鳴釜神事の実際と考察  15

鳴釜神事の実際と考察
今回は、元々有る母方の祖母の障りの上に、この家の妹の友達の両親の障りが、この家の姉妹に入り、特に何も面識の無い姉の方に、強く作用した話です。



 この家は、相談者の姉妹、両親の四人家族です。姉妹の姉の方は結婚をし、二人の子供が有り、他所に住んでいます。妹は独身です。

 この姉妹は霊媒体質で、以前、私の所に相談に来られた事があります。

 家の中で頻繁に音が鳴り、誰も居ないのに人の気配がしたり、体を触られたりします。以前、母親が拝み屋さんに、多額の金額を払い、拝み屋さんの所でお経を上げてもらいましたが、その後、余計に霊現象が頻繁に起きる様になりました。

 最初、私の所に来られた時に、その霊現象の元は、母方の、貴方達のお祖母さんの方からの障りですので、そこを正せば大丈夫ですよ、と伝えました。

 この母方の祖母は、子供(姉妹の母)を生み、その後主人が亡くなると、子供を残して、ある妻子有る男性と未入籍のまま一生を送りました。死後、この男性の家で祀られているそうです。この祖母は、生前、稲荷様を一生懸命にお祀りしていたといいます。そして祀られている男性の家の宗旨は○○○○(新興宗教)という事です。姉妹の母親は、この歳になってこそ、母親の事が気になる様になって来たが、若い時は、幼い子供を捨てて出て行った母親の事は、憎みこそすれ、情愛の念で思った事は無かった、といいます。当然の事です。

 この姉妹の母親は、私の言った事を行い、自分の母親に対しても、今すぐには出来ないが、仕事が定年になったら、此方に引き取り、お祀りする旨を、母親に伝えました。それ以後、殆んど霊現象は無くなりました。

 

 ある日、この姉妹の妹の方が、久しぶりに連絡してきた友達の相談事に、一緒に付いて来ました。

 友達の話を聞き、私を紹介し、付いて来た訳です。

 私はその友達を一目見て、えらい人(関西では、とんでもない、程度の低い、どうしょうも救いようの無い)を連れて来たな、と思いました。

 人の顔になったり、獣の顔になったりしています。ひがみ、ねたみ、憎悪(生霊)、ありとあらゆる物が作用しています。

 田舎の風景、森、井戸、若い女、野狐、いろんなものを見せられます。

 この友達の体調は最悪です。体の各所が痛みます。精神的にも最悪です。

 この友達の事は簡単に書きます。

 この友達の両親は、20年位前までは、九州の鹿児島でガソリンスタンドを経営していましたが、経営難で周囲からお金を借りまくり、夜逃げをし、他府県の今の所に住んでいますが、当然、九州には帰れません。帰ったら大変です。今でも暴力団関係からのの問い合わせが来るといいます。両親は病身で、余り外へも出られないといいます。

 この友達には、両親が鹿児島で作った罪、人の恨み等が、作用しています。

 問題は、この友達に付いて来た、今回の姉妹の妹の事です。

 友達の相談の途中から、姉妹の妹の方が、体が苦しい、重い、手が痺れる、と言い出しました。

 この様な事は偶に有る事ですが、この友達と別れると直ぐに無くなるものです。私は、相談事が済むと、直ぐに駅で別れるのかと思っていましたが、何を思ったのか姉妹の母親が、友達を連れて来る様に言い、一晩家に泊めたそうです。

 姉妹の妹の方は、体調が悪くなる一方です。妹はその事を、近所に住む姉に電話をかけて話しました。

 姉の方は、その電話の後直ぐに気分が悪くなり、その後体調が優れません。体が重く、特に顔が引きつります。口が上に引きつっています。

 姉妹は直ぐに私の来られました。

 巳神に、この霊障の元を出してもらいました。

 黒い狐が出てきます。首に赤いネッカチーフの様な物を巻いています。若い女性の顔が一瞬出ます。
 
 急に姉妹の姉の方に、この黒狐が入りました。

 急に泣き出します。

 この様な経験をされた人なら分かると思いますが、自分が何故泣いているのか分からないが、泣かされている状態です。

 「出て行ったれ」

 「居り安いから、出て行かん」、この繰り返しです。

 この黒狐には何を言っても聞き入れません。何時間も、時には、何日も説得すれば、軟化して来るのでしょうが、そうも行きませんので、強制的に祓う事にしました。


 この姉妹の妹が連れて来た人は、この姉妹の家に泊まった後、体の痛みも無く、気分も優れ、別人の様になっているといいます。

 この人の中に入っていたものは、全てこの姉妹の方に入ってしまっています。

 しかし、私の中には、少し中途半端なものが有りました。それは、この黒狐(生霊の塊)を、元の人には何も言わず消してしまった方が良いのか、それとも、元の方に返した方が良いのか、その方がその人にとって良いのか、と迷ったまま祈祷に入ってしまいました。その迷いが祈祷に出てしまいました。


 
 祈祷の当日、姉妹の家に着きますと、姉妹の調子が良さそうです。二日程前に、姉妹の母親が愛知県へ旅行に行き、豊川稲荷様にお参りし、姉妹の事を頼んで帰ると、姉妹の調子が良くなったと言います。有り難い事です。


 先ず、この家の仏壇(父方)にお参りしましたが、全く何も感じません。先祖祀りは良くされている、という事です。

 この姉妹の、霊的に不安定な元は、母方の祖母から来る不安定さです。

 先ず、此方の巳神を出し、伏見稲荷白狐様をお呼びします。そして今回は、伏見稲荷様を通して、豊川稲荷様もお呼びしました。

 上段、向かって左に巳神、中央に豊川稲荷様、左に伏見稲荷白狐様が陣取ります。

 「黒い狐、この姉妹に憑いてる狐、出て来い」と言うと、黒い狐が出て来ました。

「お前、ちょっとそこに居れ」と言い、元々この姉妹の不安定な所に住み着いているものに、「出て来い、姿を見せ」と言うと、姉の方には、少し茶色がかった狐が姿を見せました。そんなに悪い様には思えませんが、祓う対象です。

 「妹に憑いてるもの、出て来い」、と言うと、白みがかった狐が出て来ました。この狐もそう悪いものではありませんが、やはり居ない方が良いものです。

 中段、向かって左に、姉に影響を与えている狐、中央に黒い狐、右に、妹に影響を与えている狐がいます。


 前後しますが、その前にこの姉妹の母方の祖母を何度も呼んでみましたが、姿を見せません。そこで、生前この祖母がお祀りしていた稲荷様を呼んで見た所、黒っぽい色をした、強そうな狐が出て来ました。

 「貴方は、○○さんが生前祀っていた稲荷か」と聞くと、「そうだ」と、強そうに答えます。

 よく見ると、その黒っぽい狐の口に、何かをくわえています。

 私はその狐に、「ちょっと、待っとりよ」と言いました。

 下段に、母方の祖母がお祀りしていた狐がいます。

 
 先ず、友達の両親が作り、それがその娘に入り、それがこの姉妹に入ってしまった怨念の塊としての黒狐の祓いにかかりました。

 上記にこの黒い狐の事を記していますが、この狐が最初どんな形をとって出て来たかと言いますと、先ずとぐろを巻いた蛇の形を取り、頭は蛇の様な、狐の様な形を取って出て来ました。その横顔が女性のようになり、人間の女性の胸が出て来たり、脅しをかけると、ぼろぼろの姿に変わったり、普通の若い女性が、何かの首を持ち、得意そうにしている姿を取ったりしました。

 姉妹の友達の両親が作ったものに、多分に、この妹の友達の考えや程度の悪さが作用し、この様な形を取ったと思われます。

 先ずこの黒狐に脅しをかけ続けます。

 「出て行かんかい」「お前なら分かるやろ、この釜が鳴ったら、お前はどんな世界に行くのか、よく分かるやろ」。

 「地神様、この狐を巻いてください」

 此方の巳神は、私の言う事は良く聞いてくれます。巳神がこの黒狐を巻きます。

 伏見稲荷白狐様、この黒い狐を踏んでください。

 そう言うと、黒い狐は黒い菱形の形になりました。

 「地神様、この中に入って、このものの正体を出してください」、と頼むと、此方の巳神は、菱形の中に入って行きます。

 しばらくすると、ぼろぼろの布切れをくわえて出て来ました。

 私はそのぼろ布に、「この着物を着ていたもの、出ておいで」、「見たいから、出ておいで」、と言うと、そのぼろ布が、綺麗な着物になり、そのものを着た顔が出て来ました。目、鼻、口、全て黒く、顔の細部は分かりません。直ぐに沢山の顔が出て来ました。

 「あんた達は、何処の者や?、何で、こうなったんや?、言うてみ」、と聞きましたが、何の反応も有りません。いくら言っても反応が有りません。本来、このものだけの祈祷の場合は、時間をかけて説得すれば、何とかなるものですが、今回の祈祷は、この段階までに相当の時間を費やしていたのと、このものに対して、此処で消してしまう方が良いのか、又は、このものの元の所に返した方が、姉妹の友達、その両親にとって良いのか、迷っていました。

 「こら、いいかげんにせんと、釜を焚くぞ」と言うと、その途端、黒い小さな穴が現れ、沢山の顔が、その中へ、お〜と声を上げ、入って消えて行きました。

 「しまった」、と思いました。私の油断です。もうこの家には来ませんが、完全に元の形のまま、本来の所に帰って行きました。

 元からこの姉妹に憑いていた狐達は、此方が強く出れば、下を向いてしまう程ですので、何ら支障なく、二匹共伏見稲荷様に、伏見に連れて帰っていただきました。

 
 次は、母方の祖母がお祀りしていた黒っぽい狐に向かい、「あんたがくわえている物を見せてみ」、「私の前に持って来てみ」、と言いました。

 祖母がお祀りしていた狐は少し前に出て、口にくわえていた楕円形の物を下に落としました。

 私は巳神に、その物をもう少し大きく見せてください、と言いました。

 楕円形の物の中には、細い針金の様な物が7〜8匹動いています。

 私は巳神に、その楕円形の中に入って、その物を出して来てください、と言いました。

 巳神はその物の中に入り、針金の様な物を口にくわえて出て来ました。

 その途端に針金の様な物は鉤形になりました。

 霊魂(魂、仏様)と観ます。


 しかしこの鉤形(魂)の物は、楕円形の中に入りたいのか、引き寄せられるのか、楕円形の方に行こうとします。

 薄らと、女の人が見えてきます。胸の前で手を合わせています。

 「○○さんか」と聞くと、頭を下にお辞儀をします。

 楕円形の物が、人の目の形に変わりました。

 私は伏見様に、「この物をかんでください」、「かんで、この物の正体を出してください」、と言いました。

 伏見様は、この左目(霊視している妻が、左目だと言います)の目尻をかみました。

 目の中央(瞳)から、赤い血が流れ出てきます。

 私は巳神に、「この目の中に入って、この物の正体を出してください」、と頼みました。

 巳神は、血の流れる目の真ん中に入って行きます。

 何時もなら、直ぐに出てくる巳神が、今回は出て来ません。

 気になりますので、私は巳神に、「もう出て来てください」、と頼みました。

 それと同時に目の前に、青い葉をつけた木の枝が出て来ました。


 これで全て分かりました。

 青い葉っぱをつけた木の枝は、宗旨関係と観ます。

 此方から、いくら祖母の○○さんを呼んでも、反応が無かった訳が分かりました。

 この祖母は亡くなった後、籍も入っていない他人の仏壇で祀られ(普通なら、非常に有り難い話なのですが)、生前、祖母が嫌っていた新興宗教で祀られた事の不安定さを、霊的に敏感な孫を通して知らせて来ていた訳ですが、普通の人には分かるはずが有りません。

 そして、この祖母が生前お祀りしていた稲荷が、この事を知らせてくれた、という事に、大変感慨深いものが有ります。

 私も長い期間、この領域に身を置いていますが、余り例の無い事です。

 楕円形というのは、この新興宗教の呪縛と観ます。

 仏様はこの呪縛から出られなかった、と観ます。

 私は姉妹の母親に、一日でも早く、お母さんの御霊を、本来の宗旨でお祀りする様に言いました。

 余談ですが、この家の姉妹は、長年に渡り、祖母の霊的な影響も有りますが、巷で霊能者として看板を掲げている方々よりも真理が分かり、今の所、何も雑多な物が入っていませんので、今回の祈祷の途中でも、私の妻が霊視しているものと同じ物が見えたり、私が姉妹に入れたものが見えたりしています。

 余談ついでに、この家の土地には地神(巳神)がいます。力はまだそんなに強くはありませんが、その旨を家の人に伝えました。出来たら、月に一回でも良いので、お酒を置いて、手を合わせてください、という事を伝えました。

 今回の祈祷で、この領域に理解の無かった父親が、神仏に手を合わせる様になったのと、姉妹の体調がすこぶる良い状態で、特に姉の方は、ひどいアレルギー症状が全快したそうです。

 この祈祷以後、妹の方は、今までなら際限なく、霊的な物が体に作用し、それが体に残っていたが、今は、電車、人込み、友達の家に行っても、霊的な物はある時間作用するが、後は全て抜けてしまい、体に残らなくなったと言います。

 これは、この家の巳神が、妹の体(まだ、目には入っていません)に作用し、守っていると観ます。