さんすうマンの単元構成1
1時間だけの問題解決では関心は持続しない |
児童の関心を持続するためには、1時間だけの問題解決的な学習では不十分である。そのときだけの関心では、児童の意欲は持続しない。ましてや導入だけ興味を引くようなことをしても、肝心の展開の部分まで持続できないで、最初だけ元気で後は尻すぼみという授業になってしまうのはよくあることである。 単元全体を通して児童の関心を持続させるためには、単元全体が一つの問題解決的な要素を持つことが大切である。そうすることによって、問題を一つ解決しても児童には次の課題があり次への関心や意欲は持続するのである。 |
ゲームの要素を取り入れよう |
探検、冒険、正義の味方、アイテムを手に入れ魔王を倒す、知的探検などのゲームが、児童は大好きである。単元全体の問題解決がゲーム的要素を持っていると児童の関心は一挙に高まる。またその持続も可能である。 これまで取り組んできた学習でも、児童は楽しんで問題解決し、次の課題をねだるほどであった。「さんすうマン」「シャドーマン」「魔人ターニイーシ」「割合国の王様」などこれまで児童が親しんできたキャラクターも多い。 |
児童の知的好奇心を高める構成 |
単元はただ構成すればいいというものではない。学習内容の系統性を考え、段階的に学習内容が理解できるようにしてやることが大事である。「次はちょっと難しくなっているぞ。できるかな。」と、児童の関心をうまく高めながら単元を構成し、知らず知らずのうちに学習内容を理解させるように工夫したいものである。 |
単元構成の例 |
4年「べつべつに、いっしょに」(1学期の単元) |
児童は、これまでの学習を「さんすうマン」(T1)といっしょに(わからないときは「さんすうマン」からパワーをもらいながら)学習してきた。しかし、そこに「シャドーマン」(T2)が登場してきたという設定である。これまで楽しく「さんすうマン」と学習してきたという学習経験を背景にして、この単元は構成したのである。 |
シャドーマンのちょう戦 きみたちがもらうはずだった「さんすうマンパワー」は私がいただいた。今、さんすうマンのパワーは、ほとんど残っていない。さんすうマンの命もあとわずかだろう。 |
問題1 シャドーマンは、お楽しみ会をするので、 1本110円のジュースを6本 1こ90円のプリンを6こ 買いました。 お金はいくらはらえばよいでしょう。 問題2 シャドーマンは、毎日牛乳を300ミリリットル飲んでいる。どうだ、よい子だ ろう。 さんすうマンは、毎日200ミリリットル飲むそうだ。 2人合わせて、1週間に何ミリリットル飲むだろう。 君たちのおかげで、かなり、パワーがかいふくしてきた。しかし、まだシャドーマンと戦うだけのパワーはない。 君たちの力で、次の問題も解決してくれ。 問題3 シャドーマンのサッカーチームでは、 1組5500円のユニホームを11組 1組3500円のシューズを 11足 買うことにした。 代金は、全部でいくらになるだろう。できるかな。 問題4 トラックで、南小学校に 重さが37キログラムのつくえを 7こ 重さが13キログラムのいすを 7こ はこびます。 全部で何キログラム運ぶことになるでしょう。 どうだ、できるかな。 みんなよくがんばっているな。すごい。さすがだ。 この調子なら、君たちだけで、シャドーマンをたおすことができるかもしれないぞ。 問題5 今日はむずかしいぞ。できるかな。 シャドーマンは、ともだちと4人で電車にのって宮崎に行き、それからバスに乗 ってシーガイアに行きました。 電車代は4人で 720円 バス代は4人で 480円 でした。 シーガイアまでの1人ぶんの交通費はいくらでしょう。 問題6 シャドーマンは、 5こで、 650円のマスクと 5まいで、1350円のマントを買いました。 マスク1ことマント1まいを合わせたねだんはいくらでしょう。 ああ、私のパワーがどんどんうばわれていく。南小学校の子どもたちがここまでやるとは思わなかった。 このままでは私の命があぶない。最後のむずかしい問題で勝負だ。 問題7 シャドーマンとさんすうマンはパワーをつけるために、毎日走る練習をしている。 シャドーマンは、1日 800mずつ、 さんすうマンは、1日1200mずつ 走っている。 1週間では、さんすうマンは、シャドーマンよりどれだけ多く走ることになるだ ろう。 問題8 これができれば、さんすうマンのパワーは完全にかいふくしてしまう。しかし、この問題は、できないだろう。 シャドーマンの最後のちょう戦だ。 今、 さんすうマンのパワーは、7ポイントのパワーパック6こ分だ。 シャドーマンのパワーは、4ポイントのパワーパック6こ分だ。 どちらが、何ポイント多いだろう。 みんな、よくがんばった。みんなのおかげでさんすうマンはよみがえった。ありがとう。 もうさんすうマンのおうえんがなくても、君たちは、りっぱに4年生の算数の勉強ができる。 さんすうマンは、これから3年生の勉強に行かなければならない。 しかし、君たちの勉強の様子をいつもみまもっている。 では、さようなら。シュワッチ。 |