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4・5・6年 学級活動指導案
指導者 T1 松井 直( 6 年担任)
T2 菊地 千賀(4・5年担任) T3 黒木 由美( 養護教諭 ) |
3人のTTによる授業です。 授業はとても好評でした。 |
1 題材名 |
性の情報(エイズについて知ろう) |
2 題材設定の理由
○ 我が国では,1997年までのエイズの累積感染者・患者数が5000人を越えており,患者・感染者数は年々増加している。
エイズは,病原ウイルスは確定されているものの,発病予防や治療の方法はいまだ確立されていない。しかし,現在では性行為による感染がほとんどであり,正しい知識を持ち,適切な注意を払って行動すれば感染を回避できる病気である。そこでエイズに関する指導を充実させ,若い世代に対しエイズの疾病概念や感染経路,その予防法を十分習得させることが,エイズ予防には最も効果的であり重要なことである。 また,一方でエイズに対する無知や誤解は様々な偏見や差別を生み出している。こうした偏見や差別を払拭していくことは人権教育の視点から重要であるばかりでなく,エイズのまん延を防ぐ上でも必要であるといえる。
こうしたことから,エイズ予防は「教育こそ最高のワクチンである」といわれるように,エイズに関する指導は,人間尊重,男女平等の精神に基づく性教育の一環として推進する必要がある。 本校ではこうした視点に立ち,下記表のようにエイズ教育の系統表をつくり,学校全体で系統的にエイズ教育を進めてきた。低学年から生命尊重,人権尊重の立場から性教育(エイズ教育)をすすめ,家庭・地域の理解を得ながら,それぞれの学年で段階的にエイズ教育に関連する指導を続けてきた。また,人権教育の視点に立ち,エイズに苦しみながら精一杯生きようとする人々の姿の学習もすすめてきた。 本時では,エイズの予防という視点から「感染する病気の一つ」としてエイズを取り上げ,断片的な知識で誤った概念や知識を持たないようエイズを正しく理解させ,エイズに適切に対処できるための基礎的な認識を育てることをねらいとし,イラストにしたりわかりやすい解説を加えたりした資料を準備し,異学年間の交流を図りながら複数の教師で協力して指導する。
また,この学習を受けて,人権教育の視点から,エイズにかかっている人との共生について道徳での指導を進めると共に,学級活動でも,偏見や差別をなくし,共に生きようとする学習を深めていきたい。
また,エイズの感染経路を学習する上では,「性交」に関する問題があり指導が難しいが,次のような考え方を基本にして本校では指導していきたい。
(1) 「性交」の指導をする前に神秘的な生命の誕生や命の尊さについて十分指導し,生命尊重の深い理解を基盤に指導する。 (2) 興味本位に走ることのないよう十分配慮し,これから命を受け継ぎ,次の世代を育てていく存在として,小学校高学年なりの自覚を持たせるようにする。 (3) 「性交」は命を生み出す行為であり,一人一人が真剣に考え正しく理解しなければならない問題である。 (4) エイズの感染は,正しいエイズの学習によって防ぐことができるのであり,その学習は,中学校でも継続して指導される内容であることをふまえ,発達段階を配慮して指導する。 (5) 家庭や地域と連携を深め,保護者の理解を得ながら,家庭と協力して指導していくことが大切である。 |
エイズ教育の系統 |
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○ 本学習をする児童は,4年生9名,5年生4名,6年生10名の計23名である。児童は,本校のエイズ教育の系統表に従い,下記のように学習を進めてきた。
4・5年 | 「生命たんじょう」「二次性徴」「からだや心の悩み」(心身の成長に対する悩みの解消を図る学習) |
6年 | 「ゆずり受けた命」「命を受け継ぐ私たち」(VTRを通して,大人になることの意味と性についての学習(保健)) |
また,「病気の予防」は,それぞれの学年で学級活動や保健指導の時間に「病原菌の存在と病気の予防の仕方」について学習を深めてきた。その結果,病気やエイズについて関心の薄かった児童もエイズを身近な問題として関心を持つようになってきた。
1学期に行ったエイズや性教育に関するアンケートでは,次のような結果が出されている。
アンケート結果 |
←ここをクリックしてください。「性に関するアンケート」へジャンプします。
エイズの学習に対する関心は高く,これまでの本校での取り組みの成果がアンケートの結果にも表れている。また性に関する用語もよく知っている児童が多く,性の学習に対する抵抗もあまりないようである。 しかし,内容の定着面では,エイズに関する学習は年に2時間から3時間で十分定着しているとは言えない。その時は理解しても,時がたつと忘れてしまうのが実態である。エイズに関する学習は単発的な学習になりがちなので,同じような内容になっても,繰り返し指導することが大切であると感じているところである。
また本学習をする児童は,どんな学習に対しても真摯に取り組みまじめな学習態度である。6年生は積極的に発表する児童は少ないが,夏休みに行った4・5・6年生の合同キャンプなどを通して活発になってきた。5年生は女子だけの4名であるが,家庭科の学習など6年生と合同授業をしてきたので学年間を越えた合同学習もずいぶん慣れてきた。4年生はいろいろな行事やクラブ活動,委員会活動等で5年生や6年生と一緒に活動する機会が多く,合同で学習する楽しさを味わっている。男女の仲も学年間の仲もとてもよい状態である。
○ そこで本時の指導にあたっては,まず「感染者の増え方のグラフ」や「世界の中でのエイズの 広がりのグラフ」から学習問題を設定し,それぞれの学年の発達段階に応じてエイズの概念について調べていきたい。
調べる内容については,様々な資料が出されているが,児童が調べられるよう工夫し,「エイズとはどんな病気なのか」「どうやって感染するのか」について,児童自らが調べられるようにしたい。また,異学年によるグループを作り,6年生がリードしながら協力して調べられるように支援をしていきたい。
調べたことのまとめは,科学的な裏付けをもとに養護教諭がまとめる。特にエイズウイルスが感染しにくい病原菌であることや,私たちが普通に生活する中では感染しないことを具体例を挙げながらしっかり指導したい。さらに,現在では性交による感染がほとんどであることについてふれ,私たちの注意で十分防げるのだということも理解させたい。
また,「どうすればエイズを防げるのか」という具体的な方法については,中学校で学習することを知らせ,エイズの学習への関心をさらに高めておきたい。
今回の授業では,小規模校の特長を生かし3学年合同で3人による授業を行う。このことにより複線化の指導をできるだけさけて,個に応じた支援の機会を増やすとともに,より緻密で臨機応変な支援を可能にすることができる。また,男性教師,女性教師が同時に指導することで,性的なこだわりがなくなり,性教育の授業では大変効果的であると考えられる。
さらに,養護教諭が授業に参加することにより,養護教諭の専門性が生かせたり,児童の選択の幅を広げたりする効果がある。エイズに関する教育は繰り返し指導する必要があり,今日の授業だけでエイズ教育が終わるわけではない。難しい内容ではあるが,少なくとも断片的で偏った知識を持っている児童に,エイズに対して科学的で正しい認識を持たせる授業をしたいものである。
3 ねらい |
○ 「病気の予防」の学習を基礎にして,エイズという病気のあらましを理解させる。 ○ 日常生活のいろいろな場面でエイズウイルスがうつるかどうか判断できる力を養う。 |
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