稲荷神の律儀さ
 本題の内容に入る前に、一つ訂正しなければならない内容が有ります。

 それは、「ある稲荷神」、で搭載した伏見稲荷様の事で、私が間違った判断をした事です。

 畏れ多くも、地域の安泰の為に鎮座された伏見稲荷様に対し、浅い判断を下してしまった事です。

 確かにこの稲荷様を観る限り、この稲荷様の態度や振る舞いを観る限り、その様に取ってしまったのですが、この稲荷様はしっかりと私達に解明の手掛かりを教えて下さっていたのです。

 「ある稲荷神」、で搭載させて頂いた所とは、お付き合いが有りますので、後にそのお知らせの意味が解った訳です。

 恥ずかしい限りです。

 本題に入ります。

 此処に至るまでの詳しい始終は省きます。

 そして搭載させて頂く人物(御先祖様)の詳細も省きます。

 只一つ、この人物(男性)が今回の主題の伏見稲荷様を最初にお祀りされた方です。

 成功された方ですので、稲荷神との結びつきはさぞかし強いものが有ったのでしょう。

 稲荷神とて、同じものが有ったと観ます。

 人間ですから寿命が来れば死にます。

 そして代が変われば、稲荷神との付き合いも変わって来ます。

 今回、ある事をするに当たり、その是非をこの家の稲荷様に聞いてみると、

 妻、「稲荷さんが袈裟をかけて出てきてあった。五条袈裟」、と言います。

 妻、「男の人が仏壇の前に後ろ向きに出て、前に何かをしっかりと抱いて、「離さない」、と言ってる」、と言います。

 この男の方と話をしましたが、「離さない」、と言って、此方を向こうともしません。

 やっと此方を向きましたが、又直ぐに後ろ向きになってしまいます。

 妻、「指を一本ずつ無理やり離さないと取れない位の力で抱きかかえている」、と言います。



 稲荷様に時間をかけて聞いてみますと、要するに、「この家の財を築いたのはこの男の方で、この方の供養をしてから(承諾を得てから)事に当たれ」、という意味の事を言います。

 「それは私達の仕事ですか」と稲荷様に聞くと、頭を下に向けて、「来い」と言われます。

 私達が其方に行かせて頂いて、男の方の供養をし、それで男の方が納得すれば、事を進めて良いのですねと聞くと、稲荷様は下を向かれました。

 日にちを決めて、行かせて頂きました。

 当日、勿論、他の祀り事も行いましたが、始終は省きます。

 仏壇に向かい、鳴釜の神事をもって、男の方の供養(承諾を得る)をさせて頂きます。

 此方の巳神様に頼み、稲荷様のお姿を請います。

 妻、「仏壇の前、仏壇に向かってお坊さんが座っているわ」、「どっしりと、身動き一つせずに、座ってるわ」、と言います。
 
 即座に事態を把握しました。

 妻、「頭に金色の頭巾をかぶって坐ってる」、と言います。



 私、「お坊様、この度は有難う御座います。高橋克明、幸子です。何時も私達の問いかけに答えて頂きまして有難う御座います。稲荷様の指示通り、只今から〜氏の供養をさせて頂きます。稲荷様、この家は○○宗の家ですが、私のお役として「正信偈」を上げさせて頂きます。宜しいでしょうか」。

 妻、「仏壇に向かって頭を下に下げてあったよ」。

 私、「稲荷様、どうか一度此方を向いてください」。

 妻、「向いてあったわ」。

 私、「此処の稲荷さんやろ?」。




 妻、「〜さんの家の稲荷さん」。

 私、「そうやろ」。

 稲荷様は直ぐに仏壇の方を向かれて、微動だにせず、座られています。

 長い間、この領域の仕事をしていますが、この様な場面は初めてです。

 感激しました。

 自分(稲荷神)を祀ってくれた人間に対し、ここまで律儀に筋を通すのか、感動しました。

 この男性の霊に向かい、この家族が今ある事の感謝と、今回の内容の許可を嘆願しました。

 「正信偈」を上げている間も、稲荷様はずっと前を見て、どっしりと座られています。

 コンロに火をつけ、「観音経」を上げます。

 湯が沸騰してきます。

 「稲荷心経」を上げます。

 コメを入れます。

 釜は大きな強弱のウエーブで、大小の音を伴って鳴り出しました。

 谷の辺では、音は殆ど止んでいます。

 山の辺では、大きな力強い音で鳴っています。

 ほどなくウエーブが消えて、普通の音で鳴り出しました。

 大きな音です。

 妻、「稲荷さんが消えてしまったわ」、と言います。

 私、「稲荷様、これで良しと観ます。宜しいでしょうか?」。

 妻、「普通の稲荷さんのお姿で出て来てあったわ」、「稲荷社の前に居ってやわ」、と言います。

 私、「稲荷様、これで事を進めて宜しいですね?」。
 
 妻、「頭を下に向けて、うなずいてあったわ」。

 「仏説阿弥陀経」、を上げます。

 この間、此方の巳神様は、隅の方で遠慮ぎみに真っ直ぐ仏壇の方を見ておられました。

 今回の神事は、この家の稲荷様に任せた様な感じです。

 釜の音が止んで行きます。

 妻、「稲荷さんから出た?光の・・・?光線?・・・、光の塊の筋が、○○さん(この家の息子さん)の体に入って行った」、と言います。

 これは、完全に、この家の稲荷様が、この家の方、主に、息子さんを信用され、守護される証拠と観ます。

 これからは、何か有る事に、先に私に連絡されるより、先ずこの家の稲荷様にお伺いを立て、それで解らなかったら私の方に連絡をするという流れの方が良いと思います。

 筋を通す事です。

 その方が稲荷様の顔が立つというものです。

 よく稲荷は怖いと言う方が居られますが、とんでもない間違いです。

 こんな優しい、人間に取って身近な神霊は居られません。

 只、間違った事をした場合、それ相応なお知らせを頂くことも事実です。

 それは此方側(人間)の責任で、稲荷神からの理不尽なお知らせは有りません。

 有り難い御神霊様です。

 しかし、最初に稲荷神を祀った人間に対し、ここまで筋を通されるとは・・・・・・・・。

 尚、冒頭に書きました稲荷様(ある稲荷神)のお知らせ(稲荷様が黒い着物に、金色の袈裟をかけて出て来られた)の真意は、「先祖供養⇒先祖が関わっている、先祖を正せ」、」という意味だったのです。

 何年やっていても、私はまだまだヒヨコみたいなものです。

 恥ずかしいものです。














 

鳴釜神事の実際と考察