単元の構成2

5年生 「割合」の学習
割合の学習は、小学校の算数学習で最もつまずきの多い単元です。
ちょっとしたアイデアで作った、割合をわかりやすくする単元です。
割合で、子どもたちがわかりにくいのは、どっちが「くらべる量」で、どっちが「もとにする量」かということです。
そして、わり算をしたのに、答えが大きくなったり、かけ算をしたのに答えが小さくなったりすることです。
単元構成のポイント
1 もとにする量とくらべる量がいつでもはっきりわかる。
2 線分図が書きやすい。
3 「割合」「もとにする量」「くらべる量」の関係が図示できるため、関係をつかみやすい。
4 挑戦しながら問題をとくので、興味が持続し、意欲的に児童が取り組む。


どうぞこの単元構成を使って授業に取り組んでみてください。

授業では、アイテムを準備したり、小道具を用意したりして、楽しく取り組ませることが大切です。
この授業をティームティーチングで取り組むと、評価テスト平均点90点以上という夢のような成果が表れます。

  


「割合の世界」ゲーム


ゲームのプロローグ(「割合の世界」1)

むかしむかし、ある南の島に「割合(わりあい)国」という王様の治める国がありました。たくさんの農産物や海産物のとれる豊かな国でした。
 この国には、たくさんの人々が楽しく幸せにくらしていました。しかし、王様が変わり、毎月王様にみつぎものをささげるようになってから、人々のくらしはめちゃくちゃになってしまい、みんな苦しんでいました。
 この「割合国」の王様は、ずいぶんわがままな王様で、人々にこんな「命令」を出したのです。

  わが「割合国」では、王様がこの金の器に入れた量を「1」とする。
金の器に入っている量を「もとにする量」として、みつぎものがいくらおさめられたかは、その「何倍か」でくらべることにする。
なお、金の器に入れる量は、王様がその時勝手に決めるものとする。


 なんとかってな王様でしょう。王様が、金の器に「みかん3個」をのせて、「この2倍のみかんをおさめなさい。」といったら、みかんを6個おさめればいいのです。しかし、王様が金の器に「みかん100個」をのせて、同じように「この2倍のみかんをおさめなさい。」といったら、なんと200個のみかんをおさめなくてはならないのです。
 いくら、よくばりな王様だとしてもあんまりです。それに王様がかってに単位を決めてしまうのですから、人々は計算もできずにこまってしまいました。

 みなさんは、ひそかにこの「割合国」にのりこみ、この王様のわがままなむずかしい問題を「割合国」の人々にかわって解決し、国民のためにもとの豊かな「割合国」をとりもどしてもらいたいのです。

「割合の世界」2

割合国で、王様の出す無理難題を解いていくためには、
割合国のことをよく知っておかねばならない。
戦いに勝つには、まず相手をよく知ることである。

<割合国の言葉を知れ!> 

金の器に入っている量= (これがいつでも1)もとにする量

        ↓   (何倍になるか)割合

 みつぎものの量=くらべる量


<王様のくちぐせ>

 割合を求めるとき
          「何倍になるでしょう。」
          「何倍にあたるでしょう。」
          「割合はいくらでしょう。」
  これは全部同じことをたずねている。だまされるな。
 これが、今君たちが持っているアイテム(道具)である。
しかし、これから問題を解いていく中で、
さらにたくさんのアイテムを君たちは手に入れるであろう。
練習問題をする
数は整数で,できるだけ簡単に求められる問題にする。
図にあてはめて考える習慣をつける。

「割合の世界」3

さあ、いよいよ「割合の世界」へタイムトリップした。君たちのかつやくに期待する。
ある農家のおじさんは、たくさんのみかんがとれたので、王様のみつぎものとして36このみかんを持って、宮殿へやってきました。王様は、金の器にみかんを20このせて、
「君は、このみかんの何倍のみかんを持ってきたのかね。」 とたずねました。
 さあ、おじさんがこまっています。みなさん助けてあげてください。

 1 アイテムにあてはめろ
 2 予想はできるか
 3 前の単元で使った方法を使え(線分図に書きます)
 4 式を立てて、解いてみよう

「割合の世界」4

ある農家のおばさんは、あまりみかんはとれなかったのですが、みつぎものとして14このみかんを持って、宮殿へやってきました。
王様は、金の器にみかんをやは り20このせて、
「君は、このみかんの何倍のみかんを持ってきたのかね。」 とたずねました。
さあ、おばさんがこまっています。みなさん助けてあげてください。

 
 1 アイテムにあてはめて、線分図にかくのだ
 2 予想はできるか
 3 式をたてて、解いてみよう
線分図や予想ができるポイントは,くらべる量が1より大きいか小さいかをしっかりつかむことです。正しい線分図を書くためには,どうしても必要です。
ですから,ここでは線分図の書き方をしっかり指導します。

線分図をかくときのやくそく 
 ・ 「1」と割合は線の上に書く
 ・ 「もとにする量」と「くらべる量」は線の下に書く

 「割合」を求める式を、言葉の式にまとめると、

 割合                  
「もとにする量」と「くらべる量」,「割合」の見分け方
「もとにする量」
○ 金の器に入っている量
○ 線分図では,いつでも「1」になる量
○ 割合を考えるとき,もとになる量
○ 線分図では下に書く。

「くらべる量」

○ みつぎものや,金の器に入っているものとくらべる量
○ 線分図では,割合と対になっている量
○ もとにする量より大きくなったり,小さくなったりする。
○ 線分図では下に書く。

「割合」
○ もとにする量を「1」としたとき,くらべる量がその何倍かをあらわしたもの
○ 線分図では必ずくらべる量と対になる
○ 線分図では上に書く。


「割合の世界」5

 ある若者と娘が、どれくらいみつぎものを持っていけばよいか、王様にたずねようと宮殿へやってきました。
王様は、金の器にみかんを15このせて、
「若者よ、君は、この1.6倍のみかんを持ってきなさい。」
「娘よ、あなたは、この0.6倍のみかんでいいですよ。」 といいました。
 若者が、おこってみなさんの所にやってきました。
 若者は王様にいくらみかんを 持っていけばよいでしょう。
 また、娘はいくらみかんを持っていけばよいのでしょ う。
まず若者の持っていくみかんの量を求めよう。

 1 アイテムは?
 2 予想は?
 3 自分の方法で解いてみよう
 4 娘の持っていく量を求めよう


「くらべる量」を求める式を、言葉の式にまとめると、

くらべる量                  

「割合の世界」6

君たちは、王様のけらいに見つかり、スパイとしてたいほされてしまいました。
王様は死刑だと言っていますが、君たちに最後のチャンスがおとずれました。
王様から、君たちへの最後のちょうせんだ。
「ここに君たちの人数と同じ38まいの金貨がある。この金貨の数は、私の金の器の中にある金貨のわずか0.4倍である。
金の器の中の金貨の数をあててみなさい。
 もし、あてることができれば、、君たちの罪は許し、君たちの望みは何でも聞いてやろう。
もちろん、この金貨も君たちのものだ。」
 割合国の人を救えるか、君たちの命がなくなるか、最後のけっせんだ。
 @ アイテムは?
 A 予想は?
 B 自分の方法で解いてみよう


「もとにする量」を求める式を、言葉の式にまとめると、

もとにする量                    

「割合の世界」7

君たちのおかげで、「割合国」の王様はすっかりすばらしい王様になりました。
そして、豊かな農産物をとなりの「百分率国」に売ることになったのです。
しかし、「百分率国」の王様は銀の器を持っていて、この銀の器にいれた量を、100パーセントと決めているのだそうです。
割合を百分率になおすよい方法はないでしょうか。
 王様を助けてあげてください。

割合国  百分率国
  1  =
0.1 =
     = 1%
 割合国の0.3は百分率国ではいくらでしょう。
 百分率国の45%は、割合国ではいくらでしょう。

 「『百分率国』の王様は、銀の器に160sの牛肉をいれ、これの80%を『割合国』から買いなさい。」といいました。
 さて、いくら買えばよいのでしょう。
器が2こでは、どうも都合が悪いこともあるので、2つの国は話し合って、もとにする量の器は、金の器1こにすることにしました。
しかし、二つの量をくらべるのには、どちらの国の表し方が使いやすいと思いましたか。

「割合の世界」8

となりの国との交流もずいぶん盛んになってきました。
王様もずいぶんやさしくなったようです。

王様は,金の器に定価が2000円の人形をおいて,「これはとなりの国には1600円で売ってあげなさい。」といいました。
金の器に入っている人形は,定価の何パーセントでとなりの国に売られることになりますか。
 アイテム
 線分図
 式

「割合の世界」9

割合国では,最近インフルエンザがはやっているそうです。
割合国の小学校5年生には,インフルエンザにかかって学校を休んでいる児童が21人いるそうです。
これは5年生全体の60%にあたります。
5年生全体の人数は何人でしょう。
 アイテム
 線分図
 式
「く」=くらべる量
「も」=もとにする量
「わ」=割 合

くらべる量が分からないときは,「く」をかくします。
すると,
もとにする量×割合
で答えが出ることが分かります。
他が分からないときにも,同じようにこのアイテムを使います。

「割合の世界」10

 国民のことを考えるようになった王様は、ある日、金の器にお城の庭600平方メートルの地図をのせて言いました。
「この庭と、さらにこの1.4倍の土地を合わせた土地を、子供達の遊園地としてつくりなおす。」
さあ、遊園地の広さはどれくらいになるのでしょう。

「割合の世界」11

二つの量をくらべるのに、これはよい方法だということが、王様にはよく分かったので、
王様は、2つの量をくらべるとき、金の器はだれが使ってもよいことにしました。
王様の優しさに感謝した人々は、、これからは金の器に入れたみかんの量よりも20%よけいにみかんをおさめることにしました。
 割合国の農家の人々は、王様に 600このみかんをおさめたということです。
 その時、金の器には何このみかんが入れてあったのでしょう。
みなさんのおかげで,割合国は豊かな楽しい国になりました。
王様の心も変わったようですね。
みなさんも,割合の学習が楽しくできましたか。