通勤電車で会う女子高生に、なぜかなつかれて困っている
                                           甘粕冬夏(富士見ファンタジア文庫)



毎朝五分の会話が愛おしい会社員×JKの爽やかラブコメディストーリー。
大枠としては現代日本が舞台となっている年の差(アラサー主人公とJKヒロイン)ラブコメですね。
ヒロインのアドバイスによって対人能力に難ありな主人公が成長し、仕事や人間関係が好転していく。
という流れは「僕の軍師は、スカートが短すぎる」と結構被っている感がありますが
ヒロインとの交流の場所が通勤電車の中メインであったり、主人公のキャラの違いが大きかったりと
話の方向性は同じでも、差別化はしっかりできているので新鮮味はバッチリ。
ラブコメ面は今のところ進展なし。ヒロイン三人のフラグが成立しているようですが…

主人公は広告代理店に勤務している二十七歳のサラリーマン。
自他共に認める不愛想で口下手と、人と関わるのが苦手で何気ないことで躓きがちだが情に厚い正義漢。
仕事人としては営業成績こそ標準だが、現場対応力が高く、トラブルの火消し職人と呼ばれている。
色恋についてはかなりの鈍感でなおかつヘタレ。

ヒロインは聡明なJK、人懐っこい後輩、Vtuberなツンデレ女子大生。
一番のお気に入りは主人公とは教育係と新人という間柄な会社の後輩、音水遥。
長い髪を後ろで纏めている、人懐っこいタレ目が印象的な胸が大きい二十二歳の美人。
いつも明るく、天然なところもあるが真面目でまっすぐな性格で、男性社員からの人気も高い。
意外と周りのことも見ているが、それが気配りをしすぎてしまうという欠点に繋がっている。
美点はどんな時でもポジティブでいられるところ、どんな相手の懐でも入っていけること。
色恋には積極的で、想い人である主人公に対しては好意を素直にアピールしている。

現時点(一巻)においての評価はC。
美少女JKが通勤電車の中で話しかけてきた、というスタート部分こそ非現実性が濃い展開ではあるものの
それ以降は穏やかで何気ない日常での交流模様がメインに描かれており、読後感は爽やか。
仕事パートではやや無茶な展開(人事部の人間が他部署にちょっかい出してくる)もあったりしますが
まあ、最後はきっちり敵をやり込めて一件落着となるので終わり良ければ総て良しということで。
キャラに関しては、無骨で人付き合いが苦手ながらも情に厚く熱血気質な主人公が好感度抜群。
そんな彼とは対照的にフラットな態度を見せるメインヒロイン・蒼井結衣花との絶妙な距離感もグッド。
本筋は大仕事を上々の結果で収め、そして通勤電車はいつも通りの時間が訪れて次巻へ。