ローパスフィルター除去の改造をしたEOSX3 (コマコレクターとUHCフィルターをとりつけたの写真) 2011.4.9 |
IRカットフィルター除去の改造EOSX3 |
昨今のデジタルカメラの進歩は素晴らしいものであり、天体撮影でもその威力を存分に発揮している。しかし、一般のデジタルカメラのほとんど全てが、カメラ内部にIR(赤外線)をカットしてしまう構造のため、ガス星雲の赤い光(Hα 他)の写りが非常に悪い。そのため、ISO感度がいくら高くともほとんど赤い散光星雲は写らない問題がある。その問題を解決するため、カメラ内部にあるIRカットフィルター(ローパスフィルター)を除去することで、光をセンサーまで届ける改造がお勧めだ。 |
最初に紹介する写真は銀河の写真である。撮影した銀河は、しし座にあるM65 M66 NGC3628である。それぞれ特徴のある3つの銀河が並んだ姿が人気である。 |
写真の背景以外は写り方に特に違いが無いようにみえる。一般的に銀河の撮影ではIR除去による違いがないといわれている所以だろう。 ところが、ノーマル写真は、30分露光しているのに対し、IRカット除去改造したカメラの写真は15分露光なのだ。これ以上の露光はココでは難しい。つまりは、IRカット除去改造したカメラのほうが少ない露光時間で撮影可能なのだ。 |
こと座の環状星雲で有名なM57である。左側がノーマルで、右側が改造カメラで撮影した中心部をトリミングした写真である。その違いはあらためて説明するまでもなく、お分かりいただける。 |
ノーマル EOSX2 |
改造 EOSX3 |
ノーマル EOSX2 |
改造 EOSX3 |
ISO3200までEOSX3は感度を上げることができる。右の写真はISO3200で15秒露光したものだ。 また、ノイズが目立たないのは関心する。
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40年前だったら、この写真は大きな天文台でしか撮影できなかった代物である。もちろん天文雑誌に投稿すれば特選間違いなしと言えただろう。ただしかし、その時代に、15秒露光で撮影したと言って誰が信じてくれただろう。今の時代にたとえばて言えば、カメラを手持ちでM57の撮影ができるというくらいにインパクトがある話だ。以前からみて想像できなかった性能が現実になった。 もしかすると、近い未来には、コンポジット処理で繊細な写真を生みだすことが可能になるかもしれない。これは、惑星写真で当たり前に使われている技術で、露光時間が短い程、解像度高い写真となる。(現在の星夜写真で行われているコンポジット撮影は、ノイズを減らす効果に留まっていて、まだ画像そのもの解像度を引き出す様な結果には到達していない。) このM57惑星状星雲も、1/8秒露光くらいのショットが可能ならそれを1000枚積算すればもっと鮮明な構造が見えるのかもしれない。 EOSX3は既に、型遅れのデジカメになっているが、まだまだ天体写真には、十分使えると実感した。今回はIRカットフィルターを外したことによるメリットだけで、写真比較をおこなったが、今後、いろいろなフィルターを使って様々な対象の撮影をしてみたい。 |