・・・・・・・、信心の施主○○○○の処において、○○家深遠の者相集い・・・・・・、殊にも本年、○月は、○○○○が13回忌の大事なり・・・・・・・・・・・。

 「正信偈」、を上げます。

 妻、「5〜6人、出とってやわ・・・、男の人ばかり」。
 
 私、「お父さん、手を上げて?」。

 妻、「上げてあったわ。顔や姿ははっきりしないわ」。



 私、「男ばかりか・・・・・、絶えるなあ・・・・」、「お父さん、別けあって、仏壇もないが、○○さんの中には貴方がずっと生きているので、お父さんも○○さんを見守ってやってよ。時期を見て、仏壇を持つ様に言いますので、○○家の御先祖様、どうか○○さんを守ってやってください」。

 妻、「お父さんはうなずいてるわ」、と言います。

 此方の巳神様がこれで良しと言われますので、先祖供養はこれで終わりにしました。

 次に祈祷寺の複数のお札に入っている黒い蛇に対します。

 正直に言うと、私は嬉しくてしょうがない気持ちでした

 この黒い蛇に対しては、元の綺麗な神霊に戻って欲しい、戻させて欲しいという気持ちで一杯でした

 この黒い蛇にしても、まだ私達の説得に迷っておられるのは感じていましたが、祈祷の前日位から、「根性を決めたな」、というのが、私には解っていました。

 過ってこの方を助けた稲荷様のお社からは、祈祷寺のお札や、今流行のアートに近い習字の字体で書かれた絵?、字?の様なものが沢山出て来ました

 何でも、一日に100人から200人、芸能人や野球の選手が相談に訪れるそうですとこの方は言われます。

 急を要しない分野ならまだしも・・・。話は飛びますが、鍼灸に関してはその様な事は聞きませんが、国家免許の要らない、要するに体を触って治療する様な所の宣伝文句に、今、予約しても1年待ち、2年待ちという様な事をうたっている所が有ります。

 冷静に考えてみれば分かる事で、今、体の調子が悪いのに、1年や2年先の予約をして帰って来る方が何処に居ますか?。

 私の知り合いに2年待ちと言われるので、2年先の予約を申し込むと急に叱られたという方が居ます。

 常識で考えれば分かる事なのですが、この方も正直な方で人を介してやっとみてもらったと言われます。

 芸能人やスポーツ選手の名が上がれば信用してしまう所が・・・、良い人なのでしょうが・・・・。

 その結果がこれです。

 本題に戻りますが、私は嬉しくてしょうがない。

 加古川を出る前に、この黒い蛇様に、お酒を買っていました

 そして御幣には、紅白の水引を結び、祈祷に臨みました。

 私、「地神さん、この黒い蛇に対する釜はお祝いですので紅白の水引を結びます。それで良いな?」、と聞きました。

 妻、「うなずいてあったわ」。



 この黒い蛇を、本来の綺麗な神霊に戻させて頂く事は私の喜びです

 その証拠に、最初から悪霊というものから来る決定的な拒否の念といものは一切入って来ません

 妻の足を動かなくはしたけれど、それ以上のものは入れて来なかった。

 やはり元は神霊です

 鳴釜の準備を終え、紅白の水引を結んだ御幣を置きました。

 ローソクに火をつけ、「龍神祝詞」、をもって祈祷寺のお札に入っている黒い蛇をお呼びしました。

 妻、「直ぐ出てあったわ」、「むちゃくちゃ大きな蛇やわ」、と言います。

 私、「私の言う事を聞いて頂いて、有難う御座ます。今から貴方を本来のお姿に戻させて頂きます。本来のお姿に戻させて頂いただいた後、何処へ行くかは貴方が決める事です。また元の祈祷寺に帰るも良し、それは貴方が決めてください。私はただ、貴方を元の神霊に戻させて頂くだけですから。貴方なら、再度、本来のお役の人助けに徹しられるはずです。今まで貴方が祈祷寺と組んでして来た事には何も言いません。もうそれはこの釜で無にします。偉そうな事を言いますが、私の元の存在が解る貴方なら、私が言ってる事が解るはず」。

 妻、「うなずいてあったよ」。

 私、「有難う御座います」。

 妻、「巳さんの頭と首、お腹の辺が白くなってるわ」、と言います。

 私、「巳神様、これから巳神様と言います。今日は貴方の再出発のお祝いです。ちょっと見てください。今日は幣に紅白の水引を結んで来ました。目出度い事です。もう貴方は神霊ですので釜の前に来てください」。



 妻、「来ないわ。動かないわ」。

 私、「さあ、飲んでください。加古川から持って来た酒です」、と言って、巳神様の前で封を開けました。

 私、「安物の酒ですが、綺麗な酒です。貴方は相談者が祈祷寺に持って来られた高級なお酒を飲んでいるのでしょうが、そんな汚いものとは違います。どうか飲んでください」。

 妻、「うなずいてるわ」。

 この巳神様には、再三、釜の前に来る様に言ったのです、釜の横からは動きませんでした。

 そしてこの巳神様に対する表白は、決まりきったものより良いだろうと思いましたので、口語体で行いました。

 「身滌大祓」、「六根清浄大祓」、「龍神祝詞」、を上げました。

 コンロに火をつけます。

 湯が沸騰して来ます。

 米を入れます。

 釜は少し・・・、大きな波のある音で鳴り出しました。

 ある時点からは波も消え、普通の鳴りに変わりました。

 やがて音が止まって行きました。

 私、「巳神様・・・・・・・」、と言おうとすると、

 妻、「あっ・・・・、今、真っ白になって半分ほど消えかかって行ってるわ」、と言います。

 私、「巳神様、ちょっとお姿を見せてください。話す事が有ります」。

 妻、「消えかかってたけど、はっきりしたお姿が出て来たわ。真っ白で大きな巳さんやわ」、と言います。

 私、「巳神様、釜の前に来てください」。

 妻、「来てあったわ」。

 私、「巳神様、今日は私の言う事を聞いて頂きまして有難う御座いました。ちょっと聞きます。貴方はこの後、何処に行かれますか。また祈祷寺に戻られますか。それとも龍神の大元の所に帰られますか。大元の所に帰られるのなら私の方の巳神様に付いて行ってもらいましょうか」。

 妻、「大元の所に帰る」、と言ってるわ。

 私、「そうですか、それは良かった。私も今はこの様な格好をしているが、また寿命が来る。その時、縁が有れば、また其方の世界で会おう」。

 妻、「舌を出してあったわ」。

 私、「また会おう。お送りします」、と告げ、「龍神祝詞」、を持ってお帰り願いました

 妻、「前に(私の)に来て、うなずいてあったわ。・・・・、いつの間にか消えてしまったわ」、と言います。



 私、「地神さん、これで良しですね」。

 妻、「うなずいてあったわ」、と言います。

 私、「地神さん、このお札、この後どの様にしても宜しいですね?」。

 妻、「うなずいたわ」。

 釜が鳴り、目の前のお札などは只の紙切れになりました。(注:釜を焚くこの領域の方でも、全てがこの様になるとは限りませんので注意が要ります。初心者がこの様な事をすれば後々何かと厄介な事になります

 後はゴミで捨てるなり、気になるようでしたら近所の神社でお焚き上げして頂く様にお伝えしました。

 次はこの方の命を助けた稲荷様に対して、今回、御迷惑をかけた事のお詫びと、日頃の守護に対し、又この先の事業繁栄祈願の釜を焚きます。

 もう祓うべきもの?が無くなりましたので、稲荷様をお呼びすれば直ぐに御姿が出るのは想像できます。

 私、「○○家、○○さんの守護神の稲荷様、お姿をお見せください」。

 妻、「出とってやわ」。

 私、「あんた、悪い事をしたな・・・。ほんまに許してな。何も知らなくて・・・、只、悪気は無しにこの様な事になって・・・、なあ・・、許したってな。今から釜を焚いて、あんたのお社を綺麗にさせてもらうから、それで良いか?。あかんかったら新しいお社を置くように○○さんに言おうか?」。

 妻、「このお社で良いと言ってるわ」。

 私、「そうか、これで良いんやな。有難う。ところでな・・・、稲荷さん。○○さんの事やけど・・・、○○さんももう43歳や今年で、○○さんは貴女が守ってくれているから商売も順調に行っているのも解っている、あんたが居なかったら命が無かったのも承知している、でもな・・・、43の男がずっと一人で生きて行く訳にもいかん、嫁さんも来て、子供も生まれて、その嫁さんや子供が稲荷さんに手を合わせて代々稲荷さんを祀って行くというのが自然や。考えてみ、あんたが○○さんを好きなのを分かるけど、あんた、人間とは結婚できんのやで・・・、○○さんもこの頃、一人の生活がむなしく、すさんで来て、お酒ばかり飲んでると言われている、そやからな、あんたに頼みたい事があるんや。あんたが、稲荷さんが○○さんのお嫁さんを探して欲しい、嫁さんを連れて来て欲しい、どや、聞いてくれるか?。人間は人間としか結婚できんからな・・・・、頼むわ」、「地神さんの方からも言うてください」。

 妻、「稲荷さんの前に、女の人が出て、手をついて頭を下げてるよ・・・・。角隠しをつけてるわ・・。着物?を着てるわ・・・」、と言います。
 
 ・・・・・、少し・・・・疑う訳ではないのですが・・・・・・。

 私、「女の方、顔を上げてみ」、と言い、妻には、「人間の顔か、この女の人、稲荷さんと違うか」、と聞いてみました。

 妻、「人間の顔。稲荷さんと違うよ」、と言います。



 私、「そうか、稲荷さん、解ってくれたんか。有難う。家族が出来て、代々稲荷さんをお祀りして、この家も栄えて行くというのが理想やからな・・・・、有難う。あんたが見つけてくれるんやな」。
 
 妻、「この稲荷さん、何時でも恥ずかしそうに斜め下を向いて返事するわ」、と言います。

 私、「あんたが○○さんを好きな事は解るで・・・・、そやから○○さんの命を助けたんやからな・・・・。でも解ってくれて嬉しいわ。な・・・・、頼むで、嫁さん、見つけてあげてな」。

 妻、「下向いてしまってるわ・・・・」。

 稲荷様の気持ちも解りますが、納得してくれてやれやれです

 鳴釜の準備をします。

 今回は、命婦専女神様を御呼びしていません。

 稲荷様に対して、今回の騒動のお詫びと、日々の御守護、この先の商売繁盛を祈願しての表白、願文を読み上げます。

 「稲荷大神秘文」、「稲荷祝詞」、を上げます。

 コンロに火をつけます。

 ひたすらに、「稲荷心経」、を上げ続けます。

 湯が沸騰して来ます。

 米を入れます。

 釜は波の無い音で大きく鳴り出しました。

 「身滌大祓」、「稲荷祝詞」、を上げます。

 私、「どや?」。

 妻、「・・・・恥ずかしそうに斜め下を向いてるわ・・・」。

 私、「それだけか?」。

 妻、「それだけ」。

 やがて音が止んで行きました。

 妻、「女の人が釜の前を通ったよ」、と言います。



 私、「どんな人や?」。

 妻、「セミロング・・・、髪をおろして・・・、若い子やわ・・・・、そんなにきたない子?ではないわ」、と言います。

 私、「稲荷さん、有難う。頼むで、良い子と縁をつけてな、有難う」。

 妻、「この稲荷さん、釜が鳴り出してから、前足を忙しくずっと動かしてるわ・・・」。

 私、「前足で何をしてるって?」。

 妻、「両方の手で何かを丸めている様にも見えるけど・・・」。

 私、「稲荷さん、○○さんの会社のこの先、見せてください。あんたが見せて」、と言いました。

 妻、「稲荷さんの両手の中に、白くて丸い球があるわ。それを忙しくさわっていたんやわ」、と言います。

 私、「そうか、稲荷さん、有難う。嫁さんも見つけてくれて、仕事も守ってくれるんやな。有難う。頼むで。もう私らは帰るけど、加古川から呼んだら直ぐに出てな、頼むで」。

 妻、「恥ずかしそうにするわ、この稲荷さん」、と言います。



 これでこの祈祷の私達の仕事は終わった訳ですが、例えば、普通の稲荷様をお祀りしている所に、この様な事情が起こった場合、普通の稲荷様ならもっときつい知らせ方で祀る方に知らせて来るはずですが、この稲荷様はこの方が大好きですので、この様な程度で終わったのでしょう

 それにしても、この様な形の稲荷様との縁も有るという事です。

 尚、この方の個人情報や稲荷様との今までの始終など、相当量の場面や説明は省いています。

 又、この方からは良い知らせが届く事でしょう。

 祈祷のあくる日の朝、、

 私、「地神さん、○○さんとこ、あれで良かったか?」。

 妻、「地神さんの前に、クジャクが羽を広げているわ・・・」。



 私、「良しやろ。派手な嫁さん、来るで・・・・・・」。









 

 

 


鳴釜神事の実際と考察