失格世界の没落英雄   北山結莉(MF文庫J)



行方不明となった元王子が覚醒した「神眼」で歪んだ世界を旅し、救いをもたらず英雄になる物語。
同作者作の「精霊幻想記」と同じく、主人公は不遇スタート。大国の第一王子なのに拉致監禁されるわ
人体実験の検体にされるわ、自分の偽物がのさばっているわと不幸すぎというか、敵側がガチすぎである。
チートスキルがあるとはいえ、本当にハッピーエンドに辿り着くことができるのかハラハラドキドキです。
まあ、その分戦闘シーンでの主人公の無双っぷりは爽快感抜群ではあるのですが。
ラブコメ面は主人公が初恋に拘っているため、初恋相手の所在がわからないことには話は進まなさそう。

主人公は魔道王国のターコイズの第一王子を生を受けるも希少なスキルを解放したがために
謎の研究機関ダアトに誘拐され、研究所で三年間もの間、残虐な人体実験の検体にされてしまった少年。
失踪した幼馴染そっくりな人造天使リィエルと出会ったことで、彼女と世界を旅していくことに。
年齢の割に落ち着きがあり思慮深い性格で、忍耐強く努力家。王族だがえらぶったところはまるでない。
戦闘者としては魔道士の適正に優れているが近接戦闘も秀才程度にこなせるだけの腕前を有しており
また、視野が広く、周りをよく見て考え動き、行動の一つ一つにちゃんと意味を持たせるタイプ。
孤独だった自分を救ってくれた婚約者のモニカが初恋で、婚約者が変更されてもずっと想い続けている。

ヒロインは無邪気な人造天使、お転婆な姉姫、お淑やかな妹姫。
一巻の時点では特に際立ってお気に入りのヒロインはなし。

現時点(一巻)においての評価はC。
主人公の不幸極まりない境遇を筆頭に全体的に暗めの世界観であり、読み味もやや重めではありますが
メインヒロインであるリィエルの純粋無垢さと可愛らしさが救いでしょうか。正に一服の清涼剤。
主人公にしても、運命に翻弄されながらも色褪せない婚約者モニカへの一途な想いが胸を打ちますし。
しかし「神眼」が便利すぎる。 相手の行動から魔法の構造まで、全てを見抜くというだけあって
戦闘面での活躍は勿論、物の価値を見抜けるがゆえに日銭稼ぎにも有用でとにかく応用の幅が広い。
本筋は主人公を拉致した組織ダアト、失踪した婚約者の現在、主人公の偽物、天使、転生法など
とにかく謎が盛りだくさんが先が気になりますが、そもそも世界自体に大きな謎が隠されているようで…?