今回は、埋立地に出現した龍神を、その家の地神様として、鳴釜の神事をもって御迎えした事と、私の判断の甘さで、呪詛返しの様な事をしてしまった祈祷の事です。
中年の御夫婦が、今まで順調に展開していた事業が、最近、取引先、従業員との間がぎくしゃくとし、自分の思っている方向とは反対の方へ展開していく事が多々有り、同業者も私を落とし入れようとしている情報もつかんでいるので、何か、この領域のものが災いしているのであれば、教えて欲しい、との事で来店されました。
此方の神様にその旨を聞いて見ましたが、特別この領域のものが災いしている事は無い、と言います。このままで行け、と言います。
この御夫婦と話をしていると、途中から私の胸を叩くものが有ります。この主人の御先祖です。その旨を告げると、御主人の実家は、両親も無くなり、その後兄さんが亡くなると、兄嫁は男の人が出来てしまい、家を出て行った、と言います。兄さんには、子供はいません。仏壇が有りますが、空家になっていますので、近くに住んでいる母親の妹が、仏壇の世話をしている、と言います。
この家の御先祖様に、今の状態を聞いてみましたが、何も言いません。母親の妹さんが良くお祀りをしているのでしょう。しかし、誰も居ない家に、仏壇を置いておくのは良くないので、次男にあたる依頼者が祀るように進言しましたが、この夫婦も子供が有りません。このままでは、先祖代々続いたこの依頼者の姓は、此処で無くなってしまいます。母親の妹さんも独身ですので、叔母さんの仕事(仏壇祀り)を取り上げてしまうのは、抵抗が有ると言いますが、仏壇の面倒をみる事が嫌なのでしょう。しかし、御先祖も、私の胸を叩くくらいですので、本当はこの夫婦に祀ってほしいはずです。
この御夫婦は、仏壇祀りも気になるのでしょうが、自分達に子供がいませんので、やはり将来の事を考えると、事業を安定させ、経済面の安定の方が気になる事です。
上記の相談の為に来店されたのですが、私は少し気になる事が有りましたので、この依頼者の空家の土地の事を、此方の巳神に聞いてみました。
この家が有る一帯は、以前は海でしたが、埋め立てて、家が建っています。依頼者の実家の海側には、御社が有り、何らかの神様がお祀りしてあるとも、言います。
私は巳神に、この土地に関するものを見せてくれる様に頼みました。そうすると、私の妻が、龍が出て来た、と言います。これまでの経験から、龍、そのものの姿を見る事は余りありません。私は妻に、その龍の細部について聞きました。顔の表情、勢い、色、動き方等、いろいろ聞きました。私はまだ納得が行きませんので、此方の巳神に出てもらい、その龍の横に近づくように頼みました。今までの経験から、巳神の動き、立ち位置、表情から、そのものの正体が分かります。今回、此方の巳神は龍の斜め後ろに位置し、龍の前には回って来ない、と妻が言います。何度も近づいてくれる様に頼みましたが、後ろにいます。私は疑り深い方ですので、その龍に対し、稲荷祝詞を上げてみました。しかし、全く変化無く、堂々としている、と霊視を続けている妻が言います。
(龍の体は、もう少し白い色で、バックは海です。私の妻が実際に霊視して書きますので、一般に書かれている龍とは、違うかも知れません)
この地域の水神と思われます。相当な力が有る神様と観ます。味方に付くと相当な力を得る事になりますが、一個人がお祀りするには相当な覚悟が要ります。
私は上記の事をこの夫婦に告げました。
そして私はこの龍神にも、この夫婦がお祀りする事になれば、この夫婦の会社の事業発展の力になってくれるのか、という旨を聞きました。龍神は堂々としています。私は此方の巳神にこの旨を聞いてくれる様に頼みました。そうすると、此方の巳神は、この龍神が力になると言っている、と言います。
この夫婦は、実家の土地に、この龍神をお祀りしたい、と言います。私は、この事の利点と危険さも話しました。しかし、この夫婦は、一生懸命にお祀りするので、実家の地に御迎えしたいと言います。
私は、この龍神に、この夫婦が御迎えしたい旨と、鳴釜の神事をもって御迎えしたいが、不足はないのか、という旨を伝えました。龍神は堂々としています。不足は無い、と取ります。
祈祷の当日、現地に着くと、龍神が姿を現し、私達を向かえてくれます。やはり、堂々としています。
私は何時も、先ずその家の御先祖様にご挨拶をし、、祈祷の趣旨を話し、許しを得ます。そして、御先祖様には、線香での護摩をもって、此方の誠意を示し、成仏を祈念します。この家の御先祖様は、叔母さんにあたる方が良くお祀りをされていますので、何も無いとは言われませんが、まあまあ、安定した状態にあります。これという、訴えは有りません。
そして、この祈祷の本題ですが、線香での護摩を終了し、意識をこの事に向けると、直ぐに龍神は姿を見せます。鳴釜の神事の用意をしている間も、姿を見せます。嬉しいのでしょう。
神事の表白、願文を述べます。今日は、
私の方の巳神は、龍神の前に出ています。何時もと同じ動きに近いですが、やはり少しぎこちない動きです。神の位の関係なのでしょう。
コンロに火をつけます。そして湯が沸騰して来ます。大概、この種の(神様を御迎えする)祈祷のこの段階では、神様の喜びの波動の様なものが入って来ますが、龍神は堂々としています。首、胴体を微かに動かすだけです。
湯が沸騰し、洗い米を入れます。釜は大きな音で鳴りだしました。相当な音量です。やはり、龍神は少し体をくねらすだけで、堂々としています。
龍神様を御迎えする事と他に、この家の二階のある場所が気になりましたので、鳴っている釜を持って、二階に上がりましたが、その場所でも釜は鳴り続けましたので、下で行った段階で、祓いは済んでいたのでしょう。
これで龍神は、この家の守り神です。しかし、相当な勢いの有る神様ですので、重々丁重にお祀りするように、進言しました。
この後で依頼者の方が、
同業者の中で、この方の会社や、社長である依頼者に対し、嫌がらせや、陥れる者がいて、困っている旨を話され、真面目に生活をしている者にとって、腹が立ってしかたがない。何か、少しで良いので懲らしめる事は出来ないものか、という頼みをされました。何時もの私なら、その様な事は引き受けませんが、今回の龍神様の件が終わって、少し気が緩んでいたのでしょう。そんなに腹が立つのなら、少しだけその方を懲らしめましょう、と言ってしまいました。そうすると、その方は、十数人の名前を紙に書き、その一人一人の行いを話し始めました。話を聞いてみると無理も無いことですが、私も、少し気が緩んでいた事は確かです。
線香での護摩がそのままの形で残っていましたので、その塩の上で、ある言葉を言い、緩く、反省を促す旨を言い、十数人の名前を読み上げ、紙に火をつけました。紙が燃えます。そうすると、横で見ていた私の妻が、歪んだ人の顔が次々に現れ、消えて行った、と言います。
私は内心、とんでもない事をしてしまったと思いました。人の為になればと思い、日々頑張って来たものを、この行為一つで、自分自身を裏切った事にもなります。この十数人の方も、それぞれ家庭が有り、子供が有るはずです。
私は直ぐ、巳神に侘びを入れ、この人達を守ってやってくれる様に頼みました。
私の一時の気の緩みを反省しています。