ドラキュラやきん! 和ヶ原聡司(電撃文庫)
コンビニの夜勤で働く現代に生きる吸血鬼による、ドラキュラ日常ファンタジーストーリー。
大枠としてはお仕事もの。同作者作「はたらく魔王さま!」同様、ファンタジーな存在が現代日本で
真っ当に働くことで生活の糧を得て日常を過ごす姿が描かれています。職種はコンビニの夜勤。
主人公が吸血鬼で日中に働けない(太陽の光を浴びると灰になる)以上、納得のセレクトですな。
私も同じ仕事についているので、正直あるあるネタで共感しまくり、みたいな感じを期待していたのですが
どうも仕事よりも、人外とのバトルや問題解決といった現代ファンタジー要素のほうが濃い模様。
日常生活シーンにおける地に足がついている庶民感は相変わらずなのでそれが清涼剤ではあるのですが。
ラブコメ面はメインヒロインであるアイリスが主人公に告白をし、いよいよ三角関係が成立しましたが、さて。
主人公は人間に戻るためにある吸血鬼を探している、日当たり激悪アパートに住むコンビニ夜勤吸血鬼。
実年齢が七十歳を超えていることもあってか、達観的というか、普段は枯れた言動をしているが
根がお人好しでお節介焼きな性格なため、それが原因で望まぬ厄介事を抱えてしまうこともしばしば。
ヒロインは男性恐怖症のシスター、尊大冷徹なお嬢様、キョンシー留学生。
一番のお気に入りは警察や裏社会、吸血鬼退治をする闇十字騎士団にも顔が利く名家のお嬢様、比企未晴。
小柄な身体に黒髪、そして身にまとった着物が目を惹く十八歳の大和撫子美少女で
日本の妖を討伐し、人間社会の安寧を築いてきた半人半妖(八尾比丘尼を血を引いている)の一族の娘。
愛しの主人公以外には基本的に強気で冷徹な性格で、興が乗ると自分がやりたいようにやるまで止まらない。
荒事とは無縁そうな可憐な外見に反し、戦闘スタイルは刀を用いた剣術による近接戦。
現時点(五巻)においての評価はC。
タイトルの割にお仕事要素が少な目で人外関連の事情やシリアスなバトルなどが目立っていますが
日常生活やラブコメシーンがおざなりにされているというわけでもなく、上手くバランスがとれている印象。
キャラに関しては、善良な吸血鬼という創作ではありがちな存在でありながらも、元人間ということで
人間関係のしがらみなどをしっかりと持っていて、長寿ゆえの年輪を感じさせてくれる主人公がグッド。
メインヒロインのアイリスも吸血鬼退治を生業とする、本来ならば敵対者となる立場なのに
ポンコツかつ物分かりのよさから変にこじれた仲にならず、フラストレーションがたまりませんしね。
本筋は倒すべきラスボスが明確であり、悪事を働く人外とのバトルも頻繁に起こり
主要登場人物たちの過去も徐々に明らかになっていったりとシリアス成分濃い目な感じで進行中。